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内田春菊の意外な趣味 「家庭的なイメージがうっとうしくて隠してたの」

【芸能】

楽天SocialNewsに投稿!
2013年8月10日 掲載
裁縫はプロの腕前/(C)日刊ゲンダイ
 漫画家にして筆力も抜群。1993年発表の小説「ファザーファッカー」は70万部を超えるベストセラーになった。今や文筆業でも多忙の内田春菊さんは「ミシンを踏んでいる時間が楽しくてしょうがない」というほどの裁縫好きだ。

<自宅1階に専用部屋>

「洋裁学校に通っていた母の影響ですね。小さい頃から型紙のアレンジの仕方とかを教えてくれました。時間を見つけては、布物なら何でも自分で縫ってた。なので、小中学校の家庭科の授業が退屈で。袖のない襟だけの単調なブラウスとか作るのって、あまりに簡単すぎて作業は即終了。時間を持て余す始末。授業で作ったシンプルなワンピースにセーラー服の襟を付けて私だけアレンジしてました。もともと母は社交ダンスの教師。昭和31年の売春防止法の施行後、長崎の売春宿が一斉にダンスホールに鞍替え。職がいっぱいあると聞きつけて長崎へと。ところが、聞くほど仕事は大してなくて、すぐホステスになった。お店で着るドレスもカーテン生地ですぐに作っちゃうような人でした。昔の人って、そういう器用さがあったのよね」

 話を聞いたのは都内の閑静な住宅地に立つ一軒家。1階の一室がミシンが置かれた裁縫部屋で、ここでほぼ毎日数時間、裁縫に励む。

<子供の靴下もパーカも>

「実は、25歳で漫画家デビューしてからずっと、趣味の裁縫を隠してたの。当時、取材に来たカメラマンが『意外に家庭的な一面があるところを撮りましょう』って、料理かなんかしている姿の写真を撮りたがってね。自分の漫画を知ってほしいのに、家庭的なイメージを持たされるのがうっとうしくて……。『私、そういう家事全般、一切しませんから』って、何もしないキャラをつくってたの。でも、13年前に次女を出産してから、裁縫の虫が一気に再燃。子供の服は全て自分で縫った方がいいと思ってね。子供の靴下からパーカまで衣類のほとんどを自分で作ってました。昔は出来が微妙なものもあったけど、改めて、タンスの奥から取り出してみると、『こんな服をよく着てくれたね』と懐かしく思ったりもするんです」

 今では、作るもの全てが“完璧な出来”と胸を張る。

 腕前は“ミシンの熟練度”と比例するという。
「車の運転と似てるんじゃないかな。たぶん、車で事故起こす人って、カーブでも『このまま行っちゃえ』って小回りできなかった人でしょ。ミシンも同じ。『ここはゆっくり縫わないとだめ』という所で止められたり、ゆっくり縫えたりと、自在性が身に付くと、縫い目がきれいに揃い、格段にうまくなるのよね。

 頼まれて作ることもしばしばです。子供の女の子の友達が家に遊びにきている時、『何色がいい?』って聞いて、その子が帰るまでの3~4時間の間にサーキュラースカート(裾を広げるとほぼ円形になるスカート)を作って渡したり。私の原作が映画化された時もお手伝い。監督から『スカートがふわっと広がるシーンがあるから、欲しい』と頼まれた。即刻、布を買って作業開始。翌々日には完成してました」

<ミシン針が指を貫通>

 夢中になるあまりの失敗もあった。
「あれは10年前。少々熱があり、体調が悪かった。ミシン針が右の親指の爪の部分からグサリと貫通しちゃったんです。そっ、指を縫っちゃった。痛さはもちろん、それよりも、『えっ~、本当?』って感じ。びっくりした。自分で針をペンチで抜き、そこにテープ巻いて、そのまま裁縫を続行。

 その時の同居人が真っ青な顔して『医者に診てもらえ』っていうから病院へ。受付で問診票に“ミシン針が指を貫通しました”と書いたら、顔面蒼白(そうはく)の看護師さんが『コレ、誰ですか!』って、待合室に飛んできた。

 その日は抗生剤をもらって帰りましたけど、今でも後悔してるの。ミシン針が指を貫通しているさまを写真に撮っておけばよかったって。だって、そんなの、めったに見られないでしょ、アハハ」

 一方で、うれしいこともある。つい最近、裁縫仲間ができたとほほ笑む。
「女優の有森也実さんです。先月、映画のトークショーでご一緒した時、裁縫をやっていると聞いてとてもうれしかった。同じ映画の共演者の麻生久美子さんとは控室で2人でマフラー編んだ仲。『麻生さんが編んでる』って、すごい感動しましたね。それでもやはり、裁縫をやっている人って少ないですよね。今は作るより安い衣類なんていっぱいあるからね。裁縫にかかる時間を考えると、ぜいたくな趣味になりつつあるのかな」
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