ホーム > 政策について > 審議会・研究会等 > がん対策推進協議会 > 小児がん専門委員会 > 第5回小児がん専門委員会議事録
2011年7月13日 第5回小児がん専門委員会議事録
健康局総務課がん対策推進室
○日時
平成23年7月13日(水)
14:00〜17:00
○場所
ホテルフロラシオン青山 2階 芙蓉(西)
(東京都港区南青山4−17−58)
○議題
【議 題】
1 第4回小児がん専門委員会の報告
2 小児がんの患者支援、長期フォローアップ等の審議
3 小児がんにおける難治がん、研究、教育・研修等についての集中審議
4 その他
○議事
出席委員:原委員長、天野委員、小俣委員、檜山委員、堀部委員、牧本委員、馬上委員、森委員
○がん対策推進室長 それでは、委員の皆様方が全員おそろいになりましたので、ただいまより第5回「がん対策推進協議会 小児がん専門委員会」を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
事務局のがん対策推進室長、鈴木でございます。よろしくお願いいたします。
初めに、本日は全委員の出席をいただいておりますので、議事運営に必要な定足数に達していることを御報告申し上げます。
それでは、以後の進行につきまして、原委員長にお願いします。よろしくお願いいたします。
○原委員長 それでは、本日は第4回の本専門委員会で議論ができませんでした「小児がんの患者支援、長期フェローアップ等」の小児がん経験者への支援体制及びその他の審議及びとりまとめと「小児がんにおける難治がん、研究、教育・研修等」について、各委員の方々の御意見を参考にとりまとめていただくこととしておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、事務局より資料の確認等をお願いいたします。
○がん対策推進室長 以上をもちしまして、撮影を終了し、カメラを収めていただきますよう御協力のほどよろしくお願いいたします。
それでは、資料の確認をさせていただきます。
資料につきましては、議事次第。
資料1、がん対策推進協議会小児がん専門委員会名簿。
資料2、がん対策推進協議会第4回小児がん専門委員会議事要旨。
資料3、「小児がん患者支援、長期フォローアップ等の問題点」。
資料4、小児がんにおける難治がん、研究、教育・研修等についての各委員意見一覧。
資料5、小児がんにおける難治がん、研究、教育・研修等についての問題点(各委員提出)。
そのほか、天野委員、小俣委員、馬上委員提出資料として、患者家族の晩期合併症の現状。
小俣委員提出資料が3つございます。
1 医療ソーシャルワーカー業務指針。
2 小児がん患者のスムーズな復学のための本人・家族への支援に関する研究。
3 長期フォローアップ拠点モデルの構築。
以上でございますが、資料の過不足等がございましたら、事務局にお申し出いただきたいと思います。
以上です。
○原委員長 それでは、早速ですが、本日の議題に入りたいと思います。
以後の進行に関しましては、檜山委員からお願いをしたいと思いますので、よろしくお願いします。
○檜山委員 それでは、本日の議題に入りたいと思います。
まず、前回御議論いただきました「小児がん診療体制の今後の在り方について」及び「小児がんの患者体制、長期フォローアップについて」、私の方でとりまとめたものがございますので、御報告させていただきます。この内容については、既に先生方に一応目を通していただいておりますが、資料2でございます。
小児がんの診療体制につきまして、前回の委員会で議論を基にそこへ掲げましたように、?患者/家族と小児がんセンター/小児がんフォローアップセンター(小児がん情報センター)との間で情報交換を双方向性にする、?小児がんの拠点病院などを評価・指導する第三者機関の設置、?小児がんセンター/小児がんフォローアップセンターの機能的位置づけ等について改定をさせていただきましたことは、前回報告をさせていただきました。これについて、今回も皆様の御意見をいただきまして、少し改定を加えております。
また、協議会において小児がん専門委員会の進捗状況の説明が行われた際に、緩和ケア等に特に難治例や死亡例の対応、あるいは長期フォローアップの在り方、サバイバーシップの診療体制等についてきちんと明らかにすべきだということが指摘されましたので、その点についても少し書き込んでございます。
皆さんの御意見で、小児がんセンター、小児がんフォローアップセンターが機能的な位置づけとしては了解されたものの、名称的に少し問題があるのではないかということで「小児がん情報センター(仮称)」とさせていただいております。初期診療は原則として小児がん拠点病院で行うということで、少し矢印の向きを変えてございます。
また、連携拠点ネットワークの中で診療されても、診療情報が拠点病院から更に小児がん情報センターに送られる体制であるということを明記いたしました。
フォローアップについては、地域の医療機関との連携で行っていくことが重要なので、そのスキームを加えております。
その絵を3ページに書いてございますが、少し煩雑になっておりますので、もう少し事務局と検討させていただくということで、御了解いただければと思います。
前回御議論いただいたのが小児がんの患者支援、長期フォローアップでございます。用語の定義をしていただきまして、現疾患の治療がほぼ終了した時点からフォローアップという形で皆様に御議論いただきました。
小児がんの患者及び家族相談は、一元化した系統的、網羅的な十分な情報が配信されるシステムということで、コンセンサスをいただいたと思っております。
2ページ目、患者・家族には小児がんに精通した相談員、あるいは専門家を配置した相談センターを小児がん拠点病院に配置すべきである。あるいは24時間対応のコールセンターについては、一応置くことが望ましいということでありましたが、少し問題点も指摘されたと思っております。
小児がん拠点病院では、当然コンサルテーションシステム、あるいはセカンドオピニオン体制の整備を行っていただくことになりました。
治療中の問題点としては、心理社会的な支援は重要ですので、治療のガイドラインをきちんと説明した上で、インフォームドアセントを含めた十分な説明を行って、治療を行うということ。
あるいは患者のみならず家族、兄弟が宿泊できる施設を併設すること。ソーシャルワーカーや医療保育士を始めとする専門職の配置が必須である。
治療中の患者の教育として、学籍移動の問題が大きな障壁になっているということも御指摘いただきました。
また、院内学級への適正な教員の配置、あるいは退院後の訪問看護や訪問教育についても対応が必要であるということを御指摘いただいております。
治療終了後の長期フォローアップに入った時点では、フォローアップガイドラインを示して、今後の問題点を明らかにして、フォローアップのインフォームドアセントを含めた説明を行って、フォローアップを行う。
フォローアップ診療は、成人診療科と十分な連携の上で行われるべきでありますが、患者個々によって対応が異なっていること、地域の家庭医や成人科にスムーズに移行できる体制整備とともに、小児がん拠点病院ではフォローアップ外来を併設して、患者の問題点に対して総合的に対応できる体制を確立していただくということになりました。
また、小児慢性特定疾患研究事業の年計制限から成人になってからの医療費助成が乏しいために、これらに対しての対応が望まれるということでございます。
小児がん拠点病院では、再発、再燃に対する臨床試験とその実施情報を提供し、再発、再燃へ積極的に対応していただく。また、小児、若年者の緩和ケアチームでは、在宅医療、終末期医療も含めた緩和ケアを行うということで、特に小児に特化した緩和ケア研修の受講等を義務づけ化すべきであるという御意見をいただいております
本日はそれを踏まえて、小児がんの患者の自立支援を主に議論していただく予定でございます。
ここまでが前回までのまとめでございますが、特に御意見等がございましたら、お願いいたします。
堀部委員、どうぞ。
○堀部委員 事前に御指摘しておくべきことだったかもしれませんが、「初期診療」という言葉の定義というか用い方について確認した方がよいと思います。現在、初期診療ががん診療全部を指していて、フォローアップに対立する言葉として使われていますね。
○檜山委員 はい。
○堀部委員 現疾患、がんそのものに対する診療に対しては、何か別の言葉を用いた方がよいと思います。
それから「晩期障害」という言葉が1ページの長期フォローアップの定義の中で出ていますので、「晩期合併症」で統一していただいた方がよいと思います。以上2点です。
○檜山委員 ありがとうございます。
「初期診療」というのは、最初の診療だけというイメージがあるので、何かいい用語があれば御提案いただければと思います。
○原委員長 恐らくここの「初期診療」には2つの意味があって、そういう見方もあるのかと今、初めて気が付いたんですが、だから、これはきっちり定義されていないですね。ここはこういう用語で言っておいて、今後、議論が煮詰まってくる段階で、あるいは将来的に固まってくる部分かなという気はします。
○檜山委員 堀部委員、どうぞ。
○堀部委員 この場でなくてもかまいませんが、「初期診療」がそのまま外に出ると誤解を招くと思うので、必ずその前にご検討の上ご確認をお願いします。
○檜山委員 今回「初期診療」という言葉は、一応現疾患の診療全体を指しているということで皆様は御理解いただいていると思うので、用語については委員長とともに検討させていただくということで、預けていただいてよろしいでしょうか。
○堀部委員 強化治療に対して維持療法という表現も使われていたと思います。つまり、維持療法を地域で行う治療という意味合いと2通りの使い方をしているので、よろしくお願いします。
○檜山委員 はい、わかりました。
馬上委員、どうぞ。
○馬上委員 関連しまして、同じところなんですけれども、晩期合併症の副作用対策ということで、この副作用については、後遺症も含まれるということでよろしいでしょうか。
○檜山委員 はい。
○馬上委員 整形外科とか脳神経外科の手術により後遺症があるということで、副作用の中に入れていただくということでお願いします。
○檜山委員 小俣委員、どうぞ。
○小俣委員 次の自立のところにも関係してくるんですが、私、入院していたときとかは患児と言われていたんです。ここでは、小児患者と言われていて、今更なんですけれども、これは患児ではないんですね。
小児患者ということであれば、もう一つの小児がん経験者ということも、実は私たち自身定義をしていないんです。何歳から何歳が小児がん経験者でというような。発症したときから経験者ではあるので、堀部医先生と同じことなんですが、用語の整理をしていただけたらなと思います。
○檜山委員 この場で整理しておきましょうか。小児がん経験者と小児がん患者でいいですか。
○小俣委員 患児とよく聞いておりました。
○原委員長 患児というと、子どもの間しか使えないですね。だから、例えば10歳のお子さんが17歳、18歳でまだ同じ病気である場合は、途中で言い方を変えないといけないので、やはり小児がん患者という言い方、あるいは小児がんの患者の子どもとか、そういう言い方がより正確ではないでしょうか。
よろしいですか。
○小俣委員 そうすると、小児がん経験者との区別というか、その辺はどうしたらいいんでしょうか。
○原委員長 それはあえて区別が必要でしょうか。具体的にどういう場合に必要なのかなということなんですが、例えば小児がん経験者でも、一応フォローの対象となる小児がん経験者ということですね。それと2〜3年前にしたばかりの経験者と両方あるということですが、小児がん経験者をそういう用語で細かく修飾して分けるというのがいいのではないかと思うんですけれども、何かいい御提案があれば。
○小俣委員 自分たちが呼ばれる名称なものですから、私たちもきちんと定義をしていなかったということになりますけれども、また同じように何歳以上と決めるわけにもいかないかとは思うのですが。
○檜山委員 牧本委員、どうぞ。
○牧本委員 多分小俣委員が経験者の会の活動もされているからだと思うんですけれども、それは経験者の会の活動から見た見方であって、小児がんを経験した子ども、あるいは青年は全部小児がん経験者だと思うんです。それが普通の一般的な日本語の定義なので、治療中であっても経験はしているわけだから、経験者でないわけではない。
だから、その治療が終わらなくてはならないとか、あるいは何歳以上でないといけないという方がおかしくて、小児がんを経験された方は全部小児がん経験者だと思いますので、原先生の定義でよろしいのではないかと思います。
団体として活動される場合には、活動される側が定義をすればよくて、国が定義する必要はないと思います。
○檜山委員 ただ、この場ではきちんと皆様の意識を一緒にしておかないと、ディスカッションがずれる可能性があるので、今回の「小児がん経験者」は、一応小児がんの治療が一段落ついた方という形でディスカッションしていただくと思うんですが、その点は御了解いただいてもよろしいですか。
牧本委員とか原委員長が言われるように、小児がん経験者という言葉についてはそれでよろしいと思うんですけれども、ここで自立支援とかのお話をされるときには、一段落ついたという形で御議論いただいた方がよろしいか。それとも診療が始まったところから全部を含めるかというところは、意識をきちんと統一しておかないと議論がずれるので、一応フォローアップということで、現疾患の治療が落ち着いたという形の時点での御議論いただくということで、御了解いただいてもよろしいでしょうか。
○牧本委員 それで賛成なんですけれども、前に長期フォローアップを定義されたので、その長期フォローアップの対象に当たる患者さんのことを経験者と呼ぶということで、いいのではないかと思います。
○檜山委員 この場では、そういう形で今日は議論させていただくということで御了解いただければと思います。
ほかによろしいでしょうか。
天野委員、どうぞ。
○天野委員 ここの資料の中で「小児慢性特定疾患研究事業の年齢制限から成人になってからの医療費助成制度が乏しい」という一節がありまして、長期フォローアップの必要な方に対しての問題点は、これで勿論いいと思うんですが、現在治療をされている方に対する経済的負担の軽減なんです。
前回の会議でも、例えば一例で、交通費の助成があってもいいかという御提案を申し上げました。それは非常にそういった要望が患児さんやその御家族から大きいということで、あえて申し上げた次第なんですが、今回その議論がこの中に含まれていないかと感じております。
例えば治療中に家族、兄弟が宿泊できる施設を併設すること、確かに経済的負担の軽減で、これは是非とも行ってほしいんですが、小児がんに限らず、小児難病全体でということかもしれませんけれども、今般、高額療養費制度を政治の方で見直しが進んでいるところでもありますので、小児がんも含めた小児難病における経済的負担の軽減に関しては、一節入れていただければと思っております。
○檜山委員 わかりました。それは入れさせていただこうと思いますが、よろしいでしょうか。
ほかにございませんでしょうか。
では、本日の協議事項に移らせていただきます。前回の積み残しの小児がん経験者への支援体制というところで、資料3の2−3から御議論をいただきたいと考えています。
小児がん経験者への支援体制ということで、各委員の出された項目がここに出されています。自立支援として地域相談センターが必要であるとか、自立支援プログラムが必要であるということが御指摘されていますが、この点について特に強調したいとか、問題点を提起していただければと思います。
小俣委員、どうぞ。
○小俣委員 前回の積み残しで、その前のところとも通じるということなんですが、ずっとソーシャルワーカーの配置をとお願いしておりまして、口頭でしたので、資料1に「医療ソーシャルワーカー業務指針普及のための協力依頼について」ということで、業務指針を資料として提出いたしました。
医療ソーシャルワーカーと言われても何をする人かということが、なかなか世の中に周知されておりませんので、この資料を提出いたしました。
病院の中で起こるさまざまな心理社会的問題と言われていますが、生活の問題に関係するのがソーシャルワーカーです。個人に関わるだけではなくて、院内の職種であったり、地域の機関であったり、さまざまなところと連携をとるネットワークをつくり、援助をする職種でありますので、是非、配置基準として設けていただきたいと考えます。
