韓国金融研究院は11日に公表した報告書で、韓国の金融市場で外資系金融機関の営業縮小や撤退が続いていることに対し、「規制の予測可能性や一貫性が劣るため」との見方を示した。
英HSBCは先月、韓国で個人向け金融(リテールバンキング)事業から撤退することを決めた。また、英スタンダード・チャータード銀行は先ごろ、韓国で会計上ののれんを10億ドル(約960億円)償却したと発表した。このほかにも、2003年以降、銀行13行、保険会社5社、証券会社6社、資産運用会社4社など、計31の外資系金融機関が韓国を離れた。
報告書はこうした撤退ラッシュについて「韓国の金融規制が、過剰または韓国人と外国人間の不平等といった問題ではなく、国際的な整合性が不足しているという問題がある。規制の予測可能性や一貫性の問題も、外資系金融機関の韓国離れと関連が深い」と分析した。金融規制がグローバル・スタンダードとかけ離れている上に随時変更され、ほかの規制との衝突を誘発するため、外資系機関の営業に支障が生じた可能性があるということだ。
報告書は「監督当局は外資系金融機関の撤退で消費者や預金者に被害が出る可能性に徹底して備えるべきだ」としたほか「一度撤退した金融機関が韓国市場に再参入する際のペナルティーを確実にするとともに、まだ韓国に参入していない金融機関が新規参入しやすい環境を作る必要がある」と助言した。
報告書は一方で、現在の撤退ラッシュは韓国の金融市場に大きな影響を与えないとの見方を示した。報告書を作成したキム・ウジン研究委員は「撤退した金融機関を見ると、本社レベルで事業ポートフォリオを調整した結果として(撤退を)決めたケースが多い」と述べ、撤退は一時的な現象にとどまる可能性が高いと予測した。