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2012年12月25日 第2回小児がん拠点病院の指定に関する検討会議事録

健康局がん対策・健康増進課

○日時

平成24年12月25日(火)


○場所

厚生労働省 低層棟2階 講堂
(東京都千代田区霞が関1−2−2)


○議題

1 開  会
   
2 議  題 
 (1)小児がん拠点病院申請医療機関からのヒアリング
 (2)その他

○議事

出席構成員:垣添座長、天野構成員、石井構成員、小俣構成員、豊田構成員、韮澤構成員、道永構成員、柳澤構成員、山本構成員

○岡田がん対策推進官 それでは、定刻前ではございますけれども、構成員の皆様方がおそろいになられましたので、ただいまより、第2回「小児がん拠点病院の指定に関する検討会」を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中をお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
 事務局の健康局がん対策・健康増進課、がん対策推進官の岡田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の委員の皆様の出席状況でございますけれども、道永構成員より少しおくれるとの御連絡をいただいております。
 では、次に、資料の御確認をお願いいたします。
 まず、お手元に配付しております資料、議事次第、座席表。
資料1 小児がん拠点病院選考に当たっての経緯と書類選考結果
参考資料1 小児がん拠点病院の整備について
参考資料2 小児がん拠点病院申請医療機関一覧
 さらに、本日ヒアリングをいたします11の医療機関から提出された資料を配付させていただいております。
 また、構成員の皆様方には、各申請医療機関からの申請書類一式、本日ヒアリングいたします医療機関の発表者・同席者の名簿、評価表を配付しております。
 資料に不足、落丁等ございましたら、事務局までお申し出ください。
 では、カメラの撮影はここまでとさせていただきます。
(報道関係者退室)
○岡田がん対策推進官 ヒアリングを開始するまで、進行は垣添座長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○垣添座長 皆さん、こんにちは。年末の大変お忙しい中をお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。本日と明後日、27日、大変長丁場ですが、作業の内容は極めて大事なことなので、何とぞよろしく御協力のほど、お願い申し上げます。また、本日のヒアリングのためにお集まりいただいた関係者の皆様にも御礼申し上げたいと思います。
 本日の議題に入りたいと思います。
 小児がん拠点病院の整備についてということでありますが、まず資料1「小児がん拠点病院選考に当たっての経緯と書類選考結果」について、事務局から説明をお願いします。
○事務局(秋月) それでは、資料1「小児がん拠点病院選考に当たっての経緯と書類選考結果」について、御説明させていただきます。
 資料1でございますが、まず前回、第1回検討会において以下の事項を決定したということでまとめております。
 3段階で選定を進めること、書類選考の基準について、マル1、マル2について議論し、決定いたしました。マル3についてですけれども、マル1、マル2の基準を原則としつつも、検討会の議論を踏まえて以下の病院についてはヒアリング対象とするということで、東北大学病院、福島県立医大、新潟大学医歯学総合病院は、地域性に配慮してヒアリングの対象とする。また、埼玉医科大学国際医療センター、国立がん研究センターの中央病院については、固形腫瘍実績が他の申請医療機関と比べて突出しているということで、ヒアリング対象としております。
 2ページ、これは拠点病院選定に当たっての評価の視点ということで、第1回の検討会、またその後も構成員の皆様よりいただいた御意見を踏まえてまとめました。この内容については、既にヒアリングの対象となる医療機関のほうにはお伝えしておりまして、こういった視点に基づいてプレゼンテーションをお願いさせていただいております。
 最後の4ページ目、その結果、書類選考結果に残ったヒアリング対象となった医療機関の一覧を載せております。こちらの医療機関に対して評価の視点を事前に伝達いたしまして、右に示しているスケジュールでプレゼンテーションを12分行っていただくことを依頼いたしました。
 事務局からは以上です。
○垣添座長 ありがとうございました。
 ただいまの資料1の説明に関して、何か御質問、御発言がありましたらお受けしたいと思います。
 どうぞ。
○天野構成員 ありがとうございます。1点、質問でございます。
 本日、机上配付資料ということで、各施設からの申請書類を置いていただいていると思いますが、こちらについては例えば審査等の影響を与えない範囲で後日公開とか、そういったことは検討されているかを御教示いただければと思います。
○事務局(秋月) 申請書類については、公開するタイミングについては事務局のほうで検討させていただきたいと思いますが、患者さんにとっても有用な情報が非常に多く含まれているということもございますので、前向きに検討したいと思います。
○垣添座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、ヒアリングに移りたいと思います。これからのヒアリングに関しては、事務局に司会進行をお願いいたします。
○事務局(秋月) それでは、ヒアリングのほうに早速移りたいと思います。ここからは事務局のほうで司会進行をさせていただきます。
 まず、ヒアリングの進め方ですが、各医療機関に12分の御発表をいただいた後、質疑応答に移ります。質疑応答のほうは約10分でお願いいたします。
 次に、机上に配付させていただいた評価表について説明いたします。評価表は、事前に構成員の皆様からいただいた御意見を踏まえて事務局のほうで作成させていただきました。10分野設定されておりまして、それぞれ5段階評価でお願いいたします。
 また、一番右の列には、「その他特記事項」というところと「その他コメント」というところがあります。まず「その他コメント」というところは、各医療機関についてお気づきの点がございましたら、メモがわりにお使いいただければと思います。右から2列目の「その他特記事項」というところなのですが、ここは各構成員が特に重視をする点について独自に評価していただきたいと考えております。
 例えば拠点病院としての組織の継続性であるとか、臨床研究グループへの参加状況とかサバイバーへの支援とか、さまざまな視点があるかとは思いますけれども、構成員の方が特に重要だと思われるところについて、共通の視点で各医療機関を評価していただければと思います。
 ここまでの説明で御質問はございますか。
○垣添座長 最後の「その他特記事項」ですけれども、例えば私が拠点病院としての組織の継続性を重視するのだとすると、これはどう書けばいいのですか。
○事務局(秋月) その評価の視点のところに括弧がしてありますので、ここに組織の継続性ということを書いていただいて、各22の医療機関を5段階で評価していただければと思います。
○垣添座長 わかりました。
○事務局(秋月) あとはよろしいでしょうか。
 どうぞ。
○柳澤構成員 きょうとあさってに分かれて評価するわけですけれども、全体の評価表は両日終わった後で、一定の日にちまでに提出するということでよろしいのですね。
○事務局(秋月) はい。きょう使っていただく評価表は明後日も同じものを使用いたします。最終的な評価については、やはり申請書類もあわせての評価になりますので、最終的な評価というのはもう少し時間を一定期間置いて事務局のほうに提出をお願いするということを予定しています。あとはよろしいでしょうか。
 それでは、早速ヒアリングに移りたいと思います。
 まず、1番目ですけれども、北海道大学病院のほうにお願いいたします。では、席のほうへ移動をお願いいたします。
(北海道大学病院関係者着席)
○事務局(秋月) 済みません、あと1点なのですが、きょうは長丁場になりますので、5時40分〜50分まで10分ほど休憩をとる予定ではいるのですが、適宜お手洗いとかございましたら抜けていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、北海道大学の有賀正先生、御発表のほうをよろしくお願いいたします。
○北海道大学病院 よろしくお願いします。北海道大学小児科の有賀と申します。
 これから北海道大学病院小児がん拠点病院に向けてというタイトルで、北海道大学の取り組みと熱意を説明させていただきます。
 1ページ、まず、目的についてお話しします。
 北海道大学病院は、小児がん拠点病院となり、(1)難治性疾患の集約化、(2)全人的な診療、(3)長期フォローアップの連携、(4)人材の確保・育成、(5)先進医療、以上を実施し、北海道の小児がん患者への良質な治療と支援を目指します。
 2ページ、集約を進める疾患・病態です。現状の実績を資料に示しました。これまでにも北海道の小児がん患者の約半数は北海道大学病院に集約されています。今後、がん拠点病院となり、症例をさらにふやすとともに、道内の他大学と連携して再発例・難治例の集約化を目指します。また、研究事業の連携も推進します。北海道大学病院の病床は共通病床なども考慮するとまだ十分に余裕があり、集約化に対応可能です。
 小児の全領域に専門医、小児外科医が常勤し、小児疾患の全ての問題に対応可能です。思春期のがん患者の診療は全診療科にスペシャリストがいるため、診療科の垣根を超えて行っているキャンサーボードの充実などで対応していきます。
 3ページ、地域の医療機関との連携です。
 北海道大学病院は他大学とも連携し、難治性・再発患者を集約して診療します。道内の中核病院とも連携し、患者の紹介・長期フォローを実施します。
 自施設で十分に診療できないまれなケースは道外の施設に依頼することもあり、次ページで示します。終末期の症例の在宅ケアに関しても、他病院と連携して実施しています。北海道大学病院は造血幹細胞移植の実績が道内随一であり、難治性疾患への他の治療対策も充実しています。臨床試験、臨床研究も積極的に実施しています。
 4ページ、カバーする地域です。
 北海道大学病院は北海道随一の関連・連携病院数を持ち、独自のネットワークがあります。北海道全域から患者を受け入れ、長期フォローも連携可能です。今後も北海道全域に貢献する小児がん拠点病院を目指します。転居などの理由による道外への施設への紹介・逆紹介が少なからずあります。
 5ページ、地域連携と集約化の具体例を示します。
 北海道大学病院では、陽子線治療センターが再来年の3月に稼働する予定です。難治性疾患への治療への貢献、世界的な共同研究の発展が期待されます。道内にある陽子線治療連携ネットワークを示しました。
 6ページ、小児がん患者の長期フォローアップ体制です。
 北海道大学病院では、各種フォローアップ専門外来で長期フォローを実施しています。フォローアップ手帳の利用、小児血液腫瘍患者の台帳作成、全数登録と定点調査で漏れがないようにフォローします。
 地域と連携し、小児血液腫瘍専門医だけでなく、他の専門医も地域へ定期的に出張しているので、小児かとしての幅広いフォローの実施が可能です。小児期から思春期、成人まで、連続性、多様性を持ってフォローするため、北海道大学病院では晩期合併症への対応も可能です。
 7ページ、小児緩和ケア体制です。
 北海道大学病院では、多様な専門職種のスペシャリストが配置されており、心身両面から患児とその家族をサポートしています。平成20〜24年の小児緩和ケアの実績を示しました。
 8ページ、チーム医療を示します。
 小児がん治療はチーム医療が重要です。患者、その家族を多様な職種のスペシャリストが支え、チーム医療として参加しています。医師は診療科の垣根を超えてキャンサーボードを繰り返し行います。小児科の看護師は、キーパーソンとして、資料に示す役割を果たすとともに、多様な職種、チーム間の連携も担当しています。
 9ページ、小児がん診療を担う人材の確保です。
 北海道大学は医育機関であり、毎年多くの医療人を育成、確保しています。道内外の大学、施設と交流し、人材の確保に努力しています。
 10ページ、地域での医療従事者の育成です。
 北海道大学病院では、オール北海道プラス1という独自の研修医の確保・育成プログラムがあり、その後も小児科学会、外科学会専門医研修プログラム、さらに小児血液・がん学会専門医研修プログラムという連続したプログラムで医療人を育成しています。これらのプログラムのもとで、小児血液・がん専門医、小児血液・がん認定外科医が育っています。北海道大学病院では、さまざまな医療分野においても多数の指導医・専門医が活躍しています。
 さらに北海道大学では、小児がん関連研究会の運営、海外学会への参加などで、小児がん専門医の育成にも貢献しています。
 11ページ、小児がん患者の発育及び教育に関する環境整備についてです。
 北海道大学病院では、非常に質の高い院内学級が設置されており、患者の復学を支援しています。多様な授業形態など、個別性を考慮した支援体制があり、原籍校との連携が充実し、PCや体育館の利用など、設備・施設が充実しています。
 12ページ、発育及び教育に関する環境整備について続けます。
 北海道大学病院では、保育士・CLS・臨床心理士なども小児の成長、発達の支援に加わっています。施設ごとに多様なイベントを企画し、成長発達を考慮した支援を行っています。体育館などの施設、多様な設備が充実しており、ボランティア団体の活動も活発です。
 定期的に交流会も実施しています。恒例となった日本ハムファイターズの慰問は、患者だけでなく、その家族も非常に楽しみにしております。
 今年度、小児病棟の改装を行いました。プレイルームの利用率は高まり、患者やその家族の気分転換に役立っています。
 13ページ、家族の宿泊等への支援です。
 北海道大学病院では、患者家族のためにファミリーハウスが設置されています。長期療養の負担軽減と日常生活を快適に支援しています。安価であり、利用手続きもスムーズで、設備、駐車場なども完備しています。周りを樹木に囲まれてロケーションはすばらしく、病院敷地内であるため、利便性にも優れています。そのほかに近隣のホテルとも安価な料金設定などで連携しています。
 14ページ、小児がんに関する相談支援を示します。
 北海道大学病院では、医師、看護師、がん相談員が相談や相談の窓口となって対応しています。相談内容は資料に示してあるとおり、極めて多様です。
 15ページ、小児がんに関する情報提供を示します。
 患者や家族への情報提供の内容を示しました。小児がんの支援団体に関する情報は、北海道大学病院のホームページの地域医療連携福祉センターの中で紹介しています。これまで北海道大学病院では、さまざまな支援団体などと連携してきました。直接、患者家族へ支援団体を紹介しています。また、小児科病棟内でさまざまな交流会等を実施したり、小児がん患者のキャンプやイベントへボランティアとして参加しています。
 16ページ、北海道大学病院の臨床研究参加状況を示します。
 小児がん関連臨床研究では、31のプロジェクトに参加しており、そのうち9研究は北海道大学病院が中心として行っているものです。小児固形がん臨床研究共同機構や、日本小児白血病リンパ腫研究グループにも登録施設として参画し、多くの研究を実施しています。小児がん関連の学会や厚労省の研究班にも貢献しております。
 17ページ、小児がん拠点としての継続性についてです。
 関係診療科によるカンファレンス、キャンサーボードのさらなる充実を図り、万全な体制整備を継続します。北海道大学病院内に必要なポストの確保など、基盤整備に着手します。小児がん診療に特化した診療科の設置を検討いたします。
 18ページ、行政との連携、協力体制もさらに強固に構築いたします。
 北海道では、既に北海道がん対策推進条例が交付され、推進計画が検討されています。地域における連携協力体制に対して、行政にバックアップを得て、がん拠点の継続性を確固なものにいたします。
 19ページ、最後に、北海道大学病院の特色をもう一度強調します。
 北海道大学病院は、豊富な人材、多様な連携、充実した施設、豊富な経験があり、北海道地域としての小児がん拠点病院にふさわしい病院であると自負しております。
 以上をもって発表を終わります。御清聴、ありがとうございました。
○事務局(秋月) ありがとうございました。
 それでは、構成員の皆様、質問がございましたら、挙手をお願いいたします。
 では、垣添座長、よろしくお願いします。
○垣添座長 拠点病院の整備の方針に沿って、具体的な数字も入れながら大変的確に御紹介いただき、ありがとうございました。
 質問なのですけれども、4ページにありますように北海道全体を視野におさめて病病連携をとっておられるというのはよくわかりましたが、これは北大は当然のこと、長期フォローアップのためのカルテの長期間保存というのをやっておられると思いますけれども、この関連医療機関、ほかの医療機関に関して何か情報があったら教えていただけませんか。
○北海道大学病院 北海道には3大学ございます。それぞれが関連病院を持っているので、そちらの大学との関連は必ずしも現在では連携がスムーズというわけではありませんが、北海道大学病院の関連病院は北から南から北海道内に散在しておりますけれども、そこには大学から血液専門の専門医が定期的に出張して、そこでも地元で患者さんをフォローして、そこでカルテ、診療を記録しているというような方針で、情報をキープしております。
○垣添座長 だから、通常ですとカルテは一定年限が来ると廃棄されることがあるのですけれども、それがないかどうかということだけお尋ねしたいと思います。
○北海道大学病院 済みません、北大小児科の井口です。
 関連病院のほうで、特にこういう血液腫瘍あるいは固形腫瘍の患者さんに関しては、一定期間を過ぎても必ず保管を継続してもらうように連携をとっているようにしています。一定期間たったものでも、カルテの保管のスペースの関係で無理だというような施設もあるのですけれども、この患者さんは残してくださいという形で具体的にお願いして、マイクロフィルムになっている施設もあるのですけれども、残していただくようにしています。
○事務局(秋月) 石井構成員、お願いします。
○石井構成員 ありがとうございました。北大の場合は、関連病院として北楡病院があると思うのですが、どちらかというと北楡病院のほうが血液がん、北大のほうが固形がんとかというような印象もちょっとあったのですが、その辺のすみ分けをどういうふうにされるのかということ。
 北海道は非常に広いですので、確かに集約化して患者さんを北大に集めるという流れはいいと思うのですが、もちろん、ファミリーハウスとかありますけれども、ある程度、地域の病院で診るという体制も必要ではないかと思うのですが、その辺をどうされるのか。
 もう一つ、最後に、大学病院の場合は教授が血液がんの専門でない場合は、なかなか継続的な小児がんの治療研究、治療というのは担保できないと思うのです。その辺の継続性をどう担保していくのか、その3つについて簡単にお答えいただきたいと思います。
○北海道大学病院 最後のほうから。私は血液専門ではございません。でも、このように病棟のどこの大学病院でも血液をやっているところはそうでしょうけれども、半分ぐらいは血液の患者さんが必然的に集まってきて、独自性を持ってそれぞれのグループが診療体制をしているというのが北海道大学の誇るべき特徴で、教授がどういう専門を持っていても、北海道の全ての小児科の患者さんを診られるようにというのが3代前ぐらいの教授からの方針ですので、私が辞めた後も、この方針は変わることがないと思います。
 北楡病院との関係は微妙なところも正直言ってあるのですけれども、基本的には今後、難治性・再発例は北大のほうに基本的に集めて、スタンダード病院は彼なりのネットワークでやってもらおうと。もちろん、私たちの関連病院だと思っていますので、仲よくやっていこうと思っています。
○北海道大学病院 済みません、地域での診る体制ということに関してですけれども、基本的には小児がんの患者さんが発生した場合には、大学のほうでアーリー・フェーズ2(※「2」はローマ数字)、早期診療あるいは手術に関してとか、化学療法のかなりインテンシブの高い治療に関しては札幌のほうで治療しているのですけれども、一定期間を過ぎた患者さん、例えば維持療法に移った患者さんであるとか、移植が完了したけれども、まだ免疫抑制剤は飲んでいるよというような状況の患者さん、そういったような患者さんに関しては地域のほうで積極的にお願いはしています。
 そういっても、そこで糸の切れたたこになってしまうと困りますので、先ほど有賀のほうからもお話があったように、我々のほうで定期的に血液小児がんの専門医が外来に行っているだけではなくて、小児科から内分泌であるとか神経の専門医もその中核病院のほうに出張に行っていますので、地域においても全人的なフォローが可能という体制になっています。
○事務局(秋月) 天野構成員、どうぞ。
○天野構成員 ありがとうございます。貴重な御発表ありがとうございました。私から3点ございます。
 まず、1点目ですが、4ページで地域についてのネットワークを御紹介いただいたと思うのですけれども、北海道の中で、例えばより高度な技術であるとか、経験を有するような医療機関もしくは医療者との連携体制、場合によっては、もしかすると北海道内のネットワークだけでは対応しきれないような再発・難治例もあるかと思います。そういった場合の連携体制について、御教示いただければというのが1点目です。
 2点目が、6ページで長期フォローアップ専門外来というのを設けていただいているということで、これは画期的なことしだと思います。こちらについて質問なのですが、いわゆる小児であるとか思春期を経過した成人の方もこちらでは診ているのか、もしくはほかのところで診ているのかということについて、御教示いただければと思います。
 最後、3点目になりますが、17ページのほうで症例数を書いていただいていると思います。これはあくまでもちろん目安だとは思うのですが、症例数のほうを拝見しますと固形腫瘍と脳腫瘍については、この3年間では減っているように見えるのですが、これは何か理由みたいなものがあれば御教示いただければと思います。
 以上でございます。
○北海道大学病院 ありがとうございました。
 まず、連携のことですけれども、確かに北海道の中では処理しきれないというか、新しい技術、治療が必要だという患者さんもいらっしゃって、多くはないのですが、そういう患者さんに関しては道外に出て治療をしていただいて、また戻ってきてもらうという患者さんはございます。
 ただ、北海道内で限っていくと、自慢ではありませんが、北大でできないけれども、ほかの大学ないしは施設でできるという病院はないと思います。北大でできないことは北海道内でできる病院はないということで、北海道外の具体的に申しますと、特殊な今はまだできない陽子線治療をお願いした例もありますし、親からの移植というのは北海道大学でまだ経験がないので福島のほうにお願いしたり、内照射が必要な症例は金沢のほうにお願いしたという症例はございましたけれども、治療が終わってまた戻ってきてもらって北大で治療するということはございました。
○北海道大学病院 成人のフォローアップに関してです。基本的に、一定年限過ぎた成人に入った患者さんも、小児科に何事もなければというと言い方は変ですけれども、特に問題ない段階であっても、少なくとも年に1回は小児科に来ていただいてチェックさせていただいておりますが、成人としての問題が次々と出てくる方がいらっしゃいますので、そういった方に関しては、成人の診療科に連携をとっています。
 北海道大学病院は婦人科、泌尿器科、もちろん、成人の内科全領域にスペシャリストがおりますので、そちらのほうにお願いする。院内ですので、非常にスムーズにそういったフォローは可能で、現状もそういう形で行っております。
○北海道大学病院 3番目に関して、固形がん。私は副病院長をやっておりますが、兼ねて脳神経外科の教授もやっています。御指摘のように、確かに脳腫瘍に関して言えば21、22、23と漸減しているように見えるのですけれども、1つの理由は、この領域のスペシャリストが退職したということがあります。
 ただ、私が赴任したのは実は2年ぐらい前なので、それ以降はこの数字だけを見ると今は右肩上がりが見えないのですけれども、ここ数カ月ぐらいは新たなチームを立ち上げまして、何ら支障なく、発生件数も12月とかで多少低下傾向、患者さんにとって良いことなのですけれども、そういった影響もあったのではないかなと思いますけれども、今後に関しては全く心配ないかなと思っています。
○北海道大学病院 済みません、小児外科の岡田と申します。
 固形腫瘍に関しまして減っているというか、波というのもあるのですが、ことしに関してはむしろふえてきています。最近はすごく症例がふえているという印象がありまして、症例数をタイアップさせてもらっているのですが、神経芽腫とか肝芽腫とかふえている印象を持っています。
○事務局(秋月) では、柳澤構成員、お願いします。
○柳澤構成員 研究面の体制について伺いたいのですけれども、16ページにはスタディグループへの参加などに関しては書かれていますが、それ以外の臨床治験でありますとか、トランスレーショナルリサーチなどに関しての研究体制も小児がんに関連して何か紹介すべきことがあったら。
○北海道大学病院 特に治験に関してという部分で言いますと、北海道大学でことし始まりました臨床研究中核病院事業のほうの中核病院に選定されておりますので、それを利用して、16ページの真ん中のほうにもあるのですが、小児の難治性の急性リンパ性白血病に関するボルテゾミブ併用の化学療法。ボルテゾミブは成人の多発性骨髄腫にしか適用がないのですけれども、こういった臨床試験を行うことでボルテゾミブの適用拡大を小児エリアより目指しているというのがまず1つの事例です。
○北海道大学病院 8項目にあります肝芽腫に関しまして、これはもう北海道で唯一というか、日本でも数少ないのですが、いわゆる進行性肝芽腫のバイオロジカルマーカー、組織を持って、結局DNAはメチル化なのですが、調べる。これはJPLT3と言いまして、そういうスタディグループのものとさせてもらっています。これは北海道唯一です。
○事務局(秋月) それでは、最後の質問とさせていただきたいと思います。
 小俣構成員、お願いします。
○小俣構成員 2点ほどございます。
 14ページのほうで相談支援・情報提供ということを書いてございますが、具体的に長期フォローアップの対応になった患者さんに対しては、どのような仕組みで相談にたどり着けるのかということ。
 もう一点は、その前、12ページの患者の発育及び教育に関する環境整備。AYA世代、多少、年がいった方たちについてはどのような環境整備をされているか、あるいはこれからどのようにされようと思われているかということについて教えていただければと思います。
○北海道大学病院 小児がんに関する相談支援のほうですね。資料に示してありますように、具体的には医師。医師に対する質問は、日常の質問もあると思うのですが、それはあえてここには書いていないと思いますけれども、そのほかに看護師とがん相談員というのが窓口になり、答えられるものは保健指導室というのが病棟内にありますので、そこでマンツーマンなり、相談にお答えするし、相談の窓口となって適切な相談の場所を御紹介するというような仕組みで相談事業を展開していると理解しております。
○小俣構成員 済みません、長期フォローアップの相談内容というところでは、これからでも結構なのですが、どのように。
○北海道大学病院 具体的にどういった相談かとなると、例えば慢性GVHDを持っていて膣閉鎖を繰り返している患者さんだとか、そういった方の相談を主治医が受け付ける場合ももちろんあるのですけれども、相談室のほうに行ってしまう患者さんもいらっしゃったり、あるいはすぐ婦人科のほうに行く方もいるのですが、基本的には主治医のほうから婦人科のほうにお願いしたり、相談室に相談の紹介をしたりということはしています。
 フォローアップ手帳とかというのを使って、具体的なこういう合併症が起こり得るのだというような簡単な記載なのですけれども、そういったことが書いてあったり、あるいは日々の白血球の数であるとか肝機能とか書いた機能もあわせ持った手帳を渡していて、そういったものを本人がある程度自分の情報として持てるようにしております。
 思春期のAYA世代の方に関しての環境整備に関しては、交流会を基本的には主体にしていて、同世代の方とのつながりができるように、あるいはそういう患者会であるとかがんの子どもを守る会といった各種団体の紹介をさせていただいたりという形が多いかと思います。
○事務局(秋月) それでは、北海道大学病院の皆様、ありがとうございました。
 次、東北大学病院の皆様、席のほうへ移動をお願いいたします。
(東北大学病院関係者着席)
○事務局(秋月) それでは、笹原洋二先生、どうぞ発表をお願いいたします。
○東北大学病院 小児科講師の笹原から、東北大学病院の小児がん診療につきまして御説明させていただきます。
 初めに、集約化と地域連携につきましては、東北大学病院は1,262床、57診療科を持ち、東北地区最大で、かつ先端医療の中心的役割を担う病院であります。小児がん診療におきましては、近接する宮城県立こども病院と緊密に連携しており、造血器腫瘍は両施設にて約半症例ずつ、固形悪性腫瘍は全症例を東北大学病院にて診療しております。
 年間の初発例は平均約55症例で、再発・難治例は年間10〜14例であり、全体の約20%を占めます。また、これまで隣接県から年間5例前後の小児がん症例を受け付けております。地域医療連携センターを通じたセカンドオピニオン外来があり、これまで2例の相談を受け付けています。
 3ページ、東北大学病院は、計83床の小児医療センターを有しており、小児医療に従事する全ての診療科が共同で診療に当たっています。そのため、集約時の病床数は十分確保されている状況になります。思春期のがん患者様は、初発時18歳までは小児医療センターにて診療しており、長期的には成人診療科と連携して診療を継続しています。
 4ページ、拠点化された場合は、地域ブロックの医療機関と連携する対象疾患は、1つは再発あるいは難治性の小児がんであり、例えば神経芽腫ステージ4症例は集学的治療を要し、化学療法、外科療法、放射線療法、造血幹細胞移植、分化誘導療法を効率的に行うために、それぞれの経験を十分に積んだ複数科の医師が連携して治療に当たっています。
 次に、髄芽腫や膠芽腫といった難治性脳腫瘍は、高度な手術手技と経験を有する脳外科医が小児科医、放射線科医と連携して集学的治療に当たっています。
