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2011年6月8日 第3回小児がん専門委員会議事録

健康局総務課がん対策推進室

○日時

平成23年6月8日(水)17:00〜19:00


○場所

厚生労働省 12階 専用第12会議室


○議題

【協議事項】
1 小児がん診療体制の在り方等について
2 小児がんの患者支援、長期フォローアップ等の参考人意見聴取等
 (1)小児がんの長期フォローアップ等について(石田参考人)
 (2)こどもの療養環境等について(梶山参考人)
 (3)「小児がん 新たなリスク」について(馬上委員)
3 その他


○議事

出席委員:原委員長、天野委員、小俣委員、檜山委員、堀部委員、牧本委員、馬上委員、森委員
参考人:石田参考人、梶山参考人

○鈴木がん対策推進室長 それでは、定刻より若干早いですが、ただいまより第3回「がん対策推進協議会小児がん専門委員会」を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。事務局の健康局がん対策推進室長の鈴木でございます。よろしくお願いいたします。
 初めに、本日は全委員の出席をいただいておりますので、議事運営に必要な定足数に達していることを御報告申し上げます。
 また、本日は小児がんの患者支援長期フォローアップ等に関するプレゼンテーションをいただくこととして、聖路加病院小児科医長の石田様、神奈川県立こども医療センター総務課ボランティアコーディネーターの梶山様に御参画いただいているところでございます。
 それでは、初めに外山健康局長の方からごあいさつさせていただきます。
○外山健康局長 健康局長の外山ですけれども、本日は委員の皆様、大変お忙しい中御出席賜り、ありがとうございます。
 既に御案内と思いますけれども、5月25日のがん対策推進協議会におきまして、原協議会委員が本専門委員会の委員長に指名されまして、それから檜山委員にも引き続き専門委員として本専門委員会で取りまとめに参画していただくこととなったほか、その他の先生方につきましても、引き続きということでよろしくお願いいたします。
 それから、今日は石田、梶山両参考人、よろしくお願いいたします。
 今日は小児がん対策にとっても重要な分野であります「小児がん診療体制の今後の在り方」や、それから「小児がん患者の支援、長期フォローアップ等について」、参考人の方から御意見をお聞きするという予定でございますけれども、小児がん対策というものは我が国のがん対策の中でも最もおくれている分野だというふうに思っておりまして、今後この専門委員会の取りまとめであるとか、あるいは親の協議会の決定を踏まえまして、できる限り来年度の予算編成に反映させるべきところは反映させたいと思いますし、当然その次の基本計画の重要課題として位置づけたいというふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
○鈴木がん対策推進室長 ありがとうございました。
 ただいま健康局長より御紹介がございましたが、5月25日に開催されました「がん対策推進協議会」におかれまして、原委員が小児がん専門委員会の委員長に指名されました。
 原委員長、ごあいさつをお願いできないでしょうか。
○原委員長 このたび檜山委員の後任としまして、新たに協議会委員に任命していただきました。この専門委員会を初め皆様の御意見をしっかり協議会の方へ伝えていきたいというふうに思っております。
 つきましては、皆様の御協力、御指導を引き続き賜りたいというふうに思っております。
 委員長としての運営責任は果たしてまいりますが、これまでのいきさつを踏まえて、引き続き檜山委員を中心に、協議事項についての進行をお願いしたいというふうに思っております。
 以上です。よろしくお願いいたします。
〇鈴木がん対策推進室長 ありがとうございました。
 それでは、ただいま原委員長よりお話がありましたとおり、引き続き檜山委員に協議事項の進行をお願いしたいというふうに思います。
 それでは、檜山委員よろしくお願いいたします。
〇檜山委員 御指名ですので、引き続き進行を担当させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 まずは、今回の東日本大震災にて多くの方が亡くなられ、また多くの被災者の方々にはお悔やみとともにお見舞いを申し上げたいと存じます。
 また、小児においては被爆における発がんのリスクについて危惧されているところでございますが、いまだに被曝量も確定していないことあるいは低線量被曝へのエビデンスがほとんどないことから、本会においては今後十分な検診をお願いするということで、今回はとどめたいというふうに考えております。よろしくお願いします。
 さて、本日は今までの2回の本委員会で取りまとめていただきました中間報告として、協議会に提言いたしました「小児がん診療体制の今後の在り方等について」、諸外国等の事情等々を参考に、我が国での在り方について原委員長とともに取りまとめを行いましたので、各委員の御意見を本日お聞かせいただき、具体的な案として取りまとめたいというふうに考えております。
 その後に次の検討項目である小児がんの患者支援、長期フォローアップ等について本日の参考人の方の意見を聴取することといたしております。
 なお、本日の参考人の意見等を踏まえまして、次回の委員会で事前に各委員から御提出いただきました資料に基づき、御議論をいただく予定にいたしますので、よろしくお願い申し上げます。
 各委員の御意見は3月初めにいただいて、震災のために延期させていただいた都合もありまして、もし変更等がございましたら、改めて事務局に御提出ください。
 それでは、事務局より資料の確認等をお願いいたします。
〇鈴木がん対策推進室長 それでは、以上をもちまして撮影を終了し、カメラをおさめていただきますよう御協力のほどよろしくお願いいたします。
                 (報道関係者退室)
〇鈴木がん対策推進室長 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 資料につきましては、お配りしておりますのが小児がん専門委員会の会議議事次第、それと資料番号1番に名簿、以下資料番号1番〜6番まで資料を付けさせていただいております。
 また、そのほか参考資料1、参考資料2という2つの資料と、あと本日お配りさせていただきましたが、石田参考人の方から追加資料ということで、「小児がん治療後のQOL」ということで、冊子を机上の方に配付させていただいていると思います。
 もし落丁、資料が足りない等過不足がございましたら、事務局の方にお申し出いただきたいというふうに思います。
 以上です。
〇檜山委員 それでは、本日の議題に入りたいと思います。
 「協議事項1、小児がん診療体制の在り方等について」。私の方から説明させていただきます。
 まず、資料2をごらんいただきたいと存じます。震災にて第3回の開催を延期させていただいておりますので、いきさつ等の確認の意味で、3月28日に協議会に提出させていただいた中間報告について再度御説明申し上げます。
 この資料につきましては、各委員の方には既にお目を通していただいて御了承いただいているものでございますが、この中の別紙3についてごらんをいただければと思います。また、協議会においては、次期のがん対策推進計画に小児がんの項目を加えていただくことということを御了解いただいていることを申し添えます。
 別紙3について御説明させていただきます。
 これは3月28日に協議会の方に提出した資料でございます。皆様の御意見をまとめさせていただきまして、今後の在り方については、医療に関する診療情報の一元化として、特に診療ガイドラインや専門医、専門施設の診療実績などの情報を一元的に配信するシステムを構築すべきであると。 
 また、複数の専門家による診療体制を構築すべきで、がんを疑った場合の専門施設では連携体制を構築し、正しい診断を迅速に行う体制を構築すべきであると。そのためには、十分に整備された施設の専門家によって診断が可能な体制を構築するとさせていただいております。
 また、インフォームドコンセントを適切な時期に実施するということも提言させていただいております。
 それで4に移りますが、「小児がん専門施設の整備」といたしまして、特にここに記載してある各要件を加味した小児がん専門病院を全国数か所に配置して、患者の集約化に基づく医療体制の構築を図るべきであるということを報告させていただいております。
 皆さんの御意見をいただいたことを基にいたしまして、原委員長と資料3にありますような今後の小児診療体制の在り方についてという案を提出させていただいておりますので、本日御意見をいただきたいと考えております。
 先ほどありましたように、各小児がんの専門施設として、ここの案の真ん中にあります小児がん拠点病院というものを全国に幾つか設置したいと考えております。これには皆様方からいただいた各要件をそこに示してありますが、こうした機能を備えた病院を拠点病院といたしまして、各地域の小児病院あるいはがん診療連携拠点病院等と連携、更に地方自治体等の連携ネットワークの下に、初期診療を中心に拠点病院で正しい診断とガイドラインに基づいた治療を提供し、更にフォローアップも行うという体制を確立していただければというふうに考えています。
 各小児がん拠点病院の診療情報あるいは画像病理等の情報は全国に、この下にありますいわゆる小児がんセンター、あるいは小児がんフォローアップセンターというものに集約してデータを収集し、それを解析いたしまして、一元的に患者の方に小児がん拠点病院の診療実績を含めた情報、更に各腫瘍の治療成績、副作用情報あるいは支援情報について配信するシステムをつくることによって、先ほどありました一元的な情報発信ができるというふうに考えております。
 こういう形の小児がん拠点病院を全国に幾つかつくることによって、小児がんの新しい診療体制をつくりたいという御提案でございます。これについて、各委員から御意見いただければと思います。
〇檜山委員 馬上委員、どうぞ。
〇馬上委員 恐れ入ります。
 参考資料1に脳神経外科医の澤村先生からの御意見書をいただいているんですけれども、ちょっとこちらを引用させていただいて意見を述べたいんですけれども、やはり先生がおっしゃるには、小児脳腫瘍というのは非常に病理が難しいということと、集学的治療が必須である。そして、経験ある医師が治療をしないと、その予後というものが大変大きく変わってしまうという御意見です。
 その予後が変わってしまうために、施設間の治療格差が極めて大きく出ているという御意見です。それを改善するためには、まず多くの症例を集めて、経験値を高くすることが大切。そして、そこで専門医などを育成することが大切であるという御意見です。
 これは小児脳腫瘍の治療の問題点ですけれども、私自身は小児がんの全体の問題につながるのではというふうに考えております。そういった面で、今、御提案いただいたこの小児がん拠点病院ですが、極めて高い専門性、そういうものを維持していただいて、発症した患者が最初に行った診療所または医療機関から、すぐにこの拠点病院に連絡なり取っていただいて、極めてそういう経験があるお医者様と、それから経験あるスタッフに診ていただいて、最善の治療をしていただくというのが患者家族の願いでございます。
 そして、その治療後も長きにわたって晩期合併症とかいろいろな問題が出てきますので、そういったことにも配慮していただけるような体制を併せ持つというような機能を持っていただきたいと思っております。
 以上です。
〇檜山委員 ありがとうございます。
 今、馬上委員からは、専門性の担保と、それからフォローアップ体制ということが機能として提言されたと思います。
 ほかに御意見。
 天野委員、どうぞ。
〇天野委員 まず、冒頭に局長からも御指摘があったように、成人の領域ではがん診療連携拠点病院が各地につくられて、がんの診療体制の整備が図られてきたところ、小児では残念ながらおくれている面が否めなかったということで、今回こういった小児がんの拠点病院というもののネットワークができるということについては、大変ありがたく思っておりまして、これは是非進めていただきたいというふうに思っております。
