――河本さんは福祉事務所と協議の上でお母さんに仕送りをするなど、可能な範囲で扶養義務を果たしておられたようです。
あのバッシングの時は……酷さにヘキエキしました。まるで自分がバッシングされているかのような気がして。それで、「政府の動きに対する反対署名を集める」などの活動をしていたんですけど、2012年末には衆議院選挙で自民党が圧勝、都知事選でも猪瀬さんが当選して。「もう、何をやっても無駄なのか」という気持ちになりました。いろんな方と話してみて、「でも、1人ひとりに、訴えて説得するしかない」という結論に達しました。
――その手段がマンガだったわけですね。
はい。私は口下手ですから、直接、他の方に話しかけて説得するなんて無理です。でも、「自分の職業を通じて、自分のフィールドで、自分にできることがあるのでは?」と。そこで、「陽のあたる家」の企画を立てました。貧困に陥り、そこから立ち直る家族の、家族愛の物語です。
第1回では、一家を困難と貧困が襲います。第2回では、水際作戦に遭うものの、一家は生活保護を申請して保護開始となり、緩やかながら生活再建へと歩み始めます。
「生活保護といえば不正受給」
そう思い込む読者を変えられたか
――「陽のあたる家」は、今月(2013年8月3日)発売の「フォアミセス」で、第2回が発表されていますね。第1回を読まれた読者さんたちからは、どのような反響があったでしょうか?
一番多かったのは、「自分だって、いつそうなるのか分からないです。身につまされました」という感じのコメントです。
――どこにでもいそうな共働きの夫妻と中学生・小学生の子どもたちの一家が、ありふれた理由によって困窮に陥るストーリーですからね。
それから、「不正受給は多いけど、生活保護が本当に必要な人は受けられるようにしてほしい」というコメントも多かったです。
――第2回には、「あるある!」と言いたくなるほどありふれている、「水際作戦」の良くあるパターンの実際が描かれていますね。本当に必要な人にも、生活保護を受けられなくするという。
もちろん「水際作戦」も問題なんですが、「不正受給は多い」も……生活保護について、あまり良く知らない方も、「生活保護といえば不正受給」と思っているんですよね。不正受給は金額で全体の0.4%にすぎないんですが、不正受給に関する報道は多いですから、刷り込まれてしまっているんでしょうね。世の中でそう思われているということを織り込んで、第2回のストーリーを作りました。