ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
生活保護のリアル みわよしこ
【政策ウォッチ編・第35回】 2013年8月9日
著者・コラム紹介バックナンバー
みわよしこ [フリーランス・ライター]

読めば貧困・生活保護が他人事ではなくなる!?
マンガで生活保護を描く、さいきまこ氏の思い
――政策ウォッチ編・第35回

previous page
2
nextpage

――さいきさんは、美術大学のご出身ですね。だから、抵抗なくイラストやマンガが描けたのでしょうか?

 うーん……それは少し違うかなあと。美大って、絵の巧い人が入る学校というわけではありませんし、入ったら絵が巧くなるわけでもないんですよね。美大での専攻はグラフィックデザインで、卒業後はデザイン事務所に勤務したり、雑誌や書籍の編集をしたり、フリーライターとして記事を書いたりしてきました。その全部が、現在の仕事に関係していると思います。

――読み手からは、イラストとストーリーマンガは、全く異なるものに見えるのですが。

 私の場合は、イラストから4コママンガ、4コママンガからストーリー4コママンガ、その次は通常のストーリーマンガ、という感じでした。コマ数が増えていって、自然にストーリーマンガになった、といいますか。39歳の時、ストーリーマンガで、マンガ商業誌デビューをしました。同時に、夫と離婚しました。以後は息子と2人暮らしです。

――自然にストーリーマンガが作れるようになるなんて……才能だと思います。私も、マンガにチャレンジしたことが何回もあるんですけど、「コマ割りができるようにならない」というところで挫折しました。

「生活保護をマンガに」のきっかけは?

――では、「陽のあたる家 生活保護に支えられて」について質問させてください。まず、なぜ、生活保護に関心を持たれたのでしょうか?

 生活保護に対しては、「いつか自分も受けるかも」と思っていました。私は、余裕のない生活の中で、国民年金保険料はずっと支払い続けてきているんです。でも、今までのところ、老後に備えた貯蓄は全くできていなくて。私の老後を経済的に支えるものは、老齢基礎年金だけです。それでは生活できません。すると、生活保護しかないんですよね。

――息子さんに扶養を受けることは、考えていないのですか?

 息子は、「私は、この子が大人になったら、絶対に手放す」と念じて産みました。私自身の両親は、子どもにしがみついてくる感じの人たちで、とても苦しかったです。息子には、自分自身の人生を生きてほしいです。

――廃案になった生活保護法改正案には、親族による扶養義務の強化が含まれていましたね。

 ええ。2012年春に始まった生活保護バッシングのきっかけも、「お笑い芸人の河本準一さんのお母さんが生活保護を受給している」ということでした。河本さんがお母さんの扶養義務を果たしていないことが問題視されたのですよね。

previous page
2
nextpage
Special topics
ダイヤモンド・オンライン 関連記事


DOLSpecial

underline

話題の記事

みわよしこ [フリーランス・ライター]

1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、2匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら


生活保護のリアル みわよしこ

急増する生活保護費の不正受給が社会問題化する昨今。「生活保護」制度自体の見直しまでもが取りざたされはじめている。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を知ってもらうことを目的とし、制度そのものの解説とともに、生活保護受給者たちなどを取材。「ありのまま」の姿を紹介してゆく。

「生活保護のリアル みわよしこ」

⇒バックナンバー一覧