秘密保全法案:漏えい、政治家に罰則 非公開延長も

毎日新聞 2013年08月09日 02時30分

秘密保全法案の骨格
秘密保全法案の骨格

 政府が秋の臨時国会に提出する「秘密保全法案」の骨格が8日分かった。外交や防衛などに関わる秘密を漏えいした公務員への罰則を強化し、政務三役ら特別職も対象とするのが柱。安倍政権は今年度中に外交・防衛政策の司令塔となる国家安全保障会議(日本版NSC)を発足させる方針で、厳格な情報保全措置が必要と判断した。ただ、国民の「知る権利」を侵害することには懸念も強く、国会審議の焦点になりそうだ。【小山由宇】

 法案では、保全する秘密を(1)国の安全(2)外交(3)公共の安全と秩序の維持−−の3分野に分類。特に高度な秘匿が必要で「国の存立にとって重要」と認めた情報を「特別秘密」に指定し、保全期間を決めて管理する。行政機関の長が許可すれば、保全期間を延長できる「更新制」も取り入れる。

 漏えいへの罰則は懲役5年か10年で調整しており、悪質なケースを想定して10年とする案が有力だ。対象は一般公務員に加えて政務三役ら政治家を含む特別職にも拡大する。特別秘密を入手するため公務員などをそそのかしたり扇動したりした第三者も処罰される。報道規制に懸念があることから、処罰対象は「社会通念上是認できない行為」による情報の取得とする。

 特別秘密を取り扱う公務員は「秘密情報取扱者」に指定し、政府が「適性評価(クリアランス)」を実施する。犯罪やアルコール・薬物中毒などの履歴を調査し、有資格者に取扱者を限定することも盛り込む。

 安倍政権が検討を急ぐのは、日本版NSCは同盟国などとの高度な情報共有が必要となるためだ。日本では2007年の海自3等海佐によるイージス艦情報漏えい事件などが相次ぎ、米国などが懸念。現行法でも公務員の情報漏えいは国家公務員法(最高懲役1年)や自衛隊法(同5年)で処罰されるが、罰則が軽い上、政治家は守秘義務にとどまることが問題視されていた。

 自民党内では「危機管理」を重視する安倍政権の意向を受け、早期成立を目指す意見が強いが、与党の公明党内にも「知る権利」を侵害することへの懸念があるほか、共産、社民両党が法案に反対を表明している。米国では国防情報の漏えいに10年▽英国は防衛情報や通信傍受に関する情報の漏えいに2年▽フランスは公務員による国防上の秘密漏えいに7年−−の自由刑が設けられている。

 ◇秘密保全法案の骨格

・国の安全▽外交▽公共の安全・秩序の維持−−の3分野で政府が「特別秘密」を指定

最新写真特集

毎日新聞社のご案内

TAP-i

毎日スポニチTAP-i
ニュースを、さわろう。

毎日新聞Androidアプリ

毎日新聞Androidアプリ

MOTTAINAI

MOTTAINAIキャンペーン

まいまいクラブ

まいまいクラブ

毎日RT

毎日RT

毎日ウィークリー

毎日ウィークリー

Tポイントサービス

Tポイントサービス

毎日jp×Firefox

毎日jp×Firefox

毎日新聞のソーシャルアカウント

毎日新聞の
ソーシャルアカウント

毎日新聞社の本と雑誌

毎日新聞社の本と雑誌

サンデー毎日

サンデー毎日

週刊エコノミスト

週刊エコノミスト

毎日プレミアムモール(通販)

毎日プレミアムモール(通販)

毎日新聞のCM

毎日新聞のCM

環境の毎日

環境の毎日

毎日新聞を海外で読む

毎日新聞を海外で読む

日報連

日報連