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【最終回】 マイホーム購入から自己破産まで 【望郷編】

ライターt_2001t_furuさん(最終更新日時:2012/11/22)投稿日:2012/10/28 アドバイス受付中!

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アンタなんかね、この世からさっさと居なくなればいいのよ!!(by妻)

さあ、さっさと死になさいよ!!

どーせ安い給料しか運んでこないでしょ?

死んでくれたほうが団信により住宅ローンはチャラになるし

遺族年金で私と息子は生きていけるのよ!!

二郎 「う、う~ん」

さあ、ごはんできたわよ!
今日は新しいレシピに挑戦したのよ~。
なんと!シロアリの佃煮だからね~。

二郎 「....」

ワタシの料理にケチつける気???
だってうちではシロアリだったらたくさん捕れるでしょ?
いいからさっさと食べなさいよ!!

二郎 「おげぇぇ~っ、う、う~ん」

さあつべこべ言わずにとっとと食べなさいよ!!!
二郎 「うわぁぁーーーーっ!!勘弁してくれーーーーっ!!!」
って、ん?、なんだ?....ふぅ、夢か....。
なんだか嫌な夢を見たな。

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今回が最終回

今回は最終回だからホント長いよ。

読むのめんどくさかったら読まなくていいから「ナイス」だけクリックしよう。

頼むよっ


前回までのあらすじは面倒だから省略。二郎家族の運命やいかに。

大量のシロアリを見てしまった二郎と妻。
まずシロアリ駆除しなきゃ。
放っておくと家が喰われてしまう。



注意

  • シロアリを目にした時点で、裏では見えないところにシロアリのコロニーが完成している。
    すでに何かしらの被害があると考えるのが妥当である。

二郎 「どこかに奴らの巣があるのかな。とにかく見つけ出して退治してやる。」

「専門業者に頼んだほうが良いんじゃない?」

二郎 「俺は虫には強いんだ。業者に頼んでもボラれるだけだろ。」

「アナタがそこまで言うんだったら任せるわ。」


二郎は週末にシロアリ駆除の薬剤を買って自宅の縁の下に薬剤を塗布した。


二郎 「よし!これで大丈夫だ。もう我が家がシロアリに喰われる心配は無くなった。」

「ホントに大丈夫かしら?」


注意

  • 素人が簡単にできればシロアリ駆除業者なんて存在しない。
    料金が高いのは駆除技術に対する付加価値と考えるべき。
    このまま放っておくと....。

ところで我が息子だが、高校受験を控えている。

志望校(もちろん公立)を目指すため、日々勉強している(たぶん)

そして塾にも通わせている(出費が痛い!!)

そして僕だが、取引先の業績が悪化。

それに伴い給料、賞与が大幅カット。


ポイント

  • 52歳時(妻・息子の3人家族)の収入・支出
       役職:課長
  •  【収入の部】
      ・手取り \320,000(会社からの家族手当、通勤手当、役職手当含む)
      ・子供手当 \10,000
      ・住宅ローン減税 無し
      ・妻のパート \70,000
      収入合計 \400,000
  •  【支出の部】
      ・住宅ローン \125,000
      ・光熱費/通信費(ガラケーからスマホに変えて少しアップ) \30,000
      ・固定資産税+都市税÷12= \10,000
      ・社食 \10,000
      ・通勤定期 \17,000
      ・二郎のこづかい \30,000
      ・家族の食費 \40,000
      ・消耗品 \5,000
      ・ガソリン代 \5,000
      ・遊戯費 \10,000
      ・養育費 \50,000
      ・繰り上げ返済のための貯蓄 \40,000
      支出合計 \372,000
  •  【住宅ローン残高】 2650万 (完済予定年齢70歳)
  •  【貯金額】 80万

将来の事を考えるとアタマが痛くなる。

この歳になると老後資金の事を考えなきゃいけないのに。でも用意するのは絶対無理!!


