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最終製品3%高 企業、円安に伴う上昇分転嫁 (物価考)

2013/8/12 21:05
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 円安に伴う燃料や原材料価格の上昇分を取引価格に転嫁する動きが産業界で広がってきた。日銀が12日発表した7月の国内企業物価指数は、前年同月比2.2%上昇。小売店への出荷価格などを示す「最終財」の上昇率は3.3%と、32年4カ月ぶりの高い伸びを記録した。景気回復で底堅さをみせる内需が、企業の価格転嫁を後押ししており、デフレ脱却へ一歩前進した格好だ。

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 企業物価指数は出荷や卸売りなど企業間で取引するモノの価格動向を示す。モノの需要段階ごとに燃料などの「素原材料」、部品などの「中間財」、最終製品の「最終財」の3つに大きく分類される。

 7月に最終財の上昇率が3.3%と1981年3月以来の伸び率に達したのは、円安を起点に素原材料の価格が上昇し、中間財→最終財へと価格転嫁が徐々に波及してきたためだ。素原材料はプラス17.1%と3カ月連続で2ケタ台の伸び率を記録。中間財もプラス5.1%と、08年9月以来の伸び率となった。

 燃料などの素原材料が上昇しても、企業が価格転嫁に慎重ならば、最終財の価格上昇にはつながらない。例えば11年6~8月は原油価格高騰などで3カ月連続で素原材料は20%台の上昇率を示したが最終財は物価下落が続いた。

 内閣府が12日発表した4~6月期の実質経済成長率は3四半期連続でプラスになった。個人消費が回復を支えているのが特徴で、底堅い内需を追い風に企業は価格転嫁に前向きになっている。

ガソリン価格が上昇している(7日、東京都中央区のガソリンスタンド)
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ガソリン価格が上昇している(7日、東京都中央区のガソリンスタンド)

 7月の最終財の価格上昇に最も寄与したのは13.8%上昇したガソリン。ただ食品など幅広い品目にも価格転嫁が広がった。例えば食パンは7月に1.6%上昇し、1年1カ月ぶりの高い伸び率に。最大手の山崎製パンが7月から出荷価格を最大で6%上げたほか、第一屋製パンなども値上げした影響とみられる。

 8月は味の素など食品メーカーが冷凍食品の出荷価格の引き上げを表明しており、企業の価格転嫁は続く見通しだ。

 企業物価指数の動向は、6月に1年2カ月ぶりに上昇に転じた消費者物価指数(CPI)の先行きを見極めるうえでも重要だ。食パンを例にとれば、食品メーカーの出荷価格があがれば、消費者への販売価格にも値上がり圧力が強まる。この結果、消費者がモノを買う際の価格を調べたCPIも上昇する傾向が強まるためだ。

 日銀は物価安定目標として、CPIを採用。上昇率を「2年で2%」に引き上げることを目指し、大規模な金融緩和を続けている。値上げが相次いでも消費が冷え込まなければ脱デフレが現実味を帯びる。

 CPIは企業物価指数と異なり、サービスの価格も含む。サービス価格は賃金に大きく影響される。賃金の行方がCPIの上昇率が2%に向かっていくかのカギを握っている。

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日銀、CPI、最終財、価格転嫁、山崎製パン、第一屋製パン、味の素


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