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夜行列車の「女性専用車両」を正当化する方法とは?

 「女性専用車両」については、ネット上では、「任意ではない」、「男性は乗れない」などと、トンチンカンなことを主張する人間は、もはや、ごく少数の「妄想的賛成派」を除いていなくなりました。しかし、世間的には、未だに、「任意である」、「男性も乗れる」と知らない人は多いでしょう。それゆえに、これからも、私らの任意周知活動は必要です。
 
ところで、JR東は、夜行列車(たとえば、「あけぼの」)の「女性専用車両」の場合、「任意ではない」、「男性は乗れない」と明言しています。ただし、その法的根拠は極めて乏しい。「時刻表に書いてある」、「切符を売る際、口頭で説明している」などとしていますが、「なぜ、それらが運送条件と言えるのか?(=それらが運送条件なら、なぜ、通勤電車の「女性専用車両」のステッカー等の記載が運送条件ではないのか?)」、「なぜ、それらが運送約款よりも優先するのか?」についてのキチンとした説明、法的根拠は全く示されておりません。
 
と言うことで、今回は、夜行列車の「女性専用車両」の「任意性」について考えてみたいと思いますが、そのためには、「特別旅客車両」に触れる必要があります。皆さん、すでに、ご承知だと思いますが、「特別旅客車両」というのは、「運賃以外に特別料金を支払うことで、ある特定の人が、ある特定の目的で利用できる車両」のことです。たとえば、「お召し列車・御乗用列車」、「グリーン車」、「貸切車両」などが、「特別旅客車両」になります(注:「お召し列車・御乗用列車」は、「貸切車両」の一種と見なすことができる)。
 
では、「あけぼの」の場合、「ゴロンとシート」は、「特別旅客車両」、すなわち、「ある特定の人が、ある特定の目的で利用できる車両」なのでしょうか? 「あけぼの」は、全席指定席です。ですから、乗車する人は皆、乗車券以外に指定席券が必要です。つまり、運賃以外に(特別)料金がかかるわけで、ならば、「あけぼの」は、「ゴロンとシート」も含め、列車自体が「特別旅客車両」ということになるのでしょうか?
 
いいえ、そうはなりません。運賃以外の(特別)料金がかかるからと言って、必ずしも、「特別旅客車両」とはなりません。たとえば、特急列車には、特急料金がかかるものがありますが、「だから、特急は、特別旅客車両である」とはなりません。特急列車は、あくまで、「一般旅客車両」です。
 
ところで、「あけぼの」には「グリーン車」に相当する「A寝台車」が1両あります。その車両は、たしかに、「特別旅客車両」です。一方、その他の車両や「ゴロンとシート」は、「一般旅客車両」です。
 
と言うか、そもそも、「グリーン車」には、その料金さえ支払えば、属性(=人種、性別、年齢、障害の有無など)に関係なく、誰でも乗れます。料金の差によって差別(=差をつけて取り扱うこと)していいが、属性によって差別してはいけない」、それが、公共交通機関の原則です。「属性(=性別)で乗れる、乗れない」などと言っている「ゴロンとシート」とは、全く次元が異なります。
 
なお、属性で差別したかったら、一つだけ方法があります。それは、すでに話題に出ている「貸切車両」にすればいいのです。「貸切車両」は「グリーン車」と同じ「特別旅客車両」ではありますが、こちらは、属性で差別してもOKです。なぜか?
 
「特別旅客車両」は、「ある特定の人が、ある特定の目的で利用してもいい車両」ですが、「グリーン車」は、鉄道会社が設けているもの、鉄道会社のサービスです。鉄道会社は、公共交通機関に携わる者として、属性による差別はできません。もちろん、「グリーン車」は、属性で差別するものではありません。
 
一方、「貸切車両」は、鉄道会社から第三者が車両を借りて利用するものです。その第三者が何に使おうと、公共交通機関としての制約は受けません。少なくとも、貸した車両が何に使われようと、鉄道会社の責任ではなくなります。
 
 もちろん、借りた側には、何に使うかで、それなりの責任が生じますが、公共交通機関ほどのものではありません。たとえば、旅行会社が車両を借りて、「女性専用ツアー」を組み、女性だけに「レディースゴロンとシート」を提供したとしても、別に、大した問題は生じません。まあ、「なぜ、男性専用ツアーがないのか?」といった問い合わせは来るかも知れませんが、「ご希望が多ければ、いずれ、男性専用ツアーも企画したいと思っています」などと答えれば、それ以上、アレコレ問題になることはないでしょう。
 
 今、「あけぼの」の「女性専用車両(=レディースゴロンとシート)」が問題なのは、誰でも自由に乗れるはずの「一般旅客車両」のままで、「女性専用」にしようとしているからです。また、「特別旅客車両」であっても、公共交通機関としては、属性で差別はできないのです。「グリーン車」は、属性による差別ではなく、料金の差による差別だから許されるのです(注:飛行機の「ファースト」、「ビジネス」、「エコノミー」というクラス分けと同じ)。属性で差別したかったら、「貸切車両」にするしかない、第三者(=旅行会社)が車両を借りて「女性専用」にするしかないのです。
 
なお、「女性専用」という場合、絶対に、避けて通れない問題としては、「女性の定義」があります。夜行列車の「女性専用車両」の場合、JR東の(最近の)言い分では、「原則、見た目で判断する(しかない)が、性同一性障害など心が女性の人は、戸籍や見た目に関係なく乗車できる」などとしています(注:「見た目で判断」は、いい加減な基準である。法的な意味では、「戸籍」の確認が最も妥当性があるが、プライバシーの問題で現実的には不可能だろう)。ただし、明文化されたものではありませんので(注:「見た目で判断」といういい加減な基準なので、「明文化できない」と言った方がいい)、その効力に疑問があります。また、いちいち、性同一性障害かどうかを聞く、というのは大変失礼な話(注:そもそも、そんな権限が鉄道会社にあるのか、甚だ疑問)ですし、もう一方の性同一性障害、すなわち「見た目は女性だが心は男性の人はフリーパス」という矛盾もあります。

「男性差別」書庫の記事一覧

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北たから様

ご指摘、ありがとうございます。上記の通り、訂正させていただきました。

2011/7/29(金) 午後 9:01 ドクター差別

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