 幾つか指摘がございまして、3点ほどございます。まず1点目なんですが、相談支援体制のところで、フォローアップ体制ということが指摘されています。これはもしかすると今回ではなく、次回の議論になるかもしれないんですが、そのフォローアップということに関していいますと、治療が終了した患児の方が、特に成人になられた後にどこがフォローをしていくのかという問題があるかと思っています。そのまま、例えば成人の施設に行った患児の方が、やはりその成人の施設へ十分になじめないとか、フォローしてもらえないということで、もともとの小児の病院に戻ってきたいとか、戻ってくるということがありますので、このフォローアップを図る、例えばサバイバーシップを見ていくような専門の体制といいますか、センターといったものがその小児科の拠点病院にあっていいのではないかなということは個人的には感じております。
 2点目ですが、この拠点病院をつくった際に、これは成人とも共通する問題かと思うんですが、質の担保ということが非常に重要になってくるかと思っておりまして、それはどこが担保するのかというのは、この図では必ずしも明らかではないというふうに感じておりますので、例えばですが、この小児がん専門委員会がその質の担保を図るとか、そういった第三者的な機関による一定のチェックが必要なのかなというふうなことを感じました。
 あと3点目ですが、一元的な情報発信ということに関してなんですが、現時点で小児がんに関する情報、公的な情報発信としましては、例えば国立がん研究センターであるとか、成人の方でもそういった情報提供を要望を通じて行われているところですが、利用者の観点から見ても、まだ発展途上のところがあるというふうに多々感じておりますので、この情報発信ということにつきましては、成人の領域でがん対策情報センターが設置されて、かなり情報発信が充実してきたところだと理解しているんですが、それに準じる形で、小児がん専門の極めて質の高い、それは治療成績も含めた一元的な情報発信体制が必要であろうというふうに感じております。
 私からは以上でございます。
〇檜山委員 ありがとうございました。
 今の天野委員のお話は、相談支援とフォローアップの体制をどういうふうに担保するかというお話だったと思いますが、成人になったときにどういうふうにするかという議論は、長期フォローアップについてまだ十分なディスカッションされていないので、皆さん少しずつイメージは違うのかなという気はしますけれども、その辺りも少し御意見をいただいてもいいかなと思います。あと質の担保をすべき第三者機関が必要ではないかという御提案だったと思います。それと、情報発信について何かきちっとしたものが確立すべきだというお話だったと思います。
 馬上委員。
〇馬上委員 今の天野委員の意見にすごく賛成なんですけれども、第三者機関だけでなく、やはり患者側からの声というものも吸い上げていただきたいというふうに思っております。普通、企業で水準を保ったり、向上するためにはカスタマーリサーチとかマーケットリサーチというのがあると思うんですけれども、やはりそういった水準を向上させるためにも、ダイレクトに患者からの意見というのも吸い上げるシステムというのが必要だというふうに思っております。
〇檜山委員 小俣委員。
〇小俣委員 先ほど天野委員がおっしゃられたように、小児がん拠点病院がこうやってできていくということは大変ありがたいことだと思っております。
 今、治癒率が向上しておりますから、小児がんが発症したときから大人になるまで問題がたくさん出てまいります。病名をどうするかということや、この前、増子先生がお話をされたような、本人自身の遊びや学びの権利というものも充足しなければいけないでしょうし、本人にどう伝えるのかということも、これは中間報告で檜山先生がお話をされてくださっていますが、インフォームドコンセントというものをどうするかということも、治療中にもあり、そしてまた大人になっていけばいくほど、社会と接することが多くなり、問題が広がっていきます。
 この案については非常にいいと思うんですが、天野委員や馬上委員がおっしゃられたようなサバイバーシップ、その拠点病院にも患者会の支援というのを、それは家族会、患者会、両方あるかと思うんですが、その支援が必要なのではないかなというふうに考えております。私の今の認識では、全国には13の小児がん経験者の会がございますけれども、そういったものを支援するようなものが拠点病院で、機能としてあったらよろしいのかなというふうに思います。
 また、先ほど申し上げたように、発症したときから成人になるまでさまざまな問題が出てまいりますので、発症したその小児がん拠点病院での支援体制が、医療だけではなく生活や社会的な支援ということが必要であるということと、また大人になってからこの小児がんフォローアップセンターのところでも情報発信だけでは多分足りないところがあるかと思うので、この緑で濃く線を書いてくださっていますが、ここにプラス支援体制、支援ということを入れていただきたいと思います。
 また、それをだれがするのかというと、要件のような話になってくるのかと思うのですが、そういう職種ということで、平成14年に健康局長から通知が出ておりますが、医療ソーシャルワーカーという職種がございます。そのソーシャルワーカーであれば、きめ細かにトータルに、その個人に合わせて援助ができると思いますので、そういった配置もまた機能の中の1つとして入れていただきたいと考えております。
 以上です。
〇檜山委員 馬上委員、どうぞ。
〇馬上委員 今、小俣委員に言っていただいたことは、本当に患者側からもそういうふうなことをやっていただきたいと思っております。
 まず最初に、治療に当たる前にもう患者家族は非常に心理的なストレスを感じておりまして、何をしていいのかわからないという状態です。そういったときにチームで、あと医療ソーシャルワーカーの方に寄り添っていただいて、ずっと治療中も相談できる体制、そして実は治療後にやはり一番相談をしたいという方が多いので、その治療後も見守っていただけるような体制というのが必要だと思います。
 米国のソーシャルワーカーなどは、私の知人で米国で亡くされた方がいらっしゃるんですけれども、その方はソーシャルワーカーに治療中も寄り添っていただいて、亡くなられた後も自宅にソーシャルワーカーが3か月ぐらい来てお話を聞いてくださったということなんですね。そういうことはすごく極めて患者家族にとって必要なことだと思いますので、お願いしたいと思います。
〇檜山委員 ありがとうございます。
 今のお話はやはり最初の相談、いわゆる診療のときの相談と、それからフォローアップ、それからサバイバーになってからの相談の機能をきちっと入れてほしいという話だったと思いますので、その辺りはここに盛り込みたいと思います。
 ほかに。
 堀部委員、どうぞ。
〇堀部委員 少し話題が変わりますが、私がこの「小児がん専門施設の整備」を見て、基本的な考え方は今までここで議論してきたことが反映されていて良いと思いますが、小児がん拠点病院の数が数か所というのが気になります。この数か所の施設は、専門的医療やケアの教育・研修もできる施設、以前の議論では、小児緩和ケアの専門研修が可能であるなどの要件が挙げられており、まさに小児がん拠点病院の中心的施設であるというイメージを持っていました。その意味では、小児がん拠点病院は全国1か所とか2か所で十分だと思います。しかし、この図に書かれている小児がん拠点病院の要件は、各地域の小児がん拠点病院の要件であるべきであると思いますので、数としては、7から10か所の方が妥当と思います。以前にも小児がん拠点病院は二段階あるような話があったと記憶します。
 それから、以前に馬上委員が言われていたように、小児がんはまれながん腫が多く、個々の専門家の数は限られています。そのため、数か所の拠点病院に専門家を網羅的に集めることは困難です。必然、診療分野としてはそれぞれの個性を持って特殊な分野が強いということがあってわけですが、そのような施設もがん診療としてはこの図に掲げた要件を持った小児がん拠点病院であっていただきたいので、患者の利便性への配慮と専門家の集約の困難さを考慮すると、ある程度の数、すなわち、地域ごとに診療体制を整備する必要があると思います。一方、全部が網羅されて全体の研修が可能な中央の拠点病院は全国で1〜2か所でよいと思います。その意味で、小児がん拠点病院の数が数か所と書かれていることが気になります。
〇檜山委員 数か所ということについては、まだ十分ディスカッションできない等もあって、先生が今、具体的には7から10か所と言われたと思うんですが、それぐらいの数が必要だという御意見も十分理解できると思うんですけれども、その辺について御意見ございますか。
 馬上委員。
〇馬上委員 先の中間報告の4番のところに、造血器腫瘍、脳腫瘍など、臓器別の小児がん専門施設の構築も個別に検討するべきであるというような文言が入っていると思うんですけれども、患者側としては専門性というものが担保されていれば、やはり専門性がある最善の治療をしていただくことが第一で、その形態に関しては私どもはちょっとあれなんですけれども、こういう臓器別ということも可能であるということなんでしょうか。そこのところをちょっと。
〇檜山委員 どうぞ、堀部委員。
〇堀部委員 臓器別は可能ですが、より多くの臓器のがんに対応できるに越したことはありません。また、どの臓器の小児がんであっても、小児がん患者さんであることに違いはないのですから、重要なことはそのがん腫の専門診療が可能であって、かつ、トータルケアが実施できる体制にあることだと思います。その意味で我々がディスカッションしてきた小児がんの拠点病院の要件は臓器別の拠点病院であっても必要だと思います。裏返せば、得意な専門領域(臓器)を持った小児がん拠点病院があってよいと思いますが、小児がん拠点病院に認定されるからには、やはり総合的な診療ができる体制が整備されているべきだと思います。すべてのがん腫が診療できるというよりは、特定のがん腫であっても専門診療と患者のトータルケアができる、総合診療ができるところが拠点病院になるべきではないかと私は思います。
〇檜山委員 どうぞ、牧本委員。
〇牧本委員 この図に基づいて、わからないところですが、(小児がん拠点病院(仮称)と書いてある)真ん中の赤い囲いは、主に診療に対する整備を考えておられると思うんですけれども、その下の小児がんセンター、フォローアップセンターと書いてある緑の四角の中というのは、必ずしも病院として採算が取れる事業ではないですよね。つまり事業費を付けていかないと絶対成り立たない部分で、小児がん拠点病院(仮称)と書いてある赤の部分というのは、病院の経営が成り立てば何とかなっていく部分なんです。先ほど来、何施設になるかは議論があるところですけれども、1施設にという意見もある「小児がんの拠点病院中の拠点病院」になると、恐らくこの緑の部分の機能を持たないといけないわけですね。そうなってきたときに、結局その施設は一体例えば予算が幾らあって、何施設つくるのが可能なのかという、この緑の不採算部門とでもいうべきものを何施設抱えられるのかということをまず議論をして、ヒエラルキーのてっぺんを構築しないといけないと思うんですね。
 そして、その次に赤の拠点病院というのは、7から10という数字もありますけれども、そのような病院をどのような規模にしてどうやって配置できるか。果たして採算は合うのかという、意外と細かい議論がないと、最終的には施設の数というのが決定できないんではないかなと思うんです。
〇檜山委員 済みません。御説明がちょっと足りなかったのではないかと思うんですが、下の緑の部分は、私と原先生の考えでは全国に1か所というふうに考えていて、小児がんの拠点病院を幾つにするかという議論は今していただいているんですが、その情報をすべて1か所に集めるということで、今この小児がんセンターと小児がんフォローアップセンターという仮称の名前をつけています。これは1つのセンターとしてもあるべきなのかもしれないですけれども、こういう形で全国のデータを強制的に各拠点病院から集めて、そこから一元的に情報発信をするという形を提案させていただいています。
