左腕相手によう打った！阪神・坂、ダメ押し２点打

幕切れで黒瀬（左）とハイタッチする坂（右）（手前は鳥谷）【拡大】

　これまでは、投げやりに聞こえる言葉も多かった。金環日食に日本中が沸き、鳴尾浜では若虎もこぞって空を見上げた昨年５月。２軍生活が続いていた男は「俺は見なかったよ。朝だったし、寝ているに決まっているでしょ。そんな気力ないよ。すごいことになっているのは知っていたけどね」とおどけた。今季はレギュラーへの千載一遇のチャンス。その瞳の奥に日食以上の輝きを宿し、全力でつかみに行く。

　５打数２安打２打点、１四球で今季７度目のマルチ安打。守備では３－３の六回先頭、井端の中前へ抜けようかという当たりを逆シングルでつかみ、すばやく身をひるがえして一塁転送。美技で能見を乗せた。

　「守る人間なので」

　短い言葉にプライドが見えた。大仕事をやってのけてもおごらず、前を向く。欠かせぬピースとして二塁手にも三塁手にも、強打者にも、自在に姿を変える。苦しい一戦で坂が目一杯に輝いた。（長友　孝輔）

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（紙面から）