あと、前回転籍のお話が出ておりまして、前回に提出すればよかったんですが、今回文科省の方がおいでになるかもしれないということだったので、資料2を提出いたしました。
4ページに学籍移動の調査を行った結果が出ていて、ただ、2009年ということで調査された武田先生も古いとおっしゃってはおられましたが、転籍したかしないかに関わらず、教育を行っているということ。それから、実際に学籍移動の目安となる期間についても設けていないというところが半分以上なんですけれども、そうではない、設けているところは、理由としては、人が足りないからという理由であって、子どもにとっては余り関係のないというか、そういう理由で1か月以上教育が受けられない状況があるということが、この資料に載ってございます。ですので、参考にお出ししました。
以上です。
○檜山委員 ありがとうございました。
これについて何か御質問はございますか。
学籍移動の目安となるというのは、1か月受けていなくて移動するというグラフなんですか。
○小俣委員 入院をしている期間が1か月経つと、教育が受けられるということのようなんです。その間に教員を探して配置するということのようです。
○堀部委員 いいえ、これは入院の時点に入院の見込み期間1か月を目安にして、医療者側、特に看護師長さんが中心になって対応されることが多いと思いますが、学籍移動を勧めているということです。
しかし、短期入院を繰り返す場合もありますので、実際には基準にこだわらず、家族と相談をして、院内学級の教育支援を受けたい場合は、学籍移動が許可されていると思います。
○檜山委員 原委員長、どうぞ。
○原委員長 この件に関して、いちいち学籍移動という手間暇かかることをせずにやれるのが一番いいんですが、学籍移動をせずに教育していただいているのは、あくまでも好意という位置づけなので、うちは厳格にルールを守りますというところではそれができないんです。だから、この辺りのルールを明確化しておくということは、いずれにせよ必要だろうと思います。
もう一点は、今後、拠点化が進んで患者数が増えてくれば、いわゆる何とか小学校、何とか中学校の分教室ではなくて、養護学校の分教室となっていくだろうと思います。そうすると、はるかに教員の配置も豊富になりますので、基本的には養護学校の分教室であるべきだと思います。
○檜山委員 馬上委員、どうぞ。
○馬上委員 済みません、勉強不足で申し訳ないんですけれども、そもそも学籍を移動しなくてはいけないというのは、法律で決まっていることなんでしょうか。
○牧本委員 私も法律の原文までは読んだことがないけれども、学校教育法の中で学校とか特別支援学校の定義が決められて、2つ以上同時に在籍することはできないという理解でいます。
だから、学籍を移すのだったら移して、そこを拠点に、取得単位という考え方で、責任を持って教育する機関を1つに決めるということが基本だと思います。
○馬上委員 そうしますと、原先生がおっしゃっていた、拠点病院でたくさんの患者さんを集めて学校にしてというときにも、やはり転籍が必要になるということになるんですか。
○原委員長 転籍というのは、例えば何とか小学校の生徒さんを院内学級の何とか養護学校でお預かりするといった場合に、あくまでもその子どもさんは、そちらの小学校の生徒さんなんです。だから、それをどうしても好意で勉強を見てあげているという形になってしまうので、やはり物すごく意地悪い言い方をすると、意地悪い教員であれば、うちの生徒ではないからという言い方もされてしまうんです。ですから、責任の所在は明確にしておく必要があると思います。
実際、転籍も学校によっては御家族があちこちに行かなくても、そこに行って全部手続ができるというふうにされているところもあります。だから、書類を学校で用意されて、判こだけ押せばOKみたいな、そんなふうにしてしまえば、さほど難しいことではないかと思います。
○檜山委員 馬上委員、どうぞ。
○馬上委員 家族としては、もといた学校に籍がなくなるというのが、小学校、中学校の子どもがストレスを感じてしまうという点もありますので、できれば転籍しないで病院の中の学校でも学ぶことができるようにしていただきたいと思っています。
長年、多分この問題がずっと言われ続けてきたのは、結局法律がそういうふうに決まっているということなんです。法律を変えなければ、それは変わらないということなんですね。
○檜山委員 堀部委員、どうぞ。
○堀部委員 学級を設置するには、在籍している生徒が必要です。地元校の分校の院内学級の場合、年度が変わる時に在籍する生徒がいないと教員が配置できなくなるので、必ず学籍移動した生徒が必要になると思います。
ただし、特別支援教育においては、別の法律があって、在籍しなくても特別支援学校が教育支援するという制度が現実に存在します。
だから、一般校ではできませんが、転籍をしなくても、特別支援学校から家庭訪問とか教室に先生を派遣して、教育をサポートすることは現実可能です。実際、不登校児らは転籍せずに通級などのシステムで教育支援を受けており、病弱児に関しても同じようなシステムを利用した支援が可能なはずです。
しかし、これは各自治体の教育委員会がどう考えるかのよる問題であり、ほとんどの教育委員会は、まだそこまで手を広げて教育支援をしていないのが現状だと思います。この問題は、おそらく文科省の病弱児教育の中でどう位置づけるかを議論していただかないといけない問題だと思います。
○原委員長 結局、こう決めた、ああ決めたというあくまで内規的なものにしかならないんです。だから、今、堀部委員がおっしゃった形も、その教育委員で好意を持ってそういうことをしてあげているという話になってしまうので、そこをきっちりとした規則、法律になるかもしれませんが、そういうので規定はしないといけないわけです。そうなってくると、二重学籍を認めるかどうかという、すごく根本的な問題にきてしまうんです。
実際に現実的には、どうするのがいいのかというと、確かに籍はどちらでもいいとは思うんですが、片方に籍を置いておいて、片方の学校が協力をする。だから、日々ちゃんと連絡を取り合って、その子たちのためにしっかりサポートしていくということをどこかに書き込んでおく。教育委員会で全国一律にそういうルールといいますか、どこにそういうことを書いたらいいのかわかりませんが、それを明記してもらうということが実際の関係者保護になるだろうと思います。
ですから、よくおっしゃるのは、院内学級に転校してしまう。そうすると、もとの学校がうちの生徒ではないよと、そういう意地悪な言い方をされる場合があるんです。だけれども、ここは院内学級から校長とかにアプローチすることによって、そこをしっかりキープしていくというやり方があるんです。
ただ、そこはすべて今、依頼された校長、あるいは学級担任の好意、気持ち1つで決まってしまうというところがよくないです。だから、そこも何らかのルール化をしておけば、解決するお話かなと思います。
○馬上委員 是非、そのルール化をお願いしたいと思います。
○檜山委員 そこまでは前回の意見出しで、全部統一した対応策が必要だというところで、とりまとめてありますので、この点については、具体的にまたこの場でディスカッションは難しいと思うので、その辺りでとりまとめさせていただこうと思います。
相談センター窓口について、ほかに特に御意見等がなければ、自立支援に対してはそういうソーシャルワーカーを含めた相談窓口を充実させるというところでよろしいでしょうか。
どうぞ、馬上委員。
○馬上委員 天野委員と小俣委員と私の連名で「晩期合併症を抱える小児脳腫瘍経験者・家族の現状について」という資料を出させていただいたんですが、こちらは、3人の方の具体的な例を示させていただきました。
この方たちは、何年もの間、後遺症や晩期合併症について大変苦しんでいらっしゃいまして、お二方、小学生なんですけれども、何年もの間、学校にほとんど通っていない状況です。と言いますのは、後遺症と晩期合併症自体がちゃんと診断、治療されていなくて、患者、家族だけで模索している状態がずっと続いているということです。
もう一方は、思春期に診断されまして、小児慢性特定疾患助成とかそういった支援の網から漏れていらっしゃいまして、診断自体も遅れたことから、晩期合併症をたくさん併発されていまして、結局、今、24歳なんですけれども、全く自立することができず、晩期合併症を抱えて、医療費の助成など少し受けることはできているんですけれども、自立できていないという状況にあります。
小児がんの経験者は、非常にたくさんいらっしゃるということですけれども、自立できていないという方が非常に多いということで、中でも小児脳腫瘍の経験者はたくさん後遺症と晩期合併症を複合的に発症するということで、非常に大変な重荷を持っていらっしゃいます。その例を挙げさせていただきました。
小児慢性特定疾患の助成対象ではない晩期合併症の症状に対して、助成をしていただけるのかどうかということをお伺いしたいです。
○檜山委員 母子保健課からお答えいいだけますか。
母子保健課長 合併症自体が小児慢性疾患のどこかの病名に当たれば助成されるけれども、それ以外はどうかということですね。
現疾患が治癒しているとすれば、そういう場合は、今の制度の中では余り想定をしていないのではないかと思います。
○馬上委員 実は、最近小児脳腫瘍で治られた方がたくさん経験者で出ていますので、解明されていない晩期合併症が非常に多くて、皆さん家族の方がいろいろな科にかかって、目から耳から内分泌から皮膚科から、本当にいろいろな科にかかって、対症療法をやっていらっしゃるのが現状で、それについて全く補助がなく、非常に経済的に困窮されているということがありますので、認めていただく手立てがもしあったら教えていただきたいです。
○母子保健課長 今のところ、そうしたことを検討するような場を設けていないのですけれども、課題として、受け止めさせていただきたいと思います。
○檜山委員 天野委員、どうぞ。
○天野委員 この連名で提出させていただいた資料、既に御紹介いただいているところですが、言わばきれいごとでは済まないと申しますか、非常に痛ましいお話もたくさん含まれていて、こういった患児さんや経験者、それをサポートする御家族に対してのサポートが恐らく現状ではほとんどないのではないかということが感じられます。
これは勿論、医療だけの対応で済む話ではなく、福祉や場合によっては介護も含めた総合的な対応がとられない限りは、こういった方々は救われないでしょうし、特にそれをサポートする御家族の負担が非常に大きい。
よくこういった御家庭から聞こえるのが、そのまま御家族が生きているうちは、こういったお子さんを支えることはできるけれども、自分がもし先立ってしまったらどうなってしまうのだろうという、大変な不安を抱えながらサポートされているということです。これに対しては現状で制度的な手立てがほとんどないことかと感じておりますので、これは検討にとどまらず、是非前向きに何らかの方策が必要ではないかと感じております。
○檜山委員 ありがとうございます。
特にこの辺りは、非常に重要な問題ですし、成人になられてから親御さんがだんだん年を取られているという状況で、そういう小児がんの晩期合併症、あるいは後遺症に悩んでいる方に支援がほとんど今ないという状況は、御指摘のとおりだと思います。
どうぞ、原委員長。
○原委員長 1つ思うのは、この資料をちらっと見たたけなのであれなんですが、これを細かく分けていくと、例えば内分泌の方だとか、病気ごとに小児慢性特定疾患の対象になるものも入っているだろうと思うんです。あと、難病、あるいは特定疾患、そういう対象になるものも入っているだろうと思います。
もう一つは、障害者の方です。障害者手帳だとか精神の方の障害認定だとか、その辺りを私自身も詳しく知らないんですけれども、その辺りでどうしてもソーシャルワーカーが必要なんです。
例えばここに書いてあるこの方が、どういった助成を受けることができるかを1回整理をしてみて、その中で漏れてくるのがどういう部分であって、それに対してはどういう対処が可能なのかということを改めて考えてみる。今、ある制度をフルに活用し切れているのかなというところです。
もう一点、天野委員がおっしゃったことはすごく重要なことで、それは脳腫瘍の晩期合併症の方は、ある意味で神経難病の方だとか、分娩時の脳障害を持った方とか、非常に共通するところも多々あって、そういう方たちは皆さん在宅で生活、人生を犠牲にして、親が全部押し付けられているという状況があります。
ですから、そういうことも含めて、そういう子どもたちを、これは民主党のあれではないですが、社会全体で支えていくというシステムを何か考えないといけないだろうと思います。
ただ、これは福祉というもので、非常に広い話になってしまいますので、そこをどう考えたらいいのかということかなと思います。
○檜山委員 今のお話は、やはり馬上委員が言われたように、知らなかったというのが
患者さんにとって、大きなデメリットになっているので、ここに皆様が掲げている相談窓口をきちんと出して、そういう支援で何ができるのか相談する窓口が要るということを言われているのではないかと思います。
どうぞ、馬上委員。
○馬上委員 お母さん方がすごく勉強されていて、障害者認定のことも皆さんトライされているんです。けれども、精神科で高次脳機能障害の障害者認定は、小児脳腫瘍の晩期合併症の症状に合うような認定の仕方ではないので、認定には落ちてしまうということなんです。
結局、高次脳機能障害だけならいいんですけれども、それ以外にもたくさん複合的に晩期合併症を抱えていて、一つひとつ、認定には届かないんですが、複合的に抱えているので、非常に大変だということで悩んでいらっしゃるんです。
○檜山委員 小俣委員、どうぞ。
○小俣委員 馬上委員と天野委員と連名で出させていただきましたので、実は私もこういう状況の方が多くいらっしゃるということを知りませんでした。
今まで100人以上の小児がん経験者とお会いしていますが、それはある意味、お会いできるという状況であるということで、実はそうではない方が埋もれていて、1つは、現状を調査するということがすごく大切なのかなと思いました。そこから、どういう方策が必要なのかを検討する必要があるということです。
あと、自立支援といった場合に「自立」とは何をもって自立とするかという議論になると、また話が長くなってしまいますので、ただ、連名で出したこの方たちのように、介護や支援が必要な方、もう少し軽くて仕事もできそうだという方のレベルまで、いろいろなレベルの小児がん経験者がいるかと思います。
それは先ほど原委員長がおっしゃったように、長期フォローアップ外来の方でソーシャルワーカーが支援をするということによって、就労支援につなげるなどの方策が可能なのではないかなと考えます。
ただ、身体障害者手帳を持っていないと就労支援が受けられないとか、そういった壁がございますので、それは独自にプログラムをつくった方がいいのかなとか、そこに入らない少し軽い方も、ほかの障害でもおられるのではないかなと考えたりしております。
○檜山委員 いろいろな御意見をいただきました。一応そういうソーシャルワーカーを含めた専門職も御指摘していただいていますし、経験者の情報交換というところも挙げていただいていますので、その辺りの制度等を含めて支援体制を再度調査して、検討すべきであるということでまとめさせていただくということで、よろしいでしょうか。
あと、生命保険のことを挙げられている委員の先生がおられますが、これについて何か御意見があれば少しいただいてもいいですか。
○牧本委員 3ページの一番下で「保険制度」と書いたのは、私ですけれども、前回の委員会のときにも少しお話させていただきました。保険医療を支えているのは国家ですけれども、生命保険的なことは企業さんがされているわけで、企業と力を合わせて、何とかこういうところを任意保険の形で助けていけないかというのがアイデアです。最近は病気であっても生命保険的なものに加入していけるとか、そういうものの整理ができつつあるので、それをもう一歩進めていただいて、親の保険でも本人の保険でもいいんですけれども、レアな対象に対するかゆいところに手が届くような保険の設計が専門家であれば可能なのではないかと思います。素人の考えで申し訳ないんですが。
そういう意味で、前は産官の連携と言ったんですけれども、企業側の方にも御協力いただいて、こういう設計をしていくことは1つのソリューションかなと思います。
○檜山委員 ありがとうございます。
かなり難しい話なのですが、ある意味で企業もどちらかというと、ボランティア的なところで参画していただきたいというお話だと思います。
