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生活保護のリアル みわよしこ
【政策ウォッチ編・第35回】 2013年8月9日
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みわよしこ [フリーランス・ライター]

読めば貧困・生活保護が他人事ではなくなる!?
マンガで生活保護を描く、さいきまこ氏の思い
――政策ウォッチ編・第35回

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マンガ「陽のあたる家 生活保護に支えられて」(2013年7月より、秋田書店「フォアミセス」誌にて短期連載開始)が、同誌の想定読者層である20~60代女性を中心に、静かな関心を集めている。

今回は、作者・さいきまこ氏へのインタビューを紹介する。さいき氏は、なぜ、生活保護に関心を向け始めたのだろうか? なぜ、生活保護というテーマを含むマンガを、世に問おうと考えたのだろうか?

出版社から契約を切られフリーへ
働かない夫と離婚、息子と2人に

「陽のあたる家」第1回トビラ原画。沢田一家は、サラリーマンの夫、パート勤務の妻、中学生の娘・美羽、小学生の息子・大輝の4人家族。小さな幸せで満たされた毎日は、夫の急病をきっかけに破綻し、一家は困窮状態に陥る (C)さいきまこ(フォアミセス)

 「陽のあたる家 生活保護に支えられて」は、現在、秋田書店「フォアミセス」誌にて連載中のマンガだ。

 筆者はまず、サブタイトルに明確に含められた「生活保護」の4文字にインパクトを感じた。「この作品は、正面から生活保護を扱っています」というメッセージだろう。

 さらに、「フォアミセス」誌を購入して連載第1回を読んでみた筆者は、作品の説得力と迫力に度肝を抜かれた。どこにでもいそうな夫妻と子ども2人の一家を、どこにでもありそうな災難が襲い、一家は困窮する。その様子が、テンポのよいストーリー展開とともに、リアリティをもって迫ってくる。女性向けコミックの絵柄があまり好きではない筆者が、引き込まれてしまったほどだ。

 ぜひ、多くの方に、作品を目にしていただきたい。その思いから、作者のマンガ家・さいきまこ氏にインタビューをお願いした。

――こんにちは。最初に、さいきさんが、どういう経緯でマンガ家になられたのか教えていただきたいのですが。

 35歳の時、契約社員として出版社に勤務していたんですが、それだけでは充分な収入が得られていませんでした。さらにその後、契約を切られました。当時、夫と4歳の息子(現在は大学生)がいたんですけど、夫はロクに働かない人でした。息子を育てるためには私が仕事をするしかなかったので、フリーライターとして、エッセイを雑誌に売り込みはじめました。それが、マンガ家になるきっかけでした。

――どのようなエッセイだったのですか?

 育児エッセイです。当時は育児エッセイの全盛期でしたから。そのとき、売り込みが成功しやすくなるよう、エッセイに1コマのイラストをつけたところ、「イラストのほうが面白い」と評価されまして。イラスト入りエッセイの連載のお仕事をいただくことになりました。その中で、4コママンガや8コママンガを、自分の裁量で自由に描かせていただきました。

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みわよしこ [フリーランス・ライター]

1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、2匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら


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急増する生活保護費の不正受給が社会問題化する昨今。「生活保護」制度自体の見直しまでもが取りざたされはじめている。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を知ってもらうことを目的とし、制度そのものの解説とともに、生活保護受給者たちなどを取材。「ありのまま」の姿を紹介してゆく。

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