紙の本を出版する4つのメリット

2013/08/10


ブロガーと名乗りつつ、ぼくは紙の本も結構書いています。今年は単著2冊、恐らく年内にあと1〜2冊単著が出ます。締切に追われる作家のような日々を過ごしております…。


紙の本を出版するメリットとは?

で、先日ブロガーの方から「やっぱり紙の本を出すのって、メリットありますよね?」という問いかけを頂きました。そんなわけで、そのメリットについて整理してみます。


1. ネットではリーチできない地域・年齢に届く

最大のメリットはこれでしょう。

ぶっちゃけ、書籍というのは、数的にいうと対して届きません。ぼくのブログは月間で25〜30万人の方に閲覧していただいておりますが、書籍はせいぜい、重版が掛かっても1万部程度です。大当たりしても、10万部もいけば大成功。届く数(リーチ)だけを見れば、ウェブの方に強みがあります。

が、ウェブは時空を超えているはずなのに、どうしても届きにくい層が存在します。それは地方在住の方や、そもそもネットに馴染みがない高齢者の方々。実際、うちのサイトのアクセスの傾向を見てみると、首都圏に住む10〜30代を占めています。

書籍は、出版部数にもよりますが、「各地域の書店」というオフラインの接点を得ることができます。そこはウェブとはまったく違う力学の場であり、「ウェブだけ」では考えられないような出会いをもたらしてくれます。

日刊ゲンダイのインタビューでも答えたのですが、ぼくの本、意外とリタイアした団塊世代の方にウケがいいんです。これまで10人くらいの方から、感想や事業に冠するアドバイス依頼のメールをいただきました。こういう影響は、やっぱり書籍じゃないとありえないでしょうね。


2. 信頼性が高まる

「本を出している」という事実は、それだけで「箔付け」になります。個人としての信頼性は高まり、仕事が色々やりやすくなります。特に年長者の人の中には、本を出しているというだけで、ほとんど無条件にリスペクトの眼差しを注いでくれる方がいます。あれは何なのか、ぼくはよくわかりませんが…。

たとえばぼくも独立当初、単著(「フェイスブック 私たちの生き方とビジネスはこう変わる」)を、誰もが知る講談社から出版していたので、講演・コンサルティングの仕事を得やすくなった実感があります。あのとき単著を出していなかったら、今のぼくはないかもしれません(講談社の戸塚さん、本当にありがとうございます)。


ただ、本を出版するというハードルは存外高くないので、「箔付け」の効果は限定的です。業界や文脈によっては「へー、すごいですね」くらいに留まり、よっぽど人気ブログを書いている方が尊敬されることもあります。

また、書籍をどの出版社から出しているかという点も、見ている人は見ています。まぁここでは書きませんが、あんまり「箔付け」にならない、それどころか時にはマイナスイメージすら与えてしまう版元もあるとかないとか…。


3. ファンの育成・獲得

本はブログと違い、より人間性や専門性を深く伝えることができるがゆえ、ファンの獲得・育成につながります。

たとえば、ぼくはfinalventさんの「考える生き方」を読んで、彼のことが好きになってしまいました。正直申し上げると、「考える生き方」を読むまで、彼のブログの面白さがいまいちわからなかったのですが、今はじんわりと楽しませていただいております。

finalventの日記


ぼく自身も嬉しいことに、

・「本を入り口にブログやツイッターを読むようになりました」
・「本を読んで、より好きになりました」
・「ぶっちゃけ、ブログは嫌いだったけど、本を読んだら嫌いじゃなくなりました」

といったご感想を何度かいただいております。最後の「嫌いじゃなくなった」というのは特に嬉しいですね。こうした態度変化は、やはり紙の本独特の効果なのかもしれません。


4. 編集者と仕事ができる

最後のメリット。紙の本は基本的に編集者との共同作業になります。ぼくは普段は一人で文章を書いているので、このチームワークそれ自体が、紙の本を出すメリットになっています。

編集者と仕事をすることで、具体的な編集技術を学ぶことができることはもちろん、自分をより客観的に見ることができるようになります。ぼくは最近、原稿を書くときは、「竹村さん(「年収150万でぼくらは自由に生きていく」「武器としての書く技術」の編集者)だったら、どういう切り口にするかな…」と考えるようになりました。自分を自分で編集できるようになりつつあるわけです。

優秀な編集者は、コーチのような存在です。彼らと一緒に仕事をすることは、自分の現在地を確認し、足りない部分を自覚する最良の機会となります。


というわけで、

1. ネットではリーチできない地域・年齢に届く
2. 信頼性が高まる
3. ファンの育成・獲得
4. 編集者と仕事ができる

なんてメリットがあるため、ぼくは引きつづき紙の書籍も書いていきます。何より


本を出版する具体的な方法については、こちらの記事でまとめています。追加で「企画のたまご屋さん」も紹介しているので、今のところ5つくらい方法があるかと。

本を出版する4つの方法(自費出版、電子書籍は除く)


このエントリーをはてなブックマークに追加

更新情報をゲットしたい、という方は以下からぜひ。ぼくが喜びます。





follow us in feedly

***プレミアムスポンサー***


[PR] 無料でHTML5ウェブサイトを作るなら「wix」




最新記事

  • 半沢直樹さん、「倍返し」している暇があるなら、会社辞めて起業すればいいのに
  • 島田裕巳「日本の10大新宗教」—PL花火は宗教儀式だった!
  • 「叱られて育った人」が一流になれない理由
  • 電車内で、小さな赤ちゃんをあやしてあげるのは「マナー」です
  • 中川淳一郎さんが好きです
  • 紙の本を出版する4つのメリット
  • おバカな若者を減らすためには、「利己的」な若者を増やすことが必要
  • アルボムッレ・スマナサーラ、養老孟司「希望のしくみ」
  • ブロガーに告ぐ。「炎上を避ける方法」なんか考えているから、つまらないんです
  • 大量のアクセスをもたらす「ヤフトピ関連記事」。その傾向と対策
  • [マーケティング] 食べログを抜いた!RettyのSEO施策のパフォーマンスがすごい件
  • やりたいことが見つからない人に捧ぐ。「やりたいこと」を見つける5つのステップ
  • 鯖田豊之 「肉食の思想―ヨーロッパ精神の再発見 」
  • ネーミングが誰かに商標登録されてないか簡単に調べる6つのステップ [寄稿]
  • 罰を与えれば、バカな若者は冷蔵庫に入らなくなるのか
  • ゲイで女装のマツコ・デラックスが語る、さまざまな「差別」の形
  • 情報収集アプリ「Feedly」が熱いらしいので、購読ボタンを設置してみた
  • 2013年、「盗んだバイクで走り出す若者」たちは炎上して社会的制裁を受ける
  • ブログは「儲かるビジネス」じゃありませんよ
  • 冷蔵庫に入って炎上する「おバカな若者」たちは、「誰のせい」で現れた?