 ですから、そういう形で、この機能は拠点病院が持つ機能ではなくて、もう少し上のレベルの病院が、上と言うべきかどうかわからないですけれども、中央の病院が持つべき機能であるというふうに考えていて、恐らく全国に1つあれば十分であるというふうに考えています。そこに小児がん拠点病院で診療された情報は、とにかくそこら辺の情報をすべて集約して、そこから各拠点病院の診療情報とか、先ほどありました各拠点病院の特殊性が出てくればそういう情報も出てきますし、各拠点病院や各疾患の治療成績とか副作用の情報とかを一元的に発信するということが、患者さんにとってはメリットがあるのでそのような形で提案させていただいているのです。ちょっと説明不足で申し訳ないです。
〇檜山委員 どうぞ、馬上委員。
〇馬上委員 この一元的な情報発信というのは、勿論インターネットでの開示とかそういったことですか。
〇檜山委員 具体的にはそういう形になるんではないかと思います。
〇馬上委員 わかりました。
〇檜山委員 堀部委員、どうぞ。
〇堀部委員 一元的な情報発信が1か所というのは、小児がんから見れば非常にわかりやすくて望ましいスタイルだと思いますが、小児がんの中のがん腫、脳腫瘍のところでも述べられていますが、小児とその上の年齢の年齢層と分離されるのは少し問題があると思います。小児に特化したがん腫もありますが、若年成人に跨った年齢層に多いがん腫もあります。脳腫瘍だけでなく、造血器腫瘍や骨軟部腫瘍もそうです。診療情報の解析という意味でも、専門家の育成という意味でも連続性がありますので、やはり、がん全体の中での比較分析が必要です。その意味では、全体の情報発信の中で、きちんと小児がんを位置づけていただく形がよいのではないかと思います。
〇馬上委員 いいでしょうか。
〇檜山委員 馬上委員、どうぞ。
〇馬上委員 済みません。天野委員にこの間伺ったんですけれども、たしか米国では、小児がんセンターの中に青年センターみたいなものがあるというか、そういった思春期とか、若年性を診るセンターがちょっと分かれてというか、区枠されてあるということなんですけれども、この小児がん拠点病院というのは、思春期とかそういう若年性に関しても入れるということなんでしょうか。
〇檜山委員 勿論最初の1回目のときに、皆さんに小児がんは何を対象にするかというイメージで、小児特有のがん腫で年齢制限は設けないということと、思春期のサルコーマの辺りも入れるんだというお話だったので、私としてはそれをすべてここにいれています。イギリスのようにセンターを小児がんとサルコーマに分けているようなところもあるのですが、そういうことも将来的には考えないといけないのかもしれないですけれども、とりあえず今回議論する対象疾患は最初の第1回のときに先生方にいただいたところを対象疾患にするというふうに考えています。
 原先生、いいですか。
〇原委員長 いろいろ御意見あるとは思うんですね。それで、先ほど堀部委員からありましたように、このヒエラルキーをどうするかということなんですが、実際現実にいろいろ、日本広いですから、数か所といった場合、どういうふうに診療の質を担保していくかという、それについてはまだ2年、3年かけて徐々に整備が進んでいくんだろうというふうに思うんですね。とりあえず来年度に向けて、まず1つつくっていこうと。すぐに患者さんがまたそれで動くというわけでもありませんので、恐らく時間をかけて、いろんな患者の流れだとかいうのが出てくるんだろうと思うんですが、こちらとしてはそんなに時間をかけておられませんが、その地域との連携をどういうふうにやっていくのかとかいうところは、少し今後また議論をしながらつくっていくということになるのかなと思います。
 あとは小児がんセンター、小児がんフォローアップセンターというふうに書いてありますが、我々のイメージしているのは、ここに青い矢印で、モニターとか評価ということが書いてあります。先ほど拠点病院の質の担保をどういうふうにするのかという御意見もありましたけれども、そういったこともこの診療情報を拠点病院から吸い上げて、それについて評価をしていく。指導というとちょっと上から目線にはなりますが、是正だとか、いろんな面で関わっていくと。
 やはり各診療科、各病院が、日本の場合といいますか、診療内容の見える科が行われていないと。わかっているのは転帰だけですよね、生存率だとか。だけれども、実際小児がんの場合、10人中9人治ったからいいですよというものではなくて、治療中のさまざまな副作用の問題だとか、いろんなケアの問題等がありますから、そういうことも含めて情報を収集して、中央のどこかからそれを監視というか、モニターをするという、そういう機能を考えているということを付け加えておきます。
〇檜山委員 堀部委員。その後、森委員。
〇堀部委員 今回、小児がんの医療体制を考える上で、根本的に国の小児医療体制の在り方、特に専門性の高い医療をどのように提供していくかについて方向性を示さない限りは、単に拠点病院を最初につくって段階的に整備するというだけでは、医療現場は混乱するだけではないかと私は危惧します。
 私が日本の小児専門医療で一番問題だと感じているのは、ほとんどの小児病院が自治体主導で、通常の一般の総合診療施設とは別に、個別につくられていることです。とりわけ、小児がん医療は、高額な先進医療機器が必要ですが、小児病院だけでは高い利用率が期待できないため高額医療機器の更新が困難となり、新しい医療技術を小児がん治療に導入しにくくなっています。やはり成人診療科と高額医療機器や先進医療を共有できるような、また、小児がんには成人とオーバーラップした領域のがん腫も多いことから、成人と小児の両方を対象に医療技術を習得した専門医が小児も診るというような連携性の高い医療体制が日本で構築されない限り、真の小児がん専門病院が育っていかないのではないかと思います。
 欧米では、がん領域に限らず、大学病院の敷地内もしくは隣接して小児病院が存在しており、総合診療施設と小児医療専門施設が非常に近接しています。日本では、ほとんどの小児病院が郊外の田園地域に他の医療機関と分離して建てられており、アクセスが良くありません。今後は、日本でも大学病院などの総合診療施設に小児病院が併設されて、総合診療、先進機器や先進医療技術を成人領域と共有できるような医療体制ができて、その中に小児がん拠点病院があるのが望ましい姿であると思います。
 裏返せば、今のままでは小児がん医療を担っている小児病院の多くが、小児がん拠点病院になれないことになり、多くの患者さんを診ている医療現場は、拠点病院になれない現実と目指すべき方向性とのギャップに立ち往生することになります。やはり、早い段階でこの点について行政側で根本的に検討していただいて、その上で最初に中核になる病院を指定するとか、先々こういう拠点病院化をするとかの方針を示していただくことが重要だと思います。その意味でまずは拠点病院を作ればよいという考えでスタートするのは危険であり、国民に小児がん拠点病院の位置づけがわかるように日本の小児がん医療体制のグランドデザインが国の方針として示されるべきと思います。是非そこまでディスカッションを詰めていただきたいと思います。
〇檜山委員 森さん。
〇森委員 どうぞ。
〇馬上委員 済みません。ビジョンということで、私、診療体制のところに書かせていただいたんですけれども、やはり治療成績の向上という目標をまず最初に掲げて、こういう拠点病院なりそういったものをつくって、専門の治療をしていただくという、成人の方ではそういう目標があるので、思春期、小児がんの方にもそういった目標を掲げていただきたいなというふうには思っております。
〇檜山委員 森委員、どうぞ。
〇森委員 行き着くところは今の堀部委員の意見と非常に類似したところにいくのかもしれないんですけれども、この資料3のテーマというのは、確かに私たちのこれまでの議論を反映しているもので、ここが目標になってくると思っています。
 一方で、学会から教育ガイドライン研究体制というのが出ていますけれども、卒前教育、医学部教育というのは必ず問題になってくる。小児科の中で小児がんの位置づけというのは非常に大きな致命的疾患であり、小児科教育でも非常に大きな位置づけを占める。これが拠点化していく、仮に全国数施設にしか患者がいないような状況になってきたときに、医学部の教育をどのようにしていくんだろうかということが問題になります。
 先ほど堀部委員がおっしゃったように、高額医療機器という問題、それからリサーチの問題もあると思います。リサーチの機能、基礎研究室をたくさん持っている大学、そういったところと現実ちょっと今、正確な統計はわかりませんが、私たち、私の施設も含む、実際には患者の大半は小児医療施設にいるような状況、このギャップが存在します。そのギャップを加速させる方向に一時的に向かうことになりますので、まず診療体制ができて、そこに合わせてそういった次のことを動かしていけるのかというところまで見ていかないと、今、堀部委員のおっしゃった成人医療施設との乖離という問題、それから学生の教育機会が失われていく、教育学習機会が減っていくというようなこと、うまく人材交流の体制をつくらないといけない、非常に大きな課題だと思います。
 それから、成育医療センターでも今、大きな課題として考えているのが、先ほど来の話題、その成人医療への引き継ぎという問題であります。実は石田参考人にも先日ちょっと相談をしたんですが、そもそも小児がん経験者をどう対処していくかという、さっきの言い方ですと医学部教育はされていない状態ですし、全く何にもないところから新しい分野、人材をつくっていかなければならないような状況になると思います。
 恐らく過渡的には資料3の中の、緑のところはすべて中枢機能、情報の把握等で持っていくとして、この赤い小児がん拠点病院というのは、当座小児がんの治療、子供のがんの治療をする、それに秀でた施設、そのために強い能力、強い人材、ハードウェアを持つ施設ということと、それからこれから20年、30年してくると、小児がんの経験者、成人している人たちの問題になってきます。そうすると、周産期医療であるとか、それから完全な成人医療が求められることになる。そこが同じでこなせるんだろうかという問題です。
 恐らくその過渡期、人材を体制していくためのそれなりの期間がかかることだと思いますので、場合によってはそのフォローアップ、経験者がもう完全な成人の状態の人をどうやって対応していくかというのは並行して考えていかないと難しいのかなと思います。うまく伝わりますか。
 赤いところ、そもそも子供のがん、小児年齢の子供が入院して治療をするような施設ということと、それから周産期を含む成人医療の診療をやっていかなければならない施設、これを同じところで賄えるのか。特に後者、成人の対応というのは今ほとんど未開の地に近い状況ですので、つくっていかなければならないとすると、場合によっては別の考え方ということも必要になり得るのかなというふうには思っております。
 先ほどの最後に情報ですけれども、がんはがんであって、オンコロジーということでは一緒なんですが、どうしても私たち子供病院にいる立場の者、それから私が成育医療センターの小児がん情報ステーションというウェブをつくる際に、患者さん家族から聞いた話ですと、やはり大人のがんがダーッと並んでいる中で、食道がん、胃がん、肺がん、そこに小児がんと出てくるんですね。やはりそのくくりはどうなんだろうか。がんの中の子供のがんなんですけれども、一方で子供の病気の1つとしてのがんなんですね。
 やはりその成人の、自分が、患者が決定権を持つ場合と、親に連れられてきて、十分な決定権を持たない子供の医療というのは大きく異なる部分がある。
 ですから、がんの中の小児がんという位置づけも非常に大事だと思いますし、そことの連続性、情報の共有も必要だと思いますけれども、子供の病気の中でのがんという位置づけも非常に重要ではないかというふうに思いますし、そこの配慮がないとなかなか患者さんや家族、それからトータルケアという観点で十分なことができないことを心配いたします。
〇檜山委員 牧本委員、どうぞ。
〇牧本委員 森委員の話の中で、私、国立がん研究センターの医師として考えることは多少視点が違うんですけれども、フォローアップと言ったときに、既にもう成人になった患者を小児科医が本当に診ていけるのかという問題が一つあって、常に考えていることなんです。当院はティーンエージャーの患者がかなり多いので、すぐに成人化してしまいます。そうすると、実際には診てはいるものの、成人に特有ないわゆる成人病と言われるものが出てきた場合に、やはり小児科医というのは慣れていないので、いずれ内科医との共同が必要になるのは目に見えているということ。
