(C)さいきまこ(フォアミセス)
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――しかも、生活保護に対する理解不足や悪意や偏見をぶつける人々も含めて、実社会の「あるある!」が数多く描かれていますね。読者の方々の多くは、そちらの立場にあるのではないかと思います。
生活保護バッシングでいえば、バッシャー(叩く人)の立場ですよね。
「フォアミセス」編集部の方々にも、当初、「生活保護」という言葉を聞いて、ちょっと息を飲まれる感じがありました。ただ、生活保護がどういう制度で、どういう運用をされていて、どういう誤解があるかを入れ込んだプロット(筋書き)を作って見ていただいたところ、
「分かりました、やってみましょう」
という感じになって。
――プロットは、もう物語の形になっているわけですか?
そうです。「フォアミセス」編集部の場合、小説のような詳細なプロットを作ってから、ネーム(絵も含めたシナリオ)の制作に入る流れなんです。だから、その詳細なプロットの中で言葉を尽くして、編集部にご理解いただく機会がありました。多くのマンガ雑誌の編集部の場合、「プロット」は、本当に簡単な、何行かの「あらすじ」なんです。
――「フォアミセス」だからこそ、だったのですね。もし、詳細なプロットをマンガ家に要求しない編集部だったら、どうしていらっしゃいましたか?
いきなりネーム作成ですね。150ページ~200ページ分くらいの。
――掲載されるかどうかも分かっていない段階で、ですね。
はい。でも、掲載の目処がなくても、それだけの分量のネームを描いたでしょうね。ぜひ、実現させたかった企画ですから。
実はちょうど今、「陽のあたる家」の第3回を描いているところです。描きながら、推敲を続けています。特にセリフは、最後に書いてしまう直前まで、推敲します。
生活保護が
「無差別平等」であることの意味とは
――第3回の内容を、差し支えない範囲で話していただけないでしょうか?
9月3日発売の「フォアミセス」10月号で発表する第3回のテーマの1つは「スティグマ(恥の烙印)」です。生活保護世帯や生活保護当事者たちに対するスティグマが、実際にはどのようなものなのか、その当事者たちは、スティグマをどのように乗り越えようとするのか。ここでストーリーを語るわけには行きませんが、物語はそこで一応は完結します。