 また、原発性免疫不全症は東北大学小児科の得意とする分野であり、免疫不全を基礎疾患として合併する小児がん症例、例えばWiskott-Aldrich症候群やCommon variable immunodeficiencyに合併した悪性リンパ腫3例を経験しているなど、特殊な病態を十分把握した小児がん診療が可能です。
 その中で、御家族の居住地や御希望あるいは内部照射療法などの特殊治療におきましては、他施設と積極的に連携しています。連携する具体的な医療機関は、宮城県内では特に宮城県立こども病院とは定期的な行動カンファレンスを開催し、人的交流を通じて緊密な連携体制が確立されております。また、小児科関連病院、成人がん診療連携拠点病院である宮城県立がんセンターがあり、連携実績があります。
 東北ブロック全体としましては、5ページに示しました東北6県の大学病院と中核病院とは、東北小児白血病研究会、東北小児がん研究会を通じて症例の紹介やコンサルテーションが随時可能であり、継続的な連携体制を今後も行うことで合意しております。また、全国的な治療研究に全ての施設が参加しておりますので、初発時の統一された治療の遂行と治療経験の共有がしやすい利点があります。
 6ページに、カバーする地域として、東北6県を図示しております。私どもが提唱する小児がん診療連携病院及び県外の東北大学小児科関連病院は、成人がん診療拠点病院とともに、各県にわたっております。
 矢印でお示しした実際の過去3年以内の小児がん患者紹介施設は、宮城県内を中心に東北6県にわたっておりますので、今後もこの受け入れ体制を強化してまいります。
 次に、長期フォローアップ体制についてですが、他職種及び他診療科との連携のもと、既に長期フォローアップ外来を開設しております。全国組織への参加としては、JPLSG長期フォローアップ委員会、厚生労働省がん臨床研究事業、黒田班の分担施設。経済産業省長期フォローアップ事業(どこでもMY病院構想)のモデル県として貢献しております。
 また、患者様が東北大学病院で長期フォローアップが困難な場合には、長期フォローアップ手帳や治療サマリー手帳を活用して、他の小児がん診療連携病院へ紹介しており、今後はどこでもMY病院構想による臨床情報の共有を行う予定です。
 成人期以降の二次がんへの対応は極めて重要ですが、東北大学病院では、当院がんセンターへの紹介が可能です。
 8ページに、東北大学病院がんセンターの組織図を示しておりますが、今後は小児がん診療チームとしてのがんセンター組織への参加を予定しております。
 次に、小児緩和ケアの提供体制としましては、現在、東北大学病院がんセンター内に緩和ケアチームが存在し、随時、小児がん症例も対象としています。この緩和ケアチームは多職種によって構成されており、主治医がいつでもコンサルタントできる体制にあります。
 小児がんのチーム医療につきましては、現在、医師をチームリーダーとして患児とその御家族にかかわる担当看護師、院内学級教師6名、病棟保育士3名、臨床心理士3名、ソーシャルワーカー2名、管理栄養士と薬剤師から構成されております。
 実際には週1回、多職種間での小児がん総合カンファレンスを開催し、全症例の臨床情報の共有とトータルケアについての意見交換を行っております。
 次に、小児がん診療を担う人材の確保と育成につきましては、東北大学病院小児科における小児科研修プログラムinみやぎを通じ、年間10名以上の小児科専門医を育成しており、また、小児科医師養成寄付講座は、その教育内容の向上に寄与しています。指導医のもと、一定期間小児がん診療に携わることで、その底辺を担っています。
 サブスペシャリティとしての小児がん専門医の育成は、日本小児・血液がん学会、専門医研修認定施設として年間約2名がコンスタントに研修を行っています。また、就学的治療の優れた施設に医師を派遣し、さらに基礎研究の経験は小児がん専門医としても重要であると考え、海外留学を含めた基礎研究講座への派遣、連携大学院講座小児血液腫瘍学分野からも大学院生の受け入れを積極的に行っています。
 また、東北大学病院は、12ページにあります東北がんプロフェッショナル養成推進プランの中心的な施設であり、国に現在在籍するがん診療を専門とするスタッフ数を示しますが、各学会の専門医、指導医、多くの認定看護師、薬剤師、医師及び臨床心理士が在籍しております。
 次に、患者の発育及び教育に関する環境整備につきましては、現在、小児医療センター内に小中の院内学級があり、常勤の医師が教育に当たっています。患児の復学支援としては、小児がん総合カンファレンスにおける情報共有のもと、院内学級教師と医師が中心となって、居住地学校と直接連携し、患児がスムーズに復学できるように働きかけています。
 次に、御家族の宿泊施設は、東北大学病院に近接するラッコハウスがあり、ソーシャルワーカーの常勤スタッフがおり、NPO法人が管理を行っています。また、せんだいハウスはこども病院に隣接しており、常勤スタッフとボランティア数名が常勤し、公益財団法人が管理を行っています。
 次に、相談支援と情報共有は、小児科・小児腫瘍科からは患者様からの相談に小児がん診療チームが直接対応しています。また、がんセンターからは、院内にがん診療相談室があり、専任のスタッフによる相談やホームページなどによる情報提供を行っています。
 小児がん患者団体からは、がんの子供を守る会、宮城県支部と密に交流しており、小児がん経験者の集い、家族語らいの会などを通じて、医師が相談支援に当たっています。
 次に、臨床研究への参加状況は、全国の他施設共同研究に参加し、その全ての小児がん治療の臨床研究に参加しています。また、東北大学病院は、臨床試験推進センターが存在し、その有効活用による治験の推進がなされています。
 小児がん拠点病院としての継続性を支持するものとして、17ページに小児医療センターとこども病院内での小児がん診療にかかわる常勤数を示します。小児科・小児腫瘍科は常に10名以上が、各外科系診療科や放射線治療科医師は常に一定以上の常勤医が小児がん診療に携わっています。また、小児腫瘍科と小児腫瘍外科を設置していること、連携大学院講座、小児血液腫瘍学分野の存在が挙げられます。
 18ページに、東北大学病院の小児がん診療における特徴と利点をまとめました。小児科・小児腫瘍科としての特徴は、東北ブロックにおける宮城県立こども病院、小児科関連病院、小児がん診療連携病院との強力な連携関係が構築されています。
 また、免疫不全症合併例の経験が豊富であること。
 宮城臍帯血バンクの設立と運営を通じて、臍帯血移植医療に貢献してきたこと。
 骨髄非破壊的前処置を用いた造血幹細胞移植を積極的に取り入れて、晩期合併症の軽減を図っていること。
 基礎研究でも多くの実績を残していることが挙げられます。
 東北大学病院としては、東北ブロックにおける最大のがん診療連携拠点病院であるということ。
 東北の中心として認識されていること。
 がんセンターやがんプロ養成推進プランによる診療体制の人材育成のシステムが確立されていること。
 基礎研究講座が充実していることが挙げられます。
 最後に、現在の問題点と今後の向上のための計画についてお示しします。
 第1に、長期フォローアップの耐性の向上です。これはモデル県としてのシステム構築を継続し、また情報のICT化のためには、東北メディカルメガバンク機構の活用が可能です。
 次に、遠隔医療の推進です。既に沿岸部関連病院との運用試験が開始されておりますが、東北ブロック特有の問題点としての医療圏の広さと専門医不足を克服し、医師の教育にも寄与すると考えます。
 難治性固形がん治療の向上のための新たな臨床研究として、RISTによる移植の確立、基礎講座と連携した分子標的療法の研究を推進したいと思います。
 以上でプレゼンテーションを終了します。御清聴、ありがとうございました。
○事務局(秋月) それでは、質問をお願いいたします。
 天野構成員、どうぞ。
○天野構成員 御発表、ありがとうございました。私から3点ございます。
 まず、1点目ですが、7ページのほうで長期フォローアップ外来が設置されているという御説明をいただいたかと思うのですが、いわゆる成人のサバイバーの方もこちらで診療しているのかという確認がございます。
 2点目が8ページで、東北大学病院がんセンターの中に小児がん診療チームの設置を予定しているということで、現時点で予定だとは思うのですけれども、いつごろから参加が予定されているか、もし日時等わかっていましたら教えていただければというのが2点目です。
 最後、3点目ですが、家族の宿泊施設ということで、14ページで2つの施設を御紹介いただいていて、車でそれぞれ15分及び30分ということで、ちょっと遠いかなと。ここをどうやって実際患者さんや御家族の方は、例えば送迎バスみたいなものがあるのか等も含めて、何か現状どういうふうになっているか、今後改善とかがあれば御教示いただければと思います。
○東北大学病院 まず、最初の長期フォローアップ外来ですが、成人期以降の患者様については、基本的に小児科でできる限り診ております。ただ、ホルモン補充療法であるとか、婦人科や形成外科といった成人科との連携が長期的に必要な場合ももちろんありますので、その場合には適宜、成人診療科に御紹介しているという状況でございます。長期フォローアップは今、週1回やっておりまして、定期的に診察しております。
 小児がん診療チームとしてのがんセンターへの参加につきまして、どうぞ。
○東北大学病院 小児科の担当をしております呉と申します。
 このがんセンターへの参加は、拠点病院に参加する、参加しないにかかわらず、早期に参加を形成する予定です。
 交通につきましては、街中にありますので、公共機関であるバスが非常に便利なところにありますので、通院に関しては問題ないと思います。
○事務局(秋月) ほかに。
 韮澤構成員、どうぞ。
○韮澤構成員 東北ブロックにおける小児がん診療連携病院の5ページの表なのですけれども、この連携病院を見ますと、それぞれが大学医学部もしくは県立こども病院、その施設施設で十分に小児がんの治療を担える施設が連携病院に入っていると思うのですが、拠点病院の要件というのは難治性もしくは再発例にある意味特化した治療を行える能力が必要だと思うのですが、先生のところだと約2割がそういう再発・難治例ということなのですけれども、再発・難治例に対して特殊な小児医療の固形を含めた領域のリーダーたる治療方法を何かおやりになっているとか、そういうことはございますか。
○東北大学病院 私どもは、難治性再発症例の患者様は主に一施設の難治症例が多いのですけれども、ほかの施設からの患者様も何例かございました。それについて私たちは、例えば神経芽腫でありましたらば、積極的にI131 MIBG療法、これは金沢大学でしかできないのですけれども、そちらにお願いして連携をとって、こちらに戻ってきたらすぐRISTを、骨髄非破壊的前処置による同種の造血幹細胞移植を行うということを今までやってきておりました。良好な成績を得ていると思います。
○韮澤構成員 そうしますと、東北ブロックにおける東北大学病院の立ち位置的なポジションをどの辺に先生方は置いてらっしゃるのかという質問になるのですが。
○東北大学病院 もちろん、各大学の先生は非常に有能な先生方が多いと思いますので、東北大学病院は東北地区の地理的にも中心的都市でありますので、病床数も多うございます。成人診療科も非常にたくさんありますので、そういった東北地区のまとめ役といいますか、中心的な病院としてこれからも機能していきたいと考えています。
○東北大学病院 1つ補足させていただけますか。東北大学病院、東北の中で恐らく最も難治性あるいは再発性の経験を有しているところが大きいと思います。診療に当たる小児専門医の人数、過去に経験した症例数でもほかの東北6県の病院を凌駕していると思いますので、十分な経験を生かしてまとめ役という役割を担っていきたいと思います。
○事務局(秋月) 柳澤構成員、どうぞ。
○柳澤構成員 宮城県立こどもとの関係ですけれども、宮城県立こどもと東北大学、造血器腫瘍に関してはほぼイーブン、固形腫瘍に関しては圧倒的にというか、ほとんど宮城県立こどものほうが診療していない。そういう分担というのはどういう経緯というか、あるいはこの体制というのは今後もずっと持続するような、そういうふうな位置づけで行われているのでしょうか。
○東北大学病院 造血腫瘍につきましては、約半症例ずつ診ております。それは治療方法がほぼどちらも同じだからで、固形がんにつきましては、小児科のほかに治療を専門とする小児外科医や放射線治療医が県立こども病院にはほとんどいらっしゃらないという現状がございますので、東北大学病院で集約的な治療を現在全症例来ていただいてやっているという状況で、恐らく今後もその体制は続くと思います。
○事務局(秋月) 垣添座長、どうぞ。
○垣添座長 私も東北大学と宮城県立こども病院との関係をお聞きしたいのですが、これは例えば固形がんに関して、東北大学を受診するか、あるいはこども病院を受診するかというのは患者さんの選択ですか。あるいは両者の間で、中でやりとりをしておられるのですか。
○東北大学病院 まず、紹介があったときにどちらかに電話が来ます。その時点で悪性の固形腫瘍が疑われた場合には、初診時から東北大学病院に来てくださいとしています。
○垣添座長 わかりました。それと、この両病院の間では定期的にカンファレンスみたいなことはやっておられるのですか。
○東北大学病院 月1回、ドクター間で難治性の症例の検討会をやっておりまして、定期的に合同カンファレンスを開いています。
○垣添座長 それはどちらかの病院に関係者が移動してやっているということですか。
○東北大学病院 東北大学病院に来ていただいてカンファレンスをやっています。
○垣添座長 もう一点。緩和ケアチームで取り扱っておられるのは全症例だと思いますが、大体で結構ですが、その中で小児の患者さんはどのくらい占めておりましょうか。
○東北大学病院 がん相談室に直接来院されている患者さんは、ここ数年で数例なのですけれども、それは先生方のカバーがあるということで小児がんに関しての相談件数が少ないという、現状は少ない形です。セカンドオピニオンの白血病の患者が数例、直接がん相談に相談として参っております。
○事務局(秋月) それでは、最後の質問になります。
 豊田構成員、お願いします。
○豊田構成員 1点だけお伺いしたいのですが、地域との病病連携、病診連携についてなのですけれども、今のお話では、関連病院だけをお話になったと思うのですが、患者さんをフォローアップする場合は、ほかの病院も必ず関与してくるのではないか。小児がんの専門医は少ないですね。それに対して大学間としてどのような支援体制をとられているのか、今後どのような展望を持っておられるのかというのをお伺いしたい。
 一番最後に課題のところで、連携病院の医師の教育と述べておられますが、具体的にイメージがあればお教えていただきたいと思うのです。
○東北大学病院 これは私のほうから説明させていただきます。まず、東北地方の病院には本学で教育を受けた小児科医がたくさん在籍しているということ。その中で血液をやっている医師が多数いらっしゃるということ。
 今は小児科の専門医の育成後、サブスペシャリティの育成として小児がんという1つのコースがございます。そこで毎年2名あるいは3名という方をコンスタントに教育をして地域の病院に出すということをやっています。ですから、継続的にそういう血液を専門にする方を育てて配置することを行っています。
○事務局(秋月) それでは、最後に山本構成員、天野構成員から、簡潔に質問をお願いいたします。
○山本構成員 地方行政の立場から御質問させていただきたいと思います。北海道大学病院では行政との連携協力体制についてプレゼンテーションがありましたが、東北大学病院では行政との連携協力体制の構築についてどのように考えておられるのでしょうか、簡単に御説明いただけたらと思います。よろしくお願いします。
○東北大学病院 1つは、がんプロフェッショナル養成プランあるいはがんの拠点病院ということで、その中の1つとして今後活動していくということがあります。
 もう一つは、宮城県のほうから支援を受ける予定になっておりますので、そちらのほうからの支援を受けて、特に小児がんのほうにサポートいただくという予定です。
○事務局(秋月) 天野構成員、どうぞ。
○天野構成員 ありがとうございます。5ページで小児がん診療連携拠点病院ということで、各県でおおむね1ないし2の施設が挙げられていると思いますが、これ以外に東北地方で小児がんを診療している病院はないのかということ。もしあるのであれば、そことの連携体制はどのようにお考えかということを御教示いただければと思います。
○東北大学病院 非常に少ないと思うのですけれども、ここに御提示した病院以外にも、何例かの本当に少数の患者さんが診療してらっしゃると思います。その患者さんをいかに拠点化して地域の東北ブロックの小児がん診療の経験が豊富な病院に紹介していただくか、連携していくかということが東北地区の最も大事な点だと認識しています。
○事務局(秋月) それでは、東北大学の病院の皆様、ありがとうございました。
 次、福島県立医科大学附属病院の皆様、席のほうへ移動をお願いいたします。
(福島県立医科大学附属病院関係者着席)
○事務局(秋月) それでは、福島県立医科大学附属病院、菊田敦先生、発表のほうをよろしくお願いいたします。
○福島県立医科大学附属病院 福島県立で臨床腫瘍センター小児腫瘍部門の菊田です。よろしくお願いいたします。
 まず、再発・難治症例の現状と今後の取り組みですけれども、現在、私たちは絶対予後不良と言われているターミナルとほかの病院で言われた患者さんたちを受け入れて、その9割が寛解に入って、5割の方が長期生存しています。
 そういうハプロ移植という移植を始めまして、県外からのセカンドオピニオンが20例、地方自治体に移った人たちが16例、この1年半の間におられます。紹介される病院は、そこに示したように全国各地です。関東病院が中心であります。大学病院、こども病院などから紹介されます。
 どうしても30〜40の小児がんの患者さんがいますが、病床は不足気味で、軽症者を多病棟に移床して対応しております。平成28年には新病院が増設されますので、そこで40床の小児がん専門の病床をつくる予定であります。思春期がん患者さんは常時受け入れております。
 地域との連携ですけれども、地域と言いましても、東北地区全体が大学病院でそれぞれ基本的な標準治療は行っていますので、私たちの特徴としては再発・難治の患者さんに対する新規抗がん剤の多施設共同試験を第I、II相試験ですけれども、JPLSG、国立がんセンター中央病院、企業治験など全てを対応しております。これは東北では多分福島だけだと思います。
 それだけでは患者さんは治りませんので、その後、ハプロ移植ということで延命、治癒を目指しております。ハプロ移植が行われるのは多分東日本では福島医大だけであります。東日本全体を対象としています。
 私たちの大学で、ほぼ全てのがん種に自施設で対応可能であります。脳腫瘍に関しましても、脳外科あるいは小児科に行きましても、その時点で患者さんをどちらかが来たということをお伝えして、両方で共同で治療を開始します。網膜芽腫、骨軟部肉腫に対しても同様であります。多分がんの登録数という意味では、小児血液・がん会の登録数がありますけれども、大学の中では1番、2番目だと思います。
 長期フォローアップに関してでありますけれども、フォローアップ外来を週2回行っております。JPLSGの長期フォローアップガイドラインに沿った形で行っております。
 地域医療機関との連携でありますが、主に東日本の各大学病院、こども病院との連携を行っているのですけれども、ハプロ移植で寛解となって地元に帰られる。その後、新しい治療の経験の施設は余りありませんので、担当の主治医と密に連絡を取り合う、あるいは患者さんと直接データのやりとりをして指示を出しているというのが現状であります。標準治療は通常にフォローアップしております。
 進学、就職、結婚、出産などに際しても、長期フォローアップ外来で適宜アドバイスを行っております。
 小児がん長期ケア事業とも連携しております。
 晩期合併症に関しましては、成人各科、脳外科、内分泌内科、産婦人科、整形外科など各科とスムーズに連携して、その日のうちに対応が可能な状況になっております。
 次に、小児緩和ケアの提供体制ですけれども、院内に緩和ケア委員会というのがあります。これは院内の研修、県内の緩和の教育を行っていますが、そこが大元になりまして、私たち小児がんチーム、緩和ケアチーム、患者さんたちの心理的、社会的、身体的、経済的問題に対応しております。
 私たちでなかなか対応が難しい例に対しては、緩和ケアチームと密に連絡をとって、両方で患者さん、家族に対応するやり方をとっています。特に私たちのチームの中に養護学校の先生が入っておりまして、その中では医療以外のいろいろな問題に関してのアドバイスがありまして、情報交換がスムーズにいくような状況になっております。
 次にチーム医療でありますけれども、医師、看護師以外、そこに挙げましたように、私たちの施設で移植が非常に多いです。ですから、臨床移植コーディネーターを養成しつつありまして、ドナー、患者・家族、患者さんに対して移植の説明を十分できるようにしています。
 薬剤師、MSW、栄養士、保育士、患者支援団体が月2回ですけれども、ピアサポートを行っております。養護学校教諭の人たちも、患者さんが入院している間、退院後も学業に復帰できるような形でサポートしております。
 がん診療を担う人材の確保でありますけれども、現在、大学ですので卒業生は十分いますけれども、それ以外に関東圏の主な大学病院であるとか小児病院からハプロ移植の研修ということで申し込みがあります。今後はこれらの人材を即戦力として、あるいは研修して、この移植を全国的に広げていきたいと考えております。
 診療経験のない疾患は原則的にありませんので、そのために特別な医師を確保するという予定はありません。今、協力関係にある病院はそこに挙げましたように、聖路加国際病院、国立国際医療センター、神奈川県立こども医療センター、個人からのオファーがあります。
 地域で小児がん診療を担う医療従事者の育成でありますけれども、そこに既にある4つのプログラムを挙げました。学会の研修認定施設でありますし、がんプロの腫瘍医養成コースに入っております。ここで1人、ことしは大学院生が卒業して、学位と認定医を取得る予定であります。
 それ以外に、私たちの得意としますフェーズI、IIの試験コースあるいはハプロ移植の研修コースを来年度から設ける予定であります。
 専門医の配置でありますけれども、これは主に小児。専門医を持っていて、かつ、このような血液学会の指導医、専門医、輸血学会の認定医を持っている方です。
 1つここで抜けましたけれども、小児外科学会の指導医がおります。これは常勤でおりまして、同学会の悪性腫瘍の委員会でありますし、JNBSGの外科治療の委員でもあります。これは付け足していただきたいと思います。
 次に、発育、教育に関する環境整備。これは私たちの自慢できるポイントの1つですけれども、県立の須賀川養護学校医大分校というのが院内の3階にあります。そこに養護学校教諭が16名おりまして、専門の事務員もおります。小学部3学年3教室、中学部も3学年3教室あります。いろいろな施設が充実しておりまして、就学前教育というのを養護学校の先生たちが就学前の児童たちに行っています。
 AYA世代に対しても、そこに在籍することはできないのですが、勉強の場を提供して学習のサポートを行っております。無菌室内でも移植のときの学習を続けるという方針を取っておりますし、定期的に連絡会議等を行いまして、担当医、担当ナース、養護教諭によって、医療以外のいろいろな問題、家族問題ともそこで話し合われるようになっております。
 復学支援、これはもう十数年前から力を入れるところでありまして、入院したときから復学することがその子の目的であるので、そのための活動を開始します。具体的にはそこにある元の学校とのレター、テレビ電話によって交流を絶やさないようにしています。入院中もこちらの学習の経過、進み具合なども元の学校に伝えて、患者とのやりとりを行っています。
 学校間連絡会議、これは最低1回、退院前に行います。そこに挙げましたように、本人、家族も含めました多職種で行います。そこで患児の病状、治療経過、問題点、家族の抱える問題等についても伝達し、サポートするような仕組みになっております。
 復学後が大切で、復学がみんなスムーズに行くかというとそうではなくて、3〜4割の方はいろいろな問題を抱えております。そういう人たちに対しても問題をフィードバックしていただいて、養護学校の先生が再びそれをサポートしていくというような対応をとっております。
 病棟保育士は専属でおります。そこに養護学校の施設の写真を載せておりますけれども、非常に充実したスペースがあります。移植中の学習ということも行っております。
 長期滞在施設、パンダハウスというのは聞いたことがあるかと思いますが、病院から2.7km、車で4分のところにあります。NPO法人が運営しておりまして、現在、認定NPO法人の手続中であります。
 スタッフは、常勤スタッフが2名、ボランティアが29名、役員15名です。
 窓口は医大の連携室にあります。1室1泊1,000円でありまして、大体親子4人が泊まれる部屋が3室あります。最近は非常に不足でしたので、今年度、3年後を向けて4室の増床を予定しております。この施設のモットーとしましては、再発・難治の患者さんが非常に多いですので、苦しいときこそ最高の環境を提供するということをモットーにしております。
 そこに利用状況がありますけれども、開設してから3,000家族、主に2万人の人が利用しておりまして、昨年1年間だけでも県外から151家族、800人以上の方が利用しています。利用者は東日本全体に及びます。利用者の声がありますので、それを読んでいただければどういう環境かというのがすぐ理解できると思います。
 相談支援体制でありますけれども、相談員は5名おります。このうち1名が小児がんを専門に担当しております。ことしの上半期の相談件数がありますが、これは全て小児がんに関係するもので500件以上あります。相談支援は主に患者家族、御両親が多いです。
 相談内容はそこに挙げましたように多岐にわたっております。情報提供は印刷物、ポスター、ウエブなどで提供しております。
 患者団体との連携でありますけれども、小児がんを担当するソーシャルワーカーが守る会の福島支部の幹事として参加しておりまして、県内の支部活動、患者団体の活動、勉強会、そういうものに対して積極的に支援、参加しております。
 臨床研究への参加状況ですけれども、私たちは昭和60年ぐらいからCCLSGという全国的な小児がんの臨床研究グループに参加しております。このころから、小児がんにおいては多施設共同研究が重要であるというような認識に立って、ほとんど全てのJPLSGの臨床試験に参加しております。固形腫瘍も同様です。特に小児がん臨床試験共同機構というのが国立がんセンター中央病院中心でありまして、そこでは全国で10施設ほどがCOGの正式メンバーとなりまして、海外との共同研究ができるような状況になりまして、今年度から1つの臨床試験が始まる予定です。
 それ以外に自施設としまして、本邦未承認薬の国内導入のための医師主導治験、フェーズI、II試験を行っております。これは私が主任研究者として、ことしから始めました。
 自施設における臨床研究として、これが再発・難治、絶対予後不良の方に対しての売りなのですけれども、難治性の小児悪性腫瘍に対するHLA2,3抗原不適合血縁者間同種造血細胞移植(ハプロ移植)を全国から患者さんを受け入れて行っております。
 継続性であります。これは20年から臨床腫瘍センター小児腫瘍部門として、院内、県外の小児がん患者を一括して把握しております。今後は、大学病院ではなくて大学の方針として小児血液腫瘍科を設ける予定であります。
 以上です。
○事務局(秋月) ありがとうございました。
 それでは、質問をお願いします。
 小俣構成員、どうぞ。
○小俣構成員 御発表、ありがとうございます。3ページの長期フォローアップのところなのですけれども、小児血液腫瘍医の方が御担当していただいていて、そのほかの疾患への対応というのはどのように。
○福島県立医科大学附属病院 そのほかの疾患は、このときにもちょっと述べたのですけれども、こうした人たちは成人の内分泌内科、循環器内科、脳下、精神科等も含めて全て紹介してそこから対応するような形で行っております。
○小俣構成員 では、全ての小児がんの患者さんについては、こちらで窓口になっている。
○福島県立医科大学附属病院 そうです。
○小俣構成員 もう一点済みません。その下のほうに、家族と面談し、適宜アドバイスをということが書いてあるのですが、これは後で出てきます医療連携相談室のほうが対応しているということでよろしいのでしょうか。
○福島県立医科大学附属病院 例えば就職に関しては、医療連携相談室も対応します。主にフォローアップ外来を担当する医者が窓口となりまして、結婚、妊娠、出産とかに対する不妊外来というような形のアドバイスもありますけれども、実際は大丈夫なのですよということも含めて外来の担当医、フォローアップの担当医が行っています。
○小俣構成員 ありがとうございます。医療的な相談をこちらですか。
○福島県立医科大学附属病院 そうです。
○小俣構成員 ありがとうございます。
○事務局(秋月) 石井構成員、どうぞ。
○石井構成員 福島医大では、施設としては小児がんの取り組みが非常にすばらしいとよくわかるのですが、東北地方のほかの大学との連携は今の説明ではわかりにくかったというのと、6ページにあるように、どちらかというと関東地方の病院との連携を重視しているように見えるのですが、その辺はいかがでしょうか。
○福島県立医科大学附属病院 結構北の端は広いのです。患者さんが移ろうと思っても移れないことが多いですから、私たちの再発した人たちに対する相談をかなり受けます。それに対して具体的なアドバイスをして治療の方針とかを決めていただいて、例えばデータのやりとりをしてそこで移植をしてもらうということもあります。来てくれる患者さんは東北地方からでも受け入れて、再発・難治の人をそこで治療して、また元の病院に送るという形をしています。
○事務局(秋月) では、天野構成員、どうぞ。
○天野構成員 ありがとうございます。私から2点ございます。
 まず、1点目が、6ページのパワポの中で、自施設で十分な診療経験のない疾患はないので、そのための医師確保の予定はないという記述があるかと思います。小児がんは御承知のとおり多種多様な貴重なものを含めてあるかとは思うのですが、こういったものも含めて全て対応可能ということでこういった記述があるかという質問が1つ目です。全て対応できるということでしょうか。
○福島県立医科大学附属病院 はい。
○天野構成員 もう一つが、いわゆる東日本大震災及びそれに伴う災害で大変な御尽力の中で恐らく復興されていると理解しているのですけれども、そういった震災の影響かとか何か復興している、残っているということはないということか確認させていただきたいのです。