 一方で、小児科以外でも若年のがん患者のサバイバーを診ている科はいっぱいあるわけです、がんセンターの中には。例えば乳がん、婦人科の卵巣がん等々を初めとして、血液もそうです。ですから、そういう科であればやはり同じ問題を抱えていて、つまりこれは小児がん医療だけではなくて、がん医療全体の問題なので、小児がんだけで考えていくことではないと思っているので、行政的にも成人がん医療の中で、こういう若年のサバイバーの方をどういうふうに医学的に診ていくのか。
 実際20代、30代前半ぐらいの人であれば、例えば10歳でがんになっても20歳でなっても30歳で発症しても、同じ問題を共有できるんではないかと思っていて、だからフォローアップの成人になった後の問題に関しては、私は全がんで共通した問題としてとらえていくべきだと思っていて、ただ例えば2、3歳で発症して、10年経っても12、3歳ですというような段階では、これは小児科の医師が当然必要なわけなので、この小児がん専門委員会の中で検討するこの小児がんフォローアップセンターというのは、主にそのような、すごく若年の患者さんを対象としていくべきなんではないかなとは思っています。こういう意見です。
〇檜山委員 原委員長。
〇原委員長 ちょっと幾つか意見が出されたんですが、まず小児がん拠点病院のイメージなんですが、これは先ほど堀部委員でしたっけ、これは診療拠点病院というイメージだというふうに思います。ですから、専門的かつ質の高い、患者さんに優しい診療を提供する病院と、そういうイメージだろうと思います。
 それから、あとは小児病院の問題が随分出されたんですが、この拠点病院ということに関して言うと、基本的には小児病院であるとか、総合病院という視点ではなくて、必要な機能をすべて満たせば、形態としてはどちらでもいいということに現時点ではなるんだろうというふうに思います。
 堀部委員おっしゃるようにだんだん、私がこういうことを言っていいのかわかりませんが、小児病院の在り方というのも今後は変わっていくんだろうと。例えば都立のように、総合病院と小児病院が併設型になりましたけれども、恐らくそういう形に長い時間をかけて動いていくんではないかなと思うんですが、いずれにしても現時点では小児病院と、それから成人の病院といいますか、総合病院との連携を構築しておくということは、これはもう必須ではないかなというふうに思います。
 それから、あとは牧本委員の方からフォローのお話がありましたが、実は成人がんのフォローアップというのは、今はもうどんどん地域医療機関に戻されていて、それで地域の開業医の診療所レベルまでいってしまっているのが現状だと思うんですね。成人でフォローするということは、言うは易しいんですが、実は成人領域というのは患者さんがあふれ返っていて、とにかく彼らはできるだけ外来患者をどんどん減らしていくという大きな流れの中にあるので、なかなか細かく念入りには診てもらえないという現実があります。
 それから、内科医は内科医で、特に拠点病院のような内科医というのはこれもかなり専門分化が進んでいて、なかなか総合診療ができる部分というのは、実は内科でもない。だから、小児科のこういう小児がんのフォローアップを内科できっちりしようと思うと、成人の例えば総合診療科のようなところにそういう部門をきっちりつくっていかないと、それは難しいんではないかなというふうに思います。これに関しては、次回長期フォローをどういうふうにしていくのかという議論があるかと思いますが、今のは意見として申し上げます。
〇檜山委員 小俣委員。
〇小俣委員 今、原先生がおっしゃったと同じようなことで、次回の長期フォローアップのことになるのかとは思うんですが、小児がん拠点病院に例えば私たちもではそこにずっといればいいのかというと、先ほど最初に申し上げたように、小児がん経験者はだんだん社会生活の方が大きくなってきますので、そこの拠点病院には通えないということも実質出てくるのではないかと思います。仕事の転勤であったりとかというようなことがあれば、そこに通えないというふうな事実も出てくるのかと思うので、実質例えばそのフォローアップセンターで、あるいは小児がん拠点病院がしっかりと、今、原先生がおっしゃられたように、地域医療機関との連携を取ってくださっていれば、安心してそこに通えるということができるのではないでしょうか。今、本当にさまよっています。どこに行けばいいかということで。
〇檜山委員 天野委員、どうぞ。
〇天野委員 先ほど馬上委員から一言あったし、たまたま私も先月アメリカの国務省のプログラムで3週間ほど渡米しておりまして、アメリカの小児がんセンターも含めて医療機関を複数見学させていただいたんですが、そのフォローアップということに関して申し上げますと、私自身が非常に患者の立場としてすごい納得がいったというのが、やはりそのフォローアップセンターというのがあって、そこにではだれが勤務しているかというと、その小児医療にある程度熟達した内科医が勤務してフォローしていると。
 そして、先ほど来からあるように、何かその成人領域の重篤な疾病などが生じる可能性があった場合は、直ちに連携が行われるという体制が構築されていると。そこは非常に患者としては、成人になかなか入っていけないと、成人の病院の中になかなか居場所がないと、さまよっているという患者さん多い中で、1つの居場所があるということですね。安心して診ていただける、いざとなれば診ていただける場所があるということで、そういったのが1つあり得るのかなというのは感じました。
 あと先ほど堀部委員から立地の条件として、小児がんセンターが大変この近くにあると。それはもうまさにおっしゃっていたとおり私もそれはそのとおりと思ったんですが、では日本でどうかというと、先ほど御指摘あったように実際小児は非常に独立してしまっていて、なかなか連携が取りづらいということで、小児医療全体のグランドデザインが必要だという御指摘があったと思います。
 それは結局本当にその医療計画全体の中でどういうふうに見ていくのかということも含めて非常に重要な御指摘とは思うんですが、ただ一方で今回この専門委員会から、ある程度上の協議会に意見を上げなければいけないというときに、グランドデザインを考えるということになると、なかなか時間かかってしまって、自主的な例えばがん拠点病院というものも含めて、そういったものが全くない形で5年間の計画に上がってしまうということになると、ある意味患者の立場としては、極端な言い方をすれば5年分おくれてしまうんではないかという危惧を持っておりますので、ある程度こういった案が今上がってきているというところですので、そこからの拠点病院というものの実際の在り方については、今後議論があるかとは思いますが、拠点病院というものについては、十分これは考慮する余地があるんではないかなと私自身は考えています。
〇檜山委員 ありがとうございます。
 今の貴重な御意見を皆さんからいただいて、少し思うところ、小児がん拠点病院があることに対しては、それほど皆さんの御意見については賛同いただけているかな。ただ、その中でやはり今、成人との連携というのが非常に重要で、思春期の辺りのがんも含めて成人領域との連携も機能もきちっと担保された施設が拠点としてあるべきだということで合意されていると考えます。
 という意味では、堀部委員から言われたように、元来のいわゆる小児病院が単独で拠点となることはかなり難しいところはあるかもしれませんが、その辺りは原委員長からあったように、成人との連携の辺りを模索していただくような形で発展的に拠点病院をつくっていただくというような形で検討していただくのがいいのかなというふうに思っておりますが、その辺りで取りまとめをさせていただきたいと思いますが、特にここで御発言あれば。
 どうぞ、牧本委員。
〇牧本委員 とりあえず国立がん研究センターの職員でありますので、我々がもし拠点病院でフォローアップをしなさいと言われたときに、2,3歳で発症した若年の場合小児のいろんな専門家が診ていかないといけないときには割とつらいというのが事実ですけれども、少なくとも学童以上で発症して、ティーンエージャー、それから成人になっていく患者に関して、最近、嘉山理事長の叱咤で総合内科も開設されましたから、そういうところと相談をして、内分泌や代謝、それから心臓とか腎臓の問題に対して対処していっていただくことは可能ではないかなと考えているんですね。
 だから実際にはでは何歳以上が診られるのかということになると、恐らくは中学生以上とか、そういうふうなところは現行のがんセンターでかなり整備されたところであれば可能ではないかなと思っている。
 ただ、一方で2,3歳で発症して、10年経っても12,3歳という場合にはどうしたらいいのかというのは考えていかないといけない。これががんセンター側の意見です。
 恐らく小児病院側、国立成育医療研究センターはどう考えるかということだろうと思うんですけれども、逆の立場になると思うんですね。かなり若い患者は診られるけれども、成人になった場合に問題が起こるということなので、どういうふうにそれをつくっていくか。今あるリソースを最大限利用しながらいいものをつくっていくという観点に立てば、そういうところをもうちょっと具体的に意見聴取してもいいのかなとは思います。
〇檜山委員 ありがとうございました。
 今、具体的な病院名が出てきたのでちょっと難しいところになってしまったんですが、イメージとしては一番トップにあるべき2つの施設だと私は考えていて、その中でこの緑のところにその施設が配置されるんではないかなというイメージを少し具体的には思っています。
 そういう形で、頭の中では少し整理しているつもりなんですが、その辺で、今、実際に日本の現状が、国立がん研究センターと成育医療研究センターが少し切り分けが行われているような状況なので、あえて2つのセンターをイメージしてしまったというところがあるので、その辺の理解の難しさはあります。機能的には1つでも本当はいいのかなというふうなお話を最初させていただいたんですが、その辺で御理解いただければと思ってはいるんです。
 どうぞ、森委員。
〇森委員 一応、今2施設上がりましたので、成育医療センターにおける長期フォローアップの考え方ですけれども、当施設はいわゆる小児医療に関するあらゆる分野の機能ということと、周産期という特徴を持っております。
 それで、やはり問題になるのは、現在外来にお見えになる患者さんたちの一番最高年齢集団が40歳台ぐらいにはなってきております。この年齢の方々が健康上の問題を生じた場合には、やはりそこで成人施設に特化した問題、高血圧であればその方の地域の高血圧施設に今、紹介申し上げる、そういうような対応が現実であります。
 今、施設内で検討していることは、その施設の特徴として周産期を抱えておりますので、周産期に対する内科医療というのが整備しているんですけれども、それ以外の内科医療というものを入れてきて、先ほど天野委員がおっしゃっていたような、小児医療にある程度コミットした内科医というものを置くことができれば、より成人医療とのハブ機能を強くできるのかなということを今、模索しているところであります。
〇檜山委員 馬上委員、どうぞ。
〇馬上委員 今お話を伺っていますと、今、現段階ではすごくいろいろな特性があるというふうに私自身感じるんですけれども、患者側としてはこの治療の成績の開示、またはその医師とか専門スタッフの経験の開示、そういったもので患者が選択できるという、そういう状況をつくっていただければというふうに思います。
〇檜山委員 ありがとうございました。
 フォローアップについて、まだ十分に皆さんの御意見をいただいていない現状で、こういうディスカッションになってしまっているところは少し問題があるのかなという気がするので、その件に関しては少し問題を先送りということにさせていただいて、小児がん拠点病院というものを一応整備するということでまとめさせていただくことにします。
 現場としては、今、馬上委員から言いましたように、一応診療について拠点という形でまず置いて、フォローアップについてはまた次回以降に先生方の御意見をいただきながら、少しどういうふうにあるべきかという御意見出しをしていただくということでいいんではないかなと思いますが、その辺りでまとめさせていただきたいと思うんです。
 あと、数の問題ちょっと残っているんですけれども、数か所よりは少し多いというふうに、多い方がいいんではないかという堀部先生の御意見があったんですが、これについて御意見もしあれば、簡単にいただければと思うんです。
