円が全面安、株高でリスクオンの動き-米小売り指標期待も売り圧力
8月13日(ブルームバーグ):東京外国為替市場では円が全面安。今夜発表される7月の米小売売上高に対する期待感を背景としたドル買いに加え、国内株価の上昇に伴うリスク選好の動きが円の主要通貨に対する下落につながった。
ブルームバーグのデータによると、午後3時24分現在の円は主要16通貨すべてに対して下落。ドル・円相場は一時1ドル=97円56銭と7日以来のドル高・円安水準を付けた。
IG証券の石川順一マーケットアナリストは「リスクオンによる円売りだ」と指摘。米小売売上高などをめぐって米景気回復期待が高まっているのに加え、国内株の上昇も円売りにつながったと説明した。朝方発表の機械受注統計は株高を通じて間接的に円売り要因になったほか、安倍晋三内閣が法人税の実効税率引き下げと一体で消費増税を予定通り実施するとの観測も株高・円安要因との見方を示した。
内閣府が午前8時50分に発表した6月の機械受注統計では、民間設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」が前月比2.7%減となった。ブルームバーグ・ニュースの市場予想調査では同7.0%減が見込まれていた。東京株式相場ではTOPIX が前日比2%高の1157.15で引けるなど、大幅反発した。
安倍首相が法人税の実効税率の引き下げを検討するよう関係省庁に指示したことが12日に分かったと、13日付の日本経済新聞は報じた。来年4月からの消費増税を決めた場合、法人税の引き下げ方針を併せて打ち出し、景気の腰折れ懸念を払しょくする狙いだという。
一方、みずほ銀行バイスプレジデントの岩田浩二氏(ニューヨーク在勤)は、この日の米小売売上高の結果発表が相場に与える影響について、「最近は強い指標が多いので、それなりに期待はあるのではないか」と指摘。ただ、相場への影響度は雇用統計に比べ限定的とみている。
ブルームバーグがエコノミストを対象に実施した予想調査の中央値では、7月の米小売売上高 は前月比0.3%増と4カ月連続の増加が見込まれている。6月は同0.4%増だった。
この日はまた、ドイツの欧州経済研究センター(ZEW)が8月の独景況感指数を発表する。ブルームバーグ・ニュースがまとめた期待指数のエコノミストの予想中央値は39.9と、前月の36.3から改善するとみられている。上田ハーロー外貨保証金事業部の吉松武志氏は、「市場予想通りの強い結果となれば、ユーロは反発する可能性がある」とみていた。
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更新日時: 2013/08/13 15:28 JST