消費者庁:シンドラーエレベータ事故、独自調査へ
毎日新聞 2013年08月09日 21時50分(最終更新 08月10日 03時28分)
暮らしにかかわる事故の原因を調べ、再発防止を目指す消費者庁の「消費者安全調査委員会」(消費者事故調)は9日、2006年6月に東京都港区の集合住宅で都立高2年だった市川大輔(ひろすけ)さん(当時16歳)が、シンドラーエレベータ社製エレベーターに挟まれ死亡した事故について、中間報告となる「評価書」を公表。国土交通省の昇降機等事故対策委員会が09年に調査報告書を出しているが、事故調がより幅広い観点から改めて独自調査するとした。
事故は、エレベーターに乗っていた市川さんが、自宅のある12階で降りようとした際、扉が開いたままかごが上昇。かごの床と出入り口の枠に挟まれた。国交省の委員会は09年9月、ブレーキ部品の摩耗が原因とした。
消費者事故調は、国交省の報告書を9カ月かけて検討した。その結果、保守管理の問題について他社も調査し、今回の機器に限られた問題なのかの検討▽製造者、保守業者、所有者らによる不具合情報の共有と管理体制の実態確認▽事故が発生した場合に身体的被害が重篤になるのを防止するよう配慮されていたか−−など4点を独自に調べるとした。
松岡猛委員長代理は「極端な場合、全てのエレベーターに扉が開いたまま走行するのを防止する保護装置(二重ブレーキ)を付けるべし、という結論が出るかもしれない」と述べた。
中間報告を受け、市川さんの母、正子さんが記者会見。評価書は国交省の報告書以降に分かった事実を踏まえていないとし「歯がゆく、遺族の思いとの温度差を感じた。中途半端にならないよう、背景要因を明らかにしてほしい」と話した。【大迫麻記子】