8月12日の海外株式・債券・為替・商品市場
(ブルームバーグ):欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。
◎NY外為:ドル指数が7営業日ぶりに上昇、小売り統計控え-円下落
ニューヨーク外国為替市場では、ドルが主要16通貨の過半数に対して上昇。13日発表される7月の小売売上高では4カ月連続での増加が見込まれており、金融当局の緩和策縮小を支持する内容となりそうだ。
円はドルに対しここ1週間で最大の値下がり。日本の実質国内総生産(GDP)の成長率が市場予想を下回ったことで、成長押し上げのため追加の金融緩和が必要になるとの観測が強まった。ブルームバーグ米ドル指数 は7営業日ぶりに上昇。南アフリカ・ランドは下落。株式相場の値下がりで、高利回り資産の需要が後退した。
ウェスタン・ユニオン・ビジネス・ソリューションズのシニア市場アナリスト、ラビ・バラドワジ氏(ワシントン在勤)は電話取材で、「先行き期待がドルの大幅上昇に寄与していることは確実だ」と指摘。「市場参加者は現在、経済指標に極めて敏感になっている。よって実際の数字が投資家の予想から外れた場合はドルへの強い反応が見込まれる。また利益確定の動きも若干見られる」と述べた。
ニューヨーク時間午後5時現在、ブルームバーグ米ドル指数 は前週末比0.4%上昇の1020.54。日中ベースでは1日以降で最大の上げとなった。
ドルはユーロに対し0.3%高の1ユーロ=1.33ドル。対円では0.7%上げて1ドル=96円90銭。一時0.8%高と1日以降で最大の上昇率となった。円は対ユーロで0.4%下げて1ユーロ=128円87銭。
フラン、ランドスイス・フランは対ドルで下落。スイス国立銀行(中央銀行)のダンティーヌ副総裁は、いったん利上げを始めれば、スイス・フランのユーロに対する上限を廃止すると表明した。フランは対ドルで0.4%安の1ドル=0.9258フラン。対ユーロでは1ユーロ=1.2312フラン。
ランドは0.7%安の1ドル=9.8884ランドと、3営業日ぶりに下落。9日には9.6994ランドと、7月26日以来の高値を付けていた。
JPモルガン・チェースのG7ボラティリティ指数は9.04%と、5月9日以来の低水準を付けた。
ブルームバーグのまとめた市場調査によれば、13日発表される7月の米小売売上高は前月比0.3%増が見込まれている。6月は同0.4%増だった。
小売売上高野村ホールディングスの外国為替ストラテジスト、チャールズ・サンタルノー氏(ニューヨーク在勤)は電話取材で、「小売売上高の統計が市場予想を上回れば、それは米経済が健全なことを示唆する」と述べた。
内閣府が発表した日本の4-6月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、前期比年率で2.6%増。1-3月期は3.8%増に改定された。ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査では、4-6月は3.6%増が予想されていた。
原題:Dollar Snaps Six-Day Slump Before Retail-Sales Report; YenDrops(抜粋)
◎米国株:下落、日本のGDP減速を嫌気-小売売上高を控え様子見
12日の米国株 は下落。日本の経済成長が減速が弱材料視されたほか、米小売売上高統計の発表を翌日に控えて投資家は様子見姿勢を強めた。
電気自動車メーカー、テスラ・モーターズは3.7%下落。ラザード・キャピタル・マーケッツが株式投資判断を引き下げたことが嫌気された。食品・関連製品の供給会社シスコは決算内容が売り材料とされ下落した。一方、アップルは上昇。韓国サムスン電子との特許紛争でアップルが勝訴したことが買い手掛かりとなった。スマートフォン(多機能携帯電話)メーカー、ブラックベリーは急伸。同社は戦略的な選択肢を模索しており、身売りの可能性もあることを明らかにした。
S&P500種株価指数 は前営業日比0.1%安の1689.47。ダウ工業株30種平均は5.83ドル(0.1%未満)下げて15419.68ドル。
