杉本美術館

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杉本健吉没後10年 記念作品展II(1939〜1950)
戦中戦後の時代
杉本健吉が描いた奈良・名古屋
(同時開催)墨絵奈良

2013年8月22日(木) 〜 12月28日(土)

画家、杉本健吉の没後10年記念作品展の二回目として、戦中戦後の時代の作品を今回皆さまにご紹介します。
この時代は、絵具どころか、日本人のほとんどが日々の生活にも事欠いていました。杉本の画業も、自身が住んでいる名古屋周辺の写生が多くなっていきます。
また、図案家としての仕事も戦時体制を反映したものが多くなっていました。
そんな時期の1940年(昭和15年)頃から杉本は頻繁に奈良へ出かけ、写生を続けました。この奈良の写生は、高い評価を得ることになります。
1943年(昭和18年)の文部省美術展覧会では、杉本が奈良博物館の展示室を描いた『博物館中央』が特選となり、戦後間もなくの日展では『博物館彫刻室』が特選に選ばれました。
また、物資のないこの時代にやっとのことで手に入れた墨や紙で厳しい写生の修行に励んだ結果、戦後「奈良風景を題材としたタブローとしての素描」として、第一回の中日文化賞の受賞者となったのです。
そして「墨絵奈良」という杉本独自の絵の世界を切り開いていきます。
この白黒の表現はのちに吉川英治の歴史小説のさし絵の基礎にもなっていきます。
また杉本は、奈良の風物を敬愛した多くの人々との交流を深め、終世の友をこの時期に得たのです。
今回皆様にご紹介する作品は、いずれも杉本健吉の生涯の中で、もっとも真摯に画業に打ち込んだ時代の作品の数々です。

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