少し話を次に進めて、患者会の支援について御指摘をいただいておりますが、この点については御意見ありますか。
○馬上委員 自立支援で1つだけいいですか。
これも実例なんですけれども、NPOさんで小児がん経験者の方の就労支援をされている方がいらっしゃいまして、ハローワークの実習型の訓練を利用して、経験者の働く仕組みをつくっていらっしゃるんですが、結局授産施設と違って、晩期合併症を抱えていらっしゃる方は、生産量の達成とか十分なサービスを自分ですることができなくて、金銭的に難しくなってきているというところがあるので、できれば経験者の方にも授産施設のような支援みたいなことをお願いしたいと思っております。
○檜山委員 小俣委員、どうぞ。
○小俣委員 これも言い忘れていて、資料3でお出ししたところに少しだけ、長期フォローアップ手帳というのがございまして、これをこの委員会で考えてくださっています。
自立をしていくという上でも、自分がどんな病気をして、今、どういう状況であるかということを自身が確認をするということと、どこかに診療したときや就職先に見せるなど、そういう場合に活用できるということで、長期フォローアップ手帳のようなアイテムもひとつ方法として必要ではないかと考えます。
患者会のお話もしてしまってもいいですか。
○檜山委員 どうぞ。
○小俣委員 患者会についてですが、私も所属をしたり運営したりしておりますけれども、仲間になかなか会うという機会が少ないということが1つございます。自分の病気はどうだったんだろうかということを心の中に抱えつつ、親には余り言えなくて、友達にも共有できなくてといった場合に、患者会でそれを吐き出すということが1つの大きな手段になると思うんです。
そこでステップアップをして、自立をしていくことにつながるということと、また、先を行く先輩に会うことができますので、こういうモデルがいるんだとか。よく話に出るのは、採用面接のときに自分の病気のことを言うのかどうかということを自分はこうしたという経験値を知ることができますので、この患者会は支援をする方策の1つとして大切なものだと考えております。
拠点病院にもし1つ設置できていれば、これは本人たちが運営するのは、最初はなかなか厳しいですから、それを運営する、何回も言って申し訳ありませんが、ソーシャルワーカーがそれを手助けしたらよいのではないかなと考えます。
○檜山委員 馬上委員、どうぞ。
○馬上委員 小俣委員の言うことがもっともだと思います。補完させていただくと、やはり急に診断された方がまず、一番思うのは、同じ病気になった御家族に会ってお話を聞きたいということなんです。
成人の方でも患者サロンという考え方が出てきていると思うんですけれども、やはり小児の方でも同じで、拠点病院などには患者さんが患者さんに会うことができるシステム、そういったものがあるといいのではないかと思います。非常に心理的にも、情報的にも経験した方に聞くというのは、非常にダイレクトでいいことだと思いますので、ピアカウンセリング制度とかそういったものをお願いしたいと思います。
○檜山委員 天野委員、どうぞ。
○天野委員 今、馬上委員に御指摘いただいたとおりなんですが、1つ申し上げますと、成人の方の拠点病院の指定要件の方で相談支援センターにおいて、患者団体との連携が定められていたかと思いますので、もし小児の拠点病院ができるのであれば、そちらでそれを指定要件に入れていただくということが考えられるかと思いました。
○檜山委員 牧本委員、どうぞ。
○牧本委員 当院では昔から患者会活動が盛んですので、何らかの形でそうやって同胞とか先輩にあって、お話を聞く機会を持てているのが現状です。要件に入れてもらっても構わないんですが、恐らく拠点化がうまく進むことによって、この問題は解決に近付くのではないかなと、やや楽観的な立場で私は見ています。
確かに、ソーシャルワーカー等、最初はかなりサポートが必要だと思います。ですから、反対するものではないんですが、それと拠点化が実効的に進むということが両輪で進んでいくべきだと思います。
○檜山委員 原委員長、どうぞ。
○原委員長 今までおっしゃったことは、ごもっともなことばかりで、1つ天野委員がおっしゃった経験者の体験とか、そういうのは拠点病院、あるいはがん情報センターで体験談を是非とりまとめていただいて、そういうのを文章で患者さんたちに配布するというのが必要だろうと思います。そうでないと、なかなか皆さんに行き渡らない。会合とかになってくると、どうしてもそこへ行ける方は、先ほどおっしゃいましたけれども、比較的問題が少ない方に偏ってしまうので、そういう文書が必要なのかなと思います。
あと、馬上委員がおっしゃった自立支援の件なんですが、つくづく必要だなと思っているのは、自立支援にいくまでの間です。例えば小学生で病気した、小学生高学年で治った。そこからすぐに自立できるためのトレーニングを始めないと間に合わないんです。だから、特別支援学級、あるいは普通学級で勿論いいんですが、しっかりとその子が自立できるためのトレーニングをどのようにしてやっていくのか。
残念ながら、親御さんはその時点では、とりあえず命が助かったみたいなところで、すごく二の次になっているケースが多いんです。だから、勉強しなくてもいいし、学校に行かなくてもいいみたいな、そういうケースが非常に多くて、それが更に輪をかけています。
ですから、これはどこからがいいのかわかりませんが、できたら小児がん情報センターかそういうところから、早期教育というか、特別支援教育だとか、そういう子どもに合った教育方法をしっかりと提示していく。あるいは職業訓練とか、そういうことをしないと、なかなか二十歳過ぎて、さあと言っても、難しいなと思います。
○檜山委員 ありがとうございました。
そういうところは、是非フォローアップのガイドライン辺りにきちんと組み込んでいただいて、拠点病院の機能として支援をするという体制は必要ではないかなと思います。
この辺りで、2−3はディスカッションいただいたことにさせていただきたいと思います。
引き続きまして、2−4のその他につきまして、御意見をいただこうかと思いますが、教育についてはまた後からも出てきますけれども、この場で是非ということであれば、御意見いただければと思います。
今日のディスカッションと少し重なっている部分が幾つかありますので、その辺りは少し後に議論をさせていただいてもいいかなと思います。ここで今日、出ていない問題としては、教育の話は後にさせていただきますので、肉腫系の腫瘍とか成人科との連携の辺りで少し御議論をいただけたらと思うんですけれども、この辺りは堀部委員から御意見をいただいているので、少しお話をいただいてもいいですか。
○堀部委員 これも以前からお話していることですが、結局小児がんといっても、いろいろながん種があって、とりわけ小児から青年期、若年成人の領域にまたがって好発するがん種がありますので、そのような年齢層に対する診療体制をどうしていくかが1つ大きな課題として残ると思います。
この委員会は、小児がん専門委員会ですが、小児がんの中には、そのようながん種も入ります。しかし、小児という定義になると、一般の統計等では15歳未満を指しており、一般の世の中の認識、成人診療科の認識も小児といえば15歳未満という整理になってしまうと思います。
そのため、それ以上の年齢層、すなわち、10代後半と20代の患者さんの対応が難しいということです。ほかに担当する委員会がなければ、この年代に多い肉腫は小児がんの中の1つの大きな領域を占めるので、是非この専門委員会で位置づけていただきたいと思います。国立がん研究センターではすでにその分野の専門診療に取り組まれており、小児がん拠点病院すべてに必要な要件とするかどうかは別問題ですが、そのようなセンター的な専門診療体制が必要ではないかと考えています。
○檜山委員 以前から堀部委員の御指摘の一番難民化している状況にあるのが、思春期、あるいは若年成人の肉腫系の腫瘍ではないかという御指摘で、御意見としては、思春期がんとかそういうものを取り扱う科をつくった方がいいのではないかという御議論もいただいたと思いますが、その辺について何かございますか。
どうぞ、馬上委員。
○馬上委員 骨軟部肉腫とか脳腫瘍も、成人科に最初行ってしまって、小児がんのカテゴリーに入っているにもかかわらず、小児がんの治療をされていなくてということが多いと思うので、最初の診療科から重要で、思春期科とかそういうのを拠点病院につくるであれば、どうやって患者さんをそういうところに導くかというところがすごく問題だと思います。
○檜山委員 牧本委員、どうぞ。
○牧本委員 私が電話相談を受けている肉腫の状況と似ていますけれども、結局、患者さんがどの病院の何科を受診したらいいかわからないというのが問題です。電話相談を受けているので感じるんですが、もともと電話相談体制(肉腫ホットライン)ができた理由もそこなんですけれども、「肉腫」といわれても部位がわからないですね。何肉腫だったらどこにできやすいという傾向しかなくて、その肉腫はそこにはできないという除外はできなくて、つまり、いろいろ細かく個人個人の患者さんの特徴を聞かなければ、最初に行く診療科が決まらないんです。 小児がんの場合は、小児科。15歳未満であれば小児科で受けることができるけれども、16歳になった途端に日本の診療科の分け方では、あぶれてしまう。多分馬上委員が言われたことも同じだと思うんですが、一番入口のところで受入れが明確化されていないところが原因だから、堀部委員が言われたように、診療科を標榜させることは非常に重要だと思っています。
その考えは今の国立がん研究センターの肉腫診療グループというものにつながるんですが、ここで原委員長がよくされるお話、英国には小児センターの中に思春期を診るというセンターをつくっているということがあります。例えば16歳〜25歳という枠を堀部委員が提示されていますけれども、私の考えでは、30歳ぐらいまで別にあってもいい。明確に分ける必要は全くないのではないかと思っていて、そのような患者さんがどこに行ったらいいかわからない場合に、受診できる思春期センターがあれば、死亡統計を見れば死亡率が高い年齢層ですから、その患者さんが迷わなくて済む一番いい方法かなと思っていますので、是非御検討いただければと思います。
○檜山委員 ありがとうございます。
皆様の意見をとりまとめると、やはり入口をきちんと明確化する。思春期あるいは若年成人の肉腫系に限らず、がんの窓口を明確化して、それを拠点の中に明確化するということが必要ではないかと思います。
○原委員長 例えば当院の例で言いますと、15歳、25歳の例というのは、それ以下の年齢に比べると極めて少ないんです。それはどうしてかと考えると、15歳未満は比較的当院に集まってくるんですが、それより上の年齢は、一般の病院で全部診療がどこまでちゃんとされているかもわからないんですが、要するに、集約化されていない。拡散してしまっています。そこは、15歳を超えると本当に顕著で、雲集霧散してしまって、どこにどういう患者さんがいるかわからない状態になっています。
ですから、何が大事かというと、成人がんの枠内でそういう年齢の患者さん、あるいはそういう年齢の希少がん、これは成人の領域でも年齢に関係なく希少がんと同じ扱いになると思います。脳腫瘍もそうですね。
だから、そういうがんの方たちをどうしてくれということを成人領域にしっかり働きかけていくということが大事だろうと思います。恐らく市中では、一般の外科なり内科、そういう診療科がぱぱっと見て、恐らく「はい、おしまい」になっているんです。
そうではなくて、そういう患者さんをちゃんと集約化してくださいと。残念ながら、我々の方は旗を挙げることはできますが、どうしても受け身になってしまうので、送り手側にしっかりアピールしていくことが重要ではないかなと思います。
○檜山委員 天野委員、どうぞ。
○天野委員 皆様に御指摘いただいたとおりなんですが、私の会で、血液がんのリンパ腫でございますけれども、以前あった例で、高校生の方が成人の診療科で治療を受けられて、成人のプロトコールで治療をされてしまって、小児のプロトコールであれば、比較的高い確率で治癒が期待できるのにも関わらず、残念ながらお亡くなりになられたということがありました。
その例なんですが、同じ病院の中に実は小児の割と比較的有名な小児がんの診療科もあったにも関わらず、連携が全くなかった。成人の診療科からも照会もまったくなかったということがあって、非所に御家族も最後まで苦慮されたということがありました。
ですので、成人の診療科に働きかけを行っていくということも重要ではあるんですが、先ほど牧本委員からも御指摘があったとおり、入口の段階できっちりレギュレートしないといけないだろうと思いますので、思春期に関する科を標榜していただいたものが例えば拠点病院にあるという形で、入口の段階できっちりしていただいた方がいいのではないかと、私は個人的には感じています。
○檜山委員 いいですか。
牧本委員、どうぞ。
○牧本委員 追加ですが、原委員長が言われている地域の医療機関についても、多分標榜をしっかりすることでアピールになるので、実際には肉腫ホットラインとか肉腫診療グループを標榜することで患者さんは集まってきますし、それほど困っている患者さんがたくさんいらっしゃるということの裏返しだとは思っているというのが1点。
もう一つは、当院で高校生がたくさん受診、あるいは入院できる背景に、先ほどのお話に戻って、分教室で高校生を受け入れられる事実があるんです。分教室に高校があるから、あそこへ行ったらという言われ方をして来られる方も逆にいらっしゃいます。
ですから、先ほどの話に戻ってしまったんですけれども、思春期の患者さんでも学校教育のできる制度を取り入れることも1つ、そういう思春期を標榜するセンターであれば、考慮いただきたいところかなと思います。
○檜山委員 最初の議論のところで、この「小児がん専門委員会」はそういう思春期がんも取り扱かうんだということは、皆さんのコンセンサスで議論を始めていると思います。
非常に少ないという原委員長の御意見もあったんですが、整形外科とか脳外科の腫瘍登録を見せてもらったんですけれども、結構数はあります。
ですから、恐らくこれも希少がんとして拠点化すべき疾患であることは間違いないので、15歳を超えたらもう小児ではないよということは、かなり無理があって、同じ疾患群なんだけれども、やはり青年期までという疾患は少なくないのではないかなと、私自身は思っているんですが、そういうことも含めてきちんとした窓口を小児がんの拠点としては設けるべきではないかなと思います。
この点で、何か御意見ありますか。
堀部委員、どうぞ。
○堀部委員 今まで出た意見と重複する部分が多いと思いますが、小児科学会は20歳まで診療しましょうと言っていますが、実際、20歳までを小児というには非常に無理があると思います。やはり小児は15歳未満という認識が一般的ですので、小児科が小児を超えて、思春期や青年期の患者さんを診るという考え方が必要だと思います。
とりわけ肉腫系の腫瘍に関しては、リンパ腫もそうですけども、小児腫瘍医がそこまで診療を拡大していく方が患者さんとって利益が大きいと思いますので、それを明確に記すことが大事であり、単に小児としてまとめるのではなく、小児に併記する形で、青年、思春期、若年成人のような言葉を入れていただくのがよいと思います。小児は15歳未満、それ以上の年齢層にはきちんと別の言葉を使う方が誤解がありません。診療科に関しても同様です。思春期・若年成人に関する用語を定めていろいろな場面で取り上げていただくのがよいのではないかと思います。
○檜山委員 大体堀部委員にまとめていただきましたけれども、特にありますか。
どうぞ、原委員長。
○原委員長 しようがないと言うと怒られるんですが、診療科の名前をつくるときにうちでも困ったんですけれども、それを何かいい名前を皆さんで考えていただければと思うんです。要するに、青少年血液腫瘍科という、何か非常に明るい診療科になってしまうんです。青年と言うと、男女両方を指すと思うんですが、何となくやはり男優先みたいなイメージになってしまいますね。
言葉がなくて困っているんです。だから、成人で英語であれば、アドレッセンスという言葉があるのでいいんですが、日本語にするといいのがなくて、それで恐らく思春期科だとかけったいな名前を付けたりするんだと思うんです。それを何か皆さんで考えていただきたい。
それから、誤解があってはいけませんので、先ほど私が申し上げたのは、AorBではなくてA+Bということで、やはり車の両輪でやっていかないと。
