「公立幼稚園の民営化案」第1弾 大阪市8幼稚園を廃園へ
毎日放送VOICE 2013.08.08放送分より
大阪市が運営する全ての公立幼稚園について、民営化か廃園する方針を示していた橋下市長ですが、第1弾として、来年度までに8つを廃園にし、11の幼稚園を民営化することを発表しました。
(橋下徹市長)
今の大阪市立の幼稚園、空調施設、クーラーも無いし、給食も無いし、送迎バスも無いし、預かり時間も短いし、そのかわり保育料、大阪市立の幼稚園、ものすごく安いわけですよ。民間に比べて半分くらいですよ。
もう、本当にそういう幼稚園の存在意義はどこにあるのっていうところを、もう1回かんがえなきゃいけない。
橋下市長は、かねてから、公立幼稚園を民営化する必要性を訴えていました。というのも、園児1人あたりの運営費が、私立の54万7000円に対し、公立は68万円かかっていて、その大半を大阪市が負担していたからです。
大阪市は、運営する59の市立幼稚園を維持するために、年間34億円、掛けていました。
しかし、保護者からは、障がいなどで支援が必要な保護者たちにとっては、やはり公立が安心という声が相次いでいました。
(市立幼稚園の保護者)
養護の先生が公立幼稚園にはいるんですけども、養護の先生が毎朝子どもたちを目視する、そして握手する、門の前で毎朝必ず立たれてますから、その安心感というのは、特に障がいをお持ちのお子さんをお持ちのお母さんには、計り知れないと思うんです
そこで橋下市長は、民営化を一気に進めるのではなく、3期に分けて行うことにし、その第1弾を発表しました。
まずは今年度1つを廃園に、5つを民間に移す作業を着手し、来年度は7つを廃園に、6つを民間に移していく予定です。
(カメラ、西成区津守幼稚園に移って)
大阪市西成区にあります、こちらの幼稚園、市内で最も早い時期の廃園が決まりました。
創立65年を迎える津守幼稚園、5歳児6人、4歳児22人で園全体の定員70人のおよそ4割、大阪市が存続の目安とする7割に達していません。
去年10月放送
(大阪市の担当課長)
あの地域の幼稚園ニーズが、減少してきているという風に分析をしております。
実は津守幼稚園を巡っては、去年、大阪市が一旦、園児募集の中止を決定していました。しかし、事実上の廃園に繋がる決定に、地域住民が反発したのです。
(大阪市が開いた説明会)
「『つぶす、つぶす』と言うから、人が減る」
「(幼稚園)無くすということは、町自体、津守地区自体を無くしていくことになってくと思います。」
こうした声を受けて橋下市長が、定員35人の7割に当たる24人の園児を集めれば、園児募集を続けるという条件を出しました。
(去年8月)
「もう、幼稚園行ってるんです」
「行ってるんですか」
存続を望む保護者自らが、24人の目標を達成するため、チラシを配布し、園児を募集する活動をしました。
そして・・・
(去年10月)
「22、23、24ですね」
橋下市長からの条件をクリアし、廃園の危機を免れていたのです。
しかし、一転、今日、大阪市は、民間幼稚園などで代替が可能だとして、一年も経たないうちに廃園を発表しました。
(津守幼稚園の保護者)
「くやしい思いで、いっぱいですね。」
(子ども)
「(廃園)いやや」
(保護者)
「人数集めたら存続できるという話で、ものすご一生懸命みんなで頑張ったんですけど、どうやったら、存続させてくれるのか」
(橋下市長)
将来ずっと、あの津守幼稚園を残すために、あの人数、集めてもらった訳じゃなくて、当該、その年の入園を認めるかどうかで、その人数集めてくださいねって条件を提示した訳なんです。客観的な基準を満たさないっていう、だから廃園なんですよってことは、しっかりご理解をしていただきたいと思っています。
大阪市は今後、支援の必要な園児のサポートをどうしていくか考えた上で、民営化をしていきたいと考えています。
(参考)
このニュースで廃園が報じられた津守幼稚園について、昨年、保護者らの努力によって津守幼稚園が廃園を免れたとして、保護者らの喜びをVOICEで伝えたニュースはコチラ。
「橋下市長が『条件』 公立幼稚園 存続か?廃園か?」