注意

  • 老後資金として最低でも2000万は必要と言われている。
    定年を迎えても年金だけでは生活していけず、その不足分を補うための必要額なのだ。
    厚生労働省より、公的年金の支給開始年齢を68歳まで引き上げる法案が
    出ていたこともあり(現在は断念しているが)
    実際に今後も引き上げられる可能性が高い。
    もしくは支給額がカットされる可能性も。
    しかも妻が正社員では無いので、夫婦で受け取る年金の額は少ない。

でも今は老後資金どころじゃない。

子供の教育費が高校、大学にかかるし、

このままマイホームに住み続ける場合は修繕費だってかかるし、

さらにこのままだと定年後も住宅ローンを払い続けるハメになるから繰り上げ返済をしなきゃいけない。


注意

  • 将来的にはリバース・モーゲージ(住宅を担保に融資を受ける)という手もあるが、
    住宅価値が下がっていることもあり、老後資金に必要な額には遠く及ばないだろう。

そして息子の高校受験。

無事に志望校(公立)合格。

幼稚園から高校まで公立に行くことになった家計に優しい息子。

息子自身も家計が逼迫しているのを感じてか無難に公立合格を勝ち取った。


二郎 「息子が無事に志望校に入れたし、今後我が家をどうするか改めて考えよう。」

「そうね。息子が将来大学に行くとなれば今の家計だと厳しいし、とにかく現状を変えないとね。」


夫婦で色々と検討したが明確な答えは見つからず、とりあえずFPに相談することにした。


ポイント

  • FPとは?
  • ファイナンシャル・プランナーの略。
    家計診断、家計見直しのスペシャリスト。
    住宅購入前にFPに相談していれば今頃は普通の生活ができていたはず。

二郎家族の家計状況などをFPに話したところ、次のような現状についての説明をされた。

少子高齢化、住宅数過多により、住宅価値が著しく下がっている。

家に住み続けるにはどうしてもリフォームが必要。

息子さんの大学進学には奨学金の検討も必要。

この住宅ローンに対し、年金で返済していくのは無理がある。

家計はすでに切り詰めており、これ以上の改善は不可能に近い。


FP 「以上のことから早いうちに住宅を手放されたほうが良いかもしれません。」

「でも今の状態だと住宅を売却しても多額の借金が残ってしまうから売却できないと言われました。」

FP 「その事については弁護士に相談されると良いですよ。」

二郎 「はあ、そうですか。とにかくありがとうございます。」

そして次の週末。弁護士事務所にて


二郎 「マイホームを維持していくのがキツくて、何とか売却する方法はありませんかね?」

田村 「自己破産なさるのが小沢さんにとって最良の方法だと思います。」

二郎 「自己....破産ですか?」

「私たち住宅ローン以外に借金無いのですが。どうしていきなり自己破産なのですか?」


ポイント

  • 住宅を売却したとして、残った借金は住宅ローン借入先の銀行に対し一括で返済する必要がある。
    住宅ローンは担保となる家があってこそ組めるものであり、担保(家)が無ければ住宅ローンが残ることは銀行が認めない。
  • 住宅売却して借金が1500万残ったとして、一括返済できる術は無い。
    したがって、二郎家族の場合「住宅を手放す=自己破産しか無い」なのだ!!

二郎 「自己破産の他に何か方法は無いのですか?」
田村 「自己破産を回避するには、住宅ローン特則により住宅ローンの支払いに猶予を持たせる方法がありますが、お勧めはできませんね。」


ポイント

  • 住宅資金特別条項(=住宅ローン特則)
    住宅ローンの返済期間を延長したり、一時的に返済額を減らしたりするなどして、住宅ローンを払いつつ住宅を維持していくための再生計画案の1つ。
    ただし、住宅ローンの元金、金利をまけてくれるわけではなく、支払い額が一時的に軽減されるだけ。
    将来的に負担が重くなるのは必至。

