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生活保護のリアル みわよしこ
【政策ウォッチ編・第35回】 2013年8月9日
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みわよしこ [フリーランス・ライター]

読めば貧困・生活保護が他人事ではなくなる!?
マンガで生活保護を描く、さいきまこ氏の思い
――政策ウォッチ編・第35回

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「陽のあたる家」第1回(「フォアミセス」2013年8月号に掲載)より。妻が、パート勤務先の責任者に自己責任論で責められるシーン。あなたなら、どのようなセリフを入れるだろうか?
(C)さいきまこ(フォアミセス)
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――しかも、生活保護に対する理解不足や悪意や偏見をぶつける人々も含めて、実社会の「あるある!」が数多く描かれていますね。読者の方々の多くは、そちらの立場にあるのではないかと思います。

 生活保護バッシングでいえば、バッシャー(叩く人)の立場ですよね。

 「フォアミセス」編集部の方々にも、当初、「生活保護」という言葉を聞いて、ちょっと息を飲まれる感じがありました。ただ、生活保護がどういう制度で、どういう運用をされていて、どういう誤解があるかを入れ込んだプロット(筋書き)を作って見ていただいたところ、

 「分かりました、やってみましょう」

 という感じになって。

――プロットは、もう物語の形になっているわけですか?

 そうです。「フォアミセス」編集部の場合、小説のような詳細なプロットを作ってから、ネーム(絵も含めたシナリオ)の制作に入る流れなんです。だから、その詳細なプロットの中で言葉を尽くして、編集部にご理解いただく機会がありました。多くのマンガ雑誌の編集部の場合、「プロット」は、本当に簡単な、何行かの「あらすじ」なんです。

――「フォアミセス」だからこそ、だったのですね。もし、詳細なプロットをマンガ家に要求しない編集部だったら、どうしていらっしゃいましたか?

 いきなりネーム作成ですね。150ページ~200ページ分くらいの。

――掲載されるかどうかも分かっていない段階で、ですね。

 はい。でも、掲載の目処がなくても、それだけの分量のネームを描いたでしょうね。ぜひ、実現させたかった企画ですから。

 実はちょうど今、「陽のあたる家」の第3回を描いているところです。描きながら、推敲を続けています。特にセリフは、最後に書いてしまう直前まで、推敲します。

生活保護が
「無差別平等」であることの意味とは

――第3回の内容を、差し支えない範囲で話していただけないでしょうか?

 9月3日発売の「フォアミセス」10月号で発表する第3回のテーマの1つは「スティグマ(恥の烙印)」です。生活保護世帯や生活保護当事者たちに対するスティグマが、実際にはどのようなものなのか、その当事者たちは、スティグマをどのように乗り越えようとするのか。ここでストーリーを語るわけには行きませんが、物語はそこで一応は完結します。

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みわよしこ [フリーランス・ライター]

1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、2匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら


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急増する生活保護費の不正受給が社会問題化する昨今。「生活保護」制度自体の見直しまでもが取りざたされはじめている。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を知ってもらうことを目的とし、制度そのものの解説とともに、生活保護受給者たちなどを取材。「ありのまま」の姿を紹介してゆく。

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