○福島県立医科大学附属病院 病院としては現実的には何もないです。ただ、そのための事務がふえておりますので、特に事務員の方の採用とか、新たな事務スペースとか、震災の対応のためのスペースが不足しているのは確かです。患者さんはそういう状況でも放射線のことは心配だけれども、治療を受けに福島に来る状況です。
○事務局(秋月) 柳澤構成員、どうぞ。
○柳澤構成員 ハプロ移植に大変力を入れておられる。カバーする領域、2ページには東日本全体と書いてありますが、これはハプロ移植について東日本全体という意味ですね。
○福島県立医科大学附属病院 はい。
○柳澤構成員 これは現在は先進医療としてやっておられるのですか。
○福島県立医科大学附属病院 臨床試験としてやっています。
○柳澤構成員 今後の見通し、そういうことが一般的な治療としてかなり広く行われたときには、福島医大としてはどういうふうな状況になるのか。
○福島県立医科大学附属病院 これはハプロ移植を指導する中心的な施設としてやっていくつもりでありますし、多分この移植が普及するためには、国内であと5〜6年はかかるだろうと思います。そのため、その間はずっと指導していきたいと思います。
○事務局(秋月) 山本構成員、どうぞ。
○山本構成員 石井構成員の質問の続きになろうかと思いますが、福島県立医科大学病院は、東北ブロックの拠点病院の候補ではないかと思われます。そうした場合、北東北からは患者さんの移動が難しいというお話が先ほどもありましたが、具体的な話として現時点で北東北3県の病院と連携がとれているのかどうか。仮に連携がとれていないとすれば、今後どうやってブロックの中核病院として責務を果たしていくべきなのか、そういったお考えをお聞かせいただけたらと思います。
 もう一点、行政との連携、取り組み状況についてもあわせて御説明いただけたらと思います。
○福島県立医科大学附属病院 東北との連携でありますけれども、例えば仙台と福島は新幹線で25分です。福島であろうと仙台であろうと、距離は東北のほかの県から比べると違いはないかもしれないです。秋田、青森、岩手とかは遠いのですけれども、遠くの患者さんというのは地元の病院で治療したいという意向が強いです。ですから、そこで再発・難治でどうしようもないという方は相談を受けて、それに対して具体的な治療のアドバイスをして、その方法でやっていただいてうまくいく人もありますし、やはり失敗してもいいから地元でやりたいという人もいますので、そういうふうな形でやっていただいて、来られる方は来ていただいて、あと治療して帰っていただくというような対応です。
 あと行政ですね。行政に関しましては、昨年ですけれども、福島県の議会で小児がん拠点病院を福島につくるというような議決をしております。それに対して行政側も十分対応しますというような検討をいただいておりますので、県として、行政として、一般庶民の代表の議員として、それを全てバックアップしていくというような状況にあります。
○山本構成員 御説明ありがとうございます。
 そういたしますと、具体的に確認したいのですが、私は秋田県在住ですけれども、秋田県の中核病院である秋田大学病院あるいは中通病院との連携は現在もあるという理解でよろしいでしょうか。
○福島県立医科大学附属病院 十分あります。
○山本構成員 ありがとうございます。
○事務局(秋月) ほかに質問はございますでしょうか。
 韮澤構成員、どうぞ。
○韮澤構成員 4ページと5ページに小児緩和ケア及び小児チーム医療のところで、メディカルソーシャルワーカーというのは必ず参画させていらっしゃるというのは大変なことだと思うのですけれども、実際の実数としては何名ぐらい先生はメディカルソーシャルワーカーを小児がんに特化して。
○福島県立医科大学附属病院 1名です。
○韮澤構成員 それは病院全体で1名ということですか。
○福島県立医科大学附属病院 はい。
○韮澤構成員 その方が成人も小児もおやりになっていることですか。
○福島県立医科大学附属病院 主に小児です。相談員は5名います。そのうちの1人が小児に特化してらっしゃるということです。
○韮澤構成員 わかりました。
○事務局(秋月) ほかに質問はございますでしょうか。
 垣添座長、どうぞ。
○垣添座長 相談支援のことなのですけれども、先ほど御質問がありましたけれども、就職支援がなかなか小児がんの患者さんにいろいろと伺うと、多くの困難を伴うと聞いておりますけれども、福島医大の就職支援に関しては、こういう顕著な実績が上がったとか、そういう事例があったらお聞かせ願えませんか。
○福島県立医科大学附属病院 具体的な事例ですね。
○垣添座長 具体的でなくてもいいですが、つまり、就職支援でうまくいったというのがたくさんあるかどうかという。
○福島県立医科大学附属病院 うまくいった例がたくさんあるかというと、なかなか難しくて、非常勤の採用であるとか派遣の会社での採用でそこから派遣されているとかという方も結構います。中には当然、医師とか看護師とか放射線薬剤師とかになっている方も普通の一般の方の割には多くいます。就職支援はなかなか難しいですね。
○垣添座長 それはよくわかっての御質問なのですが、ありがとうございます。
○事務局(秋月) では、残り1分ですけれども、どなたか。
 豊田構成員。
○豊田構成員 学習支援のところで非常に感銘を受けたのですが、造血幹細胞移植中の患者さんに無菌室学習、これは非常に大変なことではないかと思うのですが、そこの辺りはいかがでしょうか。ぜひ継続していだきたいものですから。
○福島県立医科大学附属病院 大変ではないです。2人の先生が担当しまして、1人でずっとやるのは大変なのですけれども、養護学校教諭が16名いますので、そのうちの2人が移植のときに対応して、交替で入る。患者さんもかなり具合が悪い状況もありますので、当然やらないときもあります。その日の状況に応じて、午前中1時間だけとか、午後1時間だけとかというような対応をしてやっています。もう15〜16年以上前からやっていると思います。
○事務局(秋月) それでは、終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
 次、広島大学病院の皆様、席のほうへお願いいたします。
(広島大学病院関係者着席)
○事務局(秋月) それでは、広島大学病院、小林正夫先生、発表のほうをよろしくお願いします。
○広島大学病院 広島大学病院小児科の小林です。よろしくお願いいたします。
 それでは、広島大学病院の実績と拠点病院としての小児がん中国四国ネットワーク構想につきまして、説明させていただきます。
 平成15年開設の広島大学病院入院等の民間調査ですが、全国の頼れる病院ランキング1,200病院中の広島大学病院の位置づけでございます。
 2ページ目にまいります。広島大学でのこの3年間の小児がん診療実績です。造血器腫瘍、固形腫瘍、脳腫瘍あわせて、年平均50例です。患者さんの4分の3が広島県民、4分の1が山口県と島根県です。3年間ですが、無病生存率が約80%です。山口県の小児がん診療施設が十分でなく、近年、紹介患者数が増加しています。症例数の増加に対し、広島赤十字原爆病院をとった病床管理を行っています。
 再発・難治症例に対しては、いずれの施設も治療に苦労されていると思いますが、当科では造血細胞移植療法に積極的に取り組んでいます。この数年の造血器腫瘍、固形腫瘍に対する移植症例数とその成績を示していますが、比較的よい治療成績と思っています。
 3ページに移ります。広島大学での造血幹細胞移植症例数の増加を示しています。広島大学病院には、全てがクリーンルームの先進医療病棟があり、その中に移植用のバイオクリーンルームを4床備えています。移植には十分な病床を有しています。
 GMP基準の再生医療部を利用した細胞療法も可能です。治療成績の悪い進行期神経芽腫に対し、KIRミスマッチのタンデム移植を国内の数施設と共同で開始しており、治療成績の向上が期待されております。
 4ページと5ページをあわせてごらんください。中国四国地方の拠点病院としての構想です。「小児がん中国四国ネットワーク」を設置し、広島大学病院を中心として、各県の連携病院、地域協力病院並びに行政と患者会を含めたネットワークを考えています。連携病院には、小児血液・がん暫定指導医が指導に当たる施設あるいはJPLSG認定施設を中心とし、小児がん診療の均てん化を目標とします。
 中国四国地方は交通の便が悪いので、テレビ会議システムの導入を考えています。5ページの地図に連携候補病院を示していますが、まずは各県の小児がん診療の実態を早急に調査します。その上で、先進治療を含め、どの部分をどのように集約化していくのかを議論したいと思います。定例のテレビ会議システムにてキャンサーボードの設置をし、患者情報の共有、新規症例の診断と治療、難治再発症例への対応等、定期的に議論をし、中国四国地方一体となって小児がん診療の向上に努めていきたいと考えています。
 6ページです。思春期がんにつきましては、16歳、20歳を境として、血液内科や関連外科部門との連携をとった診療を行っています。広島大学病院では、ほとんどの小児がんに対応できる体制が整っていますが、一部網膜芽細胞腫の局所療法では、国立がん研究センターへの紹介を行っています。
 広島県では、平成27年度に広島高精度放射線治療センターが開設予定です。現在は、患者さんを他県に紹介していますが、広島におきましても小児がんの高精度放射線治療が可能となります。
 今後の拠点病院としてのカバーは、中四国が中心ですが、近隣の福岡県、兵庫県、そして関西九州地区の拠点病院との連携は必須と考えております。
 7ページです。平成19年度から厚労科研研究班におきまして、広島大学病院は長期フォローアップ拠点モデル病院に設定される、その体制の確立を行ってまいりました。週1回ですが、各主治医も専門外来の中で同様な長期フォローアップを行っています。患者さんの定期的フォローの中で、小児内分泌、循環器、神経の専門医師、産婦人科、泌尿器科医師、社会復帰支援をする心理士等が連携をとった診療体制を構築しています。
 最も大切なのは、治療を終えた長期生存者との連絡がとれなくならないように追跡することで、最低でも年1回の受診を勧めています。わかりやすい長期フォローのために、手帳の記載と携行を推奨しています。晩期合併症については、その疾患にあわせ、関連診療科と連携がとれるようにしています。
 8ページです。広島大学病院の緩和ケアチームを右の表に示しています。小児部門の特徴は、新規患者あるいは再発患者が入院しますと、年齢に応じて臨床心理士会、チャイルド・ライフ・スペシャリストのどちらかが初期対応することです。この職種は医療者と同じように患者家族に接し、サポートを開始いたします。その後は経過に応じて、かかわりの度合いを調整していきます。終末期あるいは疼痛緩和の必要が生じた場合には、病院全体のチームと相談し、対応しています。
 臨床心理士やチャイルド・ライフ・スペシャリストが患者さん家族と初期から関係をとっていくことは、患者側と医療側のお互いの信頼を得る上で非常に大切なことと考えています。
 9ページです。広島大学病院小児血液・腫瘍医療チームの体制を示します。2004年に開始したトータルケア体制が徐々に整備され、図のような多職種が、患者家族の心理的、教育的、社会的支援につながっています。私は教育学研究会に在籍した経験から、教育学研究会、心理学講座と継続した連携を図っており、心理教育面での種々の指導を受けています。定期的カンファレンスに加え、必要に応じたミニカンファレンスを毎週開き、患者家族へのきめ細やかな対応を行っています。
 10ページ、このトータルケア体制は2010年に受診しました病院機能評価におきまして、小児科病棟のチーム医療のあり方、臨床心理士やチャイルド・ライフ・スペシャリストのかかわりが非常に高く評価されています。拠点病院としての特徴を中国四国の連携病院にも拡大していく必要があると考えています。
 11ページです。広島大学病院では、小児血液・がん専門の医師を初め、小児外科、脳神経外科、がん化学療法科など、多くの診療科と協力して小児がん専門の医療が展開できています。この診療体制を維持できるように、各診療科で医師確保を行っています。小児科におきましても、新臨床研修制度の導入後も毎年平均8名の新小児科医の確保ができています。年2名程度は血液・がん診療に興味を持っていますので、持続的な医師養成は可能と考えています。
 12ページ、現在、山口県には小児血液・がん診療を専門としている医師、施設が不在の状況です。文科省の医療人養成推進事業でも、広島大学病院は山陽路・高度医療人養成プログラムの採択を受けたことを利用し、この3年間、山口大学医師の育成支援を行ってきています。今後もこのプログラムを利用しながら、広島大学病院小児科の特徴を多施設の人材育成に発展させていく予定です。
 13ページです。患者の発育、教育に関する環境と体制は、臨床心理士、チャイルド・ライフ・スペシャリストが中心です。その評価については、既に述べさせていただきましたが、それぞれの職種の役割を明確にし、対応を行っています。入院治療、復学支援、継続した外来治療まで、一貫性と統一性を持った支援を心掛けています。入院治療を受けられる患者家族が家庭にいるのと同じ環境を提供できるよう、種々の試みを行っています。
 14ページにまいります。家族の宿泊施設が病院と同じ敷地内にあるレジデントハウスの3室を提供することとしています。徒歩2分以内ですので、家族には非常に便利です。病院と契約しているホテルも広島駅近くにありますが、料金は高めとなります。現在、広島県が小児がん患者家族のための専用宿泊施設の設置に向けて議会に諮っているところですので、今後、さらに安価での家族宿泊サービスが可能になると思っています。
 広島大学病院には、がん相談室と難病対策センターの2つが設置されています。がん相談室は、成人のがん相談中心ですが、小児も利用は可能です。難病対策センター広島は、患者家族の相談と支援を目的に、平成16年、広島県からの委託を受け、広島大学病院内に開設され、小児部門は平成17年に開設されました。小児がんに関する相談支援も数多くこなしてきています。相談員は臨床心理学を習得した専任看護で、県内各地で定期的に小児難病交流会を開催し、病気の説明や相談事業を行っています。
 患者団体とは、平成13年に設立されましたがんの子どもを守る会広島支部と連携しています。事務局を小児科医局に置いていますので、年1回の総会、年3回の交流会で相談事業を展開しています。病棟では月2回、定期的にミニミニ幼稚園を開き、種々の催しを患者会の協力のもとに行ってきています。
 15ページです。臨床研究は広島大学病院の臨床研究部試験部門、自主臨床試験研究部門の審査体制のもとに、JPLSGを初めとした造血器腫瘍、神経芽腫、肝芽腫など、多くの治療研究グループに参加して、共通の初期治療を行っています。
 最後のスライドにまいります。広島大学病院では、小児がん拠点病院として、小児血液・腫瘍科を設置し、中国四国地方の小児がん拠点病院としての診療体制と人材育成を維持していくことを同席の院長、副院長からも確約を得ています。来年度には新診療棟での診療が開始されますので、さらなる小児がん患者、家族のトータルケアの発展を含めた先進的小児がん医療を担っていくつもりです。
 以上でございます。御清聴、どうもありがとうございました。
○事務局(秋月) ありがとうございました。
 それでは、質問のほうをお願いいたします。
 天野構成員、どうぞ。
○天野構成員 御発表、ありがとうございました。私からは3点ございます。
 まず、1点目が4〜5ページで御説明いただいた「小児がん中国四国ネットワーク」は大変すばらしいことで、もし仮に広島大学病院が指定された場合、これはぜひ取り組んでいただきたいと思うのですけれども、これはいつぐらいに稼働し始めるかということについて教えていただければというのが1点目です。
 2点目が宿泊施設について、御説明の中でも、現在若干高めという御指摘があって、ほかの施設に比べると現状高めだと思うのですけれども、県議会にも諮られているということかとは思うのですが、広島大学の施設ということで、何とか現状でもさらに何かこういった運営上のより安価な提供とかが期待できないのかということについて2点目でございます。
 あと3点目、これは前回の会議で出た資料で、いわゆる全国の今回申請している施設の中で脳腫瘍の診療数があって、たしか広島大学は私の記憶が正しければ、今回申請している資料の中では全国3位の脳腫瘍の診療実績があったかと思うのですけれども、中四国における脳腫瘍の診療体制、また場合によっては全国の脳腫瘍の診療体制について、もし御意見等があれば教えていただければと思います。
○広島大学病院 それでは、1点目のネットワークの設置する時期でございますけれども、私どもの施設がもし中四国の拠点病院として選定されましたらすぐにでも稼働したいと思っていますし、ある一定の病院につきましては、この申請にあたりまして内諾を得ておりますので、可能な範囲で早くに、このネットワークを動かしていきたいと思っています。
 また、一部の鳥取大学、島根大学は、がんプロフェッショナル養成プランにおきまして、もう既にテレビ会議のシステムも導入しておりますので、それ以外の施設にテレビ会議システムをなるべく早くに設置して、キャンサーボードを動かせるようにしたいと考えております。
 患者宿泊施設、確かに広島大学にとりましては十分ではないかもわかりませんし、しかし、料金も少し高めということがございます。先ほども少し述べさせていただきましたけれども、これに対しまして広島県が今医師会とともにバックアップ体制をとってくれておりますので、近いうちに、もう少し安価で利用できやすい患者家族の施設ができるのではないかと期待しております。
 3番目の脳腫瘍に関しましては、今、うちの脳神経外科のほうに脳腫瘍のグループがございまして、ここがかなり手広く全国的にいろんなことを展開しておりますので、患者さんが非常にたくさん集まりやすいという状況にあると思いますので、これも1つの広島大学の目玉として、拠点病院として役割を果たしていければと思っております。
○事務局(秋月) それでは、ほかに質問はございますか。
 石井構成員、どうぞ。
○石井構成員 ありがとうございました。おおむね大体御説明いただいたと思うのですが、1つだけ山口県の状況なのですが、山口県は今、全国でも非常にまれな小児がん研修施設がない県なのです。ですから、隣の県として、ある程度それをバックアップしていく体制が必要ではないかと思いますが、その辺はどういうふうに考えておられますか。
○広島大学病院 これは山口大学の中の問題でもあるかと思いますけれども、そこに血液・がんの専門医がいないという状況でございますので、この3年間、山口大学からドクター、血液・がんに興味を持たれる先生に来ていただいて、うちの病院で今指導しているということで、なるべく早くに先生に血液専門医、そして小児血液・がん専門医を取得していただいて、山口大学の中で活躍していただけるようにと思って、今は指導のほうをしております。
 その間は、やはり山口県の患者さんにつきましては、広島県あるいは西部地区になりますと福岡県のほうが交通の便がいいかと思いますので、そういったところは連携をとりながら山口県の患者さんの不便のないようにしたいと思っております。
○事務局(秋月) 小俣構成員、どうぞ。
○小俣構成員 御発表、ありがとうございます。3点ほど御質問があります。
 4ページのところですが、守る会の名前があります。これは親の会ですけれども、本人さんの会が幾つかあると聞いておりまして、ここにどんなふうに入るのかなというのが、今後のことでもよろしいのですが、お聞きしたいなと思いました。
 2点目は、長期フォローアップや復学支援などに大変力を入れておられてすばらしいシステムだなと思うのですが、社会的な相談に対する対応というのが、ここでどなたがどんなふうにというのが少し見えにくくて、そこにソーシャルワーカーがどのようにかかわっておられるのかということがわかればいいかなと思いますので、御教示をお願いいたします。
 もう一つは、患者の発育及び教育に関する環境整備のところで、AYA世代の人たちへの環境整備というのはどのようにお考えかということを御教示いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○広島大学病院 患者家族の会における御本人の参加状況でございますけれども、14ページに少し書かせていただいておりますけれども、小児がん患者団体との連携というところで、がんの子どもを守る会広島支部の中に、交流会として3つ、しんじゅの会、ハート&ハート、MAKTYというのをつくっております。特にMAKTYというのは、患者さん本人の集まりになっておりますので、こういったところで患者さん自身がお互いに交流して向上していくという体制をとっております。
 2点目が、長期のフォローアップ体制あるいは社会的な支援ということになりますが、これも14ページのほうに、相談、情報提供についてということで、先ほど説明いたしました広島大学の難病対策センターに小児難病相談室というのをつくっております。ここに専任の看護師あるいは臨床心理士さんがおりまして、ここで就労支援であったり、あるいは在宅医療支援がありますし、ここにはソーシャルワーカーの方も1人いらっしゃいますので、そういったところと連携して患者さんの長期の支援をできるような体制をとっております。
○広島大学病院 小児科の川口と申します。
 AYA世代の環境整備につきましては、同じ小児病棟の中に学習室がございまして、その中で時間をある程度区切りながら、少し平日の午後とか土日の午後の時間は、年長の子供さんが使われる。逆に年少のお子様はプレイルームという、写真にございますようなプレイルームで主に遊んでいただくというような環境整備を行っております。また、院内学級は別のフロアーに小学校、中学校、それぞれございまして、それぞれのお子さんがそこで学習をしていただくというような状況です。
○事務局(秋月) 柳澤構成員、どうぞ。
○柳澤構成員 グループスタディにたくさん加入しておられますけれども、それ以外に、より基礎的あるいはトランスレーショナルなリサーチへの取り組みといったようなことに関して、先生に御質問です。
○広島大学病院 先ほど1つだけ紹介させていただきましたけれども、進行期の神経芽腫に対しましては、KIRミスマッチのタンデムの造血細胞移植をやっていますし、それ以外にも骨肉種の肺移転制御に関する研究であったり、あるいは造血幹細胞移植後のGVHD、GVT効果と制御性T細胞に関する研究をしていたり、小児肝がんのスタディグループのいろんな分子基盤の整備のもとについては分子標的療法を行ったり、ゲノミクスとセロミクスを用いた小児腫瘍の分子標的探索なども、これは小児外科の先生が中心でございますけれども、そういった基礎的な研究と、それをトランスレーショナルリサーチとして発展させる試みはしております。
○事務局(秋月) 残り1分ですが、山本構成員、お願いいたします。
○山本構成員 私から、4ページ、5ページの「小児がん中国四国ネットワーク」(案)について2点お聞かせいただけたらと思います。
 まず、1点目ですが、4ページ目に行政との連携で広島県あるいは各県自治体と連携するような絵が描かれていますが、現時点では具体的にどの程度まで話が進んでいるのかについてお聞きしたいと思います。
 2点目ですが、5ページ目に連携病院のリストがありますが、この中で特に広島県から地理的に遠い徳島県とか高知県との現時点での連携状況、あるいは今後の連携強化に向けてのお考えについて教えていただければと思います。
○広島大学病院 まず、行政とのかかわりでございますけれども、恐らく各県に健康福祉局のようなところにがん対策の部署があるだろうと思いますので、そういったところの考え方と広島大学病院あるいは各県の連携される病院が一体となった小児がんに対する治療戦略を考えていかなくてはいけないだろうと思いますので、それは行政との密な関係というのをそれぞれ築いていきたいと思います。
 特に広島県の場合には、広島大学と広島県の行政とは非常によく交流をしておりまして、先ほど述べました小児がんの患者家族の施設につきましても、広島県でそのように取り扱ってくれていますので、今後一緒に行政と一体となった運営をしていきたいと考えています。
 確かに中四国地方というのは交通の便が悪いので、徳島あたりになりますと、広島に来ていただいて患者さんの治療をするということは、かなり患者さん家族にとって負担だろうと思います。各県にそれぞれ小児がんの治療を専門にするドクターがいらっしゃいますので、できましたらテレビ会議システムでお互いが相談しながら、どういう治療戦略を立てていくかということを各施設の専門の先生方と一緒に議論する中で治療戦略を考えていければと思いますし、ゆくゆくは中四国の9県の中にも、愛媛大学であったり、岡山大学であったり、小児がんの治療を専門にするところがございますので、そういったところを準拠点病院的な扱いにして治療戦略を考えていければと思っております。
○事務局(秋月) それでは、広島大学病院の皆様、ありがとうございました。
 続きまして、埼玉県立小児医療センターの皆様、席へお願いいたします。
(埼玉県立小児医療センター関係者着席)
○事務局(秋月) それでは、康勝好先生、御発表のほうをお願いいたします。
○埼玉県立小児医療センター 小児医療センターの血液・腫瘍科の康です。
 それでは、あらかじめ御指定いただきました項目に沿って、発表させていただきます。
 2ページ目、まず、集約を進めていくべき疾患・病態ですが、従来まで当センターは基本的には埼玉県内の患者さんに対して責任を持って、余裕のある範囲内で他県の患者さんを受け入れるというのが基本方針でした。今後、小児がん拠点病院に指定された暁には、今まで以上に近隣の他県からの患者さんの受け入れをふやしたいと考えています。
 具体的には、再発・難治例ということになりますが、現時点での検討では、今後、年間10〜15例程度、再発・難治例の受け入れを増加することが可能です。また、当センターは小児がん領域の治験にも非常に積極的に取り組んでおりまして、治験への参加を希望される患者さんに関しては、可能な限り受け入れる方針であります。
 次に、思春期の患者さんです。当センターでは、この数年、高校生以上の思春期の患者さんに関しても積極的に診療に取り組むように方針を転換してまいりました。本年も3名の症例を診療しています。私たちの病院は小児病院ですので、思春期の患者さんを受け入れる際に当たっては、プライバシー等に配慮した療養環境の整備が課題ですけれども、2016年に開院する新病院では、思春期の患者向けの病床を整備する計画です。
 3ページ目、標準治療の確立している疾患・病態に関しては、基本的に地域の医療機関で診療していただき、当センターはコンサルテーション機能を果たしていきたいと考えます。さらにこのような患者さんが再発・難治などによって濃厚な治療が必要になった時点で、当センターでの受け入れを検討したいと考えています。
 また、当センターで診療経験がない疾患は骨肉種と網膜芽腫ですが、これらの疾患については、それぞれ日大板橋病院や国立がん研究センター中央病院に依頼しています。そのほか、PET検査などの特殊検査、特殊治療については、資料に示すような施設に御依頼し、連携して診療に当たっています。
 4ページ目、図に、過去3年間にわたって、当センターが小児がん診療施設から症例を受け入れた地域とその件数を示しています。その多くは地理的要因や造血幹細胞移植などを目的にした転院です。今後、当センターが連携を図るべき地域は、やはりこれらの6都県であると考えています。
 5ページ目、当センターでは、化学療法もしくは放射線療法を行った小児患者さんは、全例、少なくとも成人するまでは当センターでフォローアップしています。20歳になられた時点で、患者御本人と家族の希望を聞いて協議をした上で、引き続き当センターでフォローアップを行うか、成人施設に紹介するかを決定いたします。
 当センターでのフォローアップを希望された場合には、現在では30歳を上限としてフォローを行っています。2016年に新病院に移転した後は、埼玉赤十字病院と隣接した病院で診療を行うため、これまで以上に充実した長期フォローアップが可能になると考えられ、30歳という上限についても再検討を行っていきたいと考えます。
 6ページ目、緩和ケアです。当センターでは、昨年度、緩和ケアチームを発足させ、小児緩和ケアに積極的に取り組んできました。右下の表に、過去2年間取り組んだ緩和ケアチームへの依頼件数を示しています。緩和ケアチームの活動の実際は、週1回の院内のラウンドと月1回のカンファレンスです。また、全職員を対象とした院内の集合研修を今年度4回行いました。
 7ページ目、チーム医療について述べます。当センターのチーム医療の最大の特徴は、医師ではなく看護師を中心としてコーディネーター役を務めているということです。医師ももちろん全人的な観点で診療を行いますが、どちらかというと身体的な診断、治療に力を注ぎ、精神、心理的な問題であるとか、患者家族などの社会的な側面については、看護師が窓口枠となってさまざまな連携を各部門と行うことによって、チーム医療を円滑に進めています。当センターには小児看護専門看護師を初め、さまざまな分野の認定看護師がおり、受け持ちの看護師と連携することによってチーム医療を円滑に進めています。
 8ページ目、資料には連携すべき各専門分野のスタッフを明記していますが、本日は特に放射線治療について述べさせてください。当センターでは、放射線技師が看護師と共同してプリパレーションを行うことによって、年少児でも可能な限り鎮静薬を使用せず放射線治療を行うことに取り組んでいます。この結果、造血幹細胞移植の前処置である、全身放射線照射を行うに当たって、5歳以下の患児でも70%は鎮静剤を用いず照射に成功しています。このようなことは大学病院のような大規模の施設では到底不可能であると考えられ、当施設として大変誇りに思っている実績です。
 9ページ目、人材の確保について述べます。現在、当センターには、血液・腫瘍科に常勤医4名、常勤的レジデント4名が在籍しており、そのほか外科系各科、放射線科、病理部がおります。当センターでは、先ほど述べましたような看護師を中心とするチーム医療が非常に円滑に遂行されているため、医師が治療に専念できる環境があります。そのため、小児がんの患者数が非常に多いのですが、現在のスタッフで十分な診療時間が確保できています。今後の患者増加に当たっては、医療秘書の活用やCRCの新規採用等によって対応していきたいと考えています。
 人材確保については、現在、東京大学小児科を中心とする多数の大学病院と連携して人材の確保に努めています。これらの大学病院からは、今後も継続的に人材派遣に協力していただける旨の約束をいただいており、今後の人材確保も十分に可能と考えています。