○天野委員 質問あるんですけれども、それは堀部委員がおっしゃっていた7から10か所という意味ですか、それは。
〇檜山委員 そうですね。
〇原委員長 数の議論は、ちょっと鶏と卵みたいなところがありますので、ここではちょっと難しいんではないでしょうか。7から10あるいはそれを20から30にするとか、5から10にするとか、そういうことではないですよね。
〇檜山委員 大体の先生方のイメージというか、御意見をいただいておけば、ここに数か所と書いてしまうと、堀部委員のように少し少ないんではないかという御意見が当然出てくるんではないかと思うんです。
〇堀部委員 その中核になるセンターを一、二か所ならよいと思いますが、数か所は解釈が難しくなるので私は非常に抵抗があります。
 そして、拠点化して集約していく時に、既存の施設を指定して自主努力で整備させるのは、とりわけ人材確保の点で非常に難しいと思います。有能な人材の再配置まで考えて再編しないと、実際にはなかなか集約化ができないと思います。そこまで含めるには、まだまだ議論が必要だと思いますので、少し記載の工夫をしていただければと思います。
〇檜山委員 わかりました。
〇馬上委員 先ほどから何度も言っているようですけれども、患者側としてはその質の担保が目に見える形でわかるというのが重要ですので、それをよろしくお願いいたします。
〇檜山委員 どうぞ。
〇天野委員 これはもし拠点病院というものが仮にできたとしたら、がん診療連携拠点病院、既存のみたいにその一定の補助金が何かおりるという理解でよろしいんでしょうか。
〇檜山委員 そういう形である程度、従来のがん診療連携拠点病院と同じような形で整備をしていただくことでお願いしたいというふうには考えています。
 では、そういう形で数については今回まだきちっと詰めるべき時期ではないということなんで、少し書き方を工夫したいというふうに考えますので、その辺りも含めて一応取りまとめを私に一任させていただければと思いますが、よろしいでしょうか。
                (「異議なし」と声あり)
〇檜山委員 それでは、取りまとめができましたら、次回に一応御報告させていただくということで御了解いただいたと考えております。
 それでは、続きまして本日の協議事項の「2 小児がんの患者支援、長期フォローアップ等の参考人意見聴取等」でございますが、本日参加いただいております石田参考人、梶山参考人と天野委員、小俣委員、馬上委員からも「小児がん 新たなリスク」について紹介したいという申し出がございましたので、順次御説明をお願いいたします。
 なお、説明は10分以内として、各説明終了後に質問を受け付けますのでよろしくお願いいたします。
 初めに、「小児がん長期フォローアップ等について」、聖路加病院小児科医長の石田参考人より御説明をお願いいたします。
 石田先生、よろしくお願いします。
〇石田参考人 今日は貴重な機会を与えていただきましてありがとうございます。なるべく早く済ませます。
 これは岡村先生がつくられたスライドを引用していますけれども、アメリカではもう30万人を超える小児がん経験者がいるというふうに言われていて、1万人に1人の発症率と言われる小児がんでも、今、成人において、もう今では250人に1人ということです。日本でも計算すると700人に1人という形になりますので、大きな高校であれば1人ぐらいは小児がんの経験がある方がおられるということで、疾患自体としてはまれですけれども、そういう頻度になってきています。
 アメリカとかイギリスのような研究では、こういう5年以上生存して、もうほぼ治ったと思われるような患者さんの中にも慢性のいろんな病気がある。あるいは晩期の死亡率が高いということです。こういうふうに診断5年の時点では20〜30%にすぎない合併症が徐々に増えていき、20年、30年後には半分以上の方に見られるということがわかっています。また2次がんの発症とか、高齢者のがんが若年のときに発症する等いろんな問題がわかっています。それ以外に保険加入の問題とか、心理的な問題もいろいろあるということが、アメリカの研究などでわかってきました。
 それで、そういう背景があって、小児がん経験者も成人期を迎えて、しかし元の病院から離れて進学、就職するようになってきている。ただ、約半数ぐらいが何らかの合併症を持っておられたりするということがわかってきていますし、さまざまな心理、社会的な問題を抱えている人が少なくないということがあります。また病名告知が一般的となり、本人が病名を知っているということも背景にして、長期的に支援していく新たな医療システムが必要になってきたということで、今回専門委員でおられる堀部先生が代表をされているJPLSGという、小児白血病研究グループの中に長期フォローアップ委員会というのができました。
そこで、なぜ小児で長期フォローアップが必要かということに関しては、こういう発育盛り、成長盛りの子供に対して、病気を治すためとはいえ、毒性のある治療をしたということ。
 もう一つはやはり人生の大きなイベントであるこういう就労とか、結婚とか、出産だとか、未知の体験であって、大人の方ががんになって、また社会復帰するのとは違う大きな問題があるということになります。いろんな状況の目的がありますけれども、晩期合併症などを早期に発見して、早目に治療をして大事に至らないようにする以外に、先ほど小俣委員も言われましたけれども、いろんな社会的あるいは生活上の問題がありますので、それに対する相談役というところもフォローの目的の1つになりますし、やはり合併症が重篤にならないうちに、きちっと社会復帰できるような形で医学的な支援ができることは、医療経済的にもかなり大きなメリットがあるのではないかというふうに考えています。
 今日お話ししたい4つの提案としては、まずコホート研究として、医学的エビデンスの非常に高いと思われる、後でちょっとお話ししますけれども、CCSSのようなコホート研究をきちっとやっていって、日本でもきちんとしたエビデンスのある研究を推進してほしいということと、先ほど来話にあった長期フォローアップセンターという、これはやはり班研究などで一時的に行うものではなくて、事業として継続してもらうような形で、なおかつフォローアップロス、途中で医療機関と連絡が途絶えたような方にとっても、このセンターに相談すれば何らかのところとちゃんと連絡を取ってくださるというようなセンターを目指したいと思っていますし、あと社会保障とか、小児慢性特定疾患の見直しを是非とも厚労省の方にはしていっていただきたいと。特に今、治療終了後5年で小児慢性特定疾患の対象疾患ではなくなるという形になっていますけれども、長期フォローにおいては非常にいろんな問題がその後にもありますので、フォローアップ費用の保障をしていただいて、財政的な経済的な心配をしなくても、きちっとフォローアップができるような体制を是非とも考えていただきたいと考えています。
 最後に、成人医療の連携としての成育医療センターには、是非とも大きな役割を果たしていただきたいという期待を込めて、以上4つのことを提案したいと思います。
 CCSSコホートというのは、北米でやられているコホート研究なんですけれども、これは1970年から1986年に始まった研究で、最初の5年間はこのコホートをつくるだけで費やされたということです。本来は1994年に始まったんですけれども、初めてのフォローアップのスタディがあったのが2000年です。だから、この五、六年は何の業績もなく、何のデータも出なかったんですが、このロビンソン先生という先生が始められた研究がやっと5年後から本格的に始まって、それが二、三年ごとにこういうふうにフォローアップがやられて、今では非常に大きな業績を上げています。次はNIHの支援もあって、1987年から1999年の症例にもコホートを拡大するような方向になっています。実際、2万人のコホート研究で、70%以上の人がフォロー済みとされているという、非常に質の高い研究でして、実際に2001年以降、142以上の論文が出ていまして、非常にインパクトファクターの高い雑誌に論文が出ていますので、エビデンスレベルの非常に高い研究であります。小児がん治療終了後の問題というのは、もうほとんどこの北米のCCSSからいろんな問題がわかってきたということで、重要なエビデンスを提供し続けていますので、日本ではどうかと言われると、こういう研究が全然ないということから、是非ともこういうコホート研究ができるバックグラウンドをつくってほしいというふうに考えています。
 そういう意味では、レトロスペクティブな北米のCCSSのような、過去に治療が終了している方を中心に病院ベースでやる研究と、今後治療が終了する方たちをきちんと登録して、治療終了後にいろんな問題が把握できるというか、フォローできるようなレトロスペクティブあるいはプロスペクティブなコホートを是非とも日本でも実現してほしいというふうに思っています。
 実際北米のCCSSの研究を始められたロビンソン先生から今年の1月ぐらいにメールがあって、日本でも同じような研究が始まるかという話があったんですけれども、やはり3年間でデータや成績を出さないと研究費としては認められないので、準備に5年間もかかるような研究は、厚労省などの公的な資金での班研究としてはなかなか実現できないということをお答えしました。
 やはりこういうコホート研究によって晩期合併症の発症率やリスク因子を疫学的にきちんと解明すると同時に、今後80%を超えるような治療成績になっている小児がんというのは、やはり治癒の質が問われるようになってきますので、治癒の質を問うには治療終了直後の質だけではなくて、5年後、10年後あるいは成人してからの質というのがちゃんとフィードバックできるという意味ではこういうコホート研究がなかったら、今後の治療の進歩はないのではないかというふうに考えています。
 これは前書いていたフォローアップのプログラムの案ですけれども、長期フォローアップに関してインフォームドコンセントを取って、長期フォローアップセンターの方にいろんな情報を集積しながら、拠点病院と連携してフォローしていく。それで、必要であればやはり、あるいは医療機関と関係が薄れてきているような方は、この長期フォローアップセンターに相談すれば適切なところを紹介していただけるというような形を取っていただきたいなと思っています。
 それには長期フォローアップセンターの役割としては、こういう情報の管理以外に治療の内容のサマリーをつくったり、フォローアップ計画の作成とかを治療を担当した医師たちに提供するとか、あるいはフォローアップデータの更新をするとか、あるいはいろんな情報交換をするという役割以外に、先ほど小俣委員も言われた小児がん経験者とか家族への情報提供と同時に、やはり直接問い合わせの相談を受けて、適切な施設を紹介したり、身体的な問題だけではなくて、生活とか、社会心理的な問題にも相談に乗れる場所を、センターが全部する必要はないですけれども、適切なところを紹介できるような形のことをしていけたらということを望んでいます。
 森委員が言われたようにやはり今後はそういう長期フォローアップを担う医療者を養成していかないといけないと思います。未知の分野ですので、やはりそういうところとしてもセンターは働くべきではないかということを考えています。
 先ほど来問題になった成人診療科の情報提供とか、相互のコミュニケーションをしながら、成人診療科というのは小児がんのことをほとんど知りませんので、なかなか踏み出せないというところもあるので、常に情報交換をしながら、成人診療科と大人になった小児がん経験者を診ていく体制をつくっていけたらというふうに思っております。
 現在小児がんの診療というのは、臨床研究、JPLSGを初めとするいろんな各種の臨床研究グループがあって、小児がん登録と治療機関という形で行われています。治療の研究プロトコ−ルが終了したらこれで終わりということに今なっていますけれども、治療が終了した後は長期フォローアップセンターにその情報を、経験者なり御家族の了解を得て蓄積しながら、拠点病院と連絡を取り合って、経験者が他の医療機関に大人になってかかったりしたときに、自分の情報が入手できるように、ここには、今通産省が主体となってやっておられる「どこでもMy病院」というのがまさにこのことをやっておられますので、こういう形で「どこでもMy病院」構想が実証されると実現できるのではないかというふうに考えております。