拠点の話もそうなんですが、旗を挙げることによって、ある程度患者さんは集まってくるでしょうが、結局かぎを握るのは最初に診療した医師なんです。その人がどこへ紹介するかということ。
だから、両方がそろわないと、集約化がすべてに当たって進んでいかないと思います。
○檜山委員 そういうところで言葉の問題はありますけれども、何かこの場でありますか。
○堀部委員 言葉は欧米ではAYAになっていますね。Adolescent & Young Adultの略なので、そのまま日本語に訳すと、思春期・若年成人になります。両方をカバーする言葉をいろいろ調べてみましたが、青年という言葉しかありませんでした。どちらがふさわしいかはわかりませんが、今のところ、学術的な領域では思春期・若年成人が一般的に使われていると思います。標榜科の名称にするには、少し長すぎる気がします。
○檜山委員 ここで科の名前を決めることも余り意味はないことなので、思春期あるいは青年を取り扱う科を標榜するということで、とりまとめさせていただいて、何かいいアイデアがあれば、またいただければと思います。
その他については、ほかにここで特に御意見がなければ、2−4のその他の議論は1回ここで止めさせていただいてよろしいでしょうか。
それでは、続きまして、本日の協議事項3、小児がんにおける難治がん、研究、教育・研修等についての集中審議を行っていただきたいと思います。
資料4に、先生方に資料5でいただいています小児がんにおける難治がん、研究、教育・研修等についての問題点を少しとりまとめさせていただきました。
まず、難治がんのお話をさせていただく前に、委員会も御指摘もあるように定義をさせていただいて、小児がん全体が難治がんという考えもあり、その辺の定義を牧本委員あるいは馬上委員からいただいているので、どういう形で定義づけをさせていただければいいかなと思っておりますが、私のイメージとしては、治療法がきちんと確定していなくて、治療に難渋するがんということで漠然とした定義なんですけれども、特にこういうがんもあるよというのがあれば言っていただければと思うんですけども、何かありますか、牧本委員。
○牧本委員 この意見書を書いていて迷ったのが、先ほどのお話とかぶりますけれども、青年期に多い肉腫の患者が診療体制の整わない病院にまず、行ってしまって、何とか頑張って治療したが、不適切な治療だったという例が非常に多いんです。
そういう場合は社会的な難治というか、科学的には適切に初期に治療されれば治るはずの人が進行期に入ってしまい、それで高次病院に送られてくるという例が年間でも何例か経験されますので、こういうケースは我が国で社会的に難治かなと思います。それも含めて書こうとしたらものすごく長くなったのでやめたんですけれども、檜山委員が言われたような定義であれば議論はしやすいので、この場の議論は標準的な治療が確立されていないものに限るでもいいのかなと思います。一方で、そういう制度的・社会的な難治がんを考える時間があれば、考えてもいいのかなと思います。
○檜山委員 どうぞ、原委員長。
○原委員長 言葉があいまいなので困ってしまったんですが、例えば脳腫瘍などは特にそうなんですけれども、非常にいろいろな技術を駆使して、苦労して、苦労して、苦労して、7割の人が治ると、それも難治ですね。
ここでおっしゃっている難治というのは、恐らくそういう意味ではなくて、要するに、治療方法がない。難治を定義する目的、意味なんですが、全く新しい治療法をつくっていくべき対象ということでより分けている。あるいは治癒の見込みがほぼないということで、緩和的なところを中心に考えていかないといけないという意味の難治。そういう意味での難治とすればわかりやすいのかなと思います。
ですから、要するに、すべて臨床試験、治験の対象となる集団という定義づけでいいのかなと思うんですが、そうしますと、初発例では非常に3〜4つの病気しかないと思いますし、あとは、再発した患者さんですね。
1つ気を付けないといけないのは、初期診療で何か失敗をしてしまうと、その患者さんは、容易に治るはずの人が難治に変わってしまう。難治がんを集約化するという言い方のときに何を目的に難治がんを定義して、どうするのかということを明確にしておいた方がいい。私の提案は、今、申し上げたとおりです。
○檜山委員 今、原委員長が言われたのと私が言っているのは、ほとんど変わらないような気もいるんですが、今回の議論はそれでよろしいですか。
○馬上委員 もう一度確認をさせていただきたいんですけれども、治療法が確立していないということは、標準治療がないということですね。
○檜山委員 そうです。
○馬上委員 そういうものが難治がんということで。わかりました。
○檜山委員 それと次に出てくる再発がんというのは、恐らく再発してきたのは、今、原委員長が言われた初期治療がうまくいかなくて、再発してきたがんも含まれるということでよろしいですか。
森委員、どうぞ。
○森委員 概要としてはそれでいいと思うんですけれども、例えば原委員長がおっしゃったあらゆる技術を駆使して70%の治癒、それは仮にある実績があったときに、それが標準治療と見なされたとして、非常に今日の前半でも出てきた多くの犠牲を患者さん、御家族に強いている。場合によっては、その後に大きな合併症を残している。それで70%だけれども、それがある程度安定して達成されると、それは標準治療と言えることになってしまう。それは難治ではないのか、非常に難しい定義だと思うんです。
治療法の開発として、行き着いた感のある疾患、むしろ逆にそれはほとんどないのかもしれないんですけれども、ゴールに達したと考えられる部分が難治でないものであって、まだ改善の余地がたくさんあるものは難治というとらえ方もあるように思います。
国内における標準治療をどうとらえるかですけれども、アメリカやヨーロッパにおいては、多数の臨床試験で何千人の規模で実証されていたとしても、国内ではほとんどきちんとした前向きなデータが取られていないものもたくさんあるわけです。
ですので、このチャプターの中に含まれている臨床試験、実際に今、国内で行われている臨床試験のむしろ大半は、国内における標準治療の確立を目標としたタイプのものが多い状況ですので、議論の仕方として、本当に原委員長がおっしゃった数種類の全くどうしたらいいかわからないレベルのものだけにフォーカスを当てていいのかどうか、もう少し慎重に考えないといけないと思います。
○原委員長 わかりました。やはり難治という言葉が悪いです。だから、難治というと、難儀して治ったのが難治なんですよ。だから、この言葉はもうやめて、予後不良がんとか、先ほどのところに出た、標準治療と言っていいのかどうかわかりませんが、治療法のないがんという、そういう言い方でいいのではないですか。
これをわざわざ分けて議論する理由は、そういう患者さんたちにどういう治療法を提供してあげる、そういう人たちをどうサポートしてあげるというところにフォーカスというか、要するに、ほかのがんとは違う扱いをした方がいいですよという意味で切り分けているんだと思うんです。
だから、そういう意味でいうと、抽出すべきなのは、今、私が申し上げたような患者さんでいいのではないかなと思うんですが、どうですか。違いますか。
○檜山委員 どうぞ、森委員。
○森委員 これまでの議論のチャプターの組立て方にもなるんですけれども、診療体制というくくりでやって、臨床試験というのがここで初めて出てきているような状況で、現時点で、例えばOverall Survivalが90%台を達成しているような疾患であっても臨床試験の対象になっているわけです。
だから、議論が偏ってしまわないようにと言うと変ですけれども、ある程度の症例数でこういう治療をすれば、こういう毒性が出て、こういう成果が出ますよということが示されている疾患においても、まだ新しい薬が入ってくる余地もあり得るでしょうし、治療の軽減という問題もあるでしょうし、難治か難治でないかという議論よりも、議論の進めていき方の中で臨床試験は初めてここで出てきている状況ですので、その中である程度数のある疾患群を落とすような議論にはならないことが必要かなと思っています。
○原委員長 小児がん全体を議論するという意味ですね。
○牧本委員 結局多分はっきり言うと、臨床試験の議論になると思います。なぜならば、標準的な治療で治らないわけですから、すべて試験治療といってもいい部分になってくるので。
森委員の御発言はファーストラインの治療も臨床試験によって改善し得るという話だと思うんですが、そこのところが臨床試験の世界では、後期治療開発という部分になるから、そこのところはある程度成熟したがんの治療センターが幾つかあって、診療体制が整っていればおのずと上がっていく部分だとは思われるんです。
一方で、再発を繰り返したり、初めから薬が効かないものに対しては、薬の開発から始まるんです。あるいは集学的治療であれば、新しい放射線治療とか、そういうところを十分なデータがなくても開発していかないといけないという、レベルの違った議論になってしまうので、両方議論しても構わないんですけれども、多分もともとの意とは後者。つまり、標準的には治っていかない、よくなっていかない部分。しかも、日本で新しい治験も進まなくて、新しい治療薬も新しい治療技術も出てこないというところに、どうやってアプローチしていくのかという議論の方がよっぽど難しい問題になるので、そこにある程度スポットを当てていくべきかとは思っています。
以上です。
○檜山委員 森委員、どうぞ。
○森委員 おっしゃっていることはよく理解できますし、非常に重要な課題なんですけれども、例えば急性リンパ性白血病の話をしたとして、ある特定の部分の成績が極めて悪い、20%、30%だと。それをあぶり出してくる入り口は、やはり急性リンパ性白血病のところからあぶり出していく話になるんです。わかりにくい話かもしれませんが。
今日の資料の中で述べているんですけれども、例えば現状で成育医療センターは多くの臨床試験を中央診断、データセンター等を担当させていただいています。例えば私の一番ファミリアな疾患であるリンパ腫であれば、自施設で出てくるのは十数例ですけれども、年間100例以上の診断をして、結局その中からハイリスク群は拾われて、ハイリスクとして対応されていくことになる。そこの入り口がないとだめなんです。
その入り口が、ここを問題提起しているんですけれども、結局例えば中央診断する、馬上委員と最初のころにお話ししたかもしれないんですが、自分の施設で診断する際には、病理診断料を保険請求できるんです。それを中央診断に回されてきたときには、何らの必要資金さえ出ない状況で、自分たちの持ち出しで、結局は自分たちで研究費を取得して、研究という名目でそれをやって、この症例はハイリスクという返事をお返ししているというのが実情なんです。
ですから、ハイリスク群ということを決めていくハイリスク群の入り口にさえも、ここにいらっしゃる医師たちは多く研究費に手を挙げて取って、そういうことの基盤に協力していただいているんですが、あるところでは研究費が取れなくなってしまう。それさえも全く消えてしまうような状況であって、そういった観点で早期治療開発は重要ですけれども、その基盤の部分がまず、きっちりと整備されているのか。そこに対する整備がなければ、早期の整備は足元のない話になってしまう。ですから、そこの議論が重要ではないかと申し上げた次第です。
○檜山委員 牧本委員、どうぞ。
○牧本委員 今まで何の議論をしてきたかというと、診断にしても、患者集約にしても、各科の協働とか、いわゆる診療体制の整備として議論してきたことは、まさにそこと完全に共通するものであって、そこを改善するための議論は、小児がんの情報センターの機能をどうしていくかとか、がん登録で予後データをどう補足していくかとかになると思います。
あるいは今日の議論の範囲ではないかもしれませんけれども、バイオバンクといって、患者さんからの腫瘍の検体を残しておいて、後々の研究にどう利用していくかと、そういうところが最も重要になるのではないかと思いますので、どちらも議論すればいいんですが、分けて議論した方がいいかなという気はしています。
○檜山委員 ありがとうございます。
ここで整理をさせてください。森委員が言われることもごもっともな話で、その辺りのきちんとした基盤をつくるということは、最初から皆さんの御議論の中にあったと思います。そのために患者を集約して、ハイリスクであればハイリスクであるということをきちんと診断するということが拠点病院の大きな使命の1つだと、皆さんに御指摘いただいて、診療体制のところでは、恐らく十分ではなかったかもしれませんが、議論はいただいていると思っています。
今回の私の言葉が悪いのかもしれませんが、難治がん、再発がんというのは、恐らく皆さんの意識では少し違いがあったかもしれませんけれども、治療法がなくて非常に予後が悪い疾患群という形で挙げさせていただいて、ここでディスカッションするということにさせていただきます。
確かに臨床試験の話をしないといけないんですが、これは研究の専門委員会の方で大人も含めて恐らくディスカッションされているので、ここで先生方の意見をいただくのは、小児に特有のものがあれば、是非ここで意見出しをしていただいて、小児はこういう実情があるので、臨床試験をやるためにはこういう基盤が必要であるとか、そういうところで森委員のような意見をいただくという形にとどめさせていただきます。
臨床試験全般の話をここですると、非常におかしな話になってしまう可能性があるので、できれば小児に特有の問題点、課題を挙げていただいて、その解決案があればいただき、ディスカッションを進めさせていただくということで御了解いただいてよろしいでしょうか。
それでは、今、定義の問題が少し長引きましたが、ここで拠点病院を含む診療実績の公開、あるいは医師等の情報をきちんと開示するということを皆さんからいただいていますけれども、これについては特に御指摘はございませんでしょうか。皆さん同じような御意見だったと思います。
拠点の中きちんと対応するということで、それがどこで診療できるかということも、医師あるいは整備等も含めて公開するというところでいいのではないかと思います。
先ほど森委員から御指摘があった中央診断の可能な体制を整備するということは、今、御意見をいただいたところですが、この辺りはほかの委員からもいただいております。画像も含めてということも言われておりますが、その辺りの中央診断システムを小児がん情報センターとの間の機能として、きちんと充実するということでよろしいと思います。
森委員、何か追加があればお願いします。
○森委員 ここで述べられている中央診断は、恐らく従来の中央診断の発想自体は臨床研究から私たちはスタートしていて、もとより施設の診断は正しいという前提ですけれども、研究として登録される診断が正確であることを担保するために中央診断ということをやっています。
そうではなくて、診療のクオリティを上げるために中央診断を置くと考えた場合に、先ほどの例えば保険診療の問題にしても、1つの検体で2種類の診断を請求することができないと認識しているんですけれども、中央診断が大事だと、放射線診断にしてもそうですし。ただ、大事なことはわかるんですが、それをやる経済的、人的な背景をきちんとつくる、もう少し具体的なところに踏み込んで考えていただく必要があるのかなと思っています。
実際にかなりの数を担わせていただいている私たちの施設で、見ているとかわいそうな状況ですから、土曜日でも日曜日でも検体が来ると言えば飛び出て来て、処理をして、急いでお返しをして。それが病院からの報酬があるわけでもない。検体提供元からの報酬があるわけではない。自分で研究費を取得してきて、それを対応する。研究費が続かなかったらどうするんだというのも勿論そうです。
先ほどの議論に戻りますけれども、診療体制の部分からの議論で中央診断が重要だということは皆さんのコンセンサスだとすれば、これをどういう形で、診療としての中央診断ということであれば、保険診療制度の枠組みを変えて中央診断にも保険点数が付いて、少なくとも実費は賄える等々の、少し具体的なところまで踏み込む必要があるのではないか。
重要だというのは恐らく言わなくても、皆さんはわかっていることだと思いますけれども、それが現状で何の後ろ支えもないというところが実情だと思います。
○檜山委員 今の御意見について、特には。
私はいつも中央診断で思っているのは施設病理医に出している、施設病理医から施設病理診断が返ってくることと、中央病理診断が返ってきたときの2つの答えを我々臨床医は持ってしまうわけで、それが一致すれば何も問題はないですけれども、一致しなかったときは、どちらの診断が正しいのかということになるんですよ。
