Updated: Tokyo  2013/08/13 08:17  |  New York  2013/08/12 19:17  |  London  2013/08/13 00:17
 

ドル・円が一時96円割れ、GDP下振れで株安進行を警戒

Share Google チェック

  8月12日(ブルームバーグ):東京外国為替市場ではドル・円相場が一時1ドル=96円台を割り込んだ。日本の4-6期の国内総生産(GDP)速報が市場予想を下回ったことを受け、株安警戒感から円買いが先行した。  

96円台前半で週明けの東京市場を迎えたドル・円は、GDP発表後に95円93銭まで円高が進行。しかし、95円台の滞空時間は短く、日本株 が一時上昇に転じた午前の取引終盤にかけては96円64銭まで円売りが進み、午後は96円台半ばで一進一退の展開となった。

野村証券金融市場調査部の池田雄之輔チーフ為替ストラテジストはGDPが市場予想を下回ったことで、消費増税の延期などの議論が強まる可能性があり、改革姿勢の後退を警戒する海外ヘッジファンドなどの株売り、円買いの材料になると指摘。半面、ドル・円の96円台割れは「押し目買いしたい人たちにとっては悪くないレベル」だとし、ここから円高が加速する可能性は低いと話していた。

ユーロ・円相場はGDP発表後に一時1ユーロ=127円98銭まで円高が進行。その後128円73銭まで円が売られる展開となった。ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.33ドル台前半でもみ合った。

GDP

内閣府が発表した4-6月の実質GDP 速報値は前期比年率2.6%増と、3四半期期連続でプラス成長となった。ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査の予想中央値は同3.6%増だった。

池田氏は、GDPは市場予想を下回ったが、在庫がマイナスに大きく寄与しており、企業が慎重な生産を維持しているという意味では「7-9月にはむしろ増産余地が出てくるということなので、内容的には全く悪くない」と分析。「私自身は消費税率引き上げに十分耐えうる成長力の高まりとみている」と語った。

一方、ブラウン・ブラザーズ・ハリマン外国為替部の村田雅志通貨ストラテジストは、デフレーターのマイナス幅が縮小したことで、「戦力の逐次投入はしないという日銀の方針から考えると、追加緩和という線はなくなってきた」とし、「景気が良くなってきたから円を売るというのは難しくなってきている」と話した。

共同通信によると、安倍晋三首相はGDP速報の発表を受け、「順調に景気は上がってきている」との認識を示した。政府は消費税率の引き上げ計画について、今年9月上旬に発表される4-6月期のGDP改定値を踏まえて最終判断し、必要な修正を加えた上で、正式に閣議決定する方針。甘利経済再生相は、GDPについて、消費増税の判断材料の1つとしては引き続き良い数字出たと述べた。

記事についての記者への問い合わせ先:東京 小宮弘子 hkomiya1@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Rocky Swift rswift5@bloomberg.net

更新日時: 2013/08/12 16:06 JST

 
 
 
最新のマーケット情報を携帯でご覧いただけます。ぜひご利用ください。