私は戦後しばらくしてに生を受けました。小さい頃、親族からは「お前は戦争の真実を語り継ぐ責任がある」と言われてました。子供ながらに、それが大切な事なんだと思っていたのです。
私は戦後に産まれ、実質的には戦争経験者ではありません。当時の日本は本当に貧乏でした。毎日のおやつと言えば、芋やカボチャの団子くらいです。それでも豪華でした。あまりに空腹で、名もない草を食べたりして空腹を凌いだりした方も大勢いらっしゃるようです。現代の若い人達には考えられない事でしょう?戦後はそうやって努力の中で今の日本を再建してきたのです。
戦争の残酷さは私には実体験としては解りません。ただお盆や何かの祭りごとがあって親戚が集まったりすると、酔った大人達が戦争について語ってる事がありました。子供ながらにこっそりと聞いてましたが、とにかく怖い話をしてるという感じでした。感情的になったり泣いてる大人も居たので、子供ながらに聞いてはいけない話しだと思って直ぐに別の部屋へ隠れた記憶があります。
学生になってから、色々と自分でも戦争に関して調べるようになりました。教科書では真実が無かったため、文献なども色々と自分で見ました。そして一番の真実は、実際の戦争経験者から直接話しを伺う事です。私は学者でもなければ戦争研究家でもありません。ただ、一人の日本人として、終戦日に産まれた運命として、日本が味わった戦争の辛さや苦しさ、そして日本が他国に行った過ちなど、知る義務があると思ってました。幼少から親にも戦争に関して勉強して、その事実を忘れてはいけないと教育されてましたから、戦争について学ぶ事は必修科目であるかのように思ってました。
色々な方のお話しを聞いたり調べてる中で私が結論的に思ったのは、戦争の残酷さを知る上で重要な事は「想像力」だと思いました。自分が当事者のように想像できるかです。そんな惨い事にどうして想像力を働かせねばならないのか?と思う方もいるかもしれませんが、想像力なくして人の痛みは解りません。人の痛みが解らない人間が自他共に幸せな人生を歩める訳がありません。
人間の感情は五感で感じたものが脳に刺激を与えて、そして鮮明な想像をする事で心に刻まれていきます。より鮮明にイメージして、自分が当事者であるかのように想像し、そして心に刻むんです。そうする事で戦争は自分とは無関係なものではなくなり、当事者意識のように思えるようになります。もちろん本当の当事者の辛さとは比べ物にはなりません。ですが、同じ日本人として戦争の残酷さを自分のイメージを介して心に刻むべきなのです。
戦争や原爆の事実はあまりにも惨たらしい話しばかりなので、私の日記には内容を書きませんが、今の時代は色々な映画や動画、または戦争の真実を語った本なども沢山出版されております。そういったものを自ら手を伸ばし読んで、勉強して下さい。そして常に「if=もし」という発想をもって、「もし自分が戦争の地に居たら?」という事を考えて欲しいのです。自分だったどうなってしまったか?極限になった時に自分には何ができるか?
そうやって当事者意識を持って、戦争に対する知識と感情の共有を試みて下さい。そして戦争は絶対にいけないことです。どんな事があっても正当化はされません。自分の親族が八つ裂きにされる事があっても、その報復として戦争を支持してはいけません。戦争は全てを奪います。人間の心を悪魔にさせます。国民みんなで戦争に反対をしましょう。
毎年この季節になると思い出します。どうして今の若い世代の人達に早めに伝えたいと思い筆をとりました。
原爆や戦争で亡くなられた方々や、その親族など、そして戦争で不幸な思いをしてる世界中の全ての方にお見舞いとご冥福をお祈りいたします。