15歳のニュース:豪VS日本、調査捕鯨裁判 法律論も巻き込み注目 /大阪

毎日新聞 2013年08月10日 地方版

 南極海で日本が実施している調査捕鯨の中止を求めてオーストラリア(豪州)がオランダ・ハーグの国際司法裁判所に起こした訴訟が、7月16日に結審しました。他の訴訟例では、判決は結審後、半年程度で出されているため、来年早々には一定の判断が示される見通しです。いったい、どんなことが議論されているのでしょうか。【山成孝治】

 ◇「縄文」からの関わり

 日本では、縄文時代の貝塚からクジラの骨が見つかり、石川県能登町の国史跡・真脇(まわき)遺跡では、約5000年前の地層からカマイルカやバンドウイルカなどの骨が大量に出土しました。捕ったイルカの解体場だったと考えられています。このほか、奈良時代にまとめられた「万葉集」には、「鯨魚取(いさなとり)」という言葉が使われていますし、江戸時代後期の料理書「鯨肉調味方」には、さまざまな部位の調理法が70種類も記されています。

 体から取れる油はろうそくなどの材料になったほか、「クジラヒゲ」は文楽人形を動かすバネに使われています。このように、日本人とクジラは長く、しかも安定した多彩な関係を結んできました。

 ◇油目当てに乱獲

 ところが、この関係に18世紀ごろ、変化が生じました。欧米で、ランプなどに使う油を取るための捕鯨が本格化したのです。19世紀になると捕鯨用のもりが発達し、乱獲で多くの鯨種が絶滅の危機に陥りました。油だけを取り、体のほとんどを廃棄する捕鯨は、石油の流通が進むと姿を消しましたが、結果として1963年までに、豪州とニュージーランドは約4万頭を殺したとされます。

 第二次大戦後間もない1946年、国際捕鯨取締条約が制定され、48年には「鯨類資源の保存と捕鯨産業の秩序ある発展」のために国際捕鯨委員会(IWC)が設立されました。日本は51年に加わりましたが、この時期、世界は反捕鯨へ一転しました。その象徴が、82年に採択された「商業捕鯨モラトリアム」です。商業捕鯨を一時停止したのです。

 ただ「科学的な調査」であれば、加盟国がクジラを「殺し、捕獲し、利用する」ことが例外的に認められ、その肉の製造加工もできました。日本はこの「調査捕鯨」を87年から南極海で、94年からは北西太平洋でも実施しています。一方、国際的な反捕鯨団体「シー・シェパード」は日本の調査捕鯨に対して継続的に妨害活動を行っています。

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