中国人元従業員を刑事告訴した日系印刷機製造会社「上海太陽機械」の上海市内の工場
【北京時事】中国国内の領収書・伝票印刷で約6割のシェアを持つ上海の日系印刷機製造会社が中国人従業員に数千枚に上る印刷機の設計図を無断でコピーされ、同社と同じ印刷機を偽造・販売する会社の設立につながったことが8日分かった。同社は2011年に上海市公安(警察)当局に刑事告訴し、公安当局が中国人元従業員4人を逮捕。主犯の男は13年3月、商業秘密侵犯罪で実刑判決が確定した。損害額は2000万元(約3億2000万円)以上と認定されている。
日系企業が中国で企業秘密を漏えいされたとして告訴し、有罪判決が下った初のケースとみられる。中国では文書共有サイト「百度文庫」に日本企業の社外秘資料や内部文書が大量に流出する問題も発覚した。情報管理への日系企業の対応が改めて問われそうだ。
偽造被害に遭ったのは東京都大田区の「太陽機械製作所」の中国子会社「上海太陽機械」(上海市、従業員約200人)。
上海太陽機械によると、同社では10年、それまで印刷機を購入していた顧客が別会社からの購入に変更したほか、従業員が次々に辞め、別の会社に転職したことなど不審な動きに気づいた。調査の結果、何者かが技術を盗み、会社を設立した疑いが浮上。11年1月に公安当局に告訴した。
公安当局が逮捕したのは印刷機製造に関わった元技術従業員4人で、主犯の朱国建受刑者に懲役1年6月の実刑、残りの3人には猶予刑の判決が下された。(2013/08/08-14:30)