ブロガーと名乗りつつ、ぼくは紙の本も結構書いています。今年は単著2冊、恐らく年内にあと1〜2冊単著が出ます。締切に追われる作家のような日々を過ごしております…。
紙の本を出版するメリットとは?
で、先日ブロガーの方から「やっぱり紙の本を出すのって、メリットありますよね?」という問いかけを頂きました。そんなわけで、そのメリットについて整理してみます。
1. ネットではリーチできない地域・年齢に届く
最大のメリットはこれでしょう。
ぶっちゃけ、書籍というのは、数的にいうと対して届きません。ぼくのブログは月間で25〜30万人の方に閲覧していただいておりますが、書籍はせいぜい、重版が掛かっても1万部程度です。大当たりしても、10万部もいけば大成功。届く数(リーチ)だけを見れば、ウェブの方に強みがあります。
が、ウェブは時空を超えているはずなのに、どうしても届きにくい層が存在します。それは地方在住の方や、そもそもネットに馴染みがない高齢者の方々。実際、うちのサイトのアクセスの傾向を見てみると、首都圏に住む10〜30代を占めています。
書籍は、出版部数にもよりますが、「各地域の書店」というオフラインの接点を得ることができます。そこはウェブとはまったく違う力学の場であり、「ウェブだけ」では考えられないような出会いをもたらしてくれます。
日刊ゲンダイのインタビューでも答えたのですが、ぼくの本、意外とリタイアした団塊世代の方にウケがいいんです。これまで10人くらいの方から、感想や事業に冠するアドバイス依頼のメールをいただきました。こういう影響は、やっぱり書籍じゃないとありえないでしょうね。
2. 信頼性が高まる
「本を出している」という事実は、それだけで「箔付け」になります。個人としての信頼性は高まり、仕事が色々やりやすくなります。特に年長者の人の中には、本を出しているというだけで、ほとんど無条件にリスペクトの眼差しを注いでくれる方がいます。あれは何なのか、ぼくはよくわかりませんが…。
たとえばぼくも独立当初、単著(「フェイスブック 私たちの生き方とビジネスはこう変わる」)を、誰もが知る講談社から出版していたので、講演・コンサルティングの仕事を得やすくなった実感があります。あのとき単著を出していなかったら、今のぼくはないかもしれません(講談社の戸塚さん、本当にありがとうございます)。
ただ、本を出版するというハードルは存外高くないので、「箔付け」の効果は限定的です。業界や文脈によっては「へー、すごいですね」くらいに留まり、よっぽど人気ブログを書いている方が尊敬されることもあります。
また、書籍をどの出版社から出しているかという点も、見ている人は見ています。まぁここでは書きませんが、あんまり「箔付け」にならない、それどころか時にはマイナスイメージすら与えてしまう版元もあるとかないとか…。
3. ファンの育成・獲得
本はブログと違い、より人間性や専門性を深く伝えることができるがゆえ、ファンの獲得・育成につながります。
たとえば、ぼくはfinalventさんの「考える生き方」を読んで、彼のことが好きになってしまいました。正直申し上げると、「考える生き方」を読むまで、彼のブログの面白さがいまいちわからなかったのですが、今はじんわりと楽しませていただいております。
ぼく自身も嬉しいことに、
・「本を入り口にブログやツイッターを読むようになりました」
・「本を読んで、より好きになりました」
・「ぶっちゃけ、ブログは嫌いだったけど、本を読んだら嫌いじゃなくなりました」
といったご感想を何度かいただいております。最後の「嫌いじゃなくなった」というのは特に嬉しいですね。こうした態度変化は、やはり紙の本独特の効果なのかもしれません。
4. 編集者と仕事ができる
最後のメリット。紙の本は基本的に編集者との共同作業になります。ぼくは普段は一人で文章を書いているので、このチームワークそれ自体が、紙の本を出すメリットになっています。
編集者と仕事をすることで、具体的な編集技術を学ぶことができることはもちろん、自分をより客観的に見ることができるようになります。ぼくは最近、原稿を書くときは、「竹村さん(「年収150万でぼくらは自由に生きていく」「武器としての書く技術」の編集者)だったら、どういう切り口にするかな…」と考えるようになりました。自分を自分で編集できるようになりつつあるわけです。
優秀な編集者は、コーチのような存在です。彼らと一緒に仕事をすることは、自分の現在地を確認し、足りない部分を自覚する最良の機会となります。
というわけで、
1. ネットではリーチできない地域・年齢に届く
2. 信頼性が高まる
3. ファンの育成・獲得
4. 編集者と仕事ができる
なんてメリットがあるため、ぼくは引きつづき紙の書籍も書いていきます。何より
本を出版する具体的な方法については、こちらの記事でまとめています。追加で「企画のたまご屋さん」も紹介しているので、今のところ5つくらい方法があるかと。