田村 「端的に言わせてもらうと、小沢さんの家計が厳しい原因は住宅ローンだけなのです。他にローンがあるわけではなく、住宅ローンそのものが重すぎるんです。」

「住宅ローン以外の借金は圧縮することが可能ですが、住宅ローンは無理なのです。」

「なるほど。よくわかりました。ありがとうございます。しばらく考えさせて下さい。」


二郎夫婦は事務所を後にした。


自宅にて。


「ホントにあの弁護士の言うとおり自己破産しか無いのかしら?」

二郎 「弁護士が言うんだから間違い無いだろうなあ」

「他の弁護士に相談したらどうなのかしら?」

二郎 「う~ん、悲しいけど結果は同じだと思うよ。とにかく自己破産なんてした日には、会社はクビになるし全てを失うことになるよ。」

「そうなったら知人に顔向けできないし、遠くに引っ越すしか無いのかな。息子にも大変な思いをさせるわね。」

二郎 「さすがに自己破産は嫌だな。本望じゃないけど、しばらくこの生活を続けるしか無いかな。」

注意

  • なかなか踏み込めない二郎夫婦。
    問題の先送りは生活の立て直しを遅らせるばかりか
    事態を悪化させる要因にもなりかねない。

そして1年後


「またシロアリを見かけるようになったわね。」

二郎 「もう慣れたけどね。」


ぷしゅーっ、ぷしゅーーーっ


「こうなったらシロアリ駆除を業者に依頼するしか無いわね」

二郎 「致し方ない。そうしよう。」


ネットで検索した安いシロアリ業者に問い合わせた。


そして週末。

シロアリ業者の人(営業)に家に来てもらい、見積もりを出してもらった。


営業 「まだ築年数も10年ちょっとだし、この料金(\120,000)でどうでしょう?」

二郎 「おっ、意外と安いじゃん。」

「ぜひお願いします。」


注意

  • 契約が欲しいがために極端に値引きするシロアリ業者は要注意。
    すべての商品、サービスには適正価格があり、その価格を大きく下回るシロアリ業者は何か理由がある。
    安さだけで判断すると後悔の元。

そして次の週末。

シロアリ駆除が完了した。


業者 「完了しました。これで5年間は大丈夫でしょう。」

二郎 「こんなに安く簡単に済むんだったらもっと早く頼んでおけば良かったなあ~」

「そうね~♪」

そして半年後

またシロアリが発生したのだ!!

シロアリ駆除したはずなのに?

「5年は大丈夫でしょう」と言われたのに。

二郎は早速、その業者に電話した。


「現在、その電話番号は使われておりません....。」


二郎 「おい、どういうことだ?」

「そういえば料金もやたら安かったし、手抜きされたのかしら?」

二郎 「そうに違い無い。ちくしょーーっ」

注意

  • そもそも、二郎の家に来た業者がシロアリの調査・見積りに来ているときに肝心の床下へもぐらず「築年数も10年ちょっとだし」と言って済ませていた時点でアウト!
    シロアリの被害の原因は、そのほとんどが土壌より床下を経由しての侵入。
    床下を調査せずして、一体何がわかるのか?
    何を調査して見積りを出すのか?
    そこに疑問を抱かず「安い」を理由に依頼したのが間違いなのだ!!

週末。

二郎の家に訪問販売が来た。


販売員 「太陽光発電の会社の者です。お宅の家であれば、太陽光発電に適した条件が揃っております。」

「今の太陽光発電は昔に比べて.....。」

二郎 「うちは太陽光発電には興味無いので帰って下さい。てかもう二度と来るな!!」


販売員がいなくなった後で。


二郎 「くそっ、どいつもこいつも借金を大きくさせようとしやがって。」

「そうね。太陽光発電なんて元を取るのに15年かかると言われてるし、でもホントに元が取れる家なんてごく一部とも言われてるし。」


そして夜。

二郎は布団に入って考えた。


もうたくさんだ!!