ブリン・マウワー・トラストの株式調査ディレクター、ジョー・コスティガン氏は、「経済成長率はいら立たしいほど低い。それが不自然なほど低水準にある金利水準によって相殺されている」と述べ、「この状態が続く限りは相場は少なくとも9月に入るまでは変動がないだろう。つまり出来高も低く、あまり自信のない動きとなるだろう」と指摘した。
S&P500種は先週1.1%下落した。これは7週ぶりの大幅安。ダウ平均は週間ベースで1.5%値下がりした。景気の拡大に伴い米金融当局が年内に債券購入を縮小するとの見方が広がっている。
S&P500種のPERS&P500種は年初から18%上昇。8月2日は最高値の1709.67で取引を終えた。同指数の株価収益率(PER、実績ベース)は15.3倍で推移。今年最初の取引は同13.1倍だった。
ブルームバーグがまとめたデータによれば、第2四半期の決算を発表した450社のうち72%で利益が予想を上回った。
米商務省が13日発表する7月の米小売売上高は前月比で0.3%増が見込まれている。
日本の4-6月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、前期比年率で2.6%増と前四半期から伸びが減速した。ルームバーグ・ニュースによる事前調査の予想中央値は3.6%増だった。
シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX)は4.5%低下の12.81。VIXは今年6月に年初来のピークをつけて以来、37%低下した。
シスコは下落、アップル上昇S&P500種産業別10指数のうち7指数が下げた。特に公益事業株やエネルギー株が売られた。
シスコは5.8%下落。同社は2015年度の利益予想は達成できないとの見通しを示した。低調なレストランの客足が利益を損ねた。
一方アップルは2.8%高。米国際貿易委員会(ITC)は9日、韓国サムスン電子の一部製品が米アップルが持つマルチタッチ機能とヘッドフォン差し込み口検出の2件の特許を侵害しているとして、米国への輸入差し止めを命じる決定を下した。
ブラックベリーは10%の大幅高。同社の取締役会は戦略的な選択肢を模索するために特別委員会を設置した。身売りや合弁事業の可能性もあるという。
原題:U.S. Stocks Fall Amid Japan GDP as Investors Await RetailSales(抜粋)
◎米国債:4日ぶりに下落、経済統計控え-小売売上高は増加の見通し
米国債市場では10年債が4営業日ぶりに下落。13日に発表される7月の米小売売上高は4カ月連続での増加と予想されている。
トレーダーのインフレ見通しの指標となる10年債と同年限のインフレ連動債(TIPS)の利回り差(ブレークイーブンレート)は、10週ぶりの高水準に近い。今週発表の7月消費者物価指数(CPI)は上昇が予想されている。期間10年以上の米国債の過去1年におけるパフォーマンスは世界の国債市場の中で最悪となっている。
ノバスコシア銀行の米国債トレーディング責任者、チャールズ・コミスキー氏(ニューヨーク在勤)は「データはこれまでのところ、経済が改善しつつあるという事実を示してきた」と指摘。「ここでわざわざリスクを取り(米国債を買い)たいとは考えないだろう」と続けた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後4時49分現在、10年債利回り は4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の2.62%。同年債(表面利率2.5%、2023年8月償還)価格は11/32下げて98 30/32。
期間10年以上の米国債は過去1年で10%超下げており、ブルームバーグと欧州証券アナリスト協会連合会(EFFAS)がモニターする144指数の中で最悪のパフォーマンスとなっている。
米金融当局はこの日、2036年2月から2043年5月までに償還を迎える米国債14億9600万ドル相当を買い入れた。
小売売上高ブルームバーグがまとめた7月米小売売上高の事前調査によると、エコノミスト64人の予想中央値は0.3%の増加。6月は0.4%増だった。