 10ページ目、左側の図に、これまで在籍した医師の在籍期間、右側にこれまで在籍した医師の現在の診療状況について示しています。これまで当センター血液・腫瘍科には61名の医師が在籍しましたが、このうち40名が現在も大学病院や小児病院を中心として、小児がん診療に携わっています。当センターが小児がん診療を担う人材の育成に多大な功績を残してきたことを示していると考えています。
 11ページ目、現在の研修体制ですが、当センターは、小児血液・がん認定研修施設として認定されており、暫定指導医3名が在籍しています。年間の新規小児がん症例数は70〜90例と非常に多く、2年間研修を行うことで、小児血液・がん専門医を取得するために十分な症例を経験できます。また、2年間の研修以外に、1年間や3〜6カ月などの短期研修も受け入れています。専門医の取得状況ですが、過去3年間でがん治療認定医を3名、血液専門医を5名が取得しています。研修の内容ですが、当センターではon the job trainingを基本としています。上級医の監督のもとで患者の主治医と診療することによって、小児がん診療の十分な経験を積むことを基本としています。
 そのほか頻繁なカンファレンスを開催したり、最低でも年2回以上の学会・研究会での発表を行うことによって、エビデンスベースに身に着けていただきたいと考えています。
 12ページ目、患者の発育や教育に関する環境です。当センターでは24時間面会が可能であり、制限がありません。また、保育士が在籍するきょうだい保育室を利用して、小児がん患者のきょうだい支援を行っています。このような小児がん患者さんのきょうだい保育について取り組んでいる施設は国内でも少ないと考えており、当センターの特色の1つです。そのほか病棟保育士やCLS(チャイルド・ライフ・スペシャリスト)による遊びの提供や、ボランティアによる読み聞かせなどの取り組みを行っています。
 13ページ目、教育に関して述べます。当センターには、埼玉県立岩槻特別支援学校が併設されており、就学訪問教育を実施しています。特に復学支援について力を入れておりますので、この点について少し詳しく述べます。
 当センターでは、小児がん患者さんが地元の学校に戻る際には、全ての患者さんで四者面談というのを行っています。四者面談と言うときの四者とは、私たち医療者、特別支援学校の職員、保護者及び患児、復学校の職員です。
 この四者が一堂に会して、復学に関するさまざまな問題点を話し合っています。四者面倒に先立つさまざまな準備、四者面談後のアフターケアも含めて、このような四者面談を行うことによって、当センターでは小児がん患者さんが地元校に戻る場合にほとんど問題を感じず、皆さんスムーズに戻れています。こうした取り組みをぜひ全国に広げていきたいと考えています。
 14ページ目、宿泊施設等ですが、当センターは病院敷地内に3室の宿泊施設があります。また、近隣に「あすなろの家」という10室の宿泊施設がございます。病院内には4名の利用が可能な家族仮眠室があります。
 15ページ目、心理社会的な相談支援の内容です。当センターには、ソーシャルワーカー3名及び看護師3名が在籍する地域連携室があり、小児がん患者及び家族の社会心理的な相談支援に当たっています。
 過去3年間の具体的な相談内容を図に示しています。内容を見ますと、医療費、家族・心理、保育・教育、生活・きょうだい、福祉制度など、非常に多岐にわたる相談内容に対して地域連携室が支援に当たっています。
 16ページ、また、この地域連携室は、他の関係機関との密接な連携を行っています。具体的には保健機関、福祉機関、他の医療機関、外国人支援機関などです。このような関係機関と地域連携室が窓口となって連携をすることによって、小児がん患者の支援に取り組んでいます。
 17ページ、臨床研究への参加状況です。17ページには、日本小児白血病リンパ種研究グループ(JPLSG)で行われている臨床研究に対する登録症例数を示しています。図は、JPLSGの症例登録数上位11施設を示していますが、ごらんのように、当センターは日本全国でも最も多くの患者さんを登録しています。
 18ページ、JPLSG以外にもさまざまなグループ研究に取り組んでいます。このような研究グループにおいては、症例登録を行うだけでなく、運営委員や患児、治療研究員として積極的なグループ運営や治療計画の立案に携わっています。また、数少ない小児がん関連の知見にも積極的に参加しており、これまでに抗がん薬や支持療法薬の治験実施施設となり、患者の参加を得てきました。
 19ページ、当センターは大学病院ではありませんので基礎的な研究は行っていませんが、豊富で多様な症例経験を広く共有し、小児がん診療の進歩に貢献するため、積極的に学会発表、論文発表を行っています。資料には、過去2年間に行った学会発表や掲載されている論文数を示しています。
 20ページ、継続性についてです。現在、当センターには約15%を占める40名の患者さんが小児がん患者さんであり、今後、中心的な診療を行っています。また、計画中の新病院においては、病棟全体をクリーン化した28床の無菌病棟が計画されており、さらなり診療機能の向上を図っています。
 以上です。ありがとうございました。
○事務局(秋月) ありがとうございました。
 それでは、質問をお願いいたします。
 石井構成員、どうぞ。
○石井構成員 ありがとうございました。すばらしい施設というのはよくわかりましたけれども、2つほどお聞きしたいのですが、5ページにある長期フォローアップ体制に関しましては、内科との連携に関しては、各患者さんによって、連携する施設を変えるという理解でよろしいですか。
○埼玉県立小児医療センター そのとおりです。埼玉県内もしくは都内の施設が多いのですけれども、二十歳を過ぎますと、進学とか就職とかでさまざまな地域に埼玉県内から移動されますので、患者さんの希望される地域によって現時点では連携施設を変えています。
○石井構成員 もう一つ、臨床研究なのですが、今、多くの臨床研究に参加して積極的にやっていただいているのですが、もう少し上の臨床試験あるいはトランスレーショナルリサーチ、そういう面での取り組みというのはいかがでしょうか。
○埼玉県立小児医療センター 先ほど述べましたように、抗がん薬のようなある程度海外で実績のあるようなお薬に関しては、当センターとして積極的に受け入れたいと思っているのですが、トランスレーショナルリサーチというレベルになりますと、どちらかというと当センターは患者さんを供給する基幹病院、患者さん、もしくはサンプルを提供する病院という位置づけとして役割分担をしたいと考えています。
○事務局(秋月) 天野構成員、どうぞ。
○天野構成員 御発表、ありがとうございます。2点ございます。
 1点目ですが、今回の申請施設の中でかなり多くの症例を診ていただいていると理解しているのですけれども、宿泊施設が申請書のほうを見ますと3室と記載があったかと思いまして、症例数の多さに比べるといささか少ないような印象をうけるのですが、それは今後拡充の方向性とか、そういったものがあるのかというのが1点目の質問でございます。
 もう一点目が、患者会と連携する形でピアサポートを行っているということで、これは小児がんのみならず小児難病でも今後非常に期待されるところだと思うのですけれども、具体的にどういった形で実施されているかをもう少し詳しく教えていただければと思います。
○埼玉県立小児医療センター ありがとうございます。まず1点目ですけれども、当センターは従来、やはり埼玉県内の患者さんが中心でしたので、それほどたくさんの宿泊施設は必要としていなかったのが実態です。ただ、今後小児がん拠点病院ということになりますと、他県からの受け入れがふえると思いますので、計画されている新病院では宿泊施設を7室に増加する予定になっています。
 もう一つ、資料の中で述べましたが、あすなろの家というのは比較的近くにありまして、新病院になりますとさらに近くなりまして、そこに10室、お部屋がありますので、増設を考えている7室と合わせますと何とか対応できるのではないかなと思っています。
 ピアサポートに関しては、私たちはどちらかというと患者さんの会を支援するという立場におりますので、私たちが積極的に行っているわけではないのですけれども、「びすけっとの会」という患者さん及び親の会がありまして、そこの活動に対して私たちは講演活動を行ったりということで協力させていただいております。
○事務局(秋月) 韮澤構成員、どうぞ。
○韮澤構成員 どうも発表、ありがとうございます。小児病院で一番の問題点は、長期フォローアップだと思うのですけれども、5ページで16年に移転されるということで、埼玉赤十字病院と隣接した新病棟。この場合には、埼玉赤十字病院ともう既にディスカッション等が始められているのでしょうか。それともこれは希望的観測にすぎないのでしょうか。
○埼玉県立小児医療センター 分野によりましては、例えば周産期医療であるとか救急の部分に関しては既に話し合いが始められています。小児がん患者さんの長期フォローアップに関してはまだ話し合いが始まっておりませんので、今後ぜひ早めに進めていきたいと考えています。ありがとうございました。
○事務局(秋月) ほかに質問。
 垣添座長、どうぞ。
○垣添座長 今後、難治がんとか治療困難例を年間10〜15例は評価することが可能であるという御説明でありましたけれども、これは周辺の施設から、つまり、埼玉県を超えるような施設からもこれだけの数が紹介されてくる可能性、それはどういうふうにごらんになっていますか。
○埼玉県立小児医療センター 現在でも埼玉県内以外に群馬県等から数多く患者さんを受け入れているのですが、今後地域を広げた場合に、もちろん、それぞれの地域にも私たちと同レベルの治療施設がございますので、そこの施設と連携を取りながら、例えば造血幹細胞移植が必要だけれども、地域の病院が受け入れられない場合に私たちのほうで積極的に受け入れる、あるいは治験を必要とするような患者さんを積極的に受け入れる。そのような考えで現時点の余力として10〜15名程度可能ではないかと考えています。
○事務局(秋月) ほかに質問はございますか。
 豊田構成員、どうぞ。
○豊田構成員 1つお伺いしたいのですけれども、2ページに、新病院ができた場合に思春期病棟について整備する計画がおありということですが、差し支えない範囲でどういう計画か。
○埼玉県立小児医療センター 私たちの施設以外にも小児病院は皆さんキャリーオーバーの患者さんをかなり抱えてらっしゃると思いますので、新病院では混合病棟という病棟をワンフロアつくる計画で、そこにキャリーオーバーの患者さんを診るということと、それにあわせて、高校生以上の思春期の患者さんのプライバシーに配慮して、個室を中心とした病床をそこに設ける予定です。そこで高校生以上の患者さんを受け入れたいと思っています。
○事務局(秋月) ほかに質問はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、埼玉県立小児医療センターの皆様、ありがとうございました。
 続きまして、聖路加国際病院の皆様、お願いいたします。
(聖路加国際病院関係者着席)
○事務局(秋月) 聖路加国際病院の真部淳先生、よろしくお願いいたします。
○聖路加国際病院 聖路加病院の小児科の真部と申します。よろしくお願いします。
 それでは、お手元の資料をごらんください。
 まず、2ページ目ですけれども、最初に、聖路加病院における小児がん診療の歴史を簡単に書きました。当院は、1902年に米国人医師トイスラーにより開院、そのときから小児科診療が行われています。
 1960年に前小児科部長の西村昂三がボストン小児病院でシドニー・ファーバー、小児がんに初めて抗がん剤を使った人ですけれども、そのもとで学び、帰国しました。
 1968年、その西村が、がんの子どもを守る以下の発足に尽力しています。
 1980年、現小児科部長、細谷亮太がMDアンダーソンがんセンターで小児腫瘍学を学び、帰国しました。
 1981年から東京小児がん研究グループ(TCCSG)の本部があります。
 1986年に細谷が国内で初めて小児がんの患者さんへの計画された病名告知を行いました。
 1993年、私、真部がSt.Jude病院で学んで帰国しています。
 2008年に私が厚労省の小児がんの患者と家族の支援の研究班を担当させていただきました。同年、石田也寸志、今おりますけれども、長期フォローアップ外来を独立させています。
 また同年、細谷が日本小児がん学会を担当しました。
 最後、ことし、2012年ですけれども、JCI(Joint Commission International)、これは国際病院評価機構の1つですけれども、その認証を受けています。
 3ページ、当院における小児がん診療の特徴を簡単にまとめました。
 1、歴代の小児科部長の在籍が長いため、患者を長期間フォローアップできる。
 2、総合病院であることから、治療中の合併症のみならず、治療終了後の晩期合併症への対応が患者の成育にあわせて可能である。
 3、小児病棟が独立しており、内科系、外科系の小児を同じ病棟で診療しています。プレイルームがあり、保育士。保育士は60年前ぐらいからいるのですけれども、チャイルド・ライフ・スペシャリスト、あるいは小児心理士の子ども医療の支援を行っています。
 4、ソーシャルワーカーと小児メンタルケア担当医師を中心に、患者家族へのサポート体制が整っています。
 5、理事長、院長などの全面的なサポートが得られています。
 4ページ、6、研究支援、治験体制が整備されています。
 7、国外の学会発表あるいは海外論文を精読する、あるいは英語論文の作成を奨励し、また若手の留学を斡旋することをずっとしてきましたので、海外と連携できる人材が育成されています。現在も2名が留学中です。
 8、「がんの子どもを守る会」など、患者団体との協力関係が良好です。
 9、TCCSGあるいは日本小児白血病/リンパ腫研究グループの中心的な施設で、疾患委員会の委員長あるいは長期フォローアップの委員長をしています。
 10、小児血液・がん学会に積極的に参加しており、ことしの学術集会には20演題を発表しました。
 11、その他、一般の方への啓蒙活動にも力を入れています。
 5ページ目、ここに当院における小児がんの診療実績を示しました。毎年初発の患者さんが大体20〜25名、再発あるいは転入の患者さんが5〜10名です。
 6ページ、今後、集約化が行われた場合にどうするかということですけれども、現在、東京都の中央部あるいは東部と千葉県の患者さんが多いです。したがって、地域の病院としての役割がある一方、より広い地域からの患者さんが増加すると思われます。
 まず、対策の1番ですけれども、既に10代あるいは思春期患者については、院内の血液腫瘍科の病床を利用しています。
 2、移植症例の増加に対しても、血液腫瘍科との合同で病床の造設が可能です。
 小児病床が不足した場合は、他科の混合病棟を利用することも可能です。
 小児血液腫瘍科が来月から独立することになっています。
 その他、医療機関との連携を強化するということですけれども、次をごらんください。
 7ページ目、治療ネットワークとして、現在でもこのようにがん研有明病院、虎ノ門病院、東京医科歯科大学、順天堂大学浦安病院と患者さんの相互の行き来が多くなっています。今後は、千葉県の医療機関との連携も検討していこうと思っています。
 8ページ、もう一度、聖路加病院がカバーする地域を調べたのですけれども、東京23区の真ん中から東にかけての地区から51%の患者さんが来ているということで、地域の病院としての機能がありますけれども、そのほか千葉県から20%、神奈川、埼玉からも8%来ていました。
 当院は東京駅あるいは首都高の箱崎、羽田空港などから近いので、もし拠点病院があった場合には、さらにカバーする地域を広げることは難しくないと思われます。
 次に、フォローアップ実績について述べます。当院の小児科では、80年代から小児がんの患者さん、本人への告知に取り組んできており、それもあって同時にフォローアップ体制も充実を図ってきました。現在、生存例の90%、713例がフォローアップされています。この90%のフォローアップの率は、恐らく国内でも最高だと思います。
 フォローアップ症例のうち、血液腫瘍が63%、固形腫瘍が37%を占めますが、18歳以上の患者さんが40%を占め、成人のフォローアップをされている患者さんが極めて多い。治療終了時には、ここに示しますように卒業証書と称するものと、これはJPLSGの長期フォローアップ委員会でつくった治療サマリーですけれども、これを患者さん本人に渡して、患者教育を始めています。
 10ページ、現在行われているフォローアップ外来ですけれども、治療終了後5年経過からは年1回の受診を組織的に行い、集学的な診療を受けています。それについては下に示してありますけれども、当院は総合病院でありますので、成人専門診療科が充実しています。合併症に対する対応は迅速に行われます。
 医療ソーシャルワーカーの相談が初診時、患者さんが来たとき及び長期フォローアップの移行時などを中心に2回行われています。
 地域のヘルスケア医療機関への移行なども考え、検診を受けることは積極的に奨励しています。
 11ページ、小児緩和ケアの提供体制を示します。緩和ケアチームにおいては、サポート体制を図示しますけれども、患者さんと担当の医師がいて、ここに緩和ケアチームの小児担当の医師がいます。担当ナースもいます。必要時には右側のように緩和ケアチームのカンファレンスを載せて対応してもらっています。具体的には小児科の医師と緩和ケア科の医師と精神腫瘍科の医師とがん看護専門看護師と薬剤師から成る緩和ケアチームです。
 一方で、左に示しましたけれども、多職種カンファレンス(金曜会)、毎週金曜日に行われているのですけれども、これが行われ、病棟の患者さんの問題点を把握します。
 下に遺族ケアと書いてありますけれども、これは当院の特徴だと思われますが、小児科外来で小児のメンタルケア担当の医師を中心に、両親のみならずきょうだいにも対応しています。また、院内の3つの家族会があって、ここでも家族ケアをピアサポートを行いながら行っています。
 12ページ、先ほど出た金曜会ですけれども、次のような多部門の人たちが参加して、毎週1時間ちょっと行っています。後で詳しく述べますが、子ども医療支援室、小児専門看護師、化学療法専門看護師、ソーシャルワーカー、院内学級の教師、栄養士、薬剤師、その他チャプレンを含むメンバーで毎週カンファレンスを行っています。
 13ページ、自施設での小児がん診療を担う人材の確保を示します。当院では、70年代から既にスーパーローテートを行っておりましたので、2004年からの新研修制度でも大きな方針変更は不要でした。近年は小児科専門医を多く採用し、指導体制を整備しています。
 下に過去から現在への小児科の専門医の数を示しますが、このようにすごくたくさんの小児科専門医を常勤で確保しています。小児科研修もふえています。
 というわけで、小児科の医師数は十分に確保されており、患者増に対応できると思われます。若手医師の確保としては、学会活動、留学援助などをして、まず自施設の研修医を育成しています。また、当院の見学、これは当院の小児科の見学を希望する学生・研修医は年間50名ほどおり、今後の継続的な人材の確保に問題はないと思われます。なお、当院の小児科は、特定の大学の関連施設ではなく、全ての優れた研究機関と人的交流を行っています。
 14ページ、それでは、地域での人材の確保ですけれども、その当院の役割としては、先ほど申し上げましたように、81年間から東京小児がんグループの本部が置かれており、年次総会、教育的な症例検討、セミナーなどが行われています。
 週1回、インパクトの高い最新の論文を読み、その結果は全訳なのですけれども、毎週東京グループのメーリングリストに配信しています。
 私が骨髄形成症候群委員会の中央診断を行っており、多くの医者が標本を持って出入りしています。
 2008年から小児がん経験者の長期フォローアップの石田班、小児がんの家族の支援の真部班、小澤班など、厚労省の班会議の主任研究者として担当しており、毎年公開シンポジウムを行って、医療者並びに市民に対する啓蒙活動を行っています。
 小児がん専門研修施設になっており、暫定指導医は現在5名おり、人材育成の環境は整っていると考えます。院内の研修医のみならず、地域の若手医師の受け入れを行ってきています。
 15ページ、患者の発育、教育に関するプログラムですけれども、ソフト面では、小児心理士、保育士、チャイルド・ライフ・スペシャリスト、小児科医で構成されています。
 設定保育、プリパレーション、イベント、ボランティアの受け入れなどを通して、患者の発育と教育に寄与しています。
 16ページ、ハード面ですけれども、プレイルーム、屋上庭園、訪問学級などがあります。
 17ページ、家族の宿泊する長期宿泊施設ですけれども、歩ける距離に2戸ずつ4戸あることと、アフラックペアレンツハウスが比較的近いので、ここを利用している患者さんが多いです。
 18ページ、相談支援ですけれども、セカンドオピニオンあるいは電話での相談は主に医師が行っています。そのほかソーシャルワーカー、遺伝診療部があることと、あるいは細谷、真部などが書籍資料などを積極的につくっています。
 19ページ、臨床研究は過去に52件あり、今までかなり多くあります。
 20ページ最後の拠点病院としての継続性は、先ほど申し上げましたように、医師の就業年数が長いということと、若い医師が多いということ、管理者の了解があるということで、継続することは可能と思われます。
 どうもありがとうございました。
○事務局(秋月) ありがとうございました。
 それでは、質問をお願いいたします。
 石井構成員、どうぞ。
○石井構成員 聖路加の長期フォローアップ、緩和ケアに関しては日本でも一流の病院だと思うのですが、先ほどの埼玉と同じような質問なのですが、難治例に対する臨床研究をどういうふうにやられているのかとか、あるいはトランスレーショナルリサーチをやられているとか、その辺はいかがでしょうか。
○聖路加国際病院 現状では研究センターあるいはラボラトリーがありませんので、外部との協力によるものが多いです。例えば大阪大学のWT1研究あるいはがんセンター東病院のがんワクチンのカクテルの研究などの主要なメンバーとはなっていますが、自前での開発は現在行っていません。
○石井構成員 もう一つ、聖路加は一般病院ですけれども、細谷先生とか真部先生とか、結構リーダーシップがある人がずっと引っ張ってこられているのですが、病院全体としてのコンセプトとして、小児がんを小児の医療のメインに据えるという考え方は今後もずっとやっていかれるということでよろしいですか。
○聖路加国際病院 はい。それがあって、ちょうど来月、血液腫瘍科を独立させることになっておりましたので、継続して行われると思っております。
○事務局(秋月) 小俣構成員、どうぞ。
○小俣構成員 御発表、ありがとうございます。
 2点ほど御質問があるのですけれども、スライドの6ページの10代の患者、思春期の患者さんなどで院内の血液腫瘍科の病床を利用して、固形がんの患者さんの場合にはどのような対応をされているのかということをお聞きしたいのが1点。
 きょうだい支援についてなのですが、今やっていることであるとか、今後どのようなことをお考えになっているのか、御教示いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○聖路加国際病院 1点目は、固形腫瘍の思春期の患者さんの対応ですか。本人との話し合いにもよるのですけれども、小児病棟あるいは精神病棟、どちらを好むかというのがまず1つあると思います。精神病棟を好む場合には、成人血液腫瘍内科で私たちと合同で診ることになっています。
 あときょうだいは小澤のほうからお願いします。
○聖路加国際病院 小澤です。きょうだい支援は、個々に私、メンタルヘルス担当の小澤が、ニューケースがいらっしゃったときにきょだい担当として紹介されて、その御兄弟の対応を御家族と相談したりさせていただいています。
 あとはナース側にきょうだいチームというのがことし立ち上がっていまして、毎月1回ミーティングをしながら、きょうだい全般のプログラムの提供をどうしようかミーティングを重ねながら、既に3回ほどきょうだいようのプログラムを行いまして、好評だったので今後の継続につながっていくと思います。
○事務局(秋月) 韮澤構成員、どうぞ。
○韮澤構成員 小児がんの拠点病院の役割として、難治例、再発例に対する取り組みがあると思うのですけれども、5ページに先生方の実績で、例えば2011年、初発が25例、再発・転入というのが7例書いてありますけれども、その再発例等に対する治療方針というのは、例えば幹細胞移植等の濃厚治療をやるのか、そうではないのか等々のお考えを教えていただけませんか。
○聖路加国際病院 再発例などについて、もちろん、プロトコール、治療があるものはそれに参加しています。その多くの場合は造血幹細胞移植になっています。ただ、2回目の移植とか3回目の移植の場合には、福島医大に紹介するとか、そういうこともしています。患者さんはその後、戻ってきます。
○聖路加国際病院 よろしいでしょうか。部長の細谷です。
 患者さんがどちら側を選ぶか。緩和ケアを選ぶか、それとももっと先進的な医療を選ぶかというのは十分なカンファレンスの末に、本当の先鋭的なことをやるときには、先ほど真部が申しましたように、大阪なり福島でハプロアイデンティカルの骨髄移植をしたりいたしますが、患者さんが緩和ケアを希望するという場合には、先ほど発表しました緩和ケアチームがきちんと緩和ケアをやれる。両方、両面的にサポートできるような体制をつくっております。
○事務局(秋月) ほかに質問はございますか。
 天野構成員、どうぞ。
○天野構成員 ありがとうございます。長期フォローアップを中心に充実したケアを提供して来ていただいていると思うのですが、2点質問がございます。
 1点目が、6ページのほうで、移植症例の増加に対して病床の造設が可能及び病床が不足した場合には他科混合病棟を利用することが可能という記述がございますが、こちらについては、どの程度、病床の実際融通が可能なのかという点について、もう少し具体的に教えていただければというのが1つ。
 2点目が、7〜8ページにかけて、カバーする地域ということで、東京や千葉を中心に緊密なカバーをしていただいていると思うのですけれども、今後さらにカバー地域を広げることができるという記述に対して、先ほども御説明いただいたと思うのですが、具体的にどの辺の地域まで実際カバー地域を広げることが可能とお考えか教えていただければと思います。
○聖路加国際病院 まず、最初の点ですけれども、骨髄移植については、血液腫瘍内科と合同のことになっていますので、現在、実は無菌室は小児病棟には1床しかありませんので、小児病棟でないところの無菌室を使うことになっています。それはほかの医療機関もそうなっているかもしれません。
 混合病棟と書いてありますけれども、これは患者さんの属性あるいは希望にもよるのですが、先ほど出た思春期あるいは10代の子。逆に希望があれば、そちらを使えるようなことになっていくのだと思います。
 また、カバーする地域については、実際に今のところは予想がつかないのですけれども、もし来た場合にはそういう対応をしようということですが、今後本当にふえた場合には、比較的標準治療を行うような疾患を診ていただくような病院を連携してお願いしていくようなことになっていくと思います。
○事務局(秋月) ほかにございますか。
 垣添座長、どうぞ。
○垣添座長 臨床研究か臨床試験、それについてのお尋ねですけれども、リサーチナースとかリサーチコーディネーターと言われるような職種の人たちはどのくらいおられますか。
○聖路加国際病院 CRCとかそういうようなところですか。
○垣添座長 そういう意味です。
○聖路加国際病院 うちはそういう治験部が内科と小児科と一緒に部長が統括しておりまして、CRCが小児科だけにかかわっているというCRCはおりませんけれども、CRC全体としては、今、正確な数を私は把握しておりませんけれども、7〜8人はおると思います。
○垣添座長 ですから、小児の場合も十分対応できるということですか。
○聖路加国際病院 はい。
○垣添座長 わかりました。
 もう一点、3つの家族会があるということをお聞きしましたけれども、これはなぜですか。何か問題はありませんか。
○聖路加国際病院 私からお話しさせていただきますと、一番最初のつくしの会というのは、1970年代の後半に患者さんを亡くされた御家族が、これでおしまいになるのはつらいということで、年に1回集まろうということででき上がった、35年ぐらいの歴史のある子供を亡くされた家族のピアサポートグループです。
 リンクスという最後に書いてあるのは、病棟のお母さんとお父さんの会でして、入院している患者さんを直接サポートしようという会ができ上がって、その中で亡くなられた方もおりますので、まだかかわってはおりますが、亡くなられた方はまたそちらのつくしの会に行ったりしている。
 もう一つ、WAONNという一番新しいグループは、急に例えば脳炎とか、運ばれてきた途端に亡くなってしまうような重症の小児がんのエマージェンシーなどで亡くなられた患者さんのお母さんを1カ月に第2土曜日の夕方、午後に医者もかかわりながら、少人数で有志のお母さんで話をするというようなグループがありまして、それぞれのグループが違った働きをしていてお互いにつながっているというようなグループ構成になっています。
○事務局(秋月) 残り1分です。山本構成員、お願いします。
○山本構成員 御発表、ありがとうございます。私からは、行政との連携状況についてお聞きします。まず、過去において、小児がんに限らず、がん関係で行政とどの程度これまで連携してきたのでしょうか、連携実績はあるのでしょうか。
 また、今回の拠点病院の申請に際して、事前に行政との打ち合わせがあったのでしょうか。仮にない場合であっても、今後、どのように行政とも密接に連携していこうと考えているのでしょうか、お考えを教えていただければと思います。
○聖路加国際病院 直接の関係はもちろんありませんけれども、先ほど申し上げた2008年から3年間、私が担当した班会議がありまして、その中で小児がんの拠点病院についても扱っていまして、それで厚労省の方とはかなりディスカッションしております。ただ、実際のことにはまだなっていないので、今後に期待するということだと思います。
○聖路加国際病院 よろしいでしょうか。行政に対する理解ということについては、うちの小児科で研修を終えたレジデントが何人も何人も厚生労働省の職員というか、医政局長とかそういう仕事をしておりまして、全くつながりがないわけではありません。
○事務局(秋月) それでは、よろしいでしょうか。
 では、聖路加国際病院の皆様、ありがとうございました。
 ここで10分、休憩をとりたいと思います。少し早いのですけれども、あちらの時計で17時40分から開始したいと思います。ありがとうございます。