 これは、がんの子供を守る会の方々に、セミナーをした後に、今後どんなことを小児がん経験者に対しての研究としてして欲しいかというお話をしたところ、成人、大人になってからの問題というのは非常に大きくて、やはり親の立場から言うと、子供たちが治った後どうなるんだろう、ひとり立ちできるのだろうかというところが非常に心配のもとであるということがこれでわかると思います。あと小児慢性特定疾患とか保険の問題、社会保障の問題も当然あります。
 ということでは自立支援、小児がん経験者が社会人として自立して、長期的な自己実現を目指すときにやはり就労というのは非常に重要な役割を果たすと思いますので、こちらに対してはやはりできるだけ保障できるように、あるいはがんという病気を乗り越えた小児がん経験者が前向きな強い意思を持つという可能性もありますので、貴重な人材であり、これを活用するというために、現状では保険加入の問題も、そういうことを相談する窓口も非常に少ないということで、この就労の支援というのは非常に今後重要ではないかというふうに考えています。
 その辺に関しては、獨協大学の高橋先生のグループが、今厚労省の研究斑で成人がんの就労の問題を扱っておられます。そことも共同していますけれども、米国では障害者法、ADA法というのがあって、実際にがんもその中に含まれているということなんですけれども、がん患者さんはADA法で保護されていて、合理的な配慮(リーズナブル・アコモデーション)によって一時守られて、ちゃんと元に戻れるようなシステムがかなり整備されているということです。日本でもやはり今後ADAに準じる何らかの法律があって、現在の障害者とか、難病の方々と競合することなく、就労が支援できるような、がん患者さんもカバーできるような方向にしていただけないかなというふうに思っています。 
 がんに罹患して治療を受けるということは、一過性にディスエイブルの状態になりますけれども、適切な支援があったらもう一回エイブルの状態に戻って、社会的、経済的な役割がまた再びこの小児がん経験者も含めたがん経験者が果たせるのではないかというふうに思います。
 最後に、成育医療に関しては、先ほど来森先生言われていたように、小児がんは小児期に治療されていますけれども、その治癒率が非常に高まってきているために、思春期になり、成人になりというところまで、今、到達する方が非常に増えています。そこの領域ではやはり成人医療からの支援も当然必要ですし、母性とか、こういうふうな不妊の問題、こういうところはやはり今後大きな問題になります。
 それで、成育医療センターができた背景には、このライフスタイルをきちっとカバーするという、思春期を経て、次世代を育成する成人期へと至るライフスタイルの健康問題を包括的にとらえていこうというのが目的で成育医療センターができているはずです。このスライドの言葉は全部成育医療センターのホームページから抜き出していますんで、やはり長期フォローアップという言葉自体はありませんけれども、小児がんを含めて小児期に病気になった子供たちの長期フォローというのは、成育医療研究センターの使命ではないかと思います。今後やはり成育医療センター、小児期の小さいころに病気になった子供たちは、がんも含めて循環器もてんかんも含めて、やはり成人まできちっとフォローができるような体制を是非とも、成育医療センターが中心的な役割を担っていただきたいというふうに思っています。
 ということで、まとめますと医学的エビデンスの非常に高いレベルの情報が蓄積できるコホート研究を推進していただきたい。センターを設立していただきたいということ。社会保障と小児慢性特定疾患の見直しを是非とも厚労省の方にはしていただいて、社会的な自立支援、法制化なども考えていただきたいということ。成人医療との連携に関しては、成育医療センター、研究センターに是非とも中心的な役割を果たしていただきたいというふうに考えています。
〇檜山委員 石田参考人、ありがとうございました。
 では、質疑に移りたいと思いますが、御質問ありますか。御質問ありましたらお願いします。
 馬上委員、どうぞ。
〇馬上委員 石田先生、ありがとうございました。
 今、長期フォローアップセンターの役割ということでいろいろ教えていただいたんですけれども、実際小児がん登録とか、またはその追跡調査というのは今どれくらい進んでいるんですか。
〇石田参考人 がん登録に関しては、多分、堀部先生なんかの方が詳しいと思いますけれども、血液症に関しては7割以上は把握できるような状態になっていますし、固形がんに関しても徐々に整備はされてきていると思いますけれども、まだまだ登録に関しては、日本は欧米各国に比べたらかなりおくれている状態だと思います。
〇馬上委員 欧米はそういう追跡調査とかはどれくらいのパーセンテージでされているんですか。
〇石田参考人 私の知っている範囲でいうと、ドイツはもう98%ずっと把握しているということを言われていますし、イギリスもほぼ100%、1960年ぐらいに小児がん登録できていますので、それ以降サバイバーも含めてほぼ100%、イギリスは把握しているといっています。ただ、アメリカはそこまで把握はされていないと思います。先ほど言ったCCSSというのは、病院ベースの26の病院が集まったコホートですので、全米を把握しているわけではありません。
〇檜山委員 ほかにございますでしょうか。
先生、長期フォローアップのいわゆるガイドラインというのがCOGとかでは非常に詳しく疾患別に出ているんですが、日本では患者さんとか家族では、やはり治療を受けた後にどういうフォローアップが自分に必要なのかという情報が非常に少ないという声があるんですが、その辺り先生の御意見というか、御見識を教えていただければと思います。
〇石田参考人 確かにCOGのガイドラインというのは300ページぐらいにわたってのガイドラインで、どんな治療を受けたらどんなフォローをするというの、細かく治療法別にすべて分かれている。現実にはやはりアメリカといえどもそれを使いこなせていないということもあって、今アメリカの方ではそれを自動的にコンピュータ、どういう治療をやったらどういうフォローが必要かというのが打ち出されるコンピュータプログラムがもうつくられて、数か所の病院では使用されているということですけれども、現実にはガイドラインとしては参考にはなるんだけれども、実際に使うには余りにも情報が膨大で難しいということは聞いています。
 日本でも実際に今、長期フォローアップ委員会の方で、日本の保険診療を踏まえた上でのガイドラインというのを今つくっていまして、ほぼ8割方できていますので、この夏ぐらいには大体一度パブリックコメントを求めるような形でJPLSGに提示したいというふうに思っているところです。
〇檜山委員 馬上委員、どうぞ。
〇馬上委員 いいですか。まさしくそこのところを伺いたかったんですけれども、小児脳腫瘍というのはやはり子どもの脳に非常に強い治療をするので、たくさんの晩期合併症が同時に出てきますので、お母さんたちも高次脳機能障害とか、非常に微妙なところがわからなくて、どうやって対処したらいいのかわからないということなんですね。いつも非常に苦労されていて、学校に説明するにも何も文献もありませんし、お母さんが訴えるだけでは先生方も信憑性がないというふうに取るらしくて、それであつれきが生まれたりとか、子どももやはり不登校になってしまうとか、そういったことがありますので、是非そういう研究を進めていっていただきたいと思います。
〇檜山委員 小俣委員、どうぞ。
〇小俣委員 せっかく冊子として追加資料で先生が取り上げてくださいましたので、小児がん経験者にとっての言葉というのはすごく大切で、自分のこととしてとらえて人に説明するときに大切なんで、この先生のお書きになったの、概要を少し教えていただけたらと思うんです。
〇石田参考人 済みません。今日ちょっと時間ないと思って、話す予定ではなかったんですけれども、追加資料として小児科学会誌に提出した「Erice宣言と言葉の重要性」というようなことで書いている論文がありまして、ちょっと本日お持ちしました。
 Erice宣言というのは、EUというかヨーロッパの方が中心になって、小児がんのサバイバーシップについて今後どう取り組むべきかというのをコンセンサスとして出されたものです。それをやはり世界的にも広く啓発したいということがあって、日本語版を是非ともつくって、日本の小児科医あるいは小児外科医あるいは小児がんを治療するすべての方に知ってもらいたいという目的で今回その論文の総説を書きました。
 それと同時に、やはり非常にこういう経験者のフォローアップの問題とか、いろんなことをやっていく過程で、言葉の問題に非常に深くやはり関わってきて、例えば晩期障害という言葉をlate effectsに対して当てて、ずっと30年来晩期障害として我々医療者のところでは言ってきたんですが、晩期障害と言われると、その言葉だけで実際に経験者も御家族の方もそんな障害、あるいは晩期というイメージからいうとすごく死にそうな感じの、もう人生の晩期というような感じのイメージを描くような言葉に対して恐ろしい、もう近寄りたくない、知りたくないというような言葉、そのイメージだけでなってしまうということで、やはり言葉が余りにも変な形で使われると、実際に患者さんにとっては、あるいは家族にとっては有用な情報も、もうちゃんと行き届かないということで、もう一度言葉を見直していったらいいんではないかということも含めて、今回の論文を紹介させていただきました。
 実際にはErice宣言の一つひとつ、10項目を読んでいただいたらいいんですけれども、EUではそれを目標にして今後小児がんのサバイバーシップをヨーロッパ全体で考えていくという体制を目指すそうです。
〇檜山委員 ありがとうございます。ほかにございますか。それで最後に1点だけ教えていただきたい。先生の長期フォローアッププログラム案というスライドを見せていただいて、最終的にサバイバーがフォローしていただく病院というのは、やはり成人診療施設というふうに考えた方がいいのか、それとも現有では他の小児病院の先生方が、今の成育医療センターでも40歳ぐらいの方が来られているという、その辺どういうふうな形が理想的だというふうに先生はお考えですか。
〇石田参考人 最終的にはやはりある程度ケース・バイ・ケースだとは思うんですけれども、恐らく今、私自身が個人的に考えているのは、小児科医と成人診療科医と両方が共同して、1人の人を両方で診ていくという形、シェアード・ケアみたいな形ではないと、どっちか一方に任せ切るというのは無理ではないかと考えています。
 当然我々は先ほど牧本先生も言われたように、大人の生活習慣病はわかりませんから、我々がずっと診ることによって、不十分な医療になってしまうと思いますし、成人診療科にすべて任せてしまったら、成人診療科でいろんなことで困ったときに相談するところがない。やはりずっと関係は持ち続けるということがいいんではないかなというふうに考えています。
〇檜山委員 ありがとうございました。
 ほかにございますか。
 なければ、どうも先生ありがとうございました。
 では、次に梶山参考人の御意見を拝聴したいと思います。
〇梶山参考人 現在は神奈川県立こども医療センターでボランティアコーディネーターという仕事をしておりますが、看護師で臨床の小児看護と看護教育をずっと経験してまいりました。
 今日は小児がんの子供たちの療養環境について参考意見を述べるようにという御指示で、こちらに出席させていただいております。
 まとめると2点ぐらいになると思うんですけれども、1つ目は成人の、もうずっとお話がこちらで出ていると思いますが、がん対策の推進ということで、基本法ができてから、大人のがんの患者さんのケアはとても充実してきているということを、身の回りのがんになられた方々から、病院に行ったらこういうことだったということで、幾つもの経験談を聞いております。
 勿論治療ということもあると思いますが、それ以外のさまざまなサポート、心理的な側面もそうですし、それから普通に日常生活をしながら、外来で治療が受けられるとか、いろいろなことをお聞きして、是非私はこれから子供のがんがこうなってもらいたいなと思うことは、大人のがんのがん対策基本法でなされていることを、みんな子供に適用していただきたいということが1つです。
うまくそのまま適用されるかどうかはいろんな工夫が必要だとは思いますけれども、そして特に子供の場合には成長発達ということへの配慮がとても大きいと思いますし、それから家族への支援ということがとても大きな課題になってくると思っております。