RBSセキュリティーズの米国債ストラテジスト、ジョン・ブリッグス氏(コネティカット州スタンフォード在勤)は米小売売上高が「今週最も重要なイベント」だと指摘。債券購入ペースを緩めるかどうか当局の判断を左右しかねないと述べた。「緩和縮小を始動させるための証拠固めの責任は、この統計が負っている」と続けた。
14日に米労働省が発表する7月の生産者物価指数(PPI)は、ブルームバーグニュースのエコノミスト調査で前年同月比2.4%の上昇と予想されている。6月は2.5%の上昇だった。15日発表に発表される7月のCPIは2%上昇と、前月の1.8%上昇から加速が予想されている。
マーケットの均衡点RWプレスプリッチの政府債取引担当マネジングディレクター、ラリー・ミルスタイン氏(ニューヨーク在勤)は「米当局による購入継続、やや軟調な株式市場と経済データを背景に、マーケットは均衡点にかなり近づいている」と指摘。「緩和縮小が近づいていることに変わりはないため、長期的に利回りは依然上昇方向にあるようだ」と述べた。
10年債のブレークイーブンレートはこの日2.26ポイント。9日には2.28ポイントに上昇し、5月29日以来の高水準を付けていた。
米財務省がこの日発表した7月の財政収支は976億ドルの赤字だった。今年度7月までの累計で財政赤字は6074億ドルと、前年同期の9738億ドルから縮小した。
米財務省は7月31日、財政状況が改善するのに伴い固定利付債入札の規模を段階的に縮小するとの見通しを示した。
原題:Treasuries Snap Three-Day Advance Before Retail-SalesReport(抜粋)
◎NY金:4日続伸、過去4週間で最長-中国での需要急増が支え
ニューヨーク金先物相場は4営業日続伸。過去4週間で最長の連続高となった。中国での需要急増が買い手掛かり。同国は金輸入でインドに次いで世界2位。
中国黄金協会(CGA)が9日発表した同国内の今年1-6月の金消費量は前年同期比54%増加の706.4トンだった。延べ棒の需要が87%、宝飾品は44%それぞれ増えた。
T&Kフューチャーズ・アンド・オプションズ(フロリダ州ポートセントルーシー)のマイケル・スミス社長は電話インタビューで、「特に中国での現物買いが引き続き相場を支えている」と指摘。「きょうは強気なセンチメントが広がっている」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物12月限は前週末比1.7%高の1オンス=1334.20ドルで終了。一時は1343.70ドルと、中心限月としては7月24日以来の高値をつけた。4日続伸は7月11日以来の最長。
原題:Gold Has Longest Rally in Four Weeks on China; SilverJumps 4.6%(抜粋)
◎NY原油:上昇、北海生産障害とリビアの積み出し港閉鎖で
ニューヨーク原油先物相場は上昇。北海油田での生産障害とリビア最大の石油積み出し港閉鎖を材料に、ブレント原油につれ高となった。
英BP広報担当者によると、同社が北海エコフィスク油田で運営するプラットフォームでコンプレッサーが故障し、生産が減少した。リビアは11日に操業を再開した石油積み出し港、エス・シデル港をこの日、再度閉鎖した。原油価格はこれより前、日本の4-6月(第2四半期)国内総生産(GDP)が2.6%成長に減速したことを受け、105.03ドルまで下げていた。
アイアイトレーダー・ドット・コムの市場担当シニアストラテジスト、ビル・バルーク氏(シカゴ在勤)は「北海とリビアで供給に問題が生じた」と指摘。「105ドルの主要支持線を試す展開だったが、戻しつつある」と続けた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物9月限は前週末比14セント(0.13%)高の1バレル=106.11ドルで終了。
原題:Crude Rises Amid North Sea Disruption as Libya ShutsTerminal(抜粋)
◎欧州株:ほぼ変わらず、10週ぶり高値水準-鉱山株が高い