その辺のルートから、私は小児病理の先生が少数の方で頑張っていただいているのをよく理解しているんですが、いわゆる病理の学会としては、どういう形で中央病理診断を進めるべきなのかというところを少しまとめていただいて、そのシステムとしてこう在るべきだというところを出していただくのが、私は一番いいのかなと思っているんですけども、その辺りは。
○原委員長 今の位置づけは、院内病理が伝票を書いて、病理診断をしたところが正式な病理で、院外に出すのはあくまでコンサルトなんです。だから、コンサルトで意見をお聞きしているという状況ですから、あくまで主体は病院側にあるわけです。
たしかがん拠点の要件に病理のコンサルトシステムを構築しているとか、そういうのがあったと思うんです。必須だったか望ましいか忘れたんですが、そういうこともあって、例えばバーチャルスライドの導入とか、あれに経費がついたりしたわけです。
ですから、がん拠点の要件のところにそういうのをきっちり入れて、がん拠点に対して幾らかの診療報酬上のインセンティブとか付いていますから、そういう枠内でそれを賄って、病院からコンサルト先へお支払いするという絵にしかならないのかなとは思います。だから、コンサルト料を病院からお支払いすると。
○森委員 1つの形ではそういう案があり得ると思いますけれども、現状は小児ではそういうシステムは動いていない。
○原委員長 払えばいいんだと思うんです。払おうと思ったら払えるとは思うんですけれどもね。
○檜山委員 馬上委員、どうぞ。
○馬上委員 患者側としますと、すごく難しい病理は二転、三転して、治療法が変わってしまうということがあるんですけれども、今、おっしゃっていたのは、施設で一度病理をしてから、これについては難しいので、コンサルティングシステムに回して、また診てもらうという形なんですね。
○原委員長 病院によると思います。
○馬上委員 1つのところではやらない方がいいというか、そういうコンサルティングした方が精度が高まるということですか。
○原委員長 結局、その病院が小児腫瘍の病理をちゃんと診られる病院であれば、そちらでまずというのがあります。だから、小児腫瘍病理の専門家がいなければ外へ出して、院内では病理診断をとらないという手もあるとは思います。
ですから、今後、小児がん拠点がもしできていくのであれば、それなりの病理医も要るんだろうということになってきますと、コンサルトが中心になっていくだろうと思います。方法は幾つかあるので、病院に合った方法を使って、中央診断の方の財政的サポートもしていくというのが現実的なところだと思います。
○馬上委員 またわからないんですけれども、中央診断のところで分析を行って、そういう検体とかそういうのを全部集めて、その研究を役立てることができるという形なんですか、中央診断というのは。
○檜山委員 研究の話はいろいろあるので、今の話は、拠点としてきちんと正しい診断をしましょうということは皆さんのコンセンサスだと思います。その1つのシステムとして、中央診断を導入すべきだということに関しては、皆さん特に御異議はないのではないかと思っています。
そのシステムとして、原委員長が言われたように、ある意味でシステムとして事業化してしまうという形でお金を入れる方がいいのか。先生が言われるのは、保険点数という形でという話なんですが、保険点数となるとかなり難しい面も出てくるので、その辺に関してはやはり拠点としての機能としてそういうものを入れて、それに対して経費を付けるべきだという形でいくべきではないか。それで先生、御異議がなければ。
○森委員 保険というのは取り消して、少なくとも経費が担保されるように是非、御検討いただきたいと思います。
○檜山委員 バーチャルスライドのシステム導入とかも含めて、そういうきちんとした中央診断、いわゆる中央コンサルテーションシステムを構築するということでよろしいですか。
○森委員 コンサルテーションとレビューとは本質的には違うと思います。この図にも中央診断と明確に書かれていますので、恐らくこれは概念図として歩き出すでしょうから、その際に中央診断ということの意味づけであったり、経費の問題は先ほど来の言葉の定義と共通すると思いますけれども、明確にしておく必要があるのではないかと思います。
○檜山委員 どうぞ、馬上委員。
○馬上委員 患者側としては、非常に素早く正しい診断をしていただきたいので、何かあちらに行ったり、こちらに行ったりしていると時間がかかってしまうかなと思うんですけれども、必要であればそういうふうにコンサルティングしていただいて、早く診断をつけていただいて、正しい治療をしていただきたいというのが願いです。
○檜山委員 堀部委員、どうぞ。
○堀部委員 そこははっきりさせておかないと禍根を残すと思います。要するに中央診断システムをつくるのか、中央コンサルテーションシステムをつくるのかですが、これは極めて大事です。当院の場合、必ず病理医を介してコンサルテーションしています。そこをスキップして、診療科から中央診断の病理医に直接コンサルトした場合、自施設の病理医がその行為や結果に納得されているかどうか疑問です。
双方で診断の食い違いが生じたときに、後でいろいろ問題が生じることになりかねません。基本的には施設診断で診療しますので、施設できちんと診断システムを作って、とりわけ拠点病院であれば、その診断システムを自らもって、ある部分ではコンサルテーションできるレベルの診断機能を持つぐらいが望ましいと思います。いずれにしろ、診断とコンサルテーションに関して、言葉の定義を明確にしておいた方がよいと思います。
それから、病理の中央診断やコンサルテーションに関しては、現在、成育医療研究センターの病理診断部がその役割を担っていますので、非常にわかりやすいですが、その診断に必要な技術が病理組織診断や特殊免疫染色だけではなく、分子診断が必要になってきており、これから益々進歩していく領域です。
そういう先進的な診断が必ずしも中央診断施設でできるとは限らないのです。たとえば、ある脳腫瘍のタイプでは、当院の場合、群馬に送ったりしています。さまざまな大学などの研究機関で新しい診断技術が開発されており、また、診断を研究的に行っている場合もありますので、その辺もうまく取り込む形で、拠点病院の役割を整理する必要があると思います。
○馬上委員 今、堀部委員がおっしゃったように、非常に専門性の高い診断ということですので、施設とかそういうものではなくて専門性のみを注目して、群馬とかいろいろなところに散らばっている先生方をまとめて、素早く診断できるシステムをつくっていただきたいと思います。
○檜山委員 非常に問題なところで、だから、研究的なところときちんとした臨床の診断を切り分けないといけないところはあると思いますので、その辺りは少し切り分けて話をしないといけない。
私が最初に言ったように、病理学会で施設病理はどういう形である診断に責任を持っていて、それを中央診断とどういう形で、コンサルテーションという形で中央診断に持っていくのか、完全に中央診断システムという形で施設病理を通って、我々が出している小児がん情報センターで全部診断するんだと決めていただければどちらでも、私はきちんとそれが整理すればいいと思っているんですが、その辺りはここだけで決められるのかなというのがあります。
どうぞ、原委員長。
○原委員長 ここだけで整理は無理で、どちらかには無理です。先ほど堀部委員がおっしゃったように、まず病院病理でうちがしっかりやりますよというところは、これは一定の自信があるところですから、あくまでコンサルトです。
だから、実際に馬上委員がおっしゃったことはもう既に実現しているんです。群馬の何だというのは、現在は成育に送ると、そこから群馬に送られて、そこで診断がついて返ってくるという形になっていますので、それはもうできているんです。実際にそれはコンサルトという形でいっています。
あと病院によっては、極端なことを言うと、病理医がいないとか。技師さんはいるけれども、病理医がいない。あるいは病理医はいるけれども、うちでは小児腫瘍は診ない、診られないというところもたくさんあると思います。
そういうところは、最初から病理診断を外部の委託会社と契約を結ぶ形で、成育なり何なりと契約を結んで、そちらへ診断料をお支払いするという形。
極端に言うと、この2通りしかなくて、この2通りが併存をする形になると思います。ただ、どちらであれ結果は一緒ですから、それは馬上委員が心配される必要はないと思います。結果はどちらも得られます。
もう一つは、病理診断が施設診断が中央診断と引っくり返る例もあるんです。それは必ずしも中央が正しいと限っているわけではなくて、それはどういうことかというと、サンプルが非常に小さいとか、サンプルが悪かったとか、そういうものが中央にいきますと、間違ったものが出てくる可能性もある。
ですから、病理診断は病理医の能力だけではなくて、そういった検体の出来、不出来によっても大きく左右されますので、複数のところで診て、両者の結果を総合して判断をして、主治医が私は、臨床的ないろいろなデータからも合わせるとこの診断だと。これは中央診断が決めるものでも何でもありません。
だから、中央診断と言ってしまうと、お金を払って、自分のところの病理は診断しないよという場合に使える言葉だろうと思います。ですから、その場合はコンサルタントでしょうね。
だけれども、機能的には中央診断だという機能になります。そこは保健医療の面とで診断という言葉を使ってしまうと、ややこしいことになりますが、実際はその2種類しかないだろうと思います。
○馬上委員 そうしますと、病理が二転、三転するというのは非常に珍しくて、非常に難しい。
○原委員長 サンプルに問題があるんでしょう。
○檜山委員 最初から言っているのは、病理診断というのはきちんと病理医がつけていただくべきだと思うんです。
ですから、主治医がつけるというのは、私は少しあれなので、病理医がきちんと中央病理診断とか中央コンサルタントでもいいんですが、中央の小児病理の専門の方と施設の小児病理を診ている人がきちんとディスカッションをして、検体が悪いんだったら取り直せとかいうことをちゃんと言っていただかないといけないし、検体が悪いからここまでしか診断できませんよということも出てくるはずだと思うんです。
その辺りのコミュニケーションが非常にうまくいっていない場合があって、馬上委員が言っているような二転、三転という形になっているのではないかと思うんです。
ですから、原委員長が言われるように、検体が悪いとかそういうことがあれば、それがきちんと反映された形で病理診断が出てくるべきだと私は思っているので、その辺りのシステムをきちんと病理学会を通して構築していただければ、小児がんの拠点病院と中央診断をしている情報センターがうまくコミュニケーションしていただくということが一番大事かなと思っています。
その辺りで森委員、また何かあればあれなんですけれども、そういう感じでよろしいのではないか。それにはある程度経費も必要だし、システムも必要かなと思います。
○森委員 私が施設から担ってきたことは、経費の問題が大きいです。とにかく物すごい数です、本当に。毎日、毎日すごい数が来ますから、これをさばくだけでも専属の人を付けて、試薬だけでも物すごいお金がかかります。ですので、これは切実な問題です。
ただ、同じものを診て、違うことを2人の病理医が言う可能性はあり得るんです。実際にサンプルが悪いということも勿論あるんですけれども、その場合には、最終的には担当医があらゆる情報からどちらかを取るしかないと思うんです。何度問い合わせても、お二人は別のことをおっしゃるということはどうしてもゼロではない。
○檜山委員 それは先生、おかしくて、やはり病理医と病理医がコミュニケーションを取ってもらわないと、我々はどちらが正しいのかをどちらか取れというのは、やはりおかしな話だと思います。
○原委員長 病理診断は1つですけれども、臨床的ないろいろな情報を合わせて、最終的には臨床診断を現場の臨床医が決めることですね。だから、病理診断は画像診断とか、いろいろな診断の情報の1つであって、それを統合して1つの診断を決めるので、それがおかしな話ではない。
もう一つ、先生がおっしゃったのは、病理学会にそういうことをお願いして、何をどう整理してもらうんですか。
○檜山委員 だから、先ほど堀部委員が言われたように、中央診断という形のシステムを構築するのか、先生が言われるようなコンサルテーションという形の方が病理医としてはいいのかというところが、ここでは決めかめるのではないかなというのが私の言っていることです。
天野委員、どうぞ。
○天野委員 お話を伺っていますと、例えば小児がんの疾病ごとに、この疾病であればこの施設が診るとか、判断が難しい場合にはこの施設に送られるとか、既に一定のそういった流れがあるということでよろしいでしょうか。
もしあるのであれば、それが多分明示されることが必要だと思いますし、もしコミュニケーションロストが生じているのであれば、そこは恐らく診断がつくまでの時間のロスにつながっていると思うので、そこは明らかにしていただいて、もし可能であれば疾病ごとにその体制を明らかにしていただきたいというのが患者からの意見というかお願いです。
○檜山委員 疾病ごとにある程度、ルートはもう明らかになっていると思いますが。
○森委員 済みません、1つ訂正します。
檜山委員がおっしゃるように、私の言葉が間違っていて、病理診断が合わなくて私が病理診断をするのではなくて、臨床診断をするということです。原委員の言うとおりです。
疾患ごとにある程度ルートが決まっているのは、臨床研究に乗るグループについてという理解だと思います。あくまでも臨床研究を基盤にして、研究に登録される診断を担保するためにそういう体制が少しずつつくられてきて、実際にはある診断拠点に検体が送られると、病理診断だけではなくて、そこから必要な遺伝子解析があったり、染色体解析があれば自動的にそこでそういうふうに検体を分けて、施設が何か所にも探して送らないといけないということがないようには大分整理されていると思っています。
ただし、これはあくまでも臨床研究ベースであることはこれまでですので、臨床研究に該当しない疾患、あるいは臨床研究に入ることに賛成されない患者さん、御家族に対する対応はまだ課題に残っているんだろうと思います。
しつこいようですが、中央診断かコンサルテーションかですけれども、この後、出てくる登録という観点で考えた場合に、登録の質の担保という観点でコンサルテーションでいいのかという議論が残るのではないかと思います。
○原委員長 とにかくコンサルテーションという言葉を使ったので誤解を招いてしまったんですが、例えば成育医療センターにコンサルトをする。成育医療センターでは、病理診断をつけられるんですよ。だから、うちでいうと、当院でも病理診断が出ていますし、成育にコンサルトをして、成育でも病理診断が出ている。
だから、コンサルトというと病理診断を出さないような、ちょっと聞いてみたというイメージでとられてしまっているんですけれども、病理診断は出るんです。だから、コンサルトといって、片や診断と言っているのは、それはお金のどこをどう払うかというだけの問題なんです。要するに、成育で中央診断をし、そちらに診断料をお支払いするということは、当院では、正式な病理診断をしないということなんです。
だから、それをだれがどう決めるという話にはならなくて、うちでは病理は関わらなくていいよというのは、学会で決める問題ではないと思うんです。また、そういうことをすると、小児腫瘍が診られる病理医は成育でしか育っていかないということもあって、ですから、これは両者が併存する形でそれぞれの施設に合った形でやっていくということになるんだと思います。学会があなたのところでは病理診断はやめましょうとか。
○檜山委員 いや、そんなことを言っているわけではないです。
○原委員長 でも、コンサルトか中央診断かというのは、そういう意味だと思うんですけれども、違いますか。そこがよくわからなかったので。
○檜山委員 どこが責任を持つかということだと私は思っています。だから、中央診断をする、臨床診断ではなくて病理診断をするのが、どこが一番責任を持って、きちんとした診断をするのかというところで、施設の病理、いわゆる拠点の病理医が責任を持ってやって、それに対して中央病理医とのディスカッションの上で、拠点病院の病理医が責任を持って診断するのか。それとも全部の検体を登録も含めて、すべて情報センターに流して、情報センターの診断を第一とするというのかは、私がこの場で決めることはできないのではないかと私は申し上げたんですけれども、そういうことでよろしいですか。