 そして、子供の療養環境ということを考えたときに、それは決して病院の中だけではなく、入院にしても通院にしても、子供たちが治療をしていくプロセスの中では、家庭、地域、学校、子供の生活の場すべては療養環境になってくるんだと思います。
 そういう中で、包括的なケアが英国でシームレス・ケアとか、シェアード・ケアというふうに言われていますが、切れ目なくいいケアが包括的に行われていくということがとても必要なことだと思います。
 今、石田先生の方からフォローアップセンターというお話がありましたし、それからずっとこちらで拠点病院というお話があって、例えばフォローアップのパーセンテージがどのくらいかというようなお話も出ておりますが、外国でとても高いデータの集積、登録、それからフォローアップのデータがあるということは、そういう切れ目のない、とてもいいケアが行われて、そういう結果になるのではないかと思うので、子供たち、それから10代でもそうですし、御家族でもそうですが、あそこに行きたいと思うような拠点病院やフォローアップセンターにならなければ、そこに行く人たちは多くならないし、データも集積されないのではないかと思いますので、是非包括的なケアが切れ目なくシームレスにシェアードで行われるような、そういう制度に是非持っていっていただきたいと思っております。
 もう一つは、教育と遊びの充実ということですが、これはもういろいろなところで十分に出ていると思いますが、私の資料の中で「神奈川県立こども医療センターオレンジクラブ ボランティアニュース」というものを資料にさせていただきました。これはこども医療センターの中に、神奈川県立横浜南養護学校という特別支援学校が併設されておりまして、ベッド数が419の病院ですが、大人が30、母性の病棟がありますが、そのほかの390ぐらいの子供の中で、100人がこの養護学校で勉強しております。
 ボランティア研修会というのをしますときに、いろんな方に講演をしていただくんですが、ボランティアの方たちにも、養護学校の教育について理解をしていただきたいと思って、教育相談コーディネーターという方に講演をしていただいたその記録です。
 学校教育というのが子供たちにとってどんなに大切かということを、私はこの養護学校の日常の活動を見ていてとても思いますが、学校教育というのは決して学力の維持向上のためだけではないと思います。学校行事だとか、学級活動だとか、いろいろなものを通して子供たちが成長していく。
 ここをちょっと読んでいただきますと、「子供は学ぶ存在である」という理念から始まって、病弱の教育については自分をつくるとか、病気をくぐる、世界に関わるというような、こういう理念で学校教育をしている。
 ですので、是非この教育というものを、治療中に子供たちが本当に十分に受けられるような、そしてまた医教連携ということもとても大切で、勿論復学の問題ですとか、それから入退院のときの学籍の異動というような問題ですとか、いろいろなことに学校と病院が協力をしてやっていけるような、そういうものができるといいと思っております。
 そして、「提言」というところに書かせていただいたんですが、学習環境の整備ということでは、勿論学習にふさわしい場所、それから病弱教育を専門にする教師の配置、いろんな学校行事に参加できるような工夫、それからもう一つは、これは学校教育とは離れるのかもしれないんですけれども、健康教育部門の充実ということで、看護では子供たちの意思決定へのサポートとか、それから主体性確立へのサポートとか、小児看護の中でそういうことを一生懸命考えております。子供たちが自ら治療に向けて積極的になっていけるような支援を看護はしたいと考えています。それがないときっとフォローアップセンターにも来られないのではないかとも思いますので、そういう健康教育部門というようなところが充実されるといいということがあります。
 遊びの環境の整備ということでは、勿論遊びにふさわしい場所、プレイルームですとかいろいろな場所、それからチャイルド・ライフ・スペシャリストとか、保育士の適正な配置、それからそういう面に対する予算化というのも必要になってくると思います。
 大学病院での看護の経験もあり、また今の子供病院での経験もあるんですが、とても10代の患者のための設備が貧しいと思います。そういうことについての十分な設備ですとか、それから人の配置などをこれから重視していかなければいけないと思っております。
 それから、今、自分がしておりますボランティア活動の推進ということなんですが、各医療機関でボランティア室を整備するとか、専任のボランティアコーディネーターを置くとか、そういったようなことをして、是非ボランティア活動を積極的に推進していただきたいということもありまして、資料の最後のところに「オレンジクラブ9月の予定」が書いております。これは昨年のものだったものですから、9月の予定になっておりますが、いろいろな活動をボランティアでしております。それから、外部からいろんな活動のために来てくださる。
 勿論ボランティアですべてできるとは思っておりません。とても不足しているものが今の小児医療の中にたくさんあります。そこをまずは充実させていくこと。その合間を縫って少しボランティアが色彩を添えるというか、そういうふうに考えております。
 外部からのボランティア活動の受け入れとか、それから同胞支援を制度化していただきたい。これはボランティアでも兄弟預かりとかいろいろやっておりますが、病気の子供の兄弟というのはとても大きな課題をいろいろ抱えている。この問題はもう一つは、大人のがんの患者さんのお子さんたちという問題も今、課題になっていると思いますが、病気ではない子供たちへの支援ということをこれから是非充実させていただきたいということがあります。
 それに加えて看護師の適正な配置、現在5対1看護というのがもう実現しております。制度的には7対1でいいということになっていますが、実際には5対1。ただ、それが診療報酬に反映されていない、それが義務化されていないということが1つの問題だと思います。
 それから、がん、小児専門看護師とかがん化学療法、がん性疼痛緩和、緩和ケア等の認定看護師、そういう方たちを配置するなどのことです。
 これから外来治療が進んでいくと思いますが、そういう環境の整備というようなことも、とても大切なことではないかと考えております。
 以上でございます。
〇檜山委員 ありがとうございました。
 ただいまの御説明に対しまして、質問等がございましたらお願いいたします。
 馬上委員、どうぞ。
〇馬上委員 梶山先生、ありがとうございました。
 とてもためになりました。同胞の支援ということなんですけれども、非常に小児がんの患者家族から多く声が聞かれておりまして、昨今の核家族化に伴いまして、病気の子の付き添いにかかり切りになってしまって、何時間も病院の中の待合室できょうだいが待っている状態とか、そして家族、親族にも頼めないで、ベビーシッター代を出さなくてはならないけれども、その経費がかさんでしまって、経済的に非常に困難な状態になってしまうとか、いろいろ問題があるので、是非そういう同胞の支援というのを、その拠点病院なり、こういう病院でやっていただくというのは大事なことだと思っております。それはこども医療センターでは実施されていますか。
〇梶山参考人 それはボランティアでしかできていないんです。それで、このオレンジクラブというボランティアグルーブで毎週水曜日だけ兄弟のお預かりという活動を、保育士がボランティアになっていまして、そういう人たちがやって、あと土日に神奈川県立保健福祉大学の学生のボランティアサークルが、2時間ずつですけれども、兄弟お預かりという活動をしています。
 それで、病棟には保育士が20名入っておりまして、病棟では保育活動をしているんですが、外来に1人置いてくださるといいと、とにかく病院当局に言いますと、場所がないというのが最大の問題なんです。もし場所があれば、もっとボランティアを募集して、かなりボランティア活動も充実させられるかなと思うんですが、家族待合という場所でやっているので、御家族の場所を取ってしまえないので、週1回だけということもありますし、これはもう少し拠点病院の中できちんと予算化、制度化して、兄弟の支援ができるような、それをボランティアがサポートするという形になれば理想的だと思っております。
〇馬上委員 ありがとうございました。
〇檜山委員 牧本委員、どうぞ。
〇牧本委員 ありがとうございました。
 当院でも都立の墨東特別支援学校が入って分教室があり、当院はがん専門病院ということで、がんの患者だけがそこに通うことになるんですけれども、ここの南養護学校ですか、いろんな病気の方々がそれなりに考えられてクラス分けをされているので、そういう中で先生方は御苦労されてやっていると思うんです。
 そういう中で先ほどおっしゃっていた健康教育というか、病気のことなどに触れないといけないときに、何かいろんなやりにくさとか問題がないかどうか、我々はわからないものですから教えていただきたいのが1点。
 もう一つは、後半におっしゃられた外来治療をしていると、入院と外来を行ったり来たりするというふうな患者さんも増えてくると思うんですが、今後この学校がそういうふうな外来の患者さんに対して開放され得るのかどうかと。もっと言えば周辺地域の病院に対しても開放されるのかどうかという、そういうビジョンがおありかどうかということについて、2点お願いします。
〇梶山参考人 済みません。私は養護学校の職員でないので、詳しいことはわかりませんけれども、現在の養護学校における特別支援教育は、学籍を移さないと学習ができないということに、とても大きな問題ですけれどもなっておりまして、ただし期間については、どんなに短い期間でも、希望すれば学籍を移して教育を受けられるようになっています。
 そして、学校教育はあくまでも学校教育で、普通のカリキュラムに沿った教育、それから学校行事、運動会、遠足、修学旅行、そういうような学校行事、そしてあとは医教連携ということでは、学校開放日というのがありまして、そこに医療者も行って授業を見学したり、それから個別の子供たちの疾患については、個別に主治医と担当教員とが話し合ったりする、そういう機会もありますし、それからドクター・ナースのグループと学校教員のグループが話し合うというような機会も持っています。
 それから、学校が開放されるかという問題ですが、現在のところこの養護学校は院内の入院している100名の子供たちだけの教育ということで、ほかに、周辺にたくさんの養護学校がありまして、それぞれ地域の人たちはそれぞれの学校に行っている。それから、病気についての説明ということになりますと、ちょっとそこは学校では余りタッチしていないんではないかと思います。ただ、復学をしたりして、そちらの原籍校に病気についての説明をしなければいけないということになりますと、看護師の中で復学支援という担当をしている看護師がいましたり、それで必要があればドクター・ナースが、学校の方に対して説明をする、学校の教師に来ていただいたり、それからそちらに行ったりというふうなことをしております。
〇牧本委員 私の質問にはもう十分お答えいただいています。
 小児がん専門委員会で議論をすべきかどうかは、委員長にお任せするとしても、私たちが自分の病院の分教室で常に抱えている問題点が先ほどの質問の中にあるんですけれども、1つは小児がんの拠点施設をつくったときに、そこは必ず小児がんの患者のための学校のようなものが併設になるわけです。周辺施設も勿論がんのフォローアップをしたり、いろんなことでそういう患者さんを抱えることになると思われるんです。
 外来患者さんが多くなってくるだろうと予想される中で、1つは院内学級という形を取っていると、院外から菌を持ち込む市中感染の問題とかがあって、やはり院内のためだけにやるのが院内感染対策上はいいんですけれども、同時にやはり外来患者も受け入れないといけなくなってくるだろうと思われるので、そのような疑問を今思ったわけです。
〇梶山参考人 そうですか。外来患者さんについては、地元の、自分の学校に行っているんだと思うんです。そして、いつだったか患者満足度調査というのをしたときに、子供の方から「治療を受けるために夜外来を開いてほしい」という希望が出ました。だから、きっと学校を休んで治療を受けに来なければいけない、それが子供たちにとってすごく残念なことで、そしてなんで休むかという説明をするのも大変なんだと子供たちは言いますから、何かそういう通院治療をするときの対策も一緒に考えていただけたらと思うんです。