住宅のためにお金をかけるのは。

建築業者といいリフォーム業者といい太陽光発電といい銀行といい政府といい、消費者を喰い物にして自分らの私腹を肥やしてるだけじゃねーか!


俺たちの生活なんてこれっぽっちも考えてやしねえ。

将来性の無い住宅と多額の借金を押しつけやがって!!


何が「賃貸は家賃払っても何も残りません」だ!!

今の俺には住宅が残るどころか多額の借金と老後への不安しかねーよクソ!!

くっ、ちくしょーーーっ.......。


そして二郎は決心した。

この15年余り、マイホーム、住宅ローンに縛られて生きてきた。

あまりにも苦しい15年だった。


憧れのマイホームが手に入って充実していたようでいて、

実は常に心の底から人生を楽しめない自分がいた。


大切な家族を幸せにするためにも、このままじゃいけない。

新たなる一歩を踏み出さなきゃ。

僕ら夫婦には第2の人生も待ち受けているし、

息子はこれからが人生の本当のスタートになるし、無限の可能性を秘めている。


この思いを家族に伝えよう。

そしてやり直そう。

大切なのは僕ら一家を入れる箱が立派であることじゃない。

その中身こそが大切なのだ。


二郎は妻に話した。

マイホーム手放してやり直そうと。

妻は何も言わず了承してくれた。


弁護士事務所にて。


田村 「よく決心してくださいましたね。後は私にお任せください。これで住宅ローンから解放されて再出発できますね。」

二郎 「でも会社がクビになったら再出発なんて....。」


そして半年後。

小沢二郎(53歳)

住宅ローン残高 無し。

今も同じ会社に勤めている。役職も課長に変わり無い。

ポイント

  • 自己破産しても他人に知られる可能性は低く、例え会社に知られたとしてもそれを理由にクビにはできない。

借りたアパートは2Kだけど、広い家にいたあの頃に比べると気持ちも穏やかだし充実している。

家族の笑顔が増えたような気がする。


今後10年はクレジットカードも使えない。

生きていく上でいくつか制約がある。

だが、10年経てば制約は無くなる。

自己破産って怖いイメージがあったけど、実際には至って普通の生活が送れているわけで。


ある日、夫婦でドライブしていると。

多額の借金から解放された二郎は

「よし!久しぶりにラブホでも行こうか!」

と妻に言わずにはいれなかった。


「何よ!いきなり。でもたまには良いかな~」

二郎 「ラブホなんて何年ぶりだろう。まあ今の俺達には安いもんだよ。」


二郎はふと思った。

DSC00431.jpg

あちこちに立派な家が建っているけど、住んでいる当人たちは家の立派さに反して貧しい暮らしをしている。

なんとなくだがそう思えてならない。

広い部屋に住んでいても、光熱費の事が気になりすぎて心からくつろげない。

我が家がそうだったけど、それも笑い話にできるぐらいにこれからは頑張って生活を再建しなきゃ。


「住宅ローンは借金では無く年収の先取り」

なんて言う奴がいるけど、後先考えず本当に(年収を)先取りしたら老後は野垂れ死ぬだけだろう。

今後も俺たちみたいな住宅ローン難民は増えていくのだろうか。

いや、そんな時代はいつまでも続かないだろう。

みんな気づき始めている。

住宅メーカーや銀行が消費者を喰い物にする時代は終焉を迎えるだろう。

少なくとも俺はそう信じている。

おしまい


最後まで読んでくださりありがとうございました。

マイホーム購入から自己破産まで

いかがでしたか?


住宅ローンを安易に組むことの怖さが少しでも伝われば幸いです。

このシリーズは、内容に絶対の自信があるわけでは無いので定期的にメンテ(編集)していく予定です。

ではまたお会いしましょう!!

新しい知恵ノートで。

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