就航開始から２年目を迎えた国内の格安航空会社（ＬＣＣ）で、早くも業績の明暗が分かれつつある。
関西国際空港を拠点とするピーチ・アビエーションが好調に利用を伸ばす一方、成田空港を拠点とするジェットスター・ジャパンとエアアジア・ジャパンは苦戦を強いられている。発着時間が制限される成田と異なり、２４時間空港の関空を拠点とするピーチは、“地の利”を生かし、好業績をあげている。
「成田拠点でないため、発着時間制限による欠航リスクがきわめて低い」
ピーチの井上慎一最高経営責任者（ＣＥＯ）は、６月に東京都内で開かれた関空−成田線開設の会見で関西の“地の利”をこう強調した。
コスト削減のため、同じ機材で複数の路線を結ぶＬＣＣにとって、発着時間制限は鬼門だ。遅延が重なれば機材繰りがつかず、欠航を余儀なくされる。
国土交通省によると、今年１〜３月の欠航便の割合を示す欠航率はジェットスターが３・６６％と最も悪く、以下ボーイング７８７型機のトラブルが影響した全日本空輸（３・５５％）、エアアジア（１・８５％）と続いた。対するピーチは０・５４％と極めて少ない。井上ＣＥＯの発言はこれを意識したものだ。
さらにピーチはスマートフォン（高機能携帯電話）などの端末向けに映画などの無料配信サービスを行う。搭乗前にダウンロードし機内で楽しむという国内他社にはない取り組みだ。安さだけでなく、きめ細かなサービス・戦略も奏功し、ピーチの搭乗率は就航から６月まで平均して約７８％を維持している。
一方、ジェットスターとエアアジアはそれぞれ６月が約６９％、約５３％と低迷している。ジェットスターは７月からコンビニエンスストア「ローソン」でのチケット店頭販売を開始し、インターネット予約が基本のＬＣＣにあって、日本流を模索している状況だ。
「ＬＣＣのサービスモデルを理解してもらった」
ピーチの井上ＣＥＯは、ことあるごとにこう強調する。ひとまずピーチが頭一つ抜け出した格好だが、今後は中国ＬＣＣの春秋航空の関空就航や、エアアジアの再参入も見込まれる。海外勢も含めたさらなる競争激化は必至だ。
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