十勝毎日新聞社ニュース
職場の潤滑油 広がる「置き菓子」
休憩時などでオフィスにいながらお菓子を買える「置き菓子」が帯広市内で広がりを見せている。菓子1個100円と手頃で、外出せずに空腹を満たせることが人気の理由。導入した職場や企業では「お菓子を囲んでだんらんでき、社員同士のコミュニケーションが深まった」などの効果を指摘する声もある。
休憩時間に置き菓子から菓子を選ぶ社員たち(コーヨー日軸帯広営業所)
置き菓子 菓子入りボックスに100円を入れ、買う菓子一つを自分で取る仕組み。ボックスは定期的に回収され、商品を詰め替える。大手菓子メーカーの江崎グリコが始めた。
「勤務時間中はどうしても外に出られないので、いつでも買える置き菓子は助かる」。帯広市消防署西出張所の大槻浩所長は置き菓子の便利さをこう語る。
消防職員は勤務中の私的外出が厳禁で当然買い物にも出られない。しかも、勤務は24時間と長い。職員は小腹がへったときに菓子をつまむ。大槻所長は「仕事はチームワークが大事。目に見える効果ではないが、置き菓子で雰囲気は良くなった」とする。
コーヨー日軸帯広営業所(西23北1)では7月の置き菓子導入時は1台だったが、現在は3台に。吉成誠所長は「売り上げが上がって忙しいほど早く減る。残った菓子の量が業績のバロメーターでもある」と語る。
富士通帯広支店(西4南9、高橋幸利支店長)では男性の利用が多いという。岡部恭子さんは「置き菓子で社員の意外な好みが分かる。お菓子を囲みながら話も弾み、社員同士のコミュニケーションは良くなった」と話す。
道内で唯一、置き菓子を取り扱う谷保製菓(西24北1、谷保茂一社長)によると、2009年3月の開始時に約100社だった設置先企業数は昨年11月末現在約400社で4倍に拡大した。設置台数は現在約500台で、来年中に500社700台を目指している。
谷保社長は「仕事の効率が上がったなどと好評」とした上で、「東北の被災地では置き菓子が非常食の役割を果たしたとも聞く。今後、そのような説明も加えて、職場の“潤滑油”になる置き菓子をアピールしたい」と話している。