牧本委員、どうぞ。
○牧本委員 責任の問題と森委員もおっしゃっているので、同じような意見なんですけれども、結局診断は1施設でどこか責任を持つしかないと思っているし、我々もがんの専門病院で考えると、やはり自施設の病理医がうんと言ってくれなければ、最終的に治療を開始できないと思うんです。
我々が勿論、臨床情報はほかの臨床情報も加味して、そこと議論することが可能なんですけれども、逆に遠く離れた中央診断施設と議論することは不可能だと思います。事実上限られた時間の中ではですよ。
ですから、最終的に実地診療で使える病理診断のデータは、自施設で最終的に確定してほしい、というか、それができなければ拠点病院の機能としては不十分だと思いますので、それは絶対に守られるべきだと思います。
一方、診断が難しい病気はあるんです。ですから、当院でも乳児の例は少ないですから、肝臓にしても腎臓にしても未熟な正常組織から出たがんというのは、特別な所見があるらしくて、がんセンターの腎臓の専門の病理医ですら、子どもの腎臓のがんは難しいという考えを持っているんです。
ですから、その場合は当然こども病院、あるいは成育医療研究センターの先生に相談に行きます。すなわち、限界を知っているある程度成熟した病理医であれば、自分の限界もわかっていて、どこでコンサルテーションをかけて、最終的にはそのデータを併せて自分で診断しているんですよ。
施設の最終診断がどの時点で確定されてというのは、施設の能力にも関わりますけれども、最終的には自施設の診断に基づいてやるのが今の医療の在り方ですし、そこは外せないかなと考えています。
○檜山委員 堀部委員、どうぞ。
○堀部委員 牧本委員と全く同意見です。誤解を招くようでしたら、中央診断という言葉は、ここには使わない方がよいと思います。診断の責任は診療施設が担うべきものですし、そこに病理診断医がいることが、特に拠点病院の場合は前提条件になると思いますので、ここは中央コンサルテーションシステムをつくるということで、言葉を統一した方が誤解がないと思います。
○檜山委員 今、堀部委員にまとめていだきましたけれども、その辺りでよろしいですか。
○森委員 診療における責任が施設にあることは明確ですので、それはそれで。
○檜山委員 誤解を招くので、そこの部分は少し修正させていただきます。
○森委員 執念深いですけれども、コンサルテーションにも経費はかかりますので、よろしくお願いいたします。
○檜山委員 中央診断というのはコンサルテーションと書き換えます。
セカンドオピニオンに関しては特に、難治がん、再発がんに関しては、きちんと受入れの情報を開示するということは、何人かの委員からいただいております。
それから、拠点にそういう再発、あるいは難治がんを集約するということに関しても、御意見は統一されていると思いますが、特にこの辺りで御意見いただければと思います。3−0−(1)、(2)辺りで特に御発言があれば。
どうぞ、牧本委員。
○牧本委員 先ほどの繰り返しになりますけれども、標準治療がないがんというのは、やはり臨床試験や治験のベースで答えを出していかないといけないので、そういう体制を拠点病院で整えていくことが前提になって、3−0と3−1(3)、(4)辺りがかなり密接に連携してきていると思います。
また後で、細かい意見を述べたいと思います。
○檜山委員 特になければ次に移らせていいだきます。
あとは、終末あるいは緩和ケアへの移行、相談窓口もきちんと整備すべきであるということがよろしいのではないかと思います。
次に、3−1「難治がん・再発がんの患者治療の問題点」ということで、診療施設をきちんと整備していろいろな設備を入れて強化するということは、皆さん御指摘のとおりだと思いますし、他領域のスタッフを配置すべきだということも、先ほどのソーシャルワーカーのお話もありますし、その辺りの多職種の配置も必要だということには、大体同じような意見をいただいていると思います。
あと、緩和ケアチームの設置ということも御指摘いただいていますので、この辺りも入れたいと思いますが、この辺りで特に御意見があればいただきたいと思います。
特になければ今、牧本委員から指摘いただきましたように、臨床試験との兼ね合いは非常に難治がん、再発がんに関しては少し御意見のあるところだと思うんですが、牧本委員、続けてお願いしていいですか。
○牧本委員 私がこの資料に書きましたのは、檜山委員にまとめていただいた資料で見ますと、臨床試験施設の集約化ということなんですが、これはまた数が出てしまうんですけれども、拠点病院が例えば10施設だとして、それぐらいの施設でないと適用外薬を扱う臨床試験とか対象患者の少ない治験とかいうものを、うまく実行、あるいは成功できないということは、臨床試験の領域では常識だと思っていますので、拠点病院は早期治療開発というところもしっかり役割として担っていく必要があると思っています。
そういうことによって、標準的なものでは治せない患者を集約すると、そこではそういう治療オプションが提示できますという、アメリカなどではある程度実現している体制になるんだと思います。今までは、そういう治験もなかったですし、臨床試験にしても標準的な治療を改善するような後期開発臨床試験が主だったために、全然そういうオプションがなかったのが現状なんです。
ところが、この10年ぐらいで適用外薬の問題、あるいは未承認薬の問題が成人がんの分野でも出てきて、我々も何とかしたいと思って、厚生労働省の研究費や日本医師会の治験推進研究事業などを利用して早期開発の臨床試験や医師主導治験をやってきた。
でも、やはり数えるほどしかできないんです。1人の研究者では2〜3しかできないのが現状ですので、こういう拠点病院の医師、研究者が力を合わせて、体系的に幾つもの多がん種を対象に、多くの薬を対象として臨床試験を幾つも立てて、それを共有して受け入れていくという体制が必要だと思っています。
とりあえず、以上です。
○檜山委員 わかりやすい御説明なんですが、総論的には先生のおっしゃるとおりですけれども、特に小児特有の問題点をディスカッションしていただければ。数が非常に少ないということは、重要なポイントだとは思うんですが、その辺をまとめていただければと思います。
○牧本委員 数が少ないという点では、成人の軟部肉腫とか精巣腫瘍もよく似ているところがあるんですが、1つの小児がんの種類、例えば髄芽腫だとか肝芽腫に限ると、ものすごく少ないので、それは成人の希少がんの比ではないです。ですから、数が少ないという点は、まず1点。
そして、もう一つは、ほとんどのがんは、抗がん剤が高感受性であるので、全体の治療に占める役割が大きい。そして、患者様が期待する役割、つまり、この抗がん剤がもし効いてくれたら治るのではないかという、科学的には難しい目標なんですけれども、ずっとそう思って治療に当たれるほど、化学療法に対する期待度が大きいということです。
ですから、難治がんの治療において、重要な位置を占めている部分です。早期開発臨床試験フェーズ1といえど、成人に比べて期待を持って入っていく方が多いと思われます。
もう一つは、それぞれが少なくても種類が多いだけに、フェーズ1という治験に関しては、多がん種で臨床試験をしないといけないので、結果の解釈が非常に難しくなるし、試験のやり方も難しくはなるということです。
あとは、成長発達があって、つまり、1歳〜2歳にやる場合と15歳にやる場合は薬物代謝が異なり、数が少ないのにそういう細かなデータまで薬事承認のときには求められていくので、そういうところが全く成人の世界とは異なるので難しいんです。
我々がやっても難しいのですが、製薬企業が主導してやる場合にはまた非常に難しくなってくるから、その辺のエビデンスレベルはやはり数に依存するんですが、数に依存する医学的根拠のレベルをどこまで引き下げていただくかということ。そういうところも問題にはなってくるだろうということ。
薬物代謝も成人とは異なるので、採血の負担や、小児特有の倫理的な問題も多少含む。あるいは副作用が出た場合の救済の必要性もやはり多少は成人と異なるのかもしれないと思ったりもします。
もし企業側で治験をやろうとした場合に、あらゆることが未知の世界になっていて、単に数が少なくて難しいというだけではなくて、科学的にも臨床試験や治験をやることが非常に難しい分野ではあるので、逆にこの分野でそういう治療開発、新薬開発を進めていくためには、何らかの特例というか、規制緩和措置というか、そういうものがなくては進まないのは明白です。
アメリカの場合はどうしているかというと、1つはこの資料に書かせていただいたんですが、成人でがんの薬剤を開発するときに、小児がんの開発も同時に行うように推奨されるんです。そうでないと罰則規定があったり、一方もし行った場合には特許期間を延長するとか、そういうことが法律で明示されている。つまり、小児用薬、あるいは希少疾患薬に関しては特例が設けられて、それを開発する企業に関しては恩恵が出るようになっている。
もう一つは、研究者の臨床試験が進むように、チルドレンズ・オンコロジー・グループ(COG:小児悪性腫瘍グループ)というのがありますけれども、そういう研究者グループに巨額の研究費が出て、その中で早期治療開発も進めるようになっている。
その2つの対策をアメリカという国は実行していると思います。
○原委員長 3−1−(4)も一緒に議論をしても。
○檜山委員 はい。今、一緒に。
○原委員長 今、牧本委員がおっしゃった小児という特殊性をもう一つ挙げると、成人と違ってほとんどすべての患者さん、これは欧米も含めてですが、臨床試験に参加しているということです。
ですから、臨床試験プロトコール自体が見なしガイドラインみたいな、実際はそういう格好になっているという現実があります。成人の場合、臨床試験に入ってこられる方はごく一部ですけれども、ですから、臨床試験の意義づけが全然違う。その問題は牧本委員が言ってくださったとおりです。
あと、薬に関して言うと、今、募集が出ていますけれども、早期何とかかんとかという長ったらしい薬の、覚えていませんが、あれは要するに、欧米で当局で承認された薬剤のみ挙げなさいということですので、残念ながら小児がんの薬ではほとんどそれに該当するものがないというのが実情なんです。
それはどうしてかというと、アメリカの場合、保険償還される、日本でいう保険適用のある薬と適応症のある薬と、日本では全く同一ですが、アメリカの場合はそれにずれがあります。だから、保険償還されるけれども、FDAが承認していない薬はいっぱいあって、実際にそういうのが小児がんの領域でもたくさん使われている。
だから、その辺りを少し日本で今の形ではどうしようもないところがありますので、特に子どもの薬に関しては、この中で天野委員に書いていただていますが、子ども用の薬ということを特別に審議、議論する場がどこかの委員会で必要かなと思います。
○檜山委員 天野委員、どうぞ。
○天野委員 今、御指摘いただいたとおり、私も思っておりまして、特に適用外薬を小児がんに限りませんが、小児は適用外薬だらけということが当然あると思います。
今、御指摘のあったとおり、承認と保険償還が1対1になっているという状態で、一剤一剤、適用外薬について見直していくということでは余りにも限界が小児は特に多過ぎると思っていまして、未承認薬・適用外薬検討会議の方にも小児の薬がときどきあがってくるんですけれども、いちいち適用症ごとに審査をしている状態で、非常にまどろっこしいと。恐らくそういったことをやっていては、その小児の適用外の問題は多分解決しないと思うんです。
ですから、そもそも小児においては、小児と保険償還に関して1対1ということを見直すということも含めて検討する場が恐らく必要だろうと思っていまして、それがもし現在ある未承認薬・適用外検討会議でやっていただけるのであれば、集中審議をしていただきたいと思いますし、もしそこで無理なのであれば、新たな枠組みを考える会議を設けていただかないと、適用外の問題はずっと解決しないままいくだろうと、患者の1人として思っています。
あと、未承認ということに関して3−1−(4)で書かせていただいたんですが、小児は勿論言うまでもなく、非常に患者さんの数が少ないですので、これは成人のがんでも出ている議論ではありますが、コンパッショネートユースについて、是非御検討いただきたいということがあります。
例えば海外から薬を患者さんの御家族が取り寄せて、個人輸入という形で行うとか、安全性の面でも非常に問題があり得ると思いますので、人道的な見地から、コンパッショネートユースは特に小児のがんについては、検討されてもいいのではないかと思っています。
○檜山委員 ありがとうございました。
2点いただいたと思います。だから、適用外については、きちんとそれを小児に関してどういうふうにするかというのを検討する場が是非必要だということと、コンパッショネートユースの問題の御提起をいただいたと思いますが、これに対して堀部委員が手順と情報ということも言われているので、少し御説明いただいていいですか。
○堀部委員 その前に新薬開発について、皆さんと同意見ですが、ドラッグラグで日本だけで承認が取れていないものに関しては、今、天野委員が言われた形で一括して対策を立てるシステムが必要だと思いますが、欧米では次々に新規薬剤の開発が進んでいますので、こちらについては別の対策が必要だと思います。遅ればせながら日本でもドラッグラグが認識されて、成人領域では開発の遅れを取り戻しつつあります。成人を超して小児が先ということは、薬剤開発における小児保護の観点からあり得ない話ですが、牧本委員が言われたように、アメリカのシステムのように開発過程で小児を位置づけていただいて、同時開発できる仕組みを強く要求していく必要があります。これでないと本質的な解決に結び付かないと思いますので、この要求順位は非常に高いと思います。
コンパッショネートユースについては、現在も多くの先生が個人輸入をされて、ストックをして使っているという現状があります。その費用は患者さんに負担していただいている場合や研究費で賄っていたりさまざまですが、未承認薬の入手のルートや手続きの仕組みをつくって、かつその使用成績結果に関して情報集積して、承認に結び付けられるような道筋をつくっておいた方がよいと思い、このように記載しました。
コンパッショネートユースを全くなくして、正規の開発だけで有効性のある薬剤を医療現場に提供することは現実的に困難だと思いますので、救済的な未承認薬の使用という現状がある以上、それを許容する道筋と診療結果をデータとして取りまとめる仕組みを是非作っていただきたいと思います。
○檜山委員 牧本委員、どうぞ。
○牧本委員 未承認薬の方が当然問題になるわけです。適用外薬は何とか薬(現物)がありますので、ですから、医師の裁量の範囲内で使っていけるということなんです。未承認薬に至っては、特に日本の企業、あるいは関連企業が開発中の薬剤であれば、コンパッショネートユースは可能だと思いますが、実際に日本の企業、我々がコンタクトできる企業が全くタッチしていない未承認薬でも、既に標準治療薬になりつつあるものが複数あります。
だから、そういうものに関してどうしていくかというと、結局幾つかしか対策がなくて、そのような薬剤は研究レベルだという政府の見なしがあると思いますので、我々は研究者として海外と共同するか、あるいは海外のベンチャーに直接交渉して医師主導治験などをやるかという2種類しかなくて、そんな事実を成人がんの先生が聞いたら多分びっくりされると思います。なぜそんなことをしないと開発できないのか。それは先ほど申し上げた理由によるものです。
ですから、成人がんの世界では市場が大きいために、企業がどんどん新しい薬を入れてくださる。ところが、小児の世界では本当に有効なもので、第?相試験でそれを加えたら優越性が証明されたようなすごい薬であっても、まだ日本からコンタクトできる企業はだれも手を出そうとしない状況があって、それは完全なドラッグラグなんです。
なぜならば、原委員長が言われたように、アメリカでは9割方の小児がんの患者さんがすべて臨床試験に入っているので、逆に言うと、9割方の患者さんはその治療を受けているわけなんです。ですから、標準治療なんです。
その薬すら使えない状況がある。それに対して、「小児がん専門委員会」というメンバーになるような我々は、何ができるかというと、先ほどの2つの方法しかない。これだけたくさん(成人も含めた)がんの専門医がいらっしゃる中で、最も先鋭化した活動をしていかないと解決しない。解決もしないですが、それ以前に、手がかりもつかめないような状況にあるということがおわかりいただいた方がいいかなと思って、発言させていただきました。