12日の欧州株式 相場は前週末からほぼ変わらず。予想を下回った日本の4-6月期の実質国内総生産(GDP)が売り材料となったものの、鉱山株の上昇が支えとなり、指標のストックス欧州600指数は10週間ぶり高値水準にとどまった。
銀生産大手の英フレスニーヨは6.6%上げ、2カ月ぶり高値。貴金属相場の上昇が買い材料となった。英保険会社プルーデンシャルは約20年ぶりの高値。1-6月(上期)利益が前年同期比22%増となった。一方、オーストリアの電話会社、テレコム・オーストリアは1.6%安。第2四半期利益がアナリスト予想に届かなかったことが売り材料。英ブックメーカーのラドブロークス は2.6%下落。JPモルガン・チェースによる投資判断引き下げが嫌気された。
ストックス欧州600指数 は前週末比0.1%未満上昇し306.08で終了。一時は0.2%上げたが、0.6%下落する場面もあった。年初来上昇率は9.4%となっている。
LLBアセット・マネジメント(リヒテンシュタイン)の株式・債券部門責任者、クリスチャン・ゾッグ氏は「日本の最近の経済データはやや相反する内容となっているが、市場関係者は前向きな姿勢で、経済は悪い方に向かっていないとみている」と語った。
ブルームバーグがまとめたデータによれば、ストックス欧州600指数の構成銘柄の取引高は100日平均を33%下回った。
12日の西欧市場では18カ国中10カ国で主要株価指数が上昇した。ドイツのDAX指数は0.3%上昇した一方、仏CAC40指数と英FTSE100指数はそれぞれ0.1%下げた。
原題:Europe Stocks Are Little Changed at 10-WeekHigh as Miners Gain(抜粋)
◎欧州債:スペインとイタリア債は続伸-ユーロ成長回復への期待で
12日の欧州債市場ではスペインとイタリアの国債が5営業日続伸。ユーロ圏経済が過去最長のリセッション(景気後退)から脱却したとの観測を手掛かりに、域内の高利回り債を求める動きが強まった。
スペイン10年債利回り は約2カ月ぶりの低水準。今週発表される4-6月(第2四半期)のユーロ圏域内総生産(GDP)統計でプラス成長回復が示されると、アナリストらはみている。ドイツ10年債利回りは5週間ぶりの高水準 まで約3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)となった。ゴールドマン・サックス・グループはユーロ圏のGDP成長率予想を上方修正した。ドイツとフランス、イタリアはこの日、証券入札を行った。
INGグループのシニア金利ストラテジスト、アレッサンドロ・ジアンサンティ氏(アムステルダム在勤)は「経済データはユーロ圏がプラス成長に戻りつつあることを裏付けるだろう」とし、「ここ数週間に見られたプラスの傾向を経済指標で確認できると思う。前向きなデータがもっと増えれば、ドイツ債利回りを押し上げる圧力が働く一方、高リスク資産にとっては良好な環境となるだろう」と語った。
ロンドン時間午後4時20分現在、スペイン10年債利回りは前週末比1bp低下の4.48%。一時は6月6日以来の低水準となる4.47%に達した。同国債(表面利率4.4%、2023年10月償還)の価格は0.09上げ99.335。
同年限のイタリア国債の利回りは2bp下げて4.16%。ドイツ10年債利回りは2bp上昇し1.70%。2日には7月5日以来の高水準となる1.73%を付けた。
ブルームバーグがまとめたアナリスト調査によれば、14日発表のユーロ圏の4-6月GDP は前期比0.2%増と、7四半期ぶりのプラス成長となる見込み。別の調査によれば、ドイツの欧州経済研究センター(ZEW)が13日発表する8月の独景況感指数は改善が予想されている。
英国債相場は前週末からほぼ変わらずで、英10年債利回りは2.47%。7日には2.56%と、6月25日以来の最高となった。同国債(表面利率1.75%、2022年9月償還)価格はこの日94.19。
原題:Spanish Bonds Advance With Italy’s on BetsRegion’s GDP Expanded(抜粋)Pound Approaches One-Month High Against EuroAmid Growth Signs(抜粋)
更新日時: 2013/08/13 07:01 JST