教授は経済史学会と韓国古文書学会の会長を歴任し、総統府が行った土地調査を評価した研究もある。れっきとした史実を基にした学術研究であるからだろうか、韓国人が大好きな「(日本による)植民地収奪論」さえ批判し、『大韓民国の物語 韓国の「国史」教科書を書き換えよ』という著書を2007年に上梓さえしている。権威に弱いのか、制裁など課された様子は見られない。
また、KBS東京特派員として2年半日本にいた田麗玉氏が書いた『悲しい日本人』は100万部を超えるベストセラーとなり、国会議員にまでなった。しかし、その内容たるや、一知半解どころか半知(造語)にも至っておらず、無茶苦茶と言うよりほかはない。
「夫婦の呼び方を聞いていると、日本女性の家庭での位置がすぐにわかる。妻は夫に『あなた』と呼ぶ半面、夫は妻を『おまえ』と呼ぶ。両者の呼称には天と地の差がある。すなわち男は尊び、女は見下げるという徹底的な夫婦の不平等関係を表わすことばだ」
「真夏の暑さに、皆(勉強会を)終わってからビールを一杯やろうということで、近くの酒場にしけこんだ。(中略)幹事は一人当たり2千円でいいと言った。支払いのあと、彼は一人ずつ55円を渡した。おつりが440円だったので8等分したのだ。私も学生時代、頭数で割って支払ったことはあるが、おつりはそのまま自分のものにした」
「靴を脱いでから体の向きを変え、履き易いように靴の先を外にして揃えておいて中に入るのだ。初めのうちは郷に入れば郷に従えと何も考えずにその通りにした。が、考えてみれば最初に揃えようと、後で捜して履こうと同じではないか。いつもの負けず嫌いの虫がうずき出し、韓国式に脱ぎっぱなしにして入ることにした」
伝統や文化を理解し尊重するどころか、自国中心の傲慢さばかりが目立つ。
「日本はきわめてアブノーマルな国である。国家も国民もともにそうである。日本のあらゆる社会構造と人間関係は、力のある者と無い者、金のある者とない者という非常に単純な図式によって支配されている。(中略)日本の政府と国民、金持ちと貧乏人、男と女のそれぞれの関係がサディストとマゾヒストの関係のように思えてならなかった」と言うが、逆に合わせ鏡で韓国のうしろ姿を見ているようである。
日本は韓国の国史教科書記述を問題にしたことも、日本を戯画化する著書を論ったこともない。認識の仕方は国により、また人により異なることを理解しているからであり、共存・共生の基本でもあるからである。
おわりに
日本人は何でも謝まれば、相手はその誠意を理解してくれると思い込んできた。それは、以心伝心が通じる日本人同士のことであって、外国には通じないことをようやく知るようになった。
留学や外国旅行などの事前説明では、「何かあっても決して謝らないように」とくどいくらいに教えられる。中国やニューヨークでは、路上でお互いに一歩も引かず、交通渋滞を引き起こしていることなどお構いなしに言い合っている場面を見たことがある。
この姿勢は個人の立場を超えて国の立場でも同じである。
しかし、日本は大東亜戦争などに関して要求されるごとに首脳会談や宮中晩餐会など最高レベルで何度も謝ってきた。従軍慰安婦でも河野談話を出し、女性基金を設け、政権が代わるたびに談話の継承を公言してきた。
「外国は国家が謝罪することなど一切しないのに、日本はなぜ謝罪し続けるのか」というような気の利いた質問をする記者なども現れなかった。外国相手の交渉の基本が分かっていないと言うよりほかにない。今からでも遅くない。「過ちを改めざる、是を過ちと謂う」と論語にもある。
サッカー東アジアカップで、韓国は「歴史を忘れた民族に未来はない」と書いた横断幕を掲げた。先のロンドンオリンピック時の「独島は韓国領」でイエローカードが出されているので、今回はレッドカードに相当する愚挙である。
同時に、奇しくも「歴史を忘れた民族」は韓国であり、「韓民族に未来はない」ことを国際社会に暴露してしまったのではなかろうか。それはともかく、今後は安全保障に視点を移した、相互の関係修復が強く求められている。
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