(休  憩)

○事務局(秋月) それでは、まだあと1分あるのですけれども、皆様が席に戻られましたので、始めたいと思います。
 続きまして、国立成育医療研究センターの森鉄也先生のほうから発表をお願いいたします。
○国立成育医療研究センター 国立成育医療研究センターの森と申します。よろしくお願いいたします。
 拠点病院選定に当たっての評価の視点に沿って、成育医療研究センターの取り組みを説明申し上げます。
 最初の3枚のスライドは視点の1で、小児がん診療のうち特に集約化と地域連携に関する事項を示します。
 表紙の次の2枚目のスライドですけれども、再発・難治例の診療実績を示します。
 上段の表は、今月初旬の5日間の診療実績を示しています。44名の入院診療患者のうち、16名は再発・治療抵抗・2次がん患者、7名は第一寛解期同種造血細胞移植が行われた患者です。これらは再発・難治症例の少なくとも一部に相当し、入院診療患者の50%以上に及んでいます。
 外来診療患者においても、同様の再発・難治症例は44%に相当しています。
 中段の表は、2011年の日本小児血液・がん学会登録例数を示しています。当施設の83例の登録のうち、脳脊髄腫瘍と固形腫瘍の登録数は合わせて55例、約3分の2に相当します。集学的診療を要する疾患に主に対応していることを示す結果です。
 下段の表は、当施設における肝芽腫の診療実績を示します。海外の臨床試験において、診断時に腫瘍切除不能な例の割合は20〜30%程度と報告されています。当施設の肝芽腫例の54%は診断時に腫瘍切除不能と判定されています。診断時に遠隔転移を伴う例は約20%と報告されておりますが、当施設では30%弱でありました。
 3枚目のスライドですけれども、今後の集約・連携にかかわる問題、思春期患者の診療体制を示します。
 上段と中段の表は、集約化への対応可能性を示しています。当施設は、疾患・重症度などにかかわらず可能な限り、患者及び利用施設からの診療需要に対応するよう努めています。
 中段の表に示しますように、5年前と比較して小児がん診療需要は増加しています。これに伴い必要な病床数も増加しましたが、計画的な病棟再編成などにより対応しています。今後も診療需要への対応を継続しながら、集約・連携にかかわる役割を検討する予定です。
 下段の表は、思春期患者の診療体制を示しています。思春期患者に関しても需要に対応した診療を行っています。例外として、成人診療施設においてより豊富な診療実績が示されている疾患、例えば大腸がんなどに関しては、適切な施設に紹介し、対応を依頼しております。
 4枚目のスライドに、連携する医療機関とカバーする地域を示します。
 上段の表は、実績の乏しい疾患における連携実績を示しています。骨腫瘍・甲状腺腫瘍について、それぞれ慶應義塾大学病院・伊藤病院と連携して診療を行っております。陽子線照射・サイバーナイフ・FDG−PET撮影については、標記の施設に対応を依頼しています。
 下段の表は、連携する医療機関、カバーする地域に関する実績と今後の予定を示しています。2011年に紹介を受けた医療機関数は58機関で、約半数が東京都で、その他関東地方を中心とした全国、一部は海外の医療機関です。一方、紹介を行った医療機関数は70でした。これらの実績からカバーする地域として、診療需要に応じて関東地方を中心に全国から受け入れ可能と考えています。山梨大学医学部附属病院から、今後の連携に関する御提案をいただいております。
 続く5枚目と6枚目のスライドに、長期フォローアップに関する事項を示します。
 当施設のフォローアップ外来は、治療施設・治療内容にかかわらず診療需要に応じた受け入れを行っています。外来診療は月曜日から金曜日まで連日で、小児がん診療経験を有する医師と専任看護師が対応しています。
 フォローアップ外来では小児がん経験者に対し、スライドの6枚目に示す疾患・治療サマリーなどを用いて、フォローアップ診療の必要性、合併症のリスクに応じて設定されたフォローアップ計画の概要を説明しています。小児・周産期医療のさまざまな専門職種により、検診・合併症への対応、妊娠・出産への対応のほか、復学・社会復帰支援にも対応しています。小児がん経験者及び家族の希望、利便性を尊重し、年齢・居住地域・対応を要する病態に応じて施設内外に個別に必要な診療連携を構築しています。
 フォローアップに関するスライドの6枚目の上段に、合併症対応の実際を示しています。
 上段の30歳代女性は、固形腫瘍に対する化学療法、外科治療、放射線治療の既往がありましたが、フォローアップ経過中に結婚、妊娠されました。当施設の周産期診療部により妊娠管理が行われ、安全な出産に至りました。
 下段の10歳代男性は、造血器腫瘍に対するフォローアップ経過中に骨軟部腫瘍を発症しました。成人診療施設による対応が可能な年齢ですが、患者家族の希望を尊重し、当施設で治療を行いました。
 スライドの7枚目ですけれども、緩和ケアの提供体制を示します。
 当施設では、全ての小児がん患者を緩和ケア対象者と位置づけ、下段左側の表に示す小児医療のさまざまな専門職種の協力により、それぞれの患者家族に対するケアの必要性、必要なケアの内容、提供方法を検討し、個別に診療チームを形成して対応を行っています。カンファレンスでは、取り組みの評価、改善点などにかかわる議論が行われています。
 スライドの8枚目に、チーム医療に関する事項を示します。
 当施設では、小児医療のさまざまな専門職種の協力、及び子供のために整備された療養環境を活用し、集学的診療の提供、患者家族に対する支援を行っています。多職種による連携を効率的に機能させるために、目的に応じたさまざまなカンファレンスが定期的に行われています。
 9枚目のスライドですけれども、5.で自施設の小児がん診療を担う人材の確保に関する事項を示しています。
 当施設における小児がん診療を担う人材確保は、公募及び協力施設からの派遣により行われています。
 下段の表に、最近の協力実績を示しています。
 中段に示す、診療経験が十分でない疾患について他施設から医師等を確保することについては、このために現在、外部施設に所属する整形外科腫瘍専門医師による専門外来診療を当施設において開始いたしました。
 10枚目のスライドですけれども、6.の地域(ブロック)で小児がん診療を担う医療者の人材育成に関する事項です。
 上段の表に、小児がん診療を担う人材育成の方法を示します。当施設では小児がん専門研修到達目標・カリキュラムを設定し、人材育成を行っています。このモデルを日本小児血液・がん学会専門医制度委員会に提案しています。また、2008年に当施設において行われた小児がん系統講義資料をE−ラーニング教材として公開しています。
 中段に、研修の受け入れの実績を示しています。小児科専門医を対象とした小児がん専門医研修、小児科後期研修医を対象とした短期研修をそれぞれ設定しています。
 人材育成を担う専門医等の数は、下段の表に示しております。
 11枚目のスライドの7.で、患者の発育及び教育に関する環境整備について示しています。
 当施設のチャイルド・ライフ・スペシャリスト2名のうち1名は、小児がん患者を主な活動対象としております。
 各病棟に1名配置された保育士は、小児がん患者の年齢・発達段階・病状に応じた保育を提供しています。
 小児がん診療に専従の臨床心理士は、診療チームの一員として、必要なときに適切な支援を提供できるよう活動しています。
 院内学級には年間延べ約100名が在籍していますが、このうち約半数が小児がん患者です。復学に際しては院内学級教員を中心にメディカル・ソーシャルワーカー、必要に応じて外来看護師・医師による協力が行われています。
 退院に際しては、特に在宅療養を要するような場合には外来看護師、メディカル・ソーシャルワーカーによる相談支援が提供されております。
 12枚目のスライドの8.です。家族の宿泊する長期宿泊施設等、家族等への支援です。
 家族が宿泊できる施設として、病院に隣接するマクドナルド・ハウスがあります。利用料金は1人1日1,000円で、21のベッドルームがあります。
 入院患者のきょうだいを預かるサービスを、ボランティアが院内で提供しています。預かる時間帯は資料に示しているとおりであります。
 患者家族のための「お母さんの会」を年に10〜12回程度開催しています。医療者による講演、家族間の交流の機会のほか、家族がひとときベッドサイドを離れる機会という形での会を提供しております。
 マクドナルド・ハウス以外の宿泊施設、支援サービスに関する情報の提供も行っております。
 13枚目と14枚目のスライドの9.です。相談支援・情報提供に関する事項を示しています。
 新たに入院診療が開始された小児がん患者に対する医療費助成などの支援情報を、メディカル・ソーシャルワーカーが案内資料を用いて提供しています。支援に関する情報が積極的に提示されることになり、メディカル・ソーシャルワーカーに対する相談件数はそれ以前の7倍にも増加しました。相談内容は、医療費助成など経済的な問題に関する事項のほか、病態治療の進行に応じてさまざまな内容をいただいております。
 2011年には、29件の小児がんに関するセカンドオピニオン受診がありました。需要に応じて複数の診療部門の専門医によるセカンドオピニオン提供を行っています。
 もう一枚、次のスライドに進みます。
 当施設では、患者相談窓口に小児がん相談窓口を併設しています。小児がん情報コーナーには医療費助成、福祉サービス、宿泊施設などに関する情報、がんの子どもを守る会の冊子等を配置しております。
 また、ウエブによる情報提供として、小児がん情報ステーションを開設しております。
 協力・連携実績を有する患者団体・支援団体等を右列下段に示しております。
 15枚目のスライドの10.です。臨床研究への参加状況に関する事項を示します。
 成育医療研究センターの臨床研究への参加は、研究グループなどにより実施される臨床研究への参加施設としての症例登録のほか、研究グループ・学会などにより実施される臨床研究のデータセンターとしてのデータ管理業務、治験及びトランスレーショナルリサーチへの参加に大別されます。
 スライドのグラフは、平成19年4月以降に登録が開始された研究への当施設の参加実績です。これは患者数ではなくて研究数を示しております。
 最後の16枚目のスライドの11.です。小児がん拠点施設としての継続性に関する事項を示しております。国立成育医療研究センター小児がんセンター(仮称)構想をお示しします。
 成育医療研究センターは、病院と研究所が一体となって小児がん診療を提供します。小児がん診療においては、国内有数の診療実績を有する小児がん診療拠点として多分野・多職種の小児医療専門者による集学的診療の充実、及び小児がん経験者に対するフォローアップ診療の充実を目指します。また、病理・分子診断、放射線治療等、小児がん診療支援機能を充実し、自施設以外における小児がん診療に協力・貢献したいと考えています。
 小児がん関連研究においては、小児がんに対する多施設共同研究におけるデータセンター中央診断、検体保存など、基盤機能の充実、及び治験、早期臨床試験、国際共同臨床試験の推進を目指します。
 さらに、小児がんにかかわる教育・研修、及び小児がん関連情報の集積・発信においても、小児がん拠点施設としての役割を担うことができるよう、整備を進める予定であります。
 以上です。ありがとうございました。
○事務局(秋月) ありがとうございました。
 それでは、質問のほうをお願いします。
 石井構成員、どうぞ。
○石井構成員 ありがとうございました。
 2つほどあります。
 10ページの小児科研修医の数が10、10、11、17となっていまして、この人たちはその後、小児がんの専門研修を受けるということはないわけですか。その上に書いてある小児がん専門研修の数はまた別と考えていいのですか。
○国立成育医療研究センター 今、お答えしてよろしいですか。
 このスライドの10枚目の中段の表の上段が、いわゆる小児がんの専門の研修であります。この3、5、3、2、4という方々は、いずれも地域の小児病院・医療施設等で小児がんの診療を続けていらっしゃいます。
 下段の小児がん短期研修というほうは、小児科のトレーニングを始めてまだ3年以内の方に、早い時期で小児がん診療ということの経験・学習をしていただくために対応している研修であります。このうちの数名がその後、小児がん研修に進んでいることを把握しております。
○石井構成員 もう一つ、15ページの臨床研究の参加状況ですが、これを見ますと、一般的な臨床研究への参加は非常に少なくて、ほとんどが治験かトランスレーショナルリサーチと見えます。実際の患者さんというのは臨床研究に参加せずに勝手に治療していると見えますが、いかがでしょうか。
○国立成育医療研究センター これは申請書の段階で、平成19年4月に研究自体の登録が開始されたものだけを載せております。実際には研究の登録が開始されたことと、施設での登録の開始時期がずれたものがここに載ってきておりませんので、実際の臨床試験に参加している件数とは少しずれがございます。
 瀧本先生、いいですか。
○国立成育医療研究センター 瀧本です。
 特にJPLSGが先生の御指摘の中心なのだと思いますけれども、JPLSGのスタディーはほとんど、大部分が平成19年4月以前に症例登録が開始されています。それを初めは平成19年4月の時点でと私どもは申請していたので、そのときは15か16あったと思います。JPLSGが平成19年7月以降の開始となったのでぐっと減ってしまったというだけで、実際には続いていますから、登録はされています。この表には定義上入ってこないというだけです。
○事務局(秋月) 韮澤構成員、どうぞ。
○韮澤構成員 6ページの長期フォローアップに関してお伺いしたいのですが、小児病院で一番問題になるのはやはりキャリーオーバー症例に対する対応だと思うのですけれども、これは0歳から40歳台までの延べ約2,500名で、その下に例1、例2と書いてございますが、もう少し成育医療研究センターとしてのキャリーオーバーに対する考え方をお示しいただけたらと思うのです。
○国立成育医療研究センター 先ほどの説明の中で申し上げましたように、基本的に患者さん、あるいは関連する医療施設の診療需要ということを一番に優先しております。実際に、2011年が40歳台までですが、今、外来でカバーしている患者さんの一番高い年齢層は50歳台までございます。
 機会があるたびに、経験者にとって利便性のいい診療施設や成人診療施設というお話をするのですが、むしろ年に1回程度であれば、今までの経緯をよくわかっていらして、実際に例えば血圧が高いだとか高脂血症だとか、そういったコモンディジーズの対応、それから2次がんを発症したときの対応、それぞれ個別にいろいろな医療施設に橋をかけておりますので、検診の船頭さんの役割をしていただけるのであれば、こちらに通わせていただきたいとおっしゃっていただけている方のほうが大部分でありまして、基本的に、先ほど申し上げましたように、現在のところは診療需要に対応しているというところでございます。
○国立成育医療研究センター 病院長の松井です。つけ加えます。
 基本的に、移行期から成人期を迎えた患者さんはやはり成人特有の疾患・病態を呈するわけで、大人の内科医・外科医の協力なしには行けないと思います。しかし、そうしたインフラストラクチャーを整備するには、特定の領域を除きましてまだまだという感じがしております。全体の姿勢としては、そのようにお答えしております。
○事務局(秋月) ほかに質問はございますか。
 天野構成員、どうぞ。
○天野構成員 御発表ありがとうございました。
 私からは2点ございます。
 まず1点目ですが、いわゆるナショナルセンターということで、小児がんの患者さんや御家族の方の期待も非常に大きいものがあると理解しておりまして、ナショナルセンターとしての責任といったものを今後より一層果たしていただけることを期待した上での質問になるのですが、小児がんセンターが構想として出ているということを記していらっしゃったのですけれども、こちらのほうはいつごろから稼働予定であるかについて伺えればというのが1点目です。
 2点目が、やはりナショナルセンターということで、今までの診療や連携の実績を有する施設のみならず、今後は例えば、先ほど広島大学さんからも発表があったように、広島大学さんは中四国の連携するネットワークを今後つくっていくということを打ち出していらっしゃいましたけれども、例えば成育医療研究センターは関東エリアであるとか、場合によっては全国であるとか、全国はちょっと大きいのですが、そういったところでの診療の連携のネットワークを構築していくというお考えがあるのかについて伺えればと思っております。
 患者さんや御家族の期待が大きい中で、必ずしも成育医療研究センターのほうで小児がんの診療に対して力が入っていなかったという面があるのではないかという指摘もあるかと思いますので、そういった患者さんや御家族の期待に答えていただきたいという意味での質問でございます。
 よろしくお願いします。
○国立成育医療研究センター 小児がんセンターの、いつごろから稼働させるかということでありますけれども、もちろん、その他の周辺の情勢を見ながらでありますが、まずは新規の入院患者をふやしていく。それに対しましても、私どもとしても十分な用意をしなければなりません。と申しますのは、もちろん、この小児がんの診療、小児がんセンターを擁する診療は重要でありますけれども、私ども国立高度専門医療センターとして、そのほかの三次医療、移植医療、遺伝子治療、その他の問題もあわせて重要でありますが、最優先課題として、できればここ一、二年のうちにインフラを整えたいと考えております。
 もう一方のネットワークということでありますけれども、ネットワークを構成するというのは、現在の下地がございますので、これをさらに広げていく。そして当然、双方向性の紹介・逆紹介といった体制を十分に充実するとともに、コミュニケーションを密にしていきたいと考えております。
 お答えになりましたでしょうか。
 失礼しました。小児がんセンターにつきましてつけ加えます。
 現在、小児がんセンター長を公募しております。私どもがどの程度本腰を入れているかということを推量していただきたいと思います。
○事務局(秋月) 山本構成員、どうぞ。
○山本構成員 私からは、患者の発育、教育、相談支援についてお聞きしたいと思います。
 天野構成員からナショナルセンターとして期待した上での質問がありましたが、成育医療研究センターはナショナルセンターですので、患者の発育、教育、相談支援に関する高いノウハウを持っているのではないかと思っています。そうであるなら、持っておられるこれらのノウハウをどのように関係機関に情報発信していくおつもりなのでしょうか。あるいはこういったノウハウに対してどのように、必要に応じて標準化などを行っていくおつもりでしょうか。そのあたりのお考えについてお聞かせいただけたらと思います。
○国立成育医療研究センター 発育及び教育に関する環境整備ということで、一昨年のがん対策推進協議会小児がん専門委員会において、小児がん拠点施設には院内学級の整備のほか、チャイルド・ライフ・スペシャリスト、保育士、心理士等の配置が望ましいということは発言させていただき、そのような規定がつくられたと認識しております。
 当施設における取り組みとしましては、8枚目のスライドにございますように、それぞれの患者さんにおいて必要とされるケアはかなり異なります。これは赤ちゃんと十何歳のお子さんとで異なるということ、それからパーソナリティー等によっても非常に異なるということは容易に推測されるかと思います。
 現状では我々は、先ほど説明申し上げましたように、それぞれの患者さん・家族の需要に応じた個別の対応ということを最善と考えて動いているところであります。個別なのでなかなか情報発信が容易ではないのですけれども、機会を見つけてこのような取り組みをして、このような成果が上がっているということを、最近ですと日本小児血液・がん学会総会におきまして、看護部門、心理士、チャイルド・ライフ、そういった多部門からの発表をさせていただいているところでございます。
○山本構成員 そういたしますと、ノウハウの蓄積、情報発信は個別性が高いことから、なかなか難しいという理解でよろしいでしょうか。
○国立成育医療研究センター 我々のところで蓄積しているノウハウであるとか経験ということは随時発信させていただいて、ぜひ共有できる部分は共有し、前に進める部分は進めていただきたいと考えております。
○山本構成員 わかりました。ありがとうございます。
○国立成育医療研究センター 少し補足させていただいてよろしいでしょうか。
 成育医療研究センターは御存じのように、成育医療研究開発費というお金をいただいております。現在、そのお金を使わせていただいて、認知機能が落ちている小児がんの子どもに、今はそういう評価の、全国から心理士さんを集めて研修会みたいなものをやっております。来年度はそれをさらに院内学級の先生につなげていこうというので、今度は学校の先生方を集めてそういうふうにしようと考えています。
 今、そういうプロジェクトを進める中で、そういう全国的に共有できるようなものを、今は全くありませんので、まずはそれをつくりたいと考えています。それを今、成育医療研究開発費でやっておるところですから、それができた暁には、次は発信するということを考える段階かなと考えております。
○山本構成員 ありがとうございます。
○事務局(秋月) それでは、最後の質問とさせていただきたいのですが、垣添座長、小俣構成員、手短にお願いいたします。
○垣添座長 16ページについてお尋ねしたいのですけれども、国際共同臨床試験の推進は現在どのくらいあって、この将来像といいましょうか、聞きにくい話ですが、小児がんに関して貴施設の国際認知はどのような状況かということを教えていただけますか。
○国立成育医療研究センター 現在、国際共同臨床試験は、つい最近まで小児の非ホジキンリンパ腫の一つの病型であるAnaplastic large cell lymphomaというものにおいてヨーロッパと日本の国際共同臨床試験として行われ、成果は主要な英文誌に公表されております。現在、私がリンパ腫にかかわっているのですが、リンパ腫に関して2つの新しい国際共同臨床研究の計画が進んでおります。
 その中で、分子標的薬を用いた早期試験がどうしても不可欠になってまいりますので、いわゆる国内の多施設と海外の多施設の共同による、全体の成果を見るような試験。それから新しい薬剤を、国内の限られた施設、対象例に対して海外と共同でエビデンスをつくるような試験の2つを並行して進めていくことになるかと思っております。
 造血器腫瘍、リンパ腫の領域におきましては、国際学会の場で日本のコントリビューションは高く評価されていると認識しております。
○垣添座長 もう一点、短い質問ですが、一番最後の小児がん関連の情報発信ですけれども、このことに関して、がん対策情報センターとの連携はどうなっているのでしょうか。
○国立成育医療研究センター 現時点におきまして、成育医療研究センターにおいては独自に小児がん情報ステーションというウエブサイトを用いまして、小児がんに特化した情報の提供を行っております。
 今後という観点では、御指摘の機関との調整・協力は重要な選択肢であろうと考えております。
○事務局(秋月) 最後に、小俣構成員どうぞ。
○小俣構成員 2点ほどございます。
 1つは、大変細かくて恐縮なのですけれども、環境整備が充実している中で、アクセスというところで、遠方から患者さんが来られた場合に、送迎バスであるとかということは今後お考えになっておられるのかということが1点です。
 もう一つは、思春期の患者さんに関しまして、その受け入れや対応がどんなものかということと、環境整備という面からどのような整備をされる予定があるのかということをお教えください。
○国立成育医療研究センター 前者について、先に病院長から。
○国立成育医療研究センター アクセスにつきましては、世田谷というやや都心から離れたところにございますので、送迎バスに限らず、可能な手段を考えていきたいと思っております。
○国立成育医療研究センター 後者につきまして、繰り返しになりますが、基本的に診療需要、それから当施設の診療環境はこのようでございますということをお示しして、対応を決めていただいております。
 ただ、実際には妊婦さんもいらっしゃることもありまして、成育医療研究センターの6階から11階までの病棟のうちのある区画は非常に大人びた病棟になっておりますので、そういったところでの対応を行っているのが現状であります。
○事務局(秋月) 道永構成員は大丈夫でしょうか。
○道永構成員 済みません。ありがとうございます。
 長期フォローアップのところなのですが、治療施設・治療内容にこだわらず受けているということなのですけれども、実際に外部の施設からのフォローアップの患者さんというのはどのくらいいらっしゃるのでしょうか。大体の割合でよろしいのです。
○国立成育医療研究センター 割合というとちょっと難しいのですが、年に片手ぐらい、5件ぐらいですか。そんな数だと思います。
 比較的難しい状態のフォローアップは、近隣からも参ります。残りは遠隔地からの転居に伴うフォローアップでございます。
○事務局(秋月) それでは、ありがとうございました。
 続きまして、東京都立小児総合医療センターの皆様、よろしくお願いいたします。
(東京都立小児総合医療センター関係者着席)
○事務局(秋月) それでは、東京都立小児総合医療センターの湯坐有希先生、よろしくお願いいたします。
○東京都立小児総合医療センター よろしくお願いします。東京都立小児総合医療センター血液・腫瘍科の湯坐と申します。小児がん拠点病院に申請しております当院を紹介させていただく時間をいただきましてありがとうございました。
 まず、1枚目の表紙に書いてある5つのキーワードは、当センターの理念を示しております。
 次のページをお願いします。まず最初に、当センターの特徴を御紹介させていただきます。
 当センターは、左上の図にあるように、東京都のちょうどおへそといいますか、重心の部分にありまして、交通の便も比較的恵まれております。そういったところに、この多摩メディカルキャンパスといった設備を擁しております。
 この多摩メディカルキャンパスは、右下の写真になるのですが、小児総合医療センターと、地域がん連携拠点病院である多摩総合医療センターのある建物を中心に、がん検診センターから療育センターまでのさまざまな医療機関、あとは特別支援学校、看護学校などの教育機関から成る複合的なキャンパスであります。
 次のページをお願いします。
 そのほかの当センターの特徴として、小児総合医療基盤として、小児専門の37診療科、医師数は309名を擁しており、あらゆる小児疾患、特に造血幹細胞移植、高度救命救急、集中医療に対応しております。
 また、後ほど詳しく御説明いたしますが、子ども・家族支援部門という部門内にリエゾンチームがあり、患者及び家族の社会的・精神的サポートを積極的に行っております。
 外部団体との連携も、お示ししたように、積極的に行っております。
 また、当院は2010年3月に、それまであった都立清瀬小児、八王子小児、梅ヶ丘病院が統合してできた病院で、施設もまだ新しく、充実した設備を擁しております。
