地球は丸いため、遠方・低高度で襲来する敵航空機・ミサイルの発見には、イージス艦のレーダーがいかに優秀でも限界がある。従って「イージス艦隊」の索敵→情報共有→迎撃分担などは、自軍と一部同盟軍の早期警戒管制機=AWACSや軍事衛星、他の水上艦や潜水艦とのリンクを前提とする。
韓国空軍で早期警戒管制機(AWACSより劣るAEW&C)導入計画が始まるのはイージス艦導入決定5年後の2000年。機種決定も起工1年9カ月後の06年。イージス艦はAEW&C(実戦配備は12年)の情報が4年間もないまま運用された。それだけではない。当初の情報共有はAEW&C以外、一部フリゲートや空軍の戦闘爆撃機F15Kと防空統制施設のみという、異常に限られた連接だった。F15Kも4年近く、AEW&Cなしでの運用を強いられた。イージス艦やF15Kという高性能兵器は、真骨頂である「他の兵器の耳や目の活用」という利点を活(い)かせぬ「宝の持ち腐れ状態」にあった。もっともイージス艦や四世代戦闘機にコストを掛け過ぎ、イージス艦は今も、はるかに性能の劣る随伴艦と艦隊を構成する。