TPP:日本、交渉会合に正式参加
毎日新聞 2013年07月23日 21時41分(最終更新 07月23日 23時25分)
【コタキナバル(マレーシア東部)大久保陽一】日本は23日、マレーシアで開かれている環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の交渉会合に正式に参加した。先行参加11カ国は同日、日本の参加について集中討議する会合を当初予定の25日だけでなく、24日午後にも開くと決定。日本はこれまでの交渉に関する情報収集を急ぐとともに、「聖域」とする重要農産品の関税維持と、自動車など工業品の関税撤廃を求めていく。
米国議会の承認手続きが終了し、日本の参加が認められた23日午後、鶴岡公二首席交渉官は、交渉全体について議論する「首席交渉官会合」に初めて出席。外務、経済産業、農林水産など各省出身者らによる交渉担当官も、著作権や特許のルールを決める「知的財産」や公共事業発注の透明化を進める「政府調達」など5分野の作業部会に参加した。
関税の撤廃・削減を扱う「市場アクセス」の作業部会はすでに終わっているが、日本についての集中討議の際、重要農産品の関税維持などの基本的な立場を訴える。同時に先行参加国の交渉官と個別に話し合う機会を作り、日本の方針を説明。8月下旬に予定され、日本も全日程に参加できる次回会合につなげたい考えだ。
また、正式参加したことで、交渉経過などをまとめた数千ページに及ぶ文書を見られるようになった。交渉会合でのやり取りと並行して、約100人の交渉団が総出で、解読、分析にあたる。
交渉参加を受け、甘利明TPP担当相は23日、東京都内で記者会見し「交渉の性格上、詳細な発表はできないが、基本的に(与)党などで示された(重要農産品の関税維持などの)ことはしっかり受け止めて取り組む」と語った。
【ことば】環太平洋パートナーシップ協定(TPP)
Trans−PacificPartnership。アジア、米国、中南米など太平洋を囲む国々が貿易の自由化などを目指して交渉中の経済連携協定(EPA)。日本の合流でメンバーは12カ国になった。工業品、農産物、サービスの貿易にかかる関税や規制の撤廃、削減のほか、知的財産権の保護など21分野について、作業部会で話し合っている。2010年から計18回の交渉会合を開いており、年内の妥結が目標。実現すれば、世界全体の国内総生産(GDP)の4割を占める巨大自由貿易圏ができることになる。