つまり、小児、希少疾患の分野というのは、未承認薬で、しかも手がかりすらつかめないものがたくさんあって、そこは世界的にも研究段階と見なされるために、臨床研究、臨床試験を推進していかなければ、患者さんに届けることは不可能なんです。
コンパッショネートユースはあくまで海外で少なくとも製品になっていないと手が届かないということですが、小児がんの世界では海外で製品になっていないものも、かなり有効なものがまだ複数あるという状況になっている。
科学が進めば進むほど、それは増えてくるだろうと思いますので、そういう問題を酌み上げて、対策を立てていけるものが欲しくて、私は小児がんセンターがもしできるであれば、そこの機能は絶対担うべきだと思うし、唯一で構わないので、指導とか戦略を立てていくということができないと、日本がどんどん米国、欧州に比べて遅れていくだろうと思います。
是非、お願いします。
○檜山委員 研究体制のお話になってしまったので、5のディスカッションと重複する御発言をいただきました。この辺りを少し見ていただくと、3ページの終わりから4ページにかけて、今、牧本委員が御指摘の国際研究臨床試験の体制を構築するとか、小児の創薬、あるいは新規治療開発に対しては、行政的なバックアップは是非必要であるとか、そういうことの御指摘だと思います。
この辺りを先にディスカッションしてもいいんですけれども、この辺り含めて、今の未承認薬、あるいは適用外薬治療薬と臨床試験と切り離せないところがあるので、含めて御意見をいただくということでよろしいでしょうか。
原委員長、どうぞ。
○原委員長 確かにそのとおりで、これは全部くっ付いていますね。創薬あるいは未承認薬の導入とか製品化に関していうと、よく医師主導治験をやりなさいと言うことを言われるんですが、ただでさえいろいろなことであっぷあっぷしているのに、医師主導治験など夢のまた夢のことです。
とにかく、今、医療現場は、例えばがん拠点だ何だかんだというために、いろいろな書類をつくったり、ホームページとか何やかんやというのがなかなか医師以外のスタッフに回ってこずに、みんな医師の負担にきてしまっているんです。
この上、とても医師主導治験などやったら人生を棒に振るような状態ですので、それは裏腹なんです。拠点病院として、しっかり整備をして、そういう間接的な部分もきっちり整理をしていくと、そういうこともできるようになります。ですから、なかなかそこまでは時間がかかりますので、当面はそれが期待できません。
ということで、企業にしっかりアメリカ、ヨーロッパのようにインセンティブ、あるいは強制力を持たせて、今回創薬の何とか加算というのが付きましたけれども、あれも中身を見ていると、小児の適応症を取りなさいよと言われているのは、もう現場では既に使っているような薬のものばかりで、法律的には整合性が取れるんですが、臨床現場としては、ほとんど余りうれしくはないんです。その辺りももう少し役に立つものを組み入れていって、しっかりやっていただくということが必要かなと思います。
ちなみに我々、特にこの小児がん領域で日々使っている薬のうち、恐らく50%あるいはそれを超える薬が大きい声では言えないかもしれませんが、適用外の薬剤です。例えば適用のある薬だけでは、胃潰瘍の治療すらできないという現状があります。ですから、我々にとって適用外というのは、余りにも日常的過ぎて、それを一つひとつ小児適用を取っていくなど、本当に100年かかってもできないという状況です。
企業にしっかりその辺を、インセンティブあるいは強制力をかけてやっていただいて、時間をかけて、我々自身がいろいろなことができる体制を構築していっていただくと、何とか整合性が取れるのではないかなと思います。
ちなみに小児がんに対して、適応症のある薬の最も新しいもので、発売は1985年なんです。ですから、もう26年間小児がん領域においては、新しい薬が出てきていないという現状があります。
成人がんの方でもドラッグラグだ何だということがしきりに言われますが、小児がんの方でいうと、6の6の6の3乗ぐらいの形になっているという現状は、皆さん御存じいただきたいと思います。
○檜山委員 今の御指摘は、きちんとした研究体制を構築することと、あとは企業にある程度開発にお願いするシステムを提案されたと思いますが、その辺りで御意見はございますか。
先ほど堀部委員からも成人がんとの適応と同時に小児がんという御意見もあって、その辺りを是非小児がんとしては要望していきたいなと思っていますが、その研究の辺りも一応御意見をいただいたということで、非常に小児の問題点は出していただいたので、その辺りを提出したいと考えています。
○原委員長 1つだけ追加させていただいてよろしいですか。
○檜山委員 どうぞ、原委員長。
○原委員長 がんセンターの河野先生の方で、この問題、要するに、適応取得とかの問題について、専門的な見地から意見書を作成してもらっているんです。それができましたら、皆様にメールでお知らせをしたいと思いますので、それでよろしければ協議会へそれを提出したいと考えております。
○檜山委員 それは小児がんのですか。では、それはメールで見せていただくということで、御了解いただければと思います。
それでは、少しその辺りのディスカッションをしていただいてもよろしいんですが「4 小児がんの登録体制」に話を移らせていただきたいと思います。
小児がん登録は、かなり昔からいろいろなことが言われているので、皆さん、たくさんの御意見をいただいていますが、まず、啓発の辺りで一般の方、あるいは医療機関にきちんとキャンペーンをして啓発すべきだと御指摘いただいています。
あとは、当然ながら義務化、法制化ということも御指摘いただいているところですが、この辺に対して御意見はございますか。
牧本委員、どうぞ。
○牧本委員 意見には書いていないんですが、多分温度差があるなという点は、委員の意見を横に見ているとわかるんですけれども、小児がん登録の定義かなと思います。小児がん登録というのは、一般に言われている院内がん登録とは違うし、地域がん登録とも違うという考えです。
つまり、恐らくほかのがん種でいうと、例えば乳がん登録など、学会レベルでやっている臓器がん登録に等しいものと考えてよろしいんでしょうか。それともまた違う形を考えていらっしゃるのか。
○檜山委員 非常にいい御指摘だと思います。やはり小児特有の登録の問題というのを、先ほど森委員も中央診断のところで、中央診断と言ってはいけないのかもしれませんが、そういうところで診断のクオリティも登録には必要なのではないかという御指摘もありました。
原委員長からもありましたけれども、目的に応じた登録も御指摘いただいているので、何が小児がんに特有な問題点であるかを特にディスカッションしていただいて、恐らく登録に関しては協議会できちんと全体の登録のディスカッションは集中審議される予定だと思うので、ここでは小児がんにはこういう登録があるべきだとかいうことを主にディスカッションしていただくということでお願いしたいかなと思っています。
今の牧本委員の御指摘は、そのとおりだと思うんですけれども、その点も踏まえて御意見いただければと思います。
どうぞ、小俣委員。
○小俣委員 登録をする側から考えると、診断があって、混乱していてというところで、話をちゃんと聞き入れなかったということも聞いているというか、なかなか登録が進まない1つだと思っているので、例えば発症したときに、だれが担うかということは、主治医なのか、担当する看護師なのか、ソーシャルワーカーなのか、その状況に応じてだと思いますけれども、登録と同時に社会的な支援を始めたらいいと思うんです。
例えば小児がん、がんと決まっているのであれば小慢が使えるということとセットにしてということをすれば、義務化と言われたら、義務だから、それは申請しようと思うんだと思います。ということが1点。
それから、長期フォローアップのことを考えると、登録をしていていただきたいなと思います。どこに行ったかわからないということがないように、登録をしておいていただいたらいいのかなと考えます。
馬上委員、どうぞ。
○馬上委員 患者側からしますと、地域登録とか院内登録ということがよくニュースに出てきていて、治療する段階になってまた登録しましょうという話をされるんですけれども、一体全体、地域登録とか院内登録とか、そういうのは、患者側にしては全く理解できない。何でそんなたくさんの種類の登録があるのかというのがわからないので、そこのところをはっきりさせていただきたい。
今までこういう登録があったけれども、このような目的でやっていて、ここまで成果があったとか。ここまでの行く立てというか、そういうことをまず理解しないと「さあ、登録してください」と言われても、何なのかなというところがあるので、説明をちゃんとしていだたければ、今後の方々の役にも立つし、晩期合併症の研究に関しても役立つことで、経験者の晩期合併症の対処についても役立つということをちゃんと教えていただければいいんですけれども。複雑だという印象が、患者側としてとてもあります。
○檜山委員 馬上委員がおっしゃるのはごもっともで、医者側も多分そう思っている医療関係者が多いのではないかと思いますが、原委員長が言われるように、やはり目的に応じた登録というのがあるので、先ほど言われたように、いわゆる発症率を見る登録と、きちんとアウトカムまで見るとか、臨床研究とか臨床試験に入ると、治療に関してどういう効果があったとか、そういうところも含められているのかもしれない。その辺りを全部引っくるめて登録という形で患者さんの方に見えているのかなという気がしますけれども、小俣委員が言われたように、登録することによって逆に支援が始まるというシステムは非常に重要かなという気はしています。
1つ、小慢でやはり登録というのがどうなのかというのがいつも思っているんですけれども、小慢は一応疾患として登録されていくんですが、それが多分馬上委員が言われるように、患者さん側に返ってきていないというところがあるのかなというのがあって、小慢が悪いとか、いいとか言っているわけではなくて、そういう形で患者さんが登録されたときに、小慢の支援が始まっているという状況を、多分小俣委員は御指摘されているのではないかと思っています。そんな感じですか。
○小俣委員 小慢だけではなくて、ほかに使える支援があるとか、そういったことの全体的な支援が始まったらいいかなと思います。
必要がない場合には、本当に登録だけでもいいかと思うので、それは個別性があるかと思います。まずは、そこで支援が始まったらいいかなと思います。心理的なところから。必要があれば専門職に紹介するということもできると思います。
○原委員長 登録、これも言葉の定義がややこしいんですけれども、私もこれを書きながらあれっと思ったんですが、要するに、本当に登録ですね。車の登録みたいなものと同じで、それで支援につなげる、あるいは長期フォローアップにつなげるという意味の登録と。あと、疫学研究のための登録という、この2種類があるということです。疫学研究としての登録に関しては、どういう疫学研究をするのかということの議論だろう。そういうふうに分ければ、もっとわかりやすいのではないかと思います。
それから、説明しておきますと、馬上委員がおっしゃった、院内がん登録をすると、それが全部地域がんに出ていますので、院内がん登録さえしておけば、地域がん登録はしなくてもいいという形にはなっています。
ただ、小児がんの登録ということでいうと、我々が使い慣れている小児がんの病名が地域がんの病名に入っていないので、そこを修正する必要があって、今、そういう議論が本会議の方で進められています。ですから、院内、地域がん登録の病名のところに、小児がん病名を入れるという形にすると、解決するのではないかということで検討中ということです。
○檜山委員 牧本委員、どうぞ。
○牧本委員 関連で、院内登録が地域がん登録と恐らくリンクしてきているというのは、当院の情報センターなどの働きにもよるんだろうと思うんですが、ただ、院内登録は100%網羅されていないという状況です。
つまり、がんを診療している施設が100%院内登録を実施できていないという現状が多分あって、小児がんの場合は、恐らく院内がん登録の整備は成人のがん拠点病院から進めていかれたので、そこがまだ十分まだ行き渡ってないんだろうと思います。
つまり、成人のがん拠点病院になっていない小児医療センター等の施設がまだあると思うので、小児がんのデータが行政的な登録にまだ出ていっていない可能性が高いと思っています。数字を見たわけではないんですけれども、そこの問題があって、ですから、院内登録を充実させていくことは確かに問題解決になるんだが、そこをどう行政的に持っていくのかというところが小児がん特有の問題点かなと思います。
○がん対策推進室長 今、お話のありました疫学研究を行う方の登録という意味で、原委員長からお話がありましたが、登録には3種類ございまして、1つは地域がん登録。これは実施主体は都道府県がやっています。何を調べるかと言いますと、各都道県で例えばがんの患者さんが年間どれだけ発生したのかという、一般的な疫学です。
ですので、かなり広範囲で調べておりまして、都道府県のがんを診断される病院と都道府県が連携して行っている。これは全国まだ全部できていないんですけれども、今後、進めていく。ですので、データとしては非常に項目数が少ない。発症した日付ですとか、どういうがん種なのかといった本当にごく一般的なものしかありません。
2番目としてありますのが院内がん登録と呼ばれるものです。これは現在、大人と言ってはおかしいのかもしれませんけれども、拠点病院に義務化をさせています。拠点病院は、全部で388、全国にございますので、すべてのがんを診療している病院で行っているわけではないです。
これで何を見られるかというと、各病院の治療成績のデータですとか、その病院がどれだけの患者さんを抱えているのか、どういうがん種が多いのか。そういったものが見られる。
もっと更に細かくなるのが、いわゆる臓器がん登録と呼ばれるものです。これはどちらかというと、学会が主催になって行っていただいて、かなりいただくデータも学会によっては違うんですけれども、治療法、治療の薬剤から、どれだけ何日、いつ、どういう薬剤投与をしたとか、そういう細かい治療内容も含めて取っているところがございまして、そういったところから薬の効果、治療法の有効性の評価といったことが研究されているということです。
目的によって取る項目数も全然違いますし、実施主体も全然違うというのが現状です。
○檜山委員 ありがとうございました。
小児がんは、今の位置づけだとやはり臓器がんに位置づけられていることは確かなんですが、悉皆登録を目指すことが是非必要だということは、皆さんの御意見は同じところだと思います。
今、室長からの御説明もありましたように、院内がん登録に悉皆性が恐らく今のところない形で運用されていると、成人がんなどたくさん数が多いがんに対しては、それで各病院のそのデータが集められていると理解しているので、その辺りと小児がんの登録をどうリンクさせるかということも御議論いただきたいところです。
堀部委員が言われるように、やはり拠点病院を通して、小児がんの拠点病院がという意味で書かれているんだと思いますが、きちんと登録を義務化するということがまず第一で、そこにネットワークを通して診療情報が入ってくるシステムを構築すれば、ある程度網羅的に登録が進むのではないかとイメージされているのではないかと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
どうぞ、堀部委員。
○堀部委員 これまで小児がん登録については学会レベルでも繰り返し議論されてきて、日本で小児がんがどれだけ発生しているのか、増えているのか、減っているのか、どのぐらい治っているかについて正確な情報がないのは問題である。だから、既存の登録システムで無理なら学会主導でやろうということで動き始めました。しかし、今のままでは、とてもすべての情報を集められる登録システムにはならない状況です。
それは小児がん学会の構成員を考えてみても明らかです。例えば骨軟部腫瘍や脳腫瘍は、それぞれの専門領域(外科系診療科)の学会に登録システムがあって、必ずしも小児がん学会に反映されていません。
一方で、地域がん登録は自治体に依存しますので、熱心にやられているところでは、大阪など幾つかあり、かなり正確な発生率が把握されていますが、日本全体のことは把握されません。しかし、各地域にしっかりやれているところがあれば、およその全体の動向を把握できると思います。