〇牧本委員 そのとおりだと思います。ちょっとイメージが違うと思うんですが、私が申し上げている外来治療というのは、すごく初期の、強い化学療法自体でも外来に出していくようになっていくだろうと思われるんです。これはアメリカでやっていることなんですが。
〇梶山参考人 病棟から外来へ。
〇牧本委員 つまり病棟で、今例えば1年入院して治療をしています。その間に、短期の外泊とか退院があるというのではなくて、強いフェーズも外来で治療していく際には、当然そのような方というのは、いわゆる先ほど石田先生が言われたディスエイブルドに入ってくると思われるので、学校教育をしっかり行っていくためには、通常の学校では無理ではないか。つまり特別支援学校のような体制でないといけない。しかも、病院が併設されているべきではないかという観点が今感じているところなので、議論していくべきかなと思い、提案させていただきました。
〇梶山参考人 済みません、もう一点。現実には、小児がんの子供たちは、入院治療中には養護学校の教室にはほとんど行けません。病態が余りよくなかったり、それから白血球が少なかったりということで、病棟にある学習室に先生が出張授業に来て授業をして、そこの学習室にも行けない子供には、ベッドサイド教育というふうな形になっています。
〇檜山委員 どうぞ。
〇原委員長 今、牧本委員からの院内学級というか、闘病中の教育の問題という今後議論があるんだと思うんですが、現状ということから言いますと、例えば外来通院中の子供さんたちというと、やはり毎日病院へ来るわけではないので、基本的には家から出れない人たちはやはり訪問教育を充実させていくという方向になっていくのかなとは思います。
 それから、あとは今、院内学級の設置率がむしろ減っていっているんですね。というのは、市中の病院の、子供の入院患者が今どんどん減っていっているので、要するに訪問教育で十分だという格好に今なっていっていますね。
 ですから、入院中の子供たちに養護学校から訪問で教育をすると。院内に教室を構える意味がもうなくなってきているという、そういう状況ですね。ですから、拠点病院のように長期入院する子供たちがたくさんいる施設でのみ、今後は院内学級と、院内学校といいますか、養護学校の分教室というのが設置可能なんではないかなというふうには思います。
 だから、今後はそういう院内学級の設置をどういうふうに制度づけていくのかとか、参照地をどうするのかというような議論があるのかもしれません。
〇檜山委員 はい。
〇牧本委員 ちょっとだけ、反論みたいになってしまうんですけれども、それでも一応幾つかの病院には分教室が置かれていて、それが先生おっしゃるような状態になってきているのが事実なんですね。我々の病院の中の分教室もそういうふうなことではあると。
 一方で、訪問教育を充実させるというのは1つのソリューションなんですけれども、訪問教育だとやはりマンツーマンで、集団生活を学ぶとか、友達といろんな話をするとかいう機会が失われてしまうので、そちらの方だけにいくとちょっと問題があると思われます。
 実際具体的に我々の病院の中の分教室というのは、ある一定期間区切って外部から通っている方もいらっしゃるんですね。喜んで通ってくるんですね。やはりそういうところを求めて通ってこられるのだと思うので、そういうふうな観点から、やはり在り方を考え直していくべきかなと思っています。
 そうした毎日通えない問題に関しては、特別養護学校というのは肢体不自由の方も多いので、大体バスとか持っていますので、そういうふうなものを例えば病院の分教室まで回してもらうとか、考えていくべきかなと思っています。
 以上です。
〇檜山委員 はい、どうぞ。
〇馬上委員 患者家族からやはり通院して治療しているときに、院内学級で勉強しているんですけれども、それを欠席扱いにされてしまうという声が上がっていまして、転籍をしないと院内学級というのは何か出席をとってもらえないというようなことがあるというふうに聞きまして、そういった何か転籍をするとか、すごく煩雑な手続をしなくてはいけないとか、そういったことをちょっと柔軟に対応していただけるような体制というのが必要かなというふうに思います。
〇檜山委員 ありがとうございました。
 天野委員、どうぞ。
〇天野委員 貴重な御発表ありがとうございます。提言の中で、10代患者のための設備という提言がされていて、これは非常に重要だと思っています。10代の患児の方が非常に居場所がないとか行きづらいとかいうことの声たくさん聞いていて、実際米国でも10代専用のプレイルームなどが設置されていましたので、これはもうかなり重要なもの、特に10代や思春期の患者さんのための対応や設備は非常に重要なのかなと私も感じました。
 2点質問があって、1点が特にいわゆる終末期にある小児の患児さんの看護とか緩和ケアの体制みたいなものは、何かほかの患児さんと比べて何か違うような体制を取られているのかということをもしわかれば教えていただければというのが1点ですね。
 もう一点が、これは神奈川県立がんセンターで例えば御家族のための長期滞在施設、そういったものがもしあれば、どういった体制になっているかをちょっと簡単に教えていただければと思います。
〇梶山委員 1つ目の終末期ケアということですけれども、小児がんの子供たちはいろんな病棟にいます。クリーン病棟というのが15床であって、そこは骨髄移植とか、それから化学療法で白血球がとても少なくなった子供たちがいる、年齢が小さい人から大きい人まで入るんですけれども、そこで例えば骨髄移植2回目、3回目としてもうまくいかなくて、亡くなるお子さんもあります。そのままその病棟の中で終末期ケアをして亡くなられることが多いです。
 内科系の病棟には内科系の病棟で、そこで具合が悪くなられる方もあります。
 それから、外科系の病棟では手術を受けた後具合が悪くなるお子さんもいます。
 小児がんのこども医療センターでの死亡率って私把握していないんですけれども、こども医療センター全体の年間死亡率が1%ぐらいということで、大変に亡くなられる方は少ない。でも、その中で小児がんは多いんだと思いますけれども、緩和ケアチームがありまして、それでケアについては病棟スタッフと一緒に相談をしながらケアをしていくという形を取っています。
 それから、滞在施設なんですけれども、病院から5分ぐらい歩いたところに「リラのいえ」という、8室を備えた滞在施設があります。その土地は県が提供してくださって、建物は寄附で建てて、今ほとんどボランティアで、ただ交通費が支給される、ちょっと有料ボランティアみたいな形で運営されています。そして、そこで保育活動もしていまして、兄弟預かりということで面会に来るときに1時間500円で、そこで保育士が活動をしています。
 以上です。
〇檜山委員 ありがとうございました。
 では、手短にお願いします。
〇小俣委員 せっかくボランティアのことで来ていただきましたので、お話ありがとうございます。子供や家族にとって具体的にかなり効果があると思うんですが、手短にということなんですけれども、その効果について少しお話いただけたらなと思うんですが。
〇梶山委員 効果、ボランティアが入っていることの効果。
〇小俣委員 子供の例えば変化とかあると思うんだけれども。
〇梶山参考人 それはもう子供たちは喜びます。ホスピタル・クラウンとか、おもちゃのグループとかお絵かきのグループとか、盲導犬が来たりとか、それはそれは子供たちは生き生きとして喜んで、そうすれば御家族もうれしいですし、それで典型的なこととして、あるお母さんが「うちの子供はほかの病院に行くと言うと泣いて嫌がるけれども、こども医療に行くというとディズニーランドに行くかのように喜んで行くんです」とおっしゃった方があったりします。
〇檜山委員 ありがとうございました。
 梶山参考人、どうもありがとうございました。御質問はここまでにさせていただきたいと思います。
 引き続きまして、「小児がん 新たなリスク」ということで、提案者を代表して馬上委員より簡単に御説明いただけますでしょうか。
〇馬上委員 資料6の方に、天野委員、小俣委員、私で参考資料として出させていただきましたのは、2011年、今年の1月31日、NHK総合テレビで放映されました「クローズアップ現代『小児がん 新たなリスク』について」の要約と、あとそれに対する患者家族の感想でございます。
 この番組によって今現在も多くの経験者が生きることに困難を抱えているということ、そしてそれは治療に由来する晩期合併症、後遺症などの重荷、そしてそれによる精神的な疲弊、また自立できないことによる経済的な窮乏により起こっているという、そういう問題を世に改めて問うていただいたというふうに思っております。
 番組中登場した英国の経験者は、晩期合併症と折り合いながら、自分の人生を生き、「幸せです」と断言していました。大変すばらしいことだと思います。うらやましいことだと思います。そして、これは国民一人ひとりの権利であるとも思います。
 番組中、垣添前会長が極めて高い専門性について、「経験が豊かであれば非常に微妙なさじかげんができる」とおっしゃっていましたが、晩期合併症にも配慮した、真に専門的な治療の行える拠点の整備、そして腫瘍別の腫瘍を熟知した確かな経験の専門医、そして専門スタッフによる治療、そしてその育成。そして、経験者一人ひとりの治療後の長い人生を見守る体制の整備により、日本でもより多くの経験者が自立し、社会に貢献していくことになると考えております。
 この番組を見て、一日も早く整備をお願いしたいというふうに願いました。患者家族の感想は載っておりますので、見ていただければと思います。
 以上です。
〇檜山委員 ありがとうございました。
 ただいまの御説明に対して御質疑ございますか。
 では、追加で小俣さん。
〇小俣委員 共同で資料を出しましたので。
 また次回の議論になってくるのかと思いますけれども、なかなか小児がんをして大人になった人たちが自立して社会で生きていくためには、かなりの偏見がございます。就職や、それから結婚やといったときに、もうないのかと思えばまだあるんですね。
 そういったときに、こういうNHKさんで、クローズアップ現代で取り上げていただいたというのは、非常に画期的なことかと思います。
 この事例では、お亡くなりになってしまうというようなこともあったりしますけれども、それぐらい深刻な問題を抱えているということから、やはり前回2回目で原先生がおっしゃってくださいましたけれども、啓発活動ということも大変重要なのではないかなというふうに考えます。
 以上です。
〇檜山委員 ありがとうございます。
 ほかにございますでしょうか。
 皆様今まで十分にディスカッションしていただいたところではないかなと思うんですが、本日の時間がもう迫っていますので、一応各御説明に対する質問はここまでとさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 本日の説明及び参考資料2として添付させていただいております。各委員から提出の資料を踏まえて、次回の専門委員会では小児がんの患者支援と長期フォローアップ等につきまして議論を進めていきたいというふうに考えてまいりますので、以上をもちまして、本日の議題を終了させていただきたいと存じます。
 「協議事項3 その他」について事務局よりお願いいたします。
〇鈴木がん対策推進室長 今回その他につきましての議題はございませんが、委員長の方から今後の日程についてお話しいただければと思います。
○原委員長 次回は6月29日に、午前中がん対策推進協議会があるんですが、その終了後に、2時より行います。次回のテーマは「患者、家族への支援」、それから「長期フォローアップ」ですね。今日後半幾つか議論がありましたが、これについて行いたいと思います。
 詳細の開催通知等につきましては、後日事務局の方から報告をさせていただきたいというふうに思います。
 それだけでよろしいでしょうか。
 それでは、以上をもちまして、本日の小児がん専門委員会は終了したいと思います。
 委員の皆様、長時間にわたりありがとうございました。


(了)
<照会先>

健康局総務課がん対策推進室

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