最後まで審査員を悩ませた問題作であり怪作。TENGAを賞品としたことを売りにしたコンテストに対して、きちんとその方向性で書ききり更に面白いと思わせたのはこの作品くらい。ネタ一つだけで終わらず更に組み合わせてもう一つひねりを入れたのはお見事の一言。「右手が恋人というのは果たして女性にもわかるのか?」審査員の中では身近な女性に聞いてみるという案も出る程の白熱した議論の末、なにかあげねばならないという審査員達の心は一つに。賞品、ご用意させていただきました。おめでとうございます!
公式アドバイザー弓島
ちょっと噂で聞いたことあるレベルの下ネタであるマニュキア塗ってゴニョゴニョ…を、ここまで作品として昇華させた発想が素晴らしい。しかも利き手は器用だから「嫁」、反対の手は不器用だから「妹」とする表現の的確さには舌を巻きました。また、今回のコンテストの特色である「次元・性別・種族不問の嫁」というテーマへの答えとしても「自分の手」というのは見事な回答と言えましょう。
激論の末に最優秀賞は逃しましたが、この非凡な発想力が今後どのような作品を生み出してくれるのか、期待しております。
株式会社パピレス販売担当:新堂
「右手が恋人」というフレーズをここまで膨らませる感性の豊かさには脱帽しました。更に、書き手の力量によっては単なる書き足しに見えてしまう左手への話題転換もお見事です。
しかし、発想の起点がそのフレーズであるがために、読み手を選ぶ作品であることも考慮しなければなりません。
とはいえ、独自性・技量に関して言えばエントリーされた作品の中でも一際輝きを放っています。掌編小説としては1つの手本にしても良い作品だと思いました。
株式会社パピレス制作担当:狩屋
一次選考を通過した作品の中で、読了後に「頭を抱えた」のはこの作品だけです。筆のブレーキ壊れてるんじゃないかと疑ってしまうくらい全力で下ネタに走っていますが、構成・表現・意外性どれもレベルが高く、なによりテーマ『俺の嫁』に対する分析と解釈が秀逸です。単にゲラゲラ笑うだけじゃなくて「大笑いしながら唸らされる」作品に仕上がっています。作品を構成する各要素がハイレベルであると推す私の左脳と、作品自体の印象に躊躇する私の右脳が、激しい葛藤に悩まされまし。
今回惜しくも賞を逃す結果となりましたが、どうしても何かの形で表彰させて頂きたく、今回追加で「審査員特別賞」を設定させて頂きました。賛辞と共に、審査員の財布からTENGAを贈呈致しますので、ご家庭が惨事にならないようであれば是非お受け取り頂ければ幸いです。
余談ですが、同じく一次選考に残った『僕とユリ。』という作品を読了した後に本作を読んで頂くと、全く異なる印象を受けるものと思います。ぜひお試しください。
株式会社パピレス企画担当:毒島
2013年5月より開催した 「俺の嫁」創作コンテスト は、短い募集期間ながら60を超える作品のご応募を頂きました。作品応募頂きました方々及びコメントや評価を頂いた読者の方々、本当にありがとうございました。
応募頂いた作品は想定以上にレベルが高く、一次選考・二次選考ともに作品選別にはかなり悩む事となりました。特に受賞作決定にあたっては、審査員の間でかなり白熱した議論が展開されております。
協議の結果、最優秀作と次点作はいずれも高いレベルで甲乙つけ難いと審査員の意見が一致しました。このため『最優秀俺嫁賞』とは別に急遽『審査員特別賞』を追加設定させて頂いております。『最優秀俺嫁賞』には正賞並びに副賞を授与させて頂きますが、『審査員特別賞』にも審査員有志よりささやかな「寸志」を贈呈させて頂きます。
以下、『最優秀俺嫁賞』『審査員特別賞』各作品及び選評・賞金・賞品を発表させて頂きます。また最終選考に残った作品についても短評を掲載させていただきましたので、ぜひご覧頂ければ幸いです。