経済財政白書:日本経済「デフレから反転する兆し」
毎日新聞 2013年07月23日 11時01分(最終更新 07月23日 15時25分)
甘利明経済財政担当相は23日の閣議に、2013年度の経済財政報告(経済財政白書)を提出した。白書は、金融緩和や大規模な補正予算を受けて「経済の好循環の芽」が出ていると指摘し、安倍政権の経済政策「アベノミクス」の成果を強調。日本経済が「長引くデフレから反転する兆しが表れている」と分析した。
白書は、現在の景気持ち直しは、政府の緊急経済対策や日銀の「異次元緩和」で円安・株高に転じ、景況感が改善したことがけん引していると説明。従来の輸出主導型の景気回復に対し、今回は消費が主導する自律型の経済構造に転じつつあるとの見方を示した。
家計の「平均購入単価」が上昇し、消費者物価に下げ止まりの兆しが見られるとともに、円安で輸入物価が上昇するなどデフレ圧力も緩和。企業収益が改善して一部で賃上げも見られ、賃金・雇用環境の改善がさらに景気を押し上げる「好循環の芽」が出ていると指摘した。
経済の好循環を盤石にするためには、「収益力向上の成果が適切に勤労者に分配され、賃金が上昇することが重要」とし、企業に賃上げを要請。一方で、企業の生産性向上に向け、イノベーション(技術革新)の力を高めたり、新興国の成長力を取り込むための通商政策や税制改正が必要としている。
財政面では、財政健全化を進めるために消費増税による増収が必要との考えを強調。増税が景気に打撃を与える懸念が指摘されることについては、欧州連合(EU)諸国で消費税に当たる付加価値税を引き上げた38の事例のうち、16の事例で増税後にプラスの経済成長を維持したことを挙げ、「必ずしも経済成長を阻害しない」と結論づけた。【田口雅士】