最低賃金:同じ仕事でなぜ違う…広がる都会と地方の格差
毎日新聞 2013年08月06日 22時12分
2013年度の最低賃金は6日、平均「14円」の引き上げ目安が中央最低賃金審議会の小委員会から示された。3年ぶりに2桁となる目安で、アベノミクスで物価が上昇基調にある中、生活の底支えに期待が高まる。一方で都会と地方の「最賃格差」はまた広がり、東北地方の労働組合幹部からは「若者がまた離れてゆく」と嘆きにも似た声が上がっている。
小委員会が示した目安は、東京都や神奈川県などAランク(5都府県)が19円、Bランク(11府県)が12円、Cランク(14道県)とDランク(17県)は10円。ランクは各地の経済状況によって分けられ、上位は首都圏が集中し、下位は東北、九州、四国が目立つ。
「同じ仕事なのに、なんでこんなに違うの?」。青森県の男性(23)は、今年4月、相模原市内の友人宅に遊びに来た時にコンビニに張られた求人の時給に目をむいた。求人には「849円」の文字。同じ系列のコンビニでバイトする自分の時給は654円、その差は195円だ。「店で牛乳を買えば同じ105円。やりきれない」。今年度、目安通り上がればその差は204円に開く。
東北地方の労働組合で作る全労連東北地方協議会は、この時期に各地をキャラバンで回り、首長や経済団体へ最低賃金を引き上げるよう要請を続けている。「こんなに賃金が違うと若者はみんな東京へ行く」と地域の衰退を心配する声は多い。全労連の伊藤圭一調査局長は「地方は疲弊している。被災地で地域循環型の地域経済を作ろうにも、低賃金で若者が流出している。賃金の格差解消が必要」と訴える。反貧困ネットワーク代表の宇都宮健児弁護士は「47都道府県別にやっていることが問題。地方を疲弊させないためにも一律の最低賃金が必要だ」と話している。【東海林智】