社説
ネット依存 心の声にも耳傾けねば(8月13日)
あまりに衝撃的な数字だ。わが子や孫は大丈夫なのかと心配になる。
インターネットに熱中しすぎて、生活や健康に支障を来す「ネット依存」の中高生が約51万8千人と推計されることが、厚生労働省研究班の調査で分かった。
依存が進むと、昼夜が逆転する睡眠障害や不規則な食事による栄養失調を引き起こす。
韓国では、オンラインゲームを80時間以上続けていた男性が静脈血栓塞栓(そくせん)症(いわゆるエコノミークラス症候群)で急死した。
10代は人格形成にとって大切な時期だけに看過できない。家族や学校はもちろん、医療機関、行政、ネット業者も含め、社会全体で対策に取り組まなければならない。
厚労省はこれで調査を打ち切りとせず、依存する原因や背景についても分析を続けるべきだ。
調査は全国の中高生約14万人を対象に行われた。「人間関係を危うくすることがあったか」など8項目の国際的評価尺度を基に質問したところ、ネット依存は8%だった。
依存者のうち、睡眠時間が6時間未満は43%、体調が悪かったという回答も24%に上った。いずれも他の生徒より極めて高かった。
ネット依存は本人が意識しても脱却が難しい。特にスマートフォン(多機能携帯電話)の利用は周囲の目に付きづらく、見逃されやすい。
専門家は、子どもが寝坊や学校で居眠りを頻繁に繰り返すようなら、依存の可能性が大きいと指摘する。予兆を見極めることが大事だ。
厚労省や学会はまず、親や学校が判定しやすいよう、国際的な評価尺度の普及を急ぐべきだ。
学会は、診断マニュアルの整備や専門医師の養成が欠かせない。学校でもネットの使い方についてさらにきめ細かい指導が求められる。
ネットは依存に至るまでもなく目を悪くしたり、有料サイトの使用で金銭問題に発展したりする。
家庭では使用時間などのルールを決めたい。スポーツなどネット以外に夢中になれる対象を見つけ出せるよう、助言することも大切だ。
対策だけでなく、子どもが没頭する背景にも目を向けたい。
中高生が最も利用するのがオンラインゲームだ。複数でチームを組み敵と戦う内容が多い。途中で抜けると仲間に迷惑をかけると思い、やめられない原因となっている。
依存する子どもは、家族環境や学校での人間関係に悩みを抱えている例が少なくない。ネットをやめてもこうした問題は解決しない。親、学校を含め社会は、子どもたちの心の声にも耳を傾ける必要がある。
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