この冬、2年間過ごしたVVVフェンロを離れ、ロシアの名門CSKAモスクワに移籍した日本代表MF本田圭佑。3月の国内リーグ開幕を前に、チャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦でセビージャFCと対戦するチームは、1月のアリカンテ合宿に続き、2月の上旬も同じスペインのマルベージャで調整を兼ねて、国際親善トーナメント、コパ・デル・ソルに参加した。厳しい練習の日々を過ごす本田は、日本人サッカーファンにとっては未知の部分の多いロシアのクラブでの手応えをUEFA.comに語ってくれた(このインタビューは2月10日に行われた)。
UEFA.com:今回の移籍でチームだけでなく、国、言葉、生活環境など、色々変わったと思います。1月に新チームに合流して、すでに1カ月ぐらいになりますが、そろそろ慣れてきた頃でしょうか。
本田圭佑:ちょうど今で1カ月ぐらいですね。まだモスクワにはほとんど滞在していないので、ロシアに慣れたというよりは、チームメートと1カ月近くいて、彼らの性格やプレースタイルなどがちょっとずつわかってきたので、だんだん手応えは掴めてきたというところかな。
UEFA.com:チームの中心選手として活躍していたフェンロを離れて、あまり日本人に馴染みのないロシアのチームに移籍することに、ためらいはありませんでしたか?
本田:僕自身も最初はロシアのチームということで、少々疑いをもっていたのは確かです。それで昨年の夏はCSKAモククワのオファーも断っていたんですが、その後ロシアのことを知っていって、魅力的なことがたくさんあるのがわかりました。レベルの高さももちろんですし、ここ最近、欧州カップ戦でも結果を出してきている国で、CSKAも2005年にはUEFAカップに優勝しています。そういった知識が少しずつ入ってきてから、このクラブに興味を覚えて、真剣に行こうかなという気になりました。
UEFA.com:となると、やはり移籍の理由というのは一段高いレベルでのプレーを目指したかったということでしょうか。
本田:そうですね。日本人にとって、馴染みのないクラブであるということは、ほとんど頭の中にはなかったですね。
UEFA.com:フィジカルの強化というのも、移籍の目的の中にあったと聞いています。
本田:いや、どこのチームに移っても、フィジカル強化はしようと考えていたんですよ。ここ1、2年でどこまで身体を鍛えられるかというのが、自分の課題でもありますから。
UEFA.com:オランダのクラブに比べると、ロシアのクラブの方がフィジカル的に強いというのは練習で実感できますか?
本田:何をもってフィジカルというのかは、色々意見の分かれるところですよね。オランダも選手たちはみんな身体が大きかったし、攻撃陣は走るスピードも早かった。ただ伝統的にオランダのサッカーは攻撃的、ロシアには守備的なサッカーをするクラブが多いっていうのが、分かり易いイメージですよね。
UEFA.com:CSKAの練習では、これまで所属したチームよりもフィジカルのメニューが多いとか、時間をかけるとかいったことはありますか?
本田:自分はまだ欧州ではフェンロとここしか知りませんが、それだけでも非常に違いますね。練習量も違うし、質も違う。今のチームの方が断然、トレーニングの量が多いです。(フェンロに比べて)3、4倍ぐらい、練習していると思います。
UEFA.com:名古屋グランパスにいた時とも違いますか?
本田:あの時はセフ・フェルホーセン監督がオランダ人だったので、フェンロに行った時、練習方法なんかもオランダ人は似ているんだなと思いましたね。今はそれと対極なことをやっているんですけど、うちのチームは(国内)シーズン前なので、それでたくさん練習しているということもあるかと。でも、フェンロではその時期でもここまでハードにはやりませんでした。
UEFA.com:すでに何度もCSKAでの練習をこなし、チームメートのプレーもじっくり見たかと思います。実力的には彼らをどのように評価していますか? また、一緒にプレーしていて、驚かされた選手はいますか?
本田:いい選手が多いので、特に誰か一人ということはないんですが、チームにいる選手はそれぞれの国で代表に選ばれている選手ばかりなので、各自にいいところがあると思いました。DFはしっかり守っていて、攻撃陣は足が速いとか、ストライカーは決めるところをきっちり決めているとか、それぞれがスペシャリストの側面を持っているんだなと。
UEFA.com:あなたと同じ攻撃的なポジションには、アラン・ジャゴエフやミロシュ・クラシッチなど、欧州でも注目を集める選手たちがいます。彼らとポジション争いをすることについてはどうでしょう。
本田:最初に監督と話した時、チリ代表のマルク・ゴンサレス、セルビア代表のクラシッチ、今は負傷中のロシア代表ジャゴエフに、僕を含めた4人で攻撃を考えていると言われました。この4人でレギュラー争いをすることになるだろうし、時には4人全員が出る時もあると言っていましたね。
UEFA.com:ロシア人のレオニド・スルツキ監督とのコミュニケーションはどうですか? 練習中や試合中の指示などを理解するのに支障はないのでしょうか。
本田:外国人選手が多いせいか、一応チームには通訳がいて、その人が英語に訳してくれます。自分も英語が完璧という訳ではないですが、英語で伝えてくれる分は何となくわかる感じです。
UEFA.com:となると、チームメートと話す時も英語ということでしょうか。
本田:うちにはほとんど英語を話せる選手がいなくてね。外国から来ている選手何人かぐらいで、彼らとはやっぱり会話も多くなります。ロシア人選手は大抵、英語が話せないので、彼らと話すときは、僕が知っているロシア語で何とか笑いを誘ったり。時々、ロシア人のチームメートには、お前らも英語を話さなきゃダメと冗談で言っているんですけどね。
インタビューの後編では、チャンピオンズリーグへの期待などを語ってくれる。
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