【NQNニューヨーク=岩切清司】12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅続落した。終値は前週末比5ドル83セント(0.0%)安の1万5419ドル68セント。売買材料に乏しく、利益を確定する目的の売りに押された。中国株の上昇を受けて投資家心理がやや改善したことが支えとなり、下げは小幅にとどまった。
ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は反発。前週末比9.84ポイント(0.3%)高の3669.95となった。
米主要企業の決算発表が一巡したうえ、この日は注目度の高い経済統計の発表もなかった。相場全体の方向感に影響を与えるような手掛かりに欠けた。米株式相場は依然高値圏で推移しているだけに、利益確定の売りが出やすいという。市場の一部では日本の4~6月期の実質国内総生産(GDP)伸び率が市場予想を下回ったことを警戒する声もあった。
一方、アジア市場では中国・上海総合指数が大幅上昇し約2カ月ぶりの高値を回復。同国経済の先行き不安の後退につながり、米市場でも好感された。
夏季休暇を取得する市場関係者が多く、取引は盛り上がりに欠けた。13日に7月の米小売売上高が発表されるほか、週後半にかけて重要な経済指標の発表が控え、様子見姿勢を取る投資家も多かったようだ。
業種別S&P500種株価指数(全10業種)は「公益事業」や「エネルギー」を中心に7業種が下落。「IT(情報技術)」や「電気通信サービス」が上げた。
ニューヨーク証券取引所(NYSE)の売買高は約5億9000万株(速報値)、ナスダック市場は約13億8000万株(同)。
映画・娯楽のウォルト・ディズニーや航空機のボーイングが安い。
半導体のブロードコムは横ばい。証券会社の投資判断引き下げを嫌気して売られる場面があった。ただ、最近まで下落基調を強めていたため、押し目買いが入った。
半面、アップルが5営業日ぶりに反発。週末にIT情報サイトが「9月10日に新型のiPhone(アイフォーン)を発表する」と伝え、業績拡大期待が高まった。米国際貿易委員会(ITC)が9日、韓国サムスン電子の一部製品の米国内への輸入・販売を差し止める命令を出したこともアップルの追い風と受け止められた。
カナダのスマートフォン(スマホ)大手ブラックベリー(旧リサーチ・イン・モーション)が急伸。他社との提携や身売りを含めた経営再生策を検討すると発表したのが好感された。
最高経営責任者(CEO)によるMBO(経営陣が参加する買収)で合意したと発表した食品大手ドール・フード・カンパニーも高い。
人気記事をまとめてチェック >>設定はこちら