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なぜ韓国サポーターは政治的な横断幕を掲げ、旭日旗に反発するのか?

フットボールチャンネル 7月30日(火)17時10分配信

理解しがたい韓国サポーターの応援拒否

 ハーフタイムになると、横断幕を守っていたかにみえたサポーターがいなくなった。サッカー協会の職員もすでに姿を現していないため、これは黙認ということかと残念に思っていたところで、数人のレッドデビルと思しきサポーターが現れ、幕を剥がし始めた。どうやら職員レベルではない注意か警告により、自主的な判断で掲出をやめたらしい。

 筆者はその後になって、韓国サッカー協会の指示で取り下げたこと、そしてそれに対する抗議として後半の応援をやめたことがレッドデビルの公式見解としてネットに流れたことを知った。

 応援の拒否まで知らなかったのは、韓国の応援スタイルが日本のようにコールリーダーが指揮して歌を出すのではなく、一般の人たちから自然発生にコールが出てくるためだ。その点で一見試合は後半に関しては平穏に行われたことになる。

 しかし、韓国は負けてはならないアジアの盟主をかけたダービーマッチに負けた。選手を奮い立たせるためでもない、試合に一切関係のない政治的なスローガンをあげ、それがダメだと言われれば応援を拒否するのは、いったいサッカーに何を期待しているのか理解不能である。

 ピッチの中で走る選手たちとともに戦うのがサポーターのはずだが、彼らはピッチの中に敵を見出してなかった。応援拒否など論外であり、サポーターの哲学からいえば、あれだけ後半押しつづけた試合展開ながら試合を決める1点を入れることができず、ロスタイムの柿谷の決勝点を許したのは、ピッチ外の出来事で応援を放棄し、本当に必要なメッセージを選手に力強く伝えることのできなかった一部の韓国サポーターの責任だ。

 8年ぶりにホームで宿敵日本に敗戦となった試合後、「歴史を忘れた民族に未来はない」とのメッセージを誰がかみしめなければならないかは説明するまでもないだろう。

日本のサポーターが掲げた韓国への感謝の横断幕

 レッドデビルの会長のバン氏は韓国でも大手の保険会社に勤務しているという。41歳ということだが、もっと若く見える。日本のサポーターのイメージとはだいぶ違っていた。日韓W杯の時には日本のテレビにも日本のサポーターと一緒に出演したこともあるという。

 その彼は試合前のインタビューで、次のように語った。「日本人も日本も嫌いではない。私たちがいつも批判しているのは日本の政治家やナショナリストだ」と。キ・ソンヨンが日本人を馬鹿したそぶりをして問題になった一件もむしろキ・ソンヨンに対して否定的な反応である。

 ただし、日本とは政治でもサッカーでも譲れないものがある、と付け加えながら。そして実際にその譲れないものを数時間後のスタジアムで混同してしまった。

「サッカーと政治が別なものはよくわかっている。ただ感情の問題だから仕方ないものはあるのはわかってほしい。『嫌韓流』といわれる韓国を批判する書籍も韓国では知られているし、反韓デモが行われていることも知っている。日本に試合に行くと、ひどい言葉がわたしたち韓国サポーターに投げかけられていることも知っている」

 だが、これについては日本の一部のサポーターの旭日旗を挑発のために掲出するふるまいと等しく、私は賛同することができない。これをエスカレーションさせることが双方にメリットがあるとはとても思えない。むしろ、双方の憎しみから世の中に伝播するものこそを警戒するべきだ。

 試合終了後、日本のサポーターから東日本大震災の時の韓国からの支援に感謝を示す横断幕が掲げられていた。このことは、旭日旗と政治的横断幕の陰に隠れて全く報じられていない。様々な人々が様々な意見をもつのは当たり前のことだが、ネガティブなものをぶつけあっても何一つ得ることはないということを日韓双方のサポーターが理解するべきだと思う。

清義明

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最終更新:7月30日(火)17時10分

フットボールチャンネル

 
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