ほかにも、言論弾圧を受けている人がいる。韓国で生まれ育った金完燮(キム・ワンソプ)氏は強い反日感情を持ち、日本語を使う人を見ると不愉快になったという。
ところが2年間豪州にいた間に「実物の日本人」に会い、洗練され立派な点が多くあることを知る。
また国際社会における韓国と日本の位置をより客観的に認識できるようになり、朝鮮の開国期と日本統治について一方的に歪曲された歴史認識から抜け出し、バランスの取れた認識が持てるようになったという。こうして韓国語で『親日派のための弁明』を書いたのである。
同書には「韓国と中国に日本を非難する資格があるのか」「日本時代は私たちにとって祝福であった」「日清戦争とはなんだったのか」「独島(竹島)は日本の領土」などの記述があり、出版前後から脅迫電話がかかり、出版後は青少年有害図書に指定され書店での販売は禁止となる。
当人は長らく身柄を拘束され、出国も禁止され社会的に排除された。日韓ワールドカップ直後、ツアーで訪韓した私が金氏の名前を出しただけで、ガイドの態度が急変した記憶が鮮明に残っている。
韓昇助(ハン・スンジョ)高麗大学名誉教授は雑誌『正論』(平成17年4月号)に「共産主義・左派思想に根差す親日派断罪の愚」の論文を書いた。
その中には「歴史を歪曲した断罪派」「韓国にとって幸いだった日韓併合」「慰安婦謝罪要求という愚行」などの項目がある。氏は名誉教授の称号を剥奪されたうえにあらゆる公職からも追放された。世間からの攻撃に耐えかねて家族ともども行方をくらますしかなくなった。
「歴史を見る目がない」民族と国家
李明博大統領が任期切れを半年後にした昨年8月、竹島に上陸した。その後も天皇陛下が韓国を訪問したければ独立運動家に謝罪してからだという趣旨の発言をした。
就任前の大統領は「(日本に過去をめぐる)謝罪や反省は求めない」と明言していたのだから、豹変ぶりに開いた口が塞がらなかった。同様な豹変を多くの歴代大統領も繰り返してきた。これでは国家対国家の付き合いさえ難しい。
朴元大統領は『朴正熙選集』で「(李朝以降を振り返りながら)権勢をもつ虚偽がかえって権勢のない真理を押さえるのが当たり前となった。(中略)国を守ったにしても失ったにしても、民俗文化を向上させたにしても後退させたにしても、ともかく韓国歴史という地球の一角に築かれた事実に対して責任を負わねばならないものは、ほかならぬわが民族であり韓国の国民である」と述べて、「歴史を見る目がない」自民族と自国を自己批判している。
ここで言う「権勢」とは、李朝時代の両班(ヤンバン)であることは言うまでもないが、今日では大統領などの政治権力であろうし、また、韓国人に染み込んでいる「事大意識や慕華思想」(朴正熙)などであろう。
虚偽がまかり通る体制から真理・真実が受け入れられる政治・社会体制への脱却が急務であることを諭したものだ。
李前大統領も朴槿惠現大統領も依然として「権勢を持つ虚偽」を引き継いでいる。李前大統領に至っては、かつてどの大統領もやらなかった竹島上陸と天皇陛下を侮辱する言動で、権勢を持つ虚偽を拡大さえした。日本国民が撤回と大統領の謝罪を要求したのは当然で、野田佳彦内閣は大統領あての国書を送付した。
日本の反応に吃驚した韓国はパニック状態に追い込まれ、すったもんだの末に日本からの国書を受け取らないことにし、突き返してきたのである。非礼に非礼を重ねる韓国である。
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