がんの発生率については、ポピュレーションベースで、対人口比で評価する必要がありますので、47都道府県全部の情報があることよりも、定点的に正確な情報を集めることが優先されます。がんの発生には地域差がある場合がありますので、全国各地で精度の高い登録できるシステムをもつには、行政的に強制力を持ってやっていかないと達成が難しいと思います。
拠点病院にすべての患者さんが集約されるようになればよいですが、必ずしもそうはなりません。しかし、少なくとも拠点病院においては登録を義務化して把握率を上げる必要があります。特に学会が行おうとしている臨床情報を加味した情報収集には必要なことだと思いましたので、意見だしにはそのように記載しました。
また、小児がんにおける関心事には、小児期に発生しているがんという面と小児がんに特有のがん種に関して年齢域を超えて動向を見たいという面があると思いますので、やはりその辺を行政側で位置づけていただけるように、この委員会からも働きかけていただきたいと思います。
○檜山委員 馬上委員、どうぞ。
○馬上委員 今、堀部先生のお話、よくわかったんですけれども、結局拠点病院で登録を臓器別でやっていくということにすると、だんだん登録が詰まってきて、それをためていくことによって、推計がやりやすくなるということなんですか。
○堀部委員 そうですね。
○馬上委員が わかりました。
○檜山委員 登録に関しては皆さん、そういうところでまとめさせていただこうかと思いますが、森委員、いいですか。
○森委員 細かい個別の意見書に施設の、当施設は小児がん学会登録の事務局を務めさせていただいているんですけれども、やはり大きく2つで、今の成人を含めた登録も3パターンあるということで、数多くの登録があって、担当医が混乱して、どこに何を登録したかわからなくなってしまったりすることもあるぐらいです。登録にとにかく追われる。それで、追跡更新ということが来る状況ですので、可能であれば何かを柱にして、現場の印象として機能しているのは、今、学会登録が一番機能しているように思います。小児血液・小児がん学会の登録が新しく始まったということ。
それから、研修施設の認定等に縛りを設けたことで、かなり機能しているように思っていますので、それを柱に、そこからいろいろな行政的に必要な登録に関してもリンクさせ得る形をつくっていただくことは、患者さんにとって説明を何度にもならないことになりますし、医療者にとってもシンプルな手続でいけるのではないかということで、学会登録が最善かどうかといのうはまた議論でいいと思うんですけれども、学会登録等を柱にして、そこから派生させる登録システムを再構築する必要があるのではないかということが1つです。
それから、先ほど来も院内がん登録、ずっと言っていますが、ここにいる中で小児医療施設は私だけなんです。例えば関東だけ見ても、恐らく小児医療施設が担っている小児がん診療の方が圧倒的に、圧倒的は言い過ぎかもしれませんが、少なくとも上回っている数だと思います。
子ども医療センターが成人がん診療拠点施設でないことは明確だと思います。私、この委員会に参加させていただく際に、成人の資料を勉強させていただいたんですけれども、明らかに成人対象につくられていて、小児のための項目という設定は全くされていないと言っていいと思います。
ですので、これをこのまま活用するのがいいのか。それとも今、お話したような既存の登録を活用しながら有効に使っていくという形で、小児がんのための院内がん登録という形の検討も必要なのではないかということが1つです。
3つ目、試験のことばかり言って大変恥ずかしいんですけれども、恐らく名古屋も同じだと思いますが、小児がん学会の事務局を私たちがさせていただいていて、名古屋で小児血液の登録をされていますけれども、やはり研究費ベースでやっていることが実情であります。研究費が取れなくなったら、その登録自体もそのまま塩漬けになってしまう可能性があるというのが実情であります。
是非、事業等として認めていただいて、財政的な支援をしていただくことが必要ではないかと考えています。
○檜山委員 登録のお話をいただいたので、登録の話はこの辺で。
○原委員長 学会がやっているので、臓器がん登録と誤解があるといけないのであれなんですが、今、やっているのは小児がんの地域がん登録がないのを学会が補完してやっているという認識でおります。ですから、地域がん登録の中身が小児がん用に項目がモディファイされれば、ゆくゆくは地域がん登録に移行していくのが望ましい形ではないかなと考えています。
小児がん登録の問題は、悉皆性が担保されないということです。少なくとも院内がん登録であれば、診療情報管理士がすべてに目を光らせて、99%あるいは100%を目指して、院内のデータがすべて出ている確認がされるんですが、現在の小児がん登録は80%なのか100%なのか、ノーバディノーズである。
ですから、そこをやはり院内がん、あるいは地域がんにくっ付けていくことによって、正確なもののシステムに乗せていくということを将来的に、すぐには無理だと思うんですが、そういう位置づけかなと思います。
○森委員 先ほど小児に特化したと申し上げたのは、院内がんと地域がん登録が連携する中で、特に小児がん登録においては、フォローアップの基盤になるようなデータということが非常に重要だと思っています。
成人がん登録には、恐らく余りそこは重視されていない状況ですので、その登録が残ることによって、仮に患者さんが転々として、行方を探すのが大変だった。患者さん自身も自分の記録がどこにあるのかわからなくなったときにも、そこにアクセスすることで戻れるという観点で、やはり小児がんの特殊性に配慮した。せっかく登録をする手間、患者さんたちにとっても混乱しているときに説明を聞いて、判断しなければならないという作業を経るのであれば、できるだけ1回で役に立つものをまとめておくということが大事なのではないか。
複数の登録をたくさんつくれば漏れも出てきますし、データの信頼性もぶれてきますので、できるだけシンプルに1つの基盤からネットワークというか、連鎖があるという形をつくった方がいいように思います。そのためには、成人の利用できるものを利用することは勿論大賛成ですし、既に動いているものを使うことはいいわけですから。ただし、かなり小児に特化したものに直していくためには、かなりの手直しが要る可能性があるのではないかと思っています。
○檜山委員 ありがとうございました。
先ほど来の御意見は、最初のポンチ絵に書きましたように、最終的には小児がん情報センターにすべてのデータを集約して、そこで患者さんのデータを蓄積していくというシステムを構築するので、その内容についてはきちんと小児がん特有の問題点を出して、つくり上げる必要があるということでまとめさせていただこうかと思います。
では、研究のお話は一応大体していただいたと思っておりますので、あと残っている研修・教育体制の部分を、余り時間はないですけれども、御議論していだたければと思います。
「6−0 小児がんの教育」ということで、学校教育のことで皆さん、学校教育に是非小児がんの理解、あるいは周知のために入れるべきだということを御指摘いただいておりますが、この点で特に御発言がなければ、ここはここでとりまとめさせていただきますけれども、小俣委員、ありますか。
○小俣委員 研究のところは1点だけ。
専門の先生方や専門家の方が研究したものを一般の家族や本人が見られるようなシステムといか、それは情報センターと関係してくるんだろうと思いますが、言葉を噛み砕いて要約をしていただくようなことをしていただきたいということが1点です。
○檜山委員 非常に重要な問題。登録もそうなんですけれども、登録されたデータきちんと「見える化」しないといけないので、研究のデータもきちんと患者さんに見える形で今まで出してこなかったというのは、やはり大きな問題だと思うので、それは見える形にするということが重要だと思います。
○小俣委員 続けていいですか。
研修・教育体制なんですが、ほかの先生方もそうですけれども、子どもたちへ伝えるということもすごく重要で、私もお話をしに行ったりするんですが、実は子どもはすごく素直で、すぐ理解してくれるという状況にあって、問題は大人かなと思っています。
どちらかというと、教える側の先生方や養護教諭の先生、校長先生、そういう方々への研修というかお話をしに行く機会がもっとたくさんあるといいのかなと思います。あとは、保護者の方です。そういう機会があるといいかなと考えております。
○檜山委員 森委員、どうぞ。
○森委員 小俣委員の発言で、1つ宣伝です。
成育医療センターの小児がん情報センターの中に研究の紹介というページをつくって、結構声をかけたんですけれども、今のところ、4つぐらいの研究班は簡単なものを載せてくださいました。ですので、是非こういうところから一般の方にわかるような情報発信をということをすれば、ごらんになる機会が増えるのではないかなと思います。
研究の方の積み残しで、牧本委員のバイオバンクとも関係するのかもしれないんですが、もう一つ、トランスレーショナルリサーチに関わる問題で検体の保存という問題がございます。現在、成育医療センターは、臨床研究ベースの中央診断の余剰検体の保存という、難しい話ですけれども、それで年間恐らく数百レベルの数の検体がどんどん保存されていって、それが研究グループのルールで研究使用されるような体制が組まれております。実際に研究使用も始められています。
これも要するに、年間数百検体がどんどん毎年増えていくだけですので、同じことばかりで恥ずかしいんですけれども、是非、これが重要なことであると考えられるのであれば、事業的な考え方をしていただかないと難しいのではないか。継続性が困難ではないかと思っています。
御承知のように、アメリカ、ヨーロッパではこういった領域には多額の研究資金、補助金が用意されて、検体がきちんと保存されて、研究に活用されるという基盤を持っていますので、繰り返しですけれども、これも何年間かの研究費の申請で維持してつないでいるというのが実情です。永続性、継続性が非常に重要なポイントですので、御検討いただきたいと思っています。
○原委員長 教育の件なんですが、ここに書いたんですけれども、目的なんです。1つおっしゃった養護教員とか養護学校での教育は非常に重要です。これは全く同感です。
あと、子どもたちに対する教育は、小児がんという病気があるから気を付けなさいと言うのか、その辺はひとつよくわからなくて、友達にそういう子がいたときに、偏見を持たないようにするという意味での教育が必要なのかなと思っています。
そうであれば、小児がんにかかわらず、天野委員がここに書いておられるように、重い病気、慢性の病気、そういう子どもたちにどういうふうに接するべきなのか。彼らの人権とか、人権教育の一環にもなると思うんですが、そういう意味の教育が必要かなと思います。
だから、あえて小児がんの子どもがいるんだというのをわざわざ取り上げる必要はないと思うんです。一連の中の1つで入ってくると。
余り小児がん、小児がんというと、子どもは非常に繊細ですので、脳腫瘍の話とかしたら、翌日から頭が痛くなったり、そんなことは笑いごとではなくて結構あるんです。
ですから、教育といった場合に、目的が何なのかというところは、今、私が申し上げたような観点でよろしいでしょうか。
○檜山委員 馬上委員、どうぞ。
○馬上委員 そうなんです。取り立てて小児がん、小児がんと騒ぐと、子どもたちがおびえてしまうと思うんですけれども、既に成人がんについての小学校での教育が副読本などで始まっているので、そうすると、がんのイメージが非常に強く子どもたちに焼き付けられまして、小児がんの患者である子供の近くの子も小児がんといったら、引いてしまうというか、どう接したらいいのかわからなくなるということなので、難病全体の病気の子どもをどうやって支えていくかという教育はとても必要と思います。
○檜山委員 天野委員、どうぞ。
○天野委員 今、御指摘いただいたとおり、小児難病の中での小児がんの位置づけが必要だろうということが1つ。あと、最近も副読本とかでがんの教育があるということがあったんですけれども、実情としては、それは必ずしも充実していないという状況があって、これは親の協議会でも問題になっているとおり、そもそも「がん」というものに対しての普及啓発が学校教育において十分ではない。
特に保健体育など、体育体育になっていて、保健教育が十分でないときに、がんについて、医療についての教育が十分でないということがあるので、がんについての教育を充実していただくとともに、小児難病についての誤解を解くような教育をお願いしたいということが私から申し上げたいことでございます。
あと、1点。戻ってしまうんですが、研究のところで私から1点出させていただいたことで、放射線被曝に関わることについては、この小児がんの専門委員会でも一定程度触れる必要があるのではないかと感じておりまして、特に放射線被曝に伴って小児がんの発症が増えるのではないかという懸念が一般の中にある中で、どういったことになっているのかを明らかにして、もしそういった小児がんの発症などが増えているとか、そういった動向があるのであれば、適切な対策を行うということも目的として、そういった充実が必要なのではないかと感じております。
○檜山委員 非常に重要な御指摘だと思いますけれども、原発の問題があり、小児の低線量被曝の問題は今後の課題としては残っているので、これに対してある程度の疫学研究は必要ではないかと思っています。それに対して必要な対策を講じていただくようにということは、皆さん御異論ないところだと思います。
ほとんど時間がないんですが、あと少し教育体制について積み残しになってしまいますが、次回でもよろしいでしょうか。少し学校教育のお話は今、していただいたんですが、あとは専門医、あるいは医療関係者の研修、フォローアップ団体の研修は、テーマとしても重要なところなので、少し次回に積み残させていただくということで御了解いただいて、今日のところまでは、一応私のところでいただいた御意見をとりまとめさせていただくということで、御了解いただければと思いますが、よろしいでしょうか。
一応、これまでの審議でいただいた内容をとりまとめて、各委員にまた御送付させていただきますので、次回にまた御審議をいただくことにさせていただきます。
次回ですが、一応積み残したところを御検討いただくということがありますけれども、それともう一つは、小児がんとして次期基本計画に盛り込むべき事項の意見出しをお願いしたいと思っております。今まで非常に細かく皆さんに御議論いただいて、少し同じような議論を繰り返したところもあるんですが、現状分析から課題を出していただいて、それに対してどういった対応が必要かという意見出しをさせていただいて、とりまとめの方向に議論をまとめさせていただく方向で次回、議論をさせていただこうと思います。
次期基本計画は、皆さん御承知のように5年なので、その辺りも頭の中に置いていただいて、理想的なことは十分御審議いただいたんですが、まずやらないといけないことは何かということと、5年の間にどれぐらいのことが今から順々にやっていくべきかというところを頭の中に入れていただいて、意見出しをしていただこうかなと思っております。
それをいただいて、また次回まとめる方向で議論させていただこうと思っております。意見出しの方法については早急にお送りしますので、それに意見出しをしていただくということでお願いしたいと思います。
では、今後の進め方については、原委員長からお願いするということで、特に事務局からはないでしょうか。
○原委員長 今、檜山委員から今後の予定についてお話をいただきました。次回は、7月26日火曜日の2時ということで、皆様にも既に御連絡がいっているかと思います。場所はどこでしたか。
○事務局 今、三田共用会議所を予定しております。また、正式に決まりましたら、御案内させていただきます。
○原委員長 ということだそうです。あと、次回、次々回、そこで最終的な内容をとりまとめて、それをもって8月の協議会に小児がん専門委員会から意見を申し上げるという形になるかと思います。
以上をもちまして、本日の小児がん専門委員会は終了したいと思います。どうも、委員の皆様、長時間にわたりまして、ありがとうございました。それでは、今日は終わらせていただきます。
<照会先>
健康局総務課がん対策推進室
ホーム > 政策について > 審議会・研究会等 > がん対策推進協議会 > 小児がん専門委員会 > 第5回小児がん専門委員会議事録