 次のページをお願いします。次に、当センターの小児がん医療の診療実績についてお示しします。
 図は、当センターでフォローしている小児がん患者さんの居住地をお示ししたものです。主に都内、特に多摩地域の患者さんが多いのですが、それ以外にも埼玉県、神奈川県からの患者さんがおります。また、それ以外にも関東のほぼ全域から満遍なく患者さんはいらしておりますし、数名ではありますが、遠方からの患者さんもおります。
 次のページをお願いします。会員以外の新規患者数をお示ししております。
 毎年のように、造血器腫瘍、固形腫瘍とも満遍なく、両方とも毎年増加を示しております。いわゆる思春期・青年期の患者さんについても毎年一定の患者さんを診ております。
 移植件数ですが、右下の図になります。2010年は病院の移転がかかわりましたので限られておりますが、その後はコンスタントに症例数がふえておりますし、また、移植総数に関しても偏ることなく、あらゆるものに対応しております。
 次のページをお願いします。今後、当センターが提供していく小児がん医療について、これから提示していきたいと思います。
 まずは、当センターがターゲットとしている患者地域は左の図のような地域と考えております。東京都多摩地域、そして交通の便を配慮しますと、埼玉県の南西部及び西部、神奈川県の北部、山梨県、そして東京23区の中でも西部の地域に関しては我々が患者さんとして受けていくことのできる地域と考えております。
 しかし、右の図になるのですが、これは当センターが開院して以来の救急搬送の実績です。Dr.ヘリで19例の患者さんが来ているのですが、そのうちの2名は小児がんの患者さんでした。また、151台のDr.カー、これは当センターが持っているDr.カーで、患者さんを迎えに行った症例数ですが、そのうちの3名は小児がんの患者さんであった。
 こういうように、一番最初のころにお示ししたように、当院の特徴である高度救命救急・集中治療に対応できるということを考えると、集中治療を要する患者さんに関してはこの地域に限らず受け入れる必要があると考えております。
 次のページをお願いします。そこで、当院に集約することができる小児がん患者さんに関して考えますと、1つは重症合併症を持つがん患者さん、もう一つは難治性(再発)腫瘍の患者さんであると考えています。
 つまり具体的に言いますと、重症合併症を持ち、全身集中管理を要する小児がん患者さん、もしくは造血幹細胞移植など高度医療を要する患者さん、そして血液腫瘍内科だけでは対応できない、外科などとの連携した包括医療が必要となる小児固形腫瘍の患者さん。この3つであると考えております。
 右上の図は、PICU/HCUにおける小児がん患者さんの入室実績です。例えば2011年度であれば、671例の入室実績のうちの16例が脳腫瘍、5例が固形腫瘍、6例が造血器腫瘍ということで、造血器腫瘍、固形腫瘍に関してもPICU/HCUでの集中管理が可能であるということをお示ししています。
 下の表は、当センターが開院以来行っている外科手術の件数です。この中には生検は入っておりません。
 次のページをお願いします。
 一方で、地域拠点病院としての使命も当センターは持っております。そのため、地域発症、具体的には2ページ前でお示しした地域の患者さんに対しては、患者さんの利便性を配慮し、全てに対応していくことを考えております。
 しかし、極めてまれな疾患についてはブロック内医療機関との連携を行ってまいります。具体的な実績としては中段にお示ししてあります。
 逆に、当院で受け入れることができる疾患、特に当センターで診療実績のある思春期・青年期疾患などについては当センターで積極的に受け入れていきたいと考えております。
 次のページをお願いします。次に、当センターの長期フォローアップ体制についてお示しします。
 特徴でも述べたように、当院には小児の臓器別専門診療科が整っており、既に関係各科が連携した包括的なフォローアップを実践しております。
 また、リエゾンチームの心理士・精神科医等による社会的・精神的なフォローアップも外来において継続して行われております。
 次のページをお願いします。
 当院の提供する長期フォローアップ体制のもう一つの特徴は、成人医療機関である多摩総合医療センターとのシームレスな移行医療体制であります。これは当センターの設計段階から構想されており、一部の診療科においては既に開始されておりますが、病院全体としては今年度、移行外来開設のためのワーキンググループを立ち上げるとともに、また、移行コーディネーターの育成を開始しております。
 次のページをお願いします。当センターの提供している多職種連携医療の概略をお示しします。
 患者さん・患者家族を中心に、ごらんのように非常に多職種が連携をとりながら診療に当たっております。この中の幾つかのチームについて、この後、御説明いたします。
 次のページをお願いします。
 当センターの特徴の一つに、子ども・家族支援部門があります。左の図のように、多職種を一つの部門とし、職種横断的なチームによりさまざまな支援を行っております。この中にリエゾンチームがありまして、精神科医、心理士、メディカル・ソーシャルワーカー、精神科専門看護師を中心としたチームが毎日病棟を回診し、主治医の依頼を待たずとも患者さん及び患者家族の心理的・社会的ケアを積極的に行っております。
 右の図は、リエゾンチームの1年間の活動実績をお示ししております。
 次のページをお願いします。
 移植・緩和医療カンファレンスは毎週開催されております。
 また、ICTラウンドも週1回行われておりまして、特に血液・腫瘍科では感染症科と合同で、造血幹細胞移植患者全例のウイルススクリーニング検査を週1回実施しております。
 次のページをお願いします。
 緩和ケアサポートチームは、先ほども述べましたが、カンファレンスを定期開催するだけでなく、啓発活動として勉強会、グリーフケアカンファレンスも定期的に行っております。
 また、濃厚なケアを必要とする終末期患者さんも、患者さんや家族の希望を尊重し、在宅医療クリニックなどと連携し、在宅への移行サポートを行っております。これまでに3名の終末期患者さんのサポートを行っております。
 次のページをお願いします。
 当センターは、7,200床を有する都立及び公社病院全体で構成された東京医師アカデミーという、後期臨床研修医育成システムの小児科医育成拠点であります。学位取得サポートをしているクリニカルフェロー、専門医取得サポートも行っているサブスペシャリティーレジデントといった人材を育成しておりまして、血液・腫瘍科でも将来の小児がんをリードしていく人材を育成しております。
 また、外部機関との連携も順調にできておりまして、さらに東京看護アカデミーでは小児看護エキスパートコースを開設し、その中に小児がん看護教育も含まれていることを御報告します。
 次のページをお願いします。
 小児患者さんは疾患を治すだけではなく、同時に患者それぞれの段階に応じた成長・発達を促すことも重要であります。当センターでは、ここにお示ししたような保育士・心理士による心理社会的支援、就学前教育相談、そして分教室を提供しております。また、広汎性発達障害を含む情緒障害を持った児のがん治療についても、リエゾンチームと協力し、円滑に行っております。
 また、治療終了後の復学支援も、分教室教員、ソーシャルワーカー、看護師と協力し、復学前ミーティングや復学時のパンフレット作成を行うとともに、退院後も原籍校教員をサポートする体制を整えております。
 次のページをお願いします。
 当センターのあります多摩メディカルキャンパス内には、ドナルド・マクドナルド・ハウスがあり、連続84日間の使用が原則可能となっております。
 また、院内にも家族支援のための施設をいろいろと整備しております。写真が2つあるのですが、下の写真は特に終末期の患者さんと家族のための、病室に隣接した家族滞在室の写真です。心理的なサポートも、患者さんだけではなく、その家族、特にきょうだいに対しても行っております。
 また、ビーズ・オブ・カレッジプログラム、小児がんや血液の病気の治療を受ける子供たちの、勇気ある旅をたたえるために、特別に用意されたプログラムを2011年3月から導入し、これまでに90人の患者さんが参加しております。
 次のページをお願いします。当センターの提供する相談支援体制です。
 子ども・家族支援部門内に相談窓口を設置し、現在は主に院内の患者さんに対して退院後の進学相談、経済的な相談に対応しております。
 また、小児がん患者といった免疫不全患者を守るための健常者ワクチン啓発ポスターを作成し、情報発信を行っております。
 次のページをお願いします。
 当センターには、上にお示ししたような臨床研究支援センターがあり、各種の研究支援を行っております。
 血液・腫瘍科も医師主導治験を実施し、また、治験に参加しております。さらに、第II相試験を含む各種臨床試験、都立病院多施設共同研究、トランスレーショナル研究を積極的に行っております。
 次のページをお願いします。最後になりましたが、当センターの理念をもう一度お示ししました。
 当センターは、これらの理念をもとに、子ども患者権利章典を遵守した小児がん医療を実践できるソフトとハードを有しております。今後も継続して、高度で充実した小児がん医療を提供していくことをお約束します。
 御清聴ありがとうございました。
○事務局(秋月) ありがとうございました。
 それでは、質問をお願いいたします。
 小俣構成員、どうぞ。
○小俣構成員 御発表ありがとうございました。
 2点ほど質問がございます。
 8ページの「地域医療機関との連携」ということで、ブロック内の連携がございますが、今後ブロック外でどのような連携をしていくかということをお聞かせいただけたらと思います。
 それから、長期フォローアップの体制についてなのですが、多摩総合病院と連携をしているということですが、フォローアップを受ける患者はあちこちに行くということがございます。その仕組みとして、まず最初にそちらから多摩に行って、そこから紹介されるのか。そのような、そこの細かいところをお伺いできたらと思っております。
 お願いいたします。
○東京都立小児総合医療センター ありがとうございます。
 ブロック外との連携ということに関してなのですが、今、具体的に実績としてはないのですが、やはり転居される方がどうしてもいらっしゃいますので、そういった方の場合には、事前にその地域のがんを強くやっていらっしゃる病院と連携をとって、患者さんがスムーズに行くようにということを考えておりますし、あと、やはり今、患者さんたちもかなりいろいろな情報を持っていらっしゃるので、特定の腫瘍、例えば脳腫瘍なんかですと、かなりの方が北海道に行きたいということをおっしゃる場合があるので、その辺は事前に医者同士でメールでやりとりをして、スムーズに患者さんが行って、セカンドオピニオンでも、あとは実際に診療依頼でも受けられるようにという個別の体制をしっかりとっている段階です。体制としてはまだつくっておりません。
 もう一つのほうの長期フォローに関してなのですが、確かにおっしゃっていただいたとおりで、患者さんそれぞれにどこに行きたいかということはあると思うのですが、ただ、現状としてはやはり小児がんの患者さんを成人の医療機関が受けるという体制がまだできていないという状況だと思っています。ですので、我々としてはまず最初に、同じ敷地内といいますか、同じ建物の中にある成人の医療機関との間で、いかに、どういうふうにスムーズに移行医療をやっていけるかということを一つのモデルとしてやっていければと思っています。
 具体的になのですが、開設準備を始めたということなのですが、来年の6月から、これは小児がんの患者さんだけではないのですが、うちの抱えている小児の腎臓であるとか、ほかの内分泌の患者さんも含めてなのですが、成人への移行外来というものを開設しようとしています。まずは院内でよく言う、移行の段階を踏んでいるかといったチェックアップの外来なのですが、その後としては、まず向こうの、例えば小児がんであれば血液科の先生に将来的には引き受けていただくという内諾は得ておりますし、あと考えているのは、いきなり全てを相手に任すのではなくて、例えば棟続きで中にあるので、1カ月交互で互いの外来に行って、互いの困っているところとかなれないところを徐々にすり合わせて、スムーズに移行できればと考えております。そういった体制ができた後は、将来はより地域の医療機関への移行となっていくと考えております。
○事務局(秋月) ほかに質問ございますでしょうか。
 道永構成員、どうぞ。
○道永構成員 15ページの東京看護アカデミーについて伺いたいのですけれども「小児看護エキスパートコース(2年間)」ということですが、これは病院の方が病院の中の看護婦さんに対してやっているのでしょうか。そうでなければ、対象の方はどなたになるのでしょうか。
 でも、これは東京都の問題ですね。
○東京都立小児総合医療センター そうしましたら、それはうちの看護部の馬渡のほうから説明させていただきます。
○東京都立小児総合医療センター 看護部長の馬渡でございます。
 看護アカデミーというものは東京の都立病院で行われておりまして、その中で専門コースを4つ置いております。その中の一つに小児看護のエキスパートコースがございまして、都立病院の看護師及び、都立の経営本部の監理する病院ということで、公社病院の看護職員等を対象にしております。現在2年間ですので、14名を対象にした研修を行っております。
○道永構成員 そうしますと、認定看護師とか専門看護師とか、そういった資格が取れる形になるのですか。
○東京都立小児総合医療センター 資格が取れるわけではないのですけれども、取るための準備段階と思っております。
○道永構成員 その後、日本看護協会が認定するということですね。
○東京都立小児総合医療センター はい。そうです。
○道永構成員 わかりました。
○事務局(秋月) ほかに質問ございますでしょうか。
 天野構成員、どうぞ。
○天野構成員 ありがとうございます。
 同じく15ページの質問なのですが「外部医療機関との連携」ということで「特殊技能をもつ医師の招聘」という項目があるのですが、こちらについて、具体的にどういった実績なども含めて、もしあれば教えていただければと思います。
○東京都立小児総合医療センター それはうちの副院長の鎌形から御報告します。
○東京都立小児総合医療センター 外部医療機関なのですが、連携している大学もございますし、隣の多摩総合医療センター、神経病院の、特に脳神経外科が中心ですけれども、先生もいらっしゃいますので、そういったところと連携しております。
 特にまれな疾患とか、非常に難しい部位とか、そういう手術の困難な症例ですけれども、そういった点に関しては、大学の先生に来ていただいたりして一緒に手術をするとか、逆に手術前後はこちらでお預かりして、手術のときにお願いをして、こちらが大学に行ったり施設に行ったりして一緒に手術をするとか、そういう体制を整えております。大学は複数ありますので、科によっても異なります。
○事務局(秋月) ほかに質問はございますでしょうか。
 小俣構成員、どうぞ。
○小俣構成員 ありがとうございます。
 済みません、先ほど1点聞き忘れてしまいました。
 AYA世代の人たちの受け入れや、あるいは環境整備というところでどのようになっているか、お教えください。
○東京都立小児総合医療センター それは子ども・家族支援部門の菊地のほうから御報告します。
○東京都立小児総合医療センター ありがとうございます。子ども・家族支援部門の精神科医をしております、菊地です。
 やはり年長の患者様には年長の患者様なりの心理社会的な課題がすごくありますので、それを私、精神科医がアセスメントをして、物によっては心理士を、物によってはソーシャルワーカーを、あるいは学校さんが就労についての援助を具体的に退院後まで外来で行うということでフォローしております。
○東京都立小児総合医療センター 1つだけ追加させていただきますと、残念ながら、やはり成人医療機関ではないので、今も実際に21歳の人が入院しているのですけれども、申しわけないのですが、子供たちに囲まれてなのですが、もともとほかの小児病院でずっと入院されていた方なので、その辺は大丈夫みたいなのです。ある程度、AYAの人たちが希望するところ、例えば携帯電話の使用であるとか、そういったところを少し、個々の患者さんのニーズに合わせて緩めて対応しているというところです。
 ただ、実際にはなかなか成人の病院で、今、いらっしゃる方は特殊な病気で、移植をされている方なのですが、どうしても成人の病院では、移植は受けられるけれども、その病気に対する移植を受けられないといった場合には、どうしても小児病院でやらなければいけないところがあって、そこは今後、もう少し環境を整えられたらと思って、リエゾンの先生たちと協力してやっている段階です。
○事務局(秋月) ほかに質問ございますでしょうか。
 それでは、ありがとうございました。
 続きまして、神奈川県立こども医療センターの皆様、よろしくお願いいたします。
(神奈川県立こども医療センター関係者着席)
○事務局(秋月) 神奈川県立こども医療センターの康井制洋総長、御発表のほどをよろしくお願いいたします。
○神奈川県立こども医療センター よろしくお願いいたします。神奈川県立こども医療センター総長の康井でございます。
 ヒアリング資料に基づき、私から神奈川県立こども医療センターにおける小児がん治療に対する取り組みにつき、特に強調したい点を重点に御説明させていただきます。
 まず、資料の構成ですが、拠点病院選定に当たっての評価の視点に基づいて、2ページから7ページまで私どもの特徴をまとめさせていただきました。必要に応じて、8ページ以降のそれぞれの項目について御説明させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、2ページをお開きください。
 まず当センターの特徴といたしまして、地理的に車で羽田空港から約40分、新幹線新横浜駅まで約30分、東京都内まで約50分という位置にありまして、全国から小児がん患者が来院できる環境、受診しやすい環境ということがございます。
 このページの真ん中右側に日本地図を記載しておりますが、小児がん患者に限りまして、最近10年間、614人の新規入院患者の居住地を見ますと1都12県に及び、下に昨年度の状況をまとめておりますが、県外の6都県8病院から紹介を受け、治療を行っている状況にございます。
 3ページをごらんください。
 このように多くの患者さんが来院いただいておりますのも「マル2小児がん診療の集約化」に記載しておりますように、当センターでは再発・難治性造血器腫瘍患者の積極的な受け入れや、一般小児外科施設では対応困難な、手術が可能な医師・医療スタッフの確保を図っていること。
 下の「マル3小児がん診療に係る地域連携」に記載しているように、地域の医療機能を生かした患者受け入れ・紹介を推進し、県内外の地域の医療機関との連携を強化して総合的な治療を実施しており、今後とも低リスク症例の連携施設との分担などによりまして難治症例のさらなる集約化が可能と考えております。
 恐れ入りますが、8ページをごらんください。
 再発・難治性造血器腫瘍に対する治療では、造血細胞移植を含む積極的な治療として、毎年20〜25例の造血細胞移植を施行しており、当センターの15床のクリーン病棟を効率的に運用することによりまして、さらに多くの症例に対応可能と考えております。
 その下、固形がん診療に関しましては、他施設では実施困難な多発肺転移症例に対する手術実績や肝芽腫・骨肉腫・腎芽腫等の多発肺転移症例などの手術を実施しており、移植認定医2名が常勤していることから、肝移植を自施設内で実施できる体制を整備しております。
 さらにAYA世代への対応ということでは、思春期病棟30床を設置しており、またクリーン病棟内個室を利用した思春期世代の造血細胞移植を実践しており、さらに児童思春期精神科との連携によりまして思春期世代の心のケア、また学習支援ということでは病棟内に設置した学習室における特別支援学校教諭による高校生の学習支援なども実践しております。
 加えて、その下、臨床試験・知見ということで、GCPに準拠した精度の高い臨床試験を行う体制を整備しており、また、小児知見ネットワーク運営委員として積極的な小児治験を実施しているところでございます。
 恐れ入りますが、4ページにお戻りください。次に「マル4チーム医療と長期フォローアップ」に関してです。
 入院中は、内科系14診療科、外科系15診療科による集学的治療を実践するとともに、医師、看護師、コメディカルによる小児病院初となる緩和ケアチーム、職種を超えた栄養サポートチーム等多くのスタッフが組織横断的に治療に参加する体制を整えております。
 退院後につきましては、晩期合併症に対するスクリーニング、心理的・社会的フォローアップを行うとともに、必要に応じて当センターの各診療科での治療を実施しております。また、平成23年度には小児がん看護フォローアップ外来を開設しており、在宅患者への支援の充実を図ることに努めております。
 さらに、成人期に達した患者には、新たな障害フォローアップシステムが構築されるまでは、移行期医療として当センターでの経過観察をお勧めしており、晩期合併症対策として、例えば二次がんに対しましては近々、重粒子線治療施設の稼働が予定されている神奈川県立がんセンターとの連携など、適切な医療機関で診療できる体制を整備しております。
 詳細は資料の9ページに記載しておりますが、将来的には成人がん対策との連携を見据えた、小児がん長期予後に関するデータセンターとしても機能することを計画しているところでございます。
 次に、5ページをごらんください。「マル5小児緩和ケアの提供体制」です。
 当センターでは、平成20年度に全国の小児病院で初となる緩和ケアチーム、平成22年度には緩和ケアのあり方、問題点の抽出などを目的に、より多くの医療スタッフから成る緩和ケア検討会議を設置して活動しております。
 恐れ入りますが、12ページをごらんください。
 現在では、下の図にありますように、患者の多様なニーズに対して、専従の麻酔科医をリーダーとして、緩和ケアチームを中心に、適切な人材による迅速な介入ができる体制をとっております。
 なお、緩和ケアチームの活動実績ですが、平成23年度には定例カンファレンスを38回、アキュートペインサービスを30回行っております。
 次に、人材の確保と育成についてですが、恐れ入りますが、13ページをごらんください。
 当センターは、人材の確保、特にセンター内での人材の育成に力を入れております。図に記載のように、医師では関連学会の指導医・専門医が多数在籍しており、こうした職員が研修医の指導・育成に当たっております。
 病院には、全国公募により採用した50名前後の研修医が常時勤務しており、このうち4ないし5名が小児がん専門研修医です。現在、当センターの小児がん診療を担当する小児科医は全て当センター専門研修経験者であり、特定の大学医局からのローテーションスタッフはおりません。
 こうした取り組みに合わせて、連携大学院制度による研究環境の整備や大学等の人材交流、当センターの経験者の勤務する全国各地の病院との人事交流も交えながら、今後も特定の大学の人事に依存せず、有能な専門医の確保・育成に努める所存でございます。
 また、小児看護専門看護師6名を初めとして、多くの専門・認定医療従事者の確保によりまして、各セクションのスタッフの指導・育成にも努めているところでございます。
 恐れ入りますが、6ページにお戻りください。「マル7患者の発育及び教育環境の整備」です。
 当センターでは、全ての一般病棟にプレールームを整備するとともに、常勤保育士14名を病棟に配置しており、うちHPS資格保有者が1名おります。また、当センターの特徴として、病院内に教諭45名を配置した特別支援学校の本校を併置しており、教員・保健師・ソーシャルワーカーといった多職種協働チームで入院当初から退院後の長期のフォローアップ計画の立案や復学支援等を手厚く行う体制を整えております。こうした公立の特別支援学校、本校が病院に併設されているのは私どもこども医療センターの特色と言ってもよいかと思います。さらに学習ということでは、患者の状況に応じて学校の教室、病棟内学習室、ベッドサイドによる授業を行っております。
 次に、その下の「マル8家族滞在施設、家族への支援」でございます。
 NPO法人やボランティアの協力を得て、家族滞在施設11室を運営しており、特にNPO法人が運営する家族滞在施設では、保育士によるきょうだい児保育やボランティアによる院内きょうだい児保育を実施しております。
 次に、7ページをごらんください。「マル9相談支援・情報提供」です。
 保健師、ソーシャルワーカーで構成する保健福祉相談室や小児がん看護フォローアップ外来、血液・再生医療科によるグループ診療など、患者・家族の心理的不安の軽減や子供のQOL向上に向けた在宅療養の支援、患者関係団体講演会等への医師等の派遣や会場の提供なども行っております。
 「マル10臨床研究への参加」です。
 JPLSG、小児固形がん臨床試験共同機構と協力して、臨床研究に積極的に参加し、平成24年度は38試験に参加しております。
 詳細につきましては18ページに記載しましたが、時間の都合で、説明は省略させていただきます。
 このように、私ども神奈川県立こども医療センターでは小児がんの治療に積極的に取り組んできておりますが、19ページをごらんください。この図は私どもの小児がん拠点病院としての継続性をまとめたものでございます。
 図の右側ですが、小児がん相談支援室、退院・在宅医療支援室、緩和ケア外来などを平成25年度に開設することを決定しており、さらに4番目の外来化学療法室の設置や5番目の連携大学院制度の拡充、6番目の二次がん治療のため、がん診療連携拠点病院である神奈川県立がんセンターとの連携をさらに推進することによりまして、医療の質の向上、在宅患者の支援を強化してまいりたいと考えております。
 最後に、20ページをごらんください。
 当センターには、病棟を訪問し、患者と家族の心のケア、治療等への不安の緩和、歩行訓練のお手伝いなどを行うセラピードッグベイリーが常駐しております。こうした取り組みも私どもの基本理念に基づいたものでございます。
 今後とも、小児がん治療のために職員一同、全力で当たる覚悟でございますので、御検討をお願い申し上げます。
 御清聴ありがとうございました。
○事務局(秋月) ありがとうございました。
 それでは、質問をお願いいたします。
 石井構成員、どうぞ。
○石井構成員 すばらしい内容だと思います。
 1つだけ、9ページと10ページの内容を見ますと、病病連携に対する考え方なのですが、要するに疾患の種類とか重症度に応じて連携する病院を変えるという考え方でやっていくのでしょうか。それとも、やはり小児がん全体としては神奈川県を中心として、その地域・ブロック全体を統合する形でやっていくのでしょうか。どちらのお考えでしょうか。
