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なぜ韓国サポーターは政治的な横断幕を掲げ、旭日旗に反発するのか?

フットボールチャンネル 7月30日(火)17時10分配信

いらぬ敵意を生んだある日本のサポーターの行為

 この旭日旗が掲示されたのはほんの数分。旗は数分でスタジアムのスタッフによって没収されることになったが、その旭日旗に気づいた韓国ゴール裏からは凄まじいブーイングが鳴り響いた。この数分の出来事が韓国メディアに大きく取り扱われている。日本はどこまで私たちを挑発すれば気が済むのかという論調である。

 この旭日旗を掲示したサポーターは「旭日旗は戦後、問題なく日本で使われてきたもので、最近になって問題になった。韓国からの抗議は知っているが、あえてそれに異議を唱えるためにやった。美しいデザインでチームの士気を高めるために行った」と語っている。

 だが、このように政治的に論議を呼びよせ、ピッチのみらならず相手国に対していらぬ敵意を呼び起こすことが本当に選手のためになったのか、本当にスポーツの応援としてふさわしい行為なのだろうか。

 煽り煽られて、スポーツの闘争心と敵意をコントロールしていくのがスポーツの本質である。国内で悪ふざけ程度の横断幕などに敏感に反応し、スタジアム出入禁止となるサポーターを見聞きするにつけ、ここまでやるのは大人げないのではないかという感想をもっている筆者にしても、ナショナルチームで政治的な議論を呼ぶような挑発行為は、本当に国同士のいざこざを招き寄せる危険な行為とみなさざるをえない。

 なお、試合後、このサポーターと代表ゴール裏のサポーター有志と話し合いが行われたことにも触れておこう。ウルトラス・ニッポンの植田朝日氏は、二階席で起こったこの「事件」について試合終了するまで知らなかったとのことだ。

「せっかくの喜ぶべき勝利が台無し」とコメントしているが、これは多くの日本代表サポーターと共有する感想であろう。今後、日本のサポーターの自浄作用に期待したい。

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なぜ韓国サポーターは政治的な横断幕を掲げ、旭日旗に反発するのか?

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なぜ韓国サポーターは政治的な横断幕を掲げ、旭日旗に反発するのか?
【写真:清義明】
韓国の横断幕は自国代表へ向けたもの?

 韓国側では試合開始前から、大きな横断幕とビッグフラッグが二階席に設置されていた。そのメッセージがわからないように裏返されていたのだが、すでにこの東アジアカップの韓国女子代表の試合で、日本に対して韓国の文化財の返還を求める旨のメッセージの入った横断幕が韓国サッカー協会によって撤去されるという事件があったのは伝え聞いていたので、そういった内容のものではないかと推測も出来たが、まさか前回に禁止されていた政治的横断幕を今回も出すとは思えなかった。

 試合直前になって広げたビッグフラッグと横断幕は案の定であった。すぐにこれを取り下げさせようとする韓国サッカー協会の職員とサポーターによる小競り合いが起きた。すでに横断幕が撤去されることを防ぐために配置されていたと思われるサポーターが多数いて、職員は引きさがることになった。これに関しては、日本の大手新聞社が報じているように、韓国サッカー協会が黙認したというのは間違いである。

 なお、この横断幕のメッセージを見て、これは日本に向けての意味でもあるが、同時に韓国チームに向けてのものではないかという解釈が、とうの韓国の人たちからも出てきたということも報告しておこう。

 今、韓国代表の停滞ぶりは目もあてられないものであり、おまけに韓国代表のキ・ソンヨンによるネット上の監督批判(「SNS騒動」と呼ばれている)がチームの団結の無さを象徴しているということで批判を浴びている。

 昔日の献身的な努力と栄光の「歴史を忘れた民族」は韓国代表そのものなのではないか、ということらしい。確かにメッセージは日本語でも英語でもなく韓国語で書かれているので、日本のサポーター向けではないと勘ぐることもできよう。

 ただし、これはもちろん皮肉めいた解釈であり、言うまでもなくこの横断幕はピッチの勝敗に全く関係のない、日本という国と国民に向けての政治的メッセージであることは間違いないのだが。

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最終更新:7月30日(火)17時10分

フットボールチャンネル

 
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