○神奈川県立こども医療センター まず、神奈川県の患者が実は94%を占めておりまして、これは神奈川県の全域に患者さんが在住されております。神奈川県内の患者さんにつきましては分担、特に比較的低リスクの方は紹介元の大学病院が主体となりますけれども、そういう病院で今後も治療していただきますが、できれば治療後も、患者さんの御希望にもよりますけれども、年に1回程度は当センターに御連絡をいただくか、あるいは受診をいただくという制度を今後立ち上げることを考えております。
○神奈川県立こども医療センター 追加の発言をよろしいでしょうか。
 私たちは、神奈川県の地域のネットワークというものは今後も重視していきたいとは考えております。神奈川県には当センター以外にも小児がんの診療施設が複数存在しますので、それらの施設を統合して小児がん診療を効率よく行っていくべきであろうと考えております。その中で、私たちの施設ではより難治例の診療に積極的に当たるというのが私たちの役割と認識しております。
○事務局(秋月) ほかにございますでしょうか。
 柳澤構成員、どうぞ。
○柳澤構成員 人材の育成に関して連携大学院ということが触れておられましたけれども、現状と今後の見通し、「拡充」と書いてありますが、もう少し具体的に説明をお願いします。
○神奈川県立こども医療センター まず連携大学院は、私たちは大学院での授業の履修及び研究を業務として位置づけるという形で、現在、横浜市大大学院との連携をとっております。来年度、3名の医師が大学院に入学して、診療と同時に研究業務を行うという位置づけにしております。
 現在考えておる都内の大学があるのですが、まだ具体的には連携の協約の締結には至っておりません。年内にできませんで、1月明けてすぐに、ここで名前を出していいのかわからないのですが、もう一つ都内の、特に遺伝子治療とiPSをたくさん扱っている大学と連携交渉に入る予定になっております。
○事務局(秋月) 天野構成員、どうぞ。
○天野構成員 御発表ありがとうございました。
 私から質問が、今、既に少し御説明いただいたのですけれども、横浜市大附属病院の小児科の医師もキャンサーボード等に参加されているということが申請書に書かれていたのですが、横浜市大附属病院の小児科との役割分担といいますか、そういった連携体制及び役割分担はどういった形になっているか、教えていただければと思います。
○神奈川県立こども医療センター 血液・再生医療科の後藤と申します。私、実はこの4月まで横浜市立大学の小児科に在籍しておりましたので、私のほうから御説明させていただきます。
 先ほどの石井先生からの御質問にもありましたように、病病連携の点において、横浜市立大学には小児外科部門がありませんので、小児固形腫瘍の手術に対応する専門医がいないという問題があります。てすので、神奈川県立こども医療センターにおいて手術を行って、その後の化学療法は横浜市立大学で継続するという連携をとっていきました。
 その中で、特に重症例、さらに集学的な治療を継続的に行う必要があるような症例に関しては神奈川県立こども医療センターで継続的に治療を行っておりますけれども、化学療法単独で構わないような症例に関しては横浜市立大学にバックトランスファーをするという連携をとっております。
 ですので、経時的な、定期的なtumorボードにおいては、横浜市立大学からも医師が参加して情報を交換するということを行っております。
○事務局(秋月) 韮澤構成員、どうぞ。
○韮澤構成員 御発表ありがとうございました。
 19ページの右側の欄なのですけれども、初めて緩和ケアの外来、それから外来化学療法という言葉が出てきたのですが、実際に具体的にどのようなことを計画なされているのか、御説明いただけたらと思います。
○神奈川県立こども医療センター 緩和ケア外来は、実はこのがんの拠点病院構想とは全く別の次元で動いておりまして、既に緩和ケアチームを立ち上げて、そこに専従医師、麻酔科医を置いてもう5年がたちまして、この間、急性期のみとりの問題ですとか、慢性疾患に関する緩和ケアをどうあるべきかを院内で検討してまいりました。特にこの慢性疾患、悪性疾患の緩和に関する小児の緩和ケアというものはなかなか統一したコンセンサスが今はないものですから、5年たちましてようやく外来を開けるというのが実際のところでございます。
 それから、化学療法外来につきましては、この整備の中で今後必要なものを検討した上で、実はこの計画に合わせて出てきたもので、まだ予算等の処置は今後とっていくことになりますから、現在も外来での化学療法は行っているのですが、ここが外来化学療法室というものはないので、外来の一部としてやっておりますものを集約化して、そういう意味では組織の改修等が必要になりますので、予算等の処置を踏まえた上で具体的なことを考えていきたいと思っております。
○事務局(秋月) ほかにございますでしょうか。
 小俣構成員、どうぞ。
○小俣構成員 御発表ありがとうございます。
 ちょっと多くて、4つなのですが、手短に申し上げます。
 先ほどの成育医療センターでもお伺いしたのですが、場所的には神奈川や千葉を網羅するというところで、すごく大事な場所だと思うのですが、何度も行ったことがあるのですけれども、アクセスがバスも余りたくさんないということがあるので、送迎バスのようなものは今後ハード面として考えておられるのかということが1点。
 これは確認なのですが、AYA世代といいますか、思春期の方たちにもフロアがあってということで、各フロアにプレールームのようなものがあるということでしたが、それは思春期のところにも何かそういう設備があるのかどうかということ。
 それから、患者さんの年齢制限は、こども医療センターですので、あるのかどうかということ。
 4つ目ですけれども、先ほど看護師さんの長期フォローアップの外来があるということで、大変すばらしいと思いましたが、医者、主治医との関係であるとか、どのような長期フォローアップの位置づけになっているのかということを少し詳しく教えていただければと思います。
 よろしくお願いいたします。
○神奈川県立こども医療センター 御質問ありがとうございます。
 まず、AYA世代の病棟内での学習ですが、プレールームではありませんで、学習室というものがありまして、そこにインターネットを引いた環境を整備しております。
 病棟外に出られる患者さんは、中学校までですと学校の教室で授業を受けていただく。高校生に関しては教諭による教育支援が受けられておりますが、まだいわゆる正式な退院認定という状況に高校生ではなっておりません。
 それから、巡回バスの話ですが、近くには実は駅が3つあるのです。一番近いところで歩いて25分ぐらいかかりますから、決してそういう意味では近いとは言えませんが、今のところ、まだ具体的に巡回バスの構想はございません。
 ただ、今までそういう話も何回か出てまいりましたので、今後、予算上の問題が一番大きいわけですけれども、拠点病院事業等でいろいろな御支援が受けられるようになればぜひ考慮したいと思っております。
 それから、3つ目は何でしたか。
○神奈川県立こども医療センター 新規の入院患者に関しましては16歳までとしておりますけれども、その後、例えば再発したりですとか、晩期合併症の問題、長期フォローということに関しては年齢制限を設けずにフォローアップを続けております。その中で発生した有害事象に関しては、適切な診療機関に紹介をするという体制を行っております。
○神奈川県立こども医療センター 小児がん看護フォローアップを始めました竹之内と申します。
 主治医とのということでしたけれども、まず、この外来の目的は、退院された御本人や御家族たちが日常生活の中での困難とか、あと、就学とか就職とかライフイベントに関する困難とか、そのあたりの支援や調整ができたらということでまず始めておりますので、最初には主治医との診察に同席しまして、看護でどのようなことが提供できるかを御本人や御家族に説明して、そこからの相談を受けるということになっております。
 そういう状況ですが、よろしいでしょうか。
○小俣構成員 そうしますと、長期フォローアップの医師の外来は今のところはないということなのでしょうか。
○神奈川県立こども医療センター 医師側では、長期フォローアップ外来と銘打ってはおりませんけれども、私たちの血液・再生医療科の外来をそのままずっと長期フォローアップして継続しているという体制です。
 さらに、当センターには専門の内分泌科医、循環器科医がおりますので、発生しそうな場合、スクリーニング検査という場合にもそれらの科の協力を仰いでという体制で行っております。
○神奈川県立こども医療センター ちょっと補足ですが、小児病院ばかりではないかと思いますが、小児期のこういう慢性疾患、あるいは特定の重症疾患に関して、移行期医療の制度が、今、日本にはまだ成り立っておりませんので、がんに限らず、小児の慢性疾患は成人にどう移行するか。先ほどの成育でも同じような答弁、あるいは東京の小児病院でも出ていましたけれども、これは日本全体あるいは世界全体の課題だと認識しておりまして、我々は、今のところは患者さんの御希望があればうちで、状況の許す範囲で継続して経過観察を行うということを基本的なスタンスにしております。
○事務局(秋月) ちょっと時間が過ぎておりますが、最後に質問はございますでしょうか
 よろしいでしょうか。
 それでは、どうもありがとうございました。
 続きまして、埼玉医科大学国際医療センターの皆様、お願いいたします。
(埼玉医科大学国際医療センター関係者着席)
○事務局(秋月) 埼玉医科大学国際医療センターの小山勇先生、よろしくお願いいたします。
○埼玉医科大学国際医療センター 病院長の小山でございます。よろしくお願いします。
 1ページ目からお願いします。最初に、我々の病院のスタンスというものを理解していただきたいと思います。
 我々は2007年4月に開設で、まだ6年目の非常に新しい病院であります。通常の大学病院と違いまして、大学の医局講座制は全くなく、横のつながりを重視した病院として立ち上がりました。したがって、病院の中には医局というものがなくて、全ての部屋はキャンサーボードなるところの、ボードの会議のための部屋が全て用意されているというところです。
 外来も、心臓病センター、包括的がんセンター、救命救急センターから成りますけれども、外来は心臓病センターとがんセンターと通院治療センターの3つしかありません。ですから、診療科の区別ではなくて、全て疾患で共通してやっているということであります。
 もう一つの大きな特徴は、2.5キロ離れたところに大学病院がありまして、800床の大学病院と連携していまして、大学の教員の講習所は全部兼担になっていますので、お互いに大学病院と我々の病院は行き来して、医師ばかりではなくてナース及びその他の職種も全部、スタッフは行き来して、お互いに協力するという体制でやっています。ですから、非常にそういう面では新しい病院であるということを御認識いただければ幸いです。
 それで、700床のうち136床がICUという非常に高度の先進医療ですけれども、今、そのうち主に心臓で使っていますが、小児ICUが10床あります。
 2ページ目をお願いします。そのうち、小児がん診療の現状です。
 現在、B6という病棟すべてを3科、特に小児がんに特化したような、脳脊髄腫瘍科、小児腫瘍科、骨軟部腫瘍科、これでこの病棟で使っております。そのうち小児が大体30から、多いときは35ぐらい入っています。
 通常の小児がん患者は全てこの病棟でやっていますけれども、ふえればもう一つ別の小児病棟が、心臓を主に診ている病棟がありますので、そちらで診るという、必要に応じて柔軟に運営していますので、各科で病床数を固定するようなことはしていません。
 3ページですけれども、現在の診療の現状です。
 年間の小児脳脊髄腫瘍新患患者さんは、大体50例から60例あります。このうち新規の診断例は約半数で、ほかは他院からの治療中の紹介、再発後の紹介であります。ですから、半数は他院からの治療中の継続、あるいは再発後の紹介が非常に多いということで、難治例が非常に多く含まれています。
 現在、日本で最も多くの小児脳脊髄腫瘍を診療する施設でもあります。
 小児脳脊髄腫瘍以外に、小児の造血器腫瘍は年間10〜12例で、このうち8例が新規診断例で、それ以外に同じ病棟で診ています骨軟部腫瘍科が、がんの疑いで紹介される症例が年間35〜40例で、そのうち最終的にがんであると診断されたものが10〜15例あります。
 4ページ目をごらんください。地域別の患者数で、これは小児がんの患者数です。
 当院が始まって以来5年間で、埼玉県でほとんど、188例という、一番カバーしている領域としては埼玉県が多いです。しかし、埼玉県以外に東京都、千葉県、神奈川県、群馬県、静岡県、茨城県、あるいは栃木県、広く関東一円からも患者さんが来ておりますけれども、やはり埼玉県の特に西部、700万人以上いる人口の埼玉県の西部のほとんどは、我々の埼玉医大3病院が最後のとりでであるというのが現実の医療の状態でありまして、全て我々で最後まで面倒を見なければいけないという地域性もあります。
 5ページ目をお願いします。主な連携先医療機関です。
 ここでもおわかりのように、埼玉医科大学病院からで88件、総合医療センターが川越で、これは大体20キロほど離れていますが、21件と、大学の中でかなり埼玉県の西部の領域を見ています。特に小児科、脳神経外科、その他、内分泌系の内科などの連携は、先ほど言いましたように、大学病院とは非常に密接に保っていますので、中の大学、埼玉医科大学系からは非常に多い紹介ですけれども、その他にも埼玉県内、あるいは東京の小児の一流のがんセンターからもお互いに患者さんの紹介をしております。
 6ページ目をお願いします。
 これまでカバーしてきた地域ですけれども、先ほど申しましたように、実際には埼玉県を中心に関東一帯をカバーしてまいりました。しかし、中には遠隔地域からの受診のものも数多く含まれています。その場合には治療方針決定後、地元で加療したり、一部は家族の希望により当院で加療を続けることもあります。今後、さらに広い領域からの受け入れを用意するつもりで、今、準備を進めています。
 今後どの地域までカバーすることが可能かという点では、残念ながら関連施設が今までなく、山梨県がゼロでありまして、そういう広い関東一円をカバーするような努力を少ししたいと思っております。
 7ページ目をお願いします。他施設との連携です。
 脳脊髄腫瘍に専任する脳外科医と小児科医が同一科内で診療しているというのは、日本では非常に珍しいといいますか、唯一の病院だと思います。1つの診療科の中で内科医と外科医が一緒に実際に診療に当たっています。
 また、それ以外に包括的にがんセンターとしてありとあらゆる専門医がいます。独立した放射線腫瘍科、それ以外に画像診断科でも神経の画像診断の専門家など、多くの専門家をそろえております。
 それから、埼玉医大の大学病院にも脳神経外科がありますけれども、特に定位腫瘍生検が必要な場合、あるいは小児外科で脳腫瘍、骨軟部腫瘍以外の腫瘍の場合には、大学病院の小児外科と連携をして、手術をこちらでやったり、あるいは場合によっては大学病院でやったりしています。平成25年度からは包括的がんセンター内に、我々の中に常勤の小児外科医を配置する予定で、大学病院と4名の小児外科医でバックアップしていくつもりであります。
 8ページをお願いします。
 これは過去5年間に我々の病院で行った小児がんの手術症例で、252例の経験が今まであります。
 9ページをお願いします。長期フォローアップについてです。
 我々の病院は、原則として、小児期から成人期まで一貫してフォローアップを行います。
 小児科医は、先ほど言いましたように、常に脳神経外科医と一緒に診療をしていますので、思春期から成人患者まで入院加療に従事していますので、外来もそのまま継続してやるには特に全く問題はありません。
 それから、内分泌学的な問題や認知機能障害などの合併症など、あるいは場合によってはいろいろな余病を起こしたような場合には、先ほど言いましたように、埼玉医科大学の小児科あるいは各内科の専門家と一緒にこちらに来ていただいて診ていただいたり、連携が非常に密に行われています。そして、遠隔地であれば地元医療機関の小児科、内科、精神科を紹介してフォローアップあるいは治療を依頼しながら連携をとっていまして、現在、国際医療センターでは200の施設と連携施設の協定を結んでおります。それで毎月1回、年に3回、地域連携施設の会議を行っております。そして、お互いの情報交換を行う場所を設けております。
 それから、初診時から患者全員にソーシャルワーカー(MSW)が介入する体制をとっております。
 10ページをお願いします。緩和ケアの提供体制です。
 これは先ほど言いましたように、初診時から継続した院内の緩和チームが継続的に介入して、MSWが主体となって地域の関連機関との連携を図っています。特に2.5キロ離れた、我々の連携先である埼玉医科大学病院には、大学病院では日本で初めての訪問看護ステーションを持っていまして、大学病院の訪問看護ステーションと非常に密に連携をとりながら緩和ケアを行っております。
 家族が最終的に希望しなかった1例を除いて、全例で在宅緩和医療を実現しております。
 11ページをごらんください。これが過去5年間に在宅緩和医療を行った症例です。
 1歳から21歳の脳腫瘍患者さんが入っていますが、初発は0歳から15歳ですけれども、これだけの患者さんを実際に在宅緩和医療を行っております。これも医師ばかりではなくて、MSWあるいは訪問看護ステーションなどの大きな助けがないとできないことであります。
 12ページをごらんください。チーム医療についてです。
 先ほどから繰り返してはいますけれども、これはもともと我々の病院がチーム医療を重要視するようにつくった病院で、そのために講座とか医局をなくしています。したがって、入院当初あるいは初診時からソーシャルワーカーを紹介して介入を一緒にやっているということ。
 多職種チームの診療というものは当然のことでありまして、全ての診療科においてキャンサーボードを行っています。全ての診療科のカンファレンスにはソーシャルワーカーあるいは薬剤師、全ての職種が参加することが原則になっております。
 13ページをごらんください。
 チーム医療について、先ほど言いましたように、外科医と内科医あるいは小児科医が一緒になって診療する体制は、脳脊髄腫瘍科のみならず他の診療科でも同様なことであります。
 特に多職種チーム診療体制として、小児がんではここにありますような数多くの人たちがかかわっておりまして、特にソーシャルワーカーが6名、あるいは薬剤師が当院に67名いますけれども、常に2名から3名はこのチームに加わっておりますし、栄養士が11名おりますが、そのうち常に2名はこのチームに加わっております。
 14ページをごらんください。人材の確保です。
 この中では、臨床フェロー制度というものを導入していることが特徴であります。外部のところから我々のところで研修したいドクターは1年あるいは2年で取っております。
 15ページは、看護師やその他の職種も同様に対応しております。
 16ページの復学支援です。
 通院治療センターにおいて、小学生・中学生・高校生まで外来化学療法を施行しております。これが大きな特徴であります。
 17ページは院内の写真です。
 18ページは家族の長期宿泊施設などが書いてあります。
 最後に、19ページの相談支援・情報提供です。
 小児がんに関する相談件数は、現在5年間で435件、実際にしています。このようにドクターだけではなくてMSW、看護師も含めた、多職種によるこういう相談支援センターが活発に行われておりますし「がんの子供を守る会」と連携をしていることも特徴であります。
 以上であります。
○事務局(秋月) ありがとうございました。
 それでは、質問をお願いいたします。
 天野構成員、どうぞ。
○天野構成員 御発表ありがとうございました。
 私からは3点ございます。
 まず1点目は、埼玉医大で現在申請が出ている施設の中では突出して脳腫瘍を診ていただいているということがあると思うのですが、既に一部御説明いただいていますけれども、その突出している理由についてあらためて御説明いただき、また、その脳腫瘍の診療について、関東のみならず全国とも連携をしていると推察いたしますが、その連携体制について教えていただければというのが1点目です。
 2点目が、一部、小児外科医等の要件が満たされていないと前の会議のときは理解しているのですが、本日お話を伺っていますと、大学との連携が可能ということで、もしそういった大学との連携の中でそういったところがカバーされ得るのであれば御説明いただきたいというのが2点目です。
 3点目が、長期宿泊施設について、今までプレゼンテーションをいただいた施設に比べると料金が若干高いように思うのですが、これは今後、例えば拡充であるとか料金を下げていくといった方策などはお考えかということについてお聞かせいただければと思います。
○埼玉医科大学国際医療センター それでは、最初に2番目のほうからお話しします。
 小児外科医に関しましては、今、大学病院に3名のスタッフがいますけれども、全面的に我々のところに兼担になっておりまして、手術が必要な場合には彼らが来てやるような体制になっています。
 ただ、先ほど言いましたように、今度、平成25年4月からは我々のところに専属の小児外科医が着任する予定でして、その小児外科医は大学病院の3名の小児外科医とチームを組んで、4名の体制で我々のところに全面的にバックアップしますので、今までも小児外科の手術はやっているのですけれども、ただ、基本的に我々の中でそういう体制は確実に4月からはできます。
 3番目ですが、長期の療養施設ですけれども、私も実はほかのところを見て初めてわかりましたが、これはぜひ理事側とも相談して、安くするように検討したいと思います。
 施設の数ですけれども、非常に地域としてはまだまだ拡充する余裕はありますので、患者さんがふえればそういう施設は幾らでもふやす用意はあります。
 それから、最初の脳腫瘍については担当の柳澤のほうからお答えします。
○埼玉医科大学国際医療センター ありがとうございます。
 我々は、きょう御発表されたほかの施設と違いまして、ようやく小学校1年生になるような、そういう子供のような病院ですが、ちょうど2007年の病院開設時に、当初から子供の脳腫瘍では、皆様のほうがよく御存じのように、非常に種類が多くて、年齢・部位によって治療・診断も大きく異なる。それを世界水準並みの治療にするためには、やはり患者さんに集まっていただいて、脳外科医・小児科医が一緒になって、他の専門科と一緒になって診療を展開しなければならないということで、当初から狙って脳脊髄腫瘍科あるいはその中の小児脳脊髄腫瘍部門をつくりました。
 それで、開院2年目から周囲の先生方の御理解や、あるいは専門施設からの御理解で、患者さんが年間50を超えるような状態になりまして、願っていたとおり、何とかそういう小児脳腫瘍の拠点の施設になりたいと願って出発したのですが、実現してきたと思っております。
 そういう中で1つは、再発の方が当初は多かったのですが、再発でお送りくださった病院が初めから患者さんをお送りいただくような流れというものもできております。
 もう一つは成人期以降の問題ですけれども、皆様御存知かもしれませんが、例えば髄芽腫や上衣腫といった病気は小児に多い病気ですけれども、成人期にも発症いたします。ですから、20代、30代の脳腫瘍の患者さんたちがおられまして、これに関しましても初めから意識して我々小児科医は大人の患者さんもできるだけ診ていこうといたしました。
 そういう中で、結局は大人の患者さんをお引き受けして診ている中で、今、自分たちが治療しているちょうど子供の患者さんたちの未来を見つめるような形で、フォローアップの体制とかそういったことを考えることができる状況になっております。ですから、初めから目的を持って、このような状態になりたいと願ってやってきたという状況です。
○天野構成員 ありがとうございます。
 他の各地の脳腫瘍を診ている施設との連携体制というものは、具体的にどういった体制になっているのでしょうか。
○埼玉医科大学国際医療センター まずは、直接的には患者さんを御紹介くださることを通して連携というものはできてまいりますけれども、例えば手術をして、その後、化学療法をお任せいただいた場合には、そこから我々のところでお引き受けして、最後まで治療を行います。
 しかし、その治療後に、患者さん御自身はそれぞれお近くの大きな病院があるわけですから、我々が最低限必要な、例えば疾患そのもののフォローを当科で行って、内分泌の問題やそういう問題、もっと頻回に病院を受診するような必要のあることについては、むしろ地元の御紹介いただいた病院の内分泌科にお願いする、そういったことがあります。
 場合によっては、患者さん御自身が何か緊急性を要するような病態をお持ちであるという場合があります。この場合、2時間もかけてこちらまで搬送されるという時間はありませんから、なおのこと、紹介元の病院との連携を強くして、まずはそちらで御対応いただいて、その後に問題があればまた来ていただくという体制をとっております。
○事務局(秋月) 石井構成員、どうぞ。
○石井構成員 そうしますと、今の天野構成員の質問と関係するのですが、脳腫瘍の治療を全国的に集約化してやっている、その特徴は集学的な治療ということであって、例えば何か特別な、非常に高次な治療、高度な治療、臨床研究をやっているわけではないという理解でよろしいですか。
○埼玉医科大学国際医療センター その臨床研究そのものも、我々は脳腫瘍の研究を行っておりますけれども、例えば集学的治療が重要だというのは言うまでもありませんが、例えば外科的な治療一つをとりましても、頻回に後頭蓋窩の手術を行っている施設と、まれにそういう手術がある施設では、大きな違いはあります。そういった意味では、脳腫瘍に関してはより患者さんが幾つかの拠点に集中して治療を受けるべきであろうと考えております。
○事務局(秋月) ほかに質問はございますでしょうか。
 垣添座長、どうぞ。
○垣添座長 先ほどの質問とも関連していることですけれども、小児の脊髄腫瘍に関して傑出した実績を持っておられると思いますが、これは国内の第2位につく医療機関はどこで、その数はどのくらいかというものを教えていただけますでしょうか。
○埼玉医科大学国際医療センター 松谷のほうからお答えします。
○埼玉医科大学国際医療センター 第2位ですか。今、小児の脳腫瘍を一生懸命やっている大学では、東京では女子医大、東日本では東北大学、西のほうでは広島大学、それから兵庫県立こども病院、そのあたりだと思います。
○垣添座長 それで、数はどのくらいですか。
○埼玉医科大学国際医療センター 数は、ちょっと正確には知りませんが、二、三十ではないかと思います。
○埼玉医科大学国際医療センター 非常に症例数が多いというのは、1つは先ほど言いましたように、我々、埼玉県だけではなくて、関東の、群馬の北部あるいは東京の西部も含めてかなり広い領域で、最後のとりでで、ほとんど断らずに全部集まるという、そういう地域性もあると思うのです。
 それで我々、がんの診療拠点病院になっていますけれども、4年目で全国で6番目の院内登録の数になっていますから、我々もびっくりしたのですが、わずか4年目でそれだけの患者さんが集まるというのは我々にとっては非常にうれしいことなのですけれども、それは1年目、2年目と繰り返すことによって、先ほど言いましたチーム医療というものが非常に患者さん同士の紹介で、あるいは地域の先生方にそういう紹介をしていただけるルートができたことが大きいと思います。
○事務局(秋月) ほかにございますでしょうか。
 小俣構成員、どうぞ。
○小俣構成員 先ほどから乗り物の話ばかりで恐縮なのですけれども、何度かうかがったことがあって、やはりアクセスがというものがあります。ですので、何かその辺の対策がというのが1点。
 もう一つは、きょうだい支援などについては何か対応されていることがあればお教えください。
 お願いいたします。
○埼玉医科大学国際医療センター 先にアクセスのほうですけれども、我々の病院は非常に不便なところにあるのは確かで、ほとんど、85%から90%の方は自家用車で参ります。そのために、実際に1,200台の駐車スペースを持っています。さらに駐車スペースを拡張してそれに対応するようにしているところですけれども、同時に、この2年ぐらいでは通常のバスの運行も頻繁に始めるようになりまして、駅からのそういうアクセスも以前よりはかなり改善したのではないかと思って、その辺は我々、自家用車で来ない方も含めまして、公共バスとか、引き続きその努力をしたいと思います。
 それから、きょうだい支援については柳澤のほうから、経験がありますので、お答えします。
○埼玉医科大学国際医療センター 先ほど院長が紹介しました包括的なカンファレンスという、それをずっと継続して行ってきているのですが、その話題の中心は医療よりもむしろ治療を受ける子供たちとその御家族の問題で、そういう中には当然、ごきょうだいをどうするかということが問題になることもありまして、そのチームで、その御家族の状況に応じて、例えばお母さんがこちらにつき添われてお留守になるような状況でお過ごしの御家族のところには、地域の保健師さんに様子を見ていただくとか、状況に応じて対策をとってといいますか、みんなで話し合いをしながら、どういうふうにサポートするかということを考えてきております。
○埼玉医科大学国際医療センター 1つだけ追加させていただきますと、私どもには精神腫瘍科の先生、それからチームがありまして、例えばがんですと遺族外来もやっています。患者さん自身だけではなくて家族のグリーフィングとか、亡くなった場合の後まで含めての体制を一生懸命、我々としてはやっていまして、遺族外来も含めた、小児も含めた、そういう精神腫瘍科の先生は非常に取り組んでおりますので、その辺も小児のほうにもどんどん、そういうチャンスがあれば我々としても伸ばしていきたいと思います。
○事務局(秋月) それでは、最後に山本構成員、豊田構成員、手短にお願いいたします。
○山本構成員 地方行政の立場からお尋ねしたいと思います。
 地元の自治体、あるいは近隣県の自治体との協力・連携体制についてはどのようにお考えでしょうか。
○埼玉医科大学国際医療センター 全般的にですね。
 我々大学、特に埼玉県の保健医療部といいますか、非常に密接な関係がありまして、医療整備課、あるいは特殊疾病のほうとも非常に連携しております。地域連携施設にはそういう県からのいろいろな人も呼んでいますし、そういう面のコミュニケーションはほかのところに比べると非常に強いと思います。
 特にこの小児がん、あるいは小児だけに含まず、がんの診療に関しては地域、特に県の担当者とは密接に連絡をこれからも続けるつもりではあります。
○山本構成員 ありがとうございます。
○豊田構成員 聞き漏らしたかもしれませんが、造血器腫瘍に対する幹細胞移植とか、移植についてはいかがなのですか。
○埼玉医科大学国際医療センター それでは、田中のほうからお答えします。
○埼玉医科大学国際医療センター 造血細胞移植のことですね。
○豊田構成員 そうです。
○埼玉医科大学国際医療センター 当院が開設されましたのが2007年で、当時、私が1人で着任しまして、院内標榜ですけれども、小児腫瘍科という単一診療科をつくっていただきました。
 当時はまだ、この病院は病棟あるいは病床を固定せずに、みんながフレキシブルに使い分けるというのが特色なのです。そのときは私1人しかおりませんでしたので、二、三人の患者さんをやっていて、移植はとても扱えませんでしたから、築地の国立がん研究センターや私の人脈のある施設に紹介していたのですけれども、スタッフが2人になったころから移植を始めました。
 現在、ことしは既に5例行いました。私が申し上げているのは全部、同種移植で、JMDPの、日本の骨髄バンクの診療科別の認定施設、小児腫瘍科としての認定も受けました。それから臍帯血バンクの認定も、事務手続がおくれていましたけれども、症例数も足りておりますし、書類も十分なものを提出しておりますので、もうじき認可のものがおりると思います。
○事務局(秋月) それでは、ありがとうございました。
 続きまして、国立がん研究センター中央病院の方、よろしくお願いいたします。
(国立がん研究センター中央病院関係者着席)
○事務局(秋月) 国立がん研究センター中央病院の牧本敦先生、よろしくお願いいたします。
○国立がん研究センター中央病院 最初に、このようなプレゼンテーションの機会を与えていただき、ありがとうございます。
 国立がん研究センター中央病院のプレゼンテーションを行います。発表は小児腫瘍科長の牧本が担当いたします。病院長の荒井、統括事務部長の小須田が同席しております。よろしくお願いいたします。
 まず、1枚目の資料をごらんください。
 座長の垣添先生には言わずもがなでございますが、国立がん研究センターは悪性腫瘍分野において世界最高の医療と研究を行うと同時に、患者目線で政策立案を行うという理念のもと、過去50年の間、国立の高度医療先進センターとして機能してまいりました。
 2枚目の資料をごらんください。
 国立がん研究センターの設立当時より小児腫瘍科は2名体制プラス研修医という、比較的小規模な診療科として頑張ってまいりましたが、当院のミッションを果たすために、この2年間で大幅な人材補強を行っております。特にこれまで足りなかった小児外科分野の人材補充を行い、現在は6名プラス研修医という十分な診療体制となっております。
 内科分野は全員が小児科専門医、2名が小児血液・がん暫定指導医、外科分野は2名とも小児外科の専門医であります。
 本ヒアリングの評価視点に、人材の確保と拠点病院としての継続性の2点が挙げられております。前者の人材確保は既に対応済みであること、及び後者の継続性に関しては当該の理念と使命から見た保証がなされることは、本日、病院長と統括事務部長が臨席されていることからも自明のことと思います。
 3枚目の資料をごらんください。
 当院の小児腫瘍科の最大のミッションとして、臨床試験・治療開発の推進を掲げまして、それによる再発症例・難治症例への治療提供を積極的に行っております。新規発症患者に対する標準治療の提供においても、特に他の医療機関での対応が困難な骨軟部肉腫や目の網膜芽腫、思春期・若年成人の造血器腫瘍や肉腫等々を積極的に受け入れております。
 これらの症例の2011年実績を下のほうに示しておりますが、少なくとも当院については、このような再発・難治症例の集約は既に進んでおりまして、思春期・若年成人患者についても既に多数受け入れております。
 このような年長の方の診療については、がん治療は当院小児腫瘍科が担当し、合併症等々で成人特有の問題が生じた場合には総合内科の先生方に協力を得ております。
 後の資料に18歳以下の新規発症患者さんの数が記載されておりますけれども、これらの再発・難治例、思春期・若年成人例を加えますと、年間で120症例以上の患者さんを治療している計算となります。
 小児がんを治療する24床の小児病棟がございますが、外来通院治療等々を併用することによって平均在院日数は7日となっておりまして、この短縮した平均在院日数でもって限られるリソースを最大限利用するように努力しております。
 4枚目の資料は、一、二枚目と重複しますが、当院の特徴について挙げております。
 当院は、小児腫瘍科を有する数少ない「がん専門病院」の代表として、対応困難な難治患者・希少患者・思春期患者を率先して受けております。
 その他、多くの特徴を有しますが、具体的な内容に関して5枚目以降の資料で示してまいります。
 5枚目は、これは既に一般公開もされておりますけれども、小児血液・がん学会の症例登録に準じた数字を記載しております。
 18歳以下新規診断例でありますが、特に小児腫瘍科と症例数の多い眼科の患者さんを中心として数えた患者数となっております。近年では年間90症例を超えるようになってきております。
 実際には手術のみの患者さん、あるいは再発の患者さん、思春期・若年成人の18歳以上の患者さんに関してはここに含まれておりませんので、先ほど申し上げたように、全てを合計しますと年間120〜130症例ということになります。
 6枚目をごらんいただきます。
 さきの資料の表に含まれていない数字とは例えばどういうものかといいますと、4番目のカラムに「脳脊髄」とありますけれども、脳腫瘍の患者さんで、当院で手術を受けられた患者さんは年間四、五例いらっしゃいます。ですから、あとは小児外科以外に当院では既に若年の手術を手がけておりまして、各臓器別のがん専門の外科医が対応しております。
 2011年の手術実績は、合計で372件に上ります。
 めくっていただいて、7枚目の放射線治療症例につきましても全国有数の数であると自負しております。
 2011年実績では、15歳未満症例で30症例、20歳未満にまで拡大しますと60症例となり、このデータからも当院が思春期医療に力を入れていて、相応の実績があることが示されております。
 また、小線源治療、強度変調放射線治療等の高度な医療手技を日常的に行っているとともに、必要な患者さんでは東病院で陽子線治療を行うなど、晩期合併症を少なくする工夫も積極的に行っています。
 8枚目は、地域医療連携について示しております。
 当院の性格上、地域というよりは全国47都道府県及び海外から患者さんの受け入れを積極的に行っております。実際には50症例を超える受け入れを行っているのは関東甲信越、特に東京、千葉、埼玉、神奈川、茨城になりますけれども、このようなところと強く診療連携を行っています。
 連携の目的をオレンジ色のところに書いてありますが、当院で抗がん剤投与を行っても、その抗がん剤投与を行わない期間は地元に帰しております。外来フォローアップをしておりますので、その間の経過観察や副作用への対応を地域の医療機関に依頼したりしております。これがかなり多くあります。
 また、進行期の患者さんが治療よりもむしろQOLを重視される場合には、自宅近くの緩和病院への転院、あるいは在宅緩和ケアを積極的に取り入れております。
 さらに、当院で治療すべきような難治症例を受け入れるために、標準治療で効率に治癒が望める造血器腫瘍は、国立国際医療センターや聖路加国際病院などの病院と連携し、当初から受け入れていただくようにしております。
 9枚目は、人材育成について述べております。
 自施設での人材については、既に説明いたしました。
 地域で小児がん診療を担う人材育成については、当院では後期研修というものに当たる3年制のレジデント。後期研修終了後の医師が対象の、2年制のがん専門修練医。3カ月から1年の間で研修期間を設定できる短期レジデント。そして、無給ではあるものの、自由に研修内容と期間を設定できる任意研修という4種類の教育プログラムを用意しております。
 指導体制としては、先ほどと重複しますが、内科は2名の「小児血液・がん暫定指導医」。小児外科は2名の「小児外科専門医」を擁し、施設はそれぞれ、内科で「小児血液・がん専門医研修認定施設」。小児外科のほうは、残念ながら認定施設ではございませんが「小児外科学会教育関連施設」として機能しております。
 10枚目は、チーム医療についてです。
 既に述べたとおり、精神科医、臨床心理士、チャイルド・ライフ・スペシャリストなどを擁しておりますが、各1名が小児の担当となり、小児の心のケアチームを形成しています。特に入院された小児患者の方は、特に拒否されない限り、全員が心のケアの対象となります。これらの関連科とは定期的なカンファレンスを実施して、必要な患者さんに必要なケアが行われるようにしております。
 また、小児がん患者は1病棟、小児病棟の中でケアを行っているため、看護師は専門チームと置いておくプライマリーナース制をとっておりまして、個々の患者の看護、ケア、治療補助に主体的にかかわると同時に、当院の伝統として「看護研究」を積極的に行っています。
 1病棟に患者が集約され、後で述べます院内分教室に通学することで患者同士の連帯感も生まれ、ともに闘病する力を生み出します。
 また、病棟担当の薬剤師1名を擁し、所々の業務を行う一方で、管理栄養士を含む栄養サポートチームが病棟での食事相談や指導に従事しております。
 11枚目は、院内分教室についてです。
 小学校から高等学校までの教育をカバーするために、7名の常勤教員が勤務しております。東京都立墨東特別支援学校「いるか学級」という名前でございますが、この学校の先生方が原籍校との間の転出や転入に関する調整を行ってくださって、我々医師、チャイルド・ライフ・スペシャリストや心理士、メディカル・ソーシャルワーカーが協力してこの業務を行います。
 これらの場で月1回の連絡会を行って、生徒情報の共有を行っております。
 下部は長期宿泊施設等についてですけれども、専用施設としてあかつきハウス(2室)があり、徒歩圏内にございまして、それが専用施設と言えると思います。
 専用ではございませんが、その他の、電車を利用する等々で30分以内に行き来ができるお部屋を多数そろえております。
 12枚目で、長期フォローアップについて述べます。
 一口に長期フォローアップといっても、患者の発症時の年齢及び現在の年齢、診断や治療歴などによって、必要とされるフォローアップは異なります。ここでは大まかなことしか言えませんけれども、図ではこの2つの縦の矢印で年齢を示しまして、その都度、必要なフォローの種類について記載しました。
 当院で行えるものは、このオレンジの点線の枠内でございます。左側の矢印は成長・発達のフォローが特に重要な乳幼児・学童期を示しておりまして、右側は思春期以降を示しております。
 あとは、この資料をお読みいただければと思います。
 13枚目です。
 相談支援センター構成は、8名のソーシャルワーカーが勤務しておりまして、次のページにありますけれども、年間合計100件の相談に対応しています。
 相談センターとは別に、肉腫ホットライン等々でも月平均3〜5件の対応をしております。
 また、情報提供はがん対策情報センターを通じて行っていますし、患者会等々との連携も盛んであります。
 2枚めくっていただきまして、臨床研究への参加状況を次の3枚で示しております。
 一口に申し上げて、臨床試験に関しては全国有数の患者登録数を示すと同時に、我々自身が率先して治療研究を計画し、他の施設と協力をしてリーダーシップを発揮していると自負しております。
 国立がん研究センターは、これからも小児がんの克服のために力いっぱい努力してまいります。
 御清聴ありがとうございました。
○事務局(秋月) ありがとうございました。
 それでは、質問をお願いいたします。
 柳澤構成員、どうぞ。
○柳澤構成員 国立がん研究センターで網膜芽腫が固形腫瘍の中で突出して多いわけですけれども、それの診療体制、眼科と言っていますが、そこはチーム医療も含めてどういうふうになっているのでしょうか。
○国立がん研究センター中央病院 まず、外来でもかなりの部分を診療しておりますけれども、外来は1階に眼科と小児科が併設されていて、必要な全身的な問題がある場合には、すぐにナースのほうからこちらに診療の依頼がありまして、並診をかけるようにしております。
 また、治療中・治療後に再発や進展があった場合にも同様に、本当に1つの科のように情報交換をしてすぐに対応するような体制になっております。
○事務局(秋月) 天野構成員、どうぞ。
○天野構成員 御発表ありがとうございました。
 質問がございまして、まず1点目ですが、ただいまの御質問とも関連するのですけれども、突出している理由について、例えば先ほど埼玉医大は、脳腫瘍に関しては先端的な診療を行うということを最初から企図していたとおっしゃっていましたけれども、例えば国立がん研究センターは特にこういった難治性の固形腫瘍について突出した診療を行っていくつもりなのかということと、あと、全国の施設との連携体制について教えていただければというのが1点目です。
 2点目が長期滞在施設で、専用施設は徒歩8分のところに2室あるということなのですが、その他ということでアフラックペアレンツハウス等があると御紹介いただいたのですけれども、こちらは料金とかそういった提携体制はどういった形になっているのかについて教えていただければと思います。
○国立がん研究センター中央病院 ありがとうございます。
 網膜芽腫に関しての質問でございますが、1つは当院が長年やってまいりました眼球温存の治療というものがございまして、これは目に対する集学的治療でありまして、1つの柱は、眼動脈内に選択的に抗がん剤を注入する眼動脈注射でございますが、これに関しては、今までは研究として提供してきたのですけれども、今後、医師主導治験として、今、研究費を獲得しましたので、また治験を行って標準化を図る予定にしております。
 もう一つは、これは高度先進医療で認められておるものですけれども、局所に小線源を埋め込みまして、ルテニウムというのですが、それは全国でも当院しかできません。ですから、局所の放射線治療と眼動脈内注入を積極的に行える施設が当院しかないために、眼球を温存したいと希望される患者さんが集中していると予想しております。
 答えになっておりますでしょうか。
○天野構成員 あと、長期の滞在施設についても教えていただければと思います。
○国立がん研究センター中央病院 滞在施設に関しましては、ペアレンツハウスというものは半ば常識的に1泊1,000円で設定されております。その他の宿泊施設も大体それに倣っておりますが、あかつきハウスだけがちょっと、寝具代とか実費を1,000円余分にいただいていますので、2,000円となっております。
○天野構成員 本日は病院長も御同席されているということで、これだけの固形腫瘍の患者さんは多分、全国からいらっしゃっていると思うので、専用施設についてもぜひ拡充を御検討いただければと思います。
○事務局(秋月) ほかにございますでしょうか。
 小俣構成員、どうぞ。
○小俣構成員 御発表ありがとうございます。
 2点ほど質問させてください。
 ソーシャルワーカー及び相談の体制が整っているかと思いますが、ほかのところでは例えば小児がんでしたか、最初から入院をされたり外来でかかわるということをお聞きしましたが、こちらではどのような体制になっているかということ。
 あと、患者さんの団体、結構たくさんかかわりがあるかと思います。どのようなかかわりをしているのかということをお聞かせいただければと思います。
 よろしくお願いいたします。
○国立がん研究センター中央病院 まず最初の質問でございますが、当院は特に小児に特化したサービスを提供できているわけではなくて、相談支援センターです。ただ、小児がんもあまたのがんのうちの一つであると考えて、それぞれに配慮して行っておりますので、当初からということはないのですが、むしろ当初からということに配慮しているのは心のケアであります。
 ですから、新患者さんが来られたとき、あるいは他院からの転院の患者さんが来られたときには、先ほど申し上げた精神腫瘍科医と臨床心理士、チャイルド・ライフ・スペシャリスト等々をメンバーに加えた、小児の心のケアチームというものを形成していまして、嫌だという方もいらっしゃるので、拒否がない限り全員にそのような精神的なケアを提供するようにしております。その中で、もし社会的な問題が多いようでありましたら、そちらからキャッチして相談支援のほうにバトンタッチをできるようにしております。
 もう一つは患者会との連携でありますけれども、これは実は小児腫瘍科でありますので、やはり小児腫瘍科長の私が大体窓口になることが非常に多くありまして、1つは、COSMOS会は当院の小児がんのコミュニティーでありますし、あと、すくすくというものは網膜芽腫の患者のコミュニティーであります。ですから、この2つは我々しか頼るところがないわけで、勉強会にしても、楽しみのためのイベントをやるにしても、我々が出ていかないと仕方がない。つまりは強い連携を持っています。
 あと、最近、若年性がんのSTAND UP!!とか、サルコーマセンターを設立する会に関しても、我々が強く関与している患者さんが主導されていますので、それとかは運営に関する相談とか、シンポジウムの講師とか、そういうところも頻繁に頼まれますし、かなり強い連携を保ちながらやっております。
○事務局(秋月) ほかにございますでしょうか。
 柳澤構成員、どうぞ。
○柳澤構成員 臨床研究に関して、国立がん研究センターのほうはJPLSGに加入していない。きょうヒアリングした施設はどこもそれに加盟しているわけですけれども、何か特別な考え方があってそういう対応を今までずっとしてきたのでしょうか。
○国立がん研究センター中央病院 先ほどプレゼンテーションの中で申し上げたとおり、当院が難治例や固形腫瘍に特に強くコミットメントを持っているということがまず1つで、だんだん造血器腫瘍の患者さんは、新規発症患者で特に再発リスクの低い方に関しては初めからほかのところに送ってしまう。そのために10例に満たないという問題はございます。
 ですから、このような施設が標準治療の開発に寄与できるかということを十分、JPLSGの代表の方々とも相談をいたしまして、それならばむしろ、例えば臨床試験の効果安全性評価委員会だとか、施設では貢献できないところで貢献するようにということで、今は非参加の状況をとっています。
 ただ今後、もし状況が変わりまして、標準的なそういう造血器腫瘍患者も数多く受けるような状況になりましたら、またそれは再考したいと考えております。現在の時点では余り貢献度は強くないと思っています。むしろ当院は、造血幹細胞移植なんかは全て認定施設になっておりますし、対応できますから、そういう難治例に関してより多く受けていくべきかなと考えております。
○事務局(秋月) 韮澤構成員、どうぞ。
○韮澤構成員 10ページに先生のところの病棟の構成が載っているのですが、小児腫瘍科として24床と書いてございますけれども、ナショナルセンターとして小児のがん、小児の腫瘍に向けた意気込みというのですか、もう少しベッド数があってもナショナルセンターとして十分に患者さんが埋まると思うのですが、それの国立がん研究センターに占める小児のベッド数の少なさというものはどうお考えなのでしょうか。
○国立がん研究センター中央病院 実は必ずしも少ないとは思っておらず、先ほど申し上げたように、平均在院日数が7日というのは驚異的な数字であります。これは別に病床運営を考えてというよりは、患者さんはできるだけ長い期間、家の近くで家族とともに過ごすべきであるという理念がまずあります。ですから、外来治療を今後推進していかないといけないと考えています。それを当センターが国の代表として率先してやっているという状況だと思います。
 ただ、ほかの施設がまだ、白血球が低いから病棟に閉じ込めなければいけないとか、そういうところを変えられないために、話してもまだ十分理解が得られない状況にあるのではないかと考えております。
○事務局(秋月) ほかにございますでしょうか。
 それでは、石井構成員どうぞ。
○石井構成員 ありがとうございました。
 8ページにありますように、地域医療連携に関しましては全国から患者を受け入れるのだけれども、他院と連携する必要はないということは、国立がん研究センターとしては患者さんの治療とか教育とか研修とか、そういう面でほかの病院に対して何らかの知識なり技術は提供しないという意味にこれはとれるのですが、いかがでしょうか。
○国立がん研究センター中央病院 御指摘ありがとうございます。
 それはそのようなネガティブな意味ではなくて、当院が例えばこのリソースを持っていないためによろしくお願いしますということはないという意味であります。
 ただ、例外として下に書いてあります、経過観察を外来で行う、家の近くで行うために、近くのクリニックにいろいろな、例えばG-CSFのサポートだとか、発熱したときの抗生剤投与を頼んでいくということは率先して行っておりますし、逆に、例えば当院でしか行えない手術について学びたいというときには、やはり何らかの形でそういうものを情報提供することは全然いとうてはいません。
 実際に、メールでこのような患者さん、例えば肉腫の患者さんで、このようなところにできているけれども、どういう治療をしたらいいのかというメールは本当に月間数件来ておりますので、そういうことでは先生の御指摘は、誤解を招いたようで申しわけありません。
○事務局(秋月) それでは、そろそろ最後の質問とさせていただきたいのですけれども、天野構成員どうぞ。
○天野構成員 ありがとうございます。
 手短に1点、長期フォローアップについて御説明いただいたのですけれども、国立がん研究センター様は成人のがんについても、いわゆる内科領域のフォローがなかなか難しい面もあるということで、総合内科等が併設されていて、こちらでも御説明いただいているのですけれども、いわゆる成人期の小児がんの患者さんのフォローの主体はどちらになるといいますか、現状はどちらが主にフォローしているのかということについて教えていただければと思います。
○国立がん研究センター中央病院 主体はあくまで小児腫瘍科であります。それは患者さん本人も、あと御家族の方も、診なれたと言うと変ですけれども、やはりなれた先生に診ていただきたい。子供のことをよく知る先生にずっと診ていただきたいという希望が非常に強くあります。
 ですから、我々は逆に、先ほどの医療連携と同じで、つまりがん治療以外の分野で我々の持たないものに関しては他院や診療所等々に連携をお願いすることをいとうてはいません。
○事務局(秋月) よろしいでしょうか。
 それでは、国立がん研究センター中央病院の皆様、ありがとうございました。
 本日のヒアリングは終了となります。評価表については明後日も使用いたしますので、そのまま机上に残していただいても結構ですし、持ち帰っていただいても結構なのですが、その場合は明後日も必ず持ってきていただくようお願いいたします。
 最後に、座長よろしくお願いいたします。
○垣添座長 本日は大変長丁場のヒアリング、お疲れさまでした。
 また、各医療機関よりすばらしいプレゼンテーションをいただきまことにありがとうございました。
 残り11医療機関のヒアリングは27日、明後日に行います。
 本日の検討会はここまでといたします。
 構成員の皆様、長時間にわたり、まことにありがとうございました。


(了)
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健康局がん対策・健康増進課

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