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最低賃金上げ―脱デフレへ次の一手を

雇用を減らすことなく、所得のかさ上げにつなげられるか。これからが正念場だ。法律で義務づけられる最低賃金(時給)について、今年度の引き上げ額の目安が全国平均で14円となっ[記事全文]

甲子園開幕―「勝つ」を超える喜び

高校野球の全国選手権がきょう、阪神甲子園球場で開幕する。95回目の記念大会だ。1915(大正15)年、第1回の参加は全国で73校。今年の夏は3957校が甲子園を目指した[記事全文]

最低賃金上げ―脱デフレへ次の一手を

 雇用を減らすことなく、所得のかさ上げにつなげられるか。これからが正念場だ。

 法律で義務づけられる最低賃金(時給)について、今年度の引き上げ額の目安が全国平均で14円となった。この通りになれば、平均額は749円から763円になる。

 2ケタの目安額を示したのは3年ぶりで、大震災で中断していた大幅引き上げの流れが復活したといえる。

 最低賃金は、独立した審議会で決める。労使が参加し、有識者が仲裁役を務める。しかし、今回の決定には特に政治的な意味合いが強かった。

 一つは、安倍政権が掲げるデフレ脱却という大方針である。具体的には「2%以上の物価上昇、3%以上の経済成長」という目標と整合性のとれた引き上げが不可欠だった。

 政権は6月に閣議決定した成長戦略に「最低賃金の引き上げに努める」と明記し、審議会に意を配るよう求めた。田村厚生労働相も審議会に出席し、「2%の物価上昇を上回る賃金上昇に」と踏み込んだ。

 政治的配慮のもう一つは、生活保護との関係だ。自民党は「給付水準の原則1割カット」を掲げ、政府は近年の物価下落を理由に、支給額を大幅に引き下げた。

 ここで最低賃金の伸びまで抑えては、デフレ傾向を加速し、低所得者に冷たいイメージしか残らない。生活保護カットの理屈である「手当より仕事」という考え方にも反する。

 最低賃金で稼げるお金が生活保護の水準を下回る「逆転現象」が起きていた11都道府県では、今回の決定で北海道を除いて解消の見通しとなった。

 本来の姿になりつつあるが、「働きが報われた」というレベルに達するには、まだ十分とはいえない。

 雇用者全体の賃金は、安倍政権発足後も下落傾向が続く。一方、物価は上昇の兆しがあり、このままだと生活だけが苦しくなりかねない。

 デフレからの脱却には、幅広い層での賃金上昇が必要だ。人件費抑制に傾きがちな使用者側に、発想を切り替えてもらわなければならない。

 そこで活用が期待されるのが成長戦略に盛られた「政・労・使が意見を述べ合い、共通認識を得るための場」である。

 ここに、非正規を含む労働者側を呼び込み、全体的な賃金引き上げを軌道に乗せる。そうしてはじめて、雇用制度全般を議論するような政労使の信頼関係も築いていけるだろう。

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甲子園開幕―「勝つ」を超える喜び

 高校野球の全国選手権がきょう、阪神甲子園球場で開幕する。95回目の記念大会だ。

 1915(大正15)年、第1回の参加は全国で73校。今年の夏は3957校が甲子園を目指した。49代表校には、夢の舞台で存分にプレーしてほしい。

 硬式野球部員は全国に16万7千人いる。男子高校生の10人に1人の割合で、少子化時代でもほぼ横ばいだ。3年生まで部活動を続ける比率も年々上がり、今年は86・8%に達する。

 サッカー、水泳、テニス……。多彩なスポーツで、同世代の若者たちが国際的に活躍する時代だ。にもかかわらず、野球の人気は根強い。

 今年のキャッチフレーズ「野球が僕らを一つにする」。そこに、魅力のかぎがありそうだ。

 初出場の桜井(奈良)は、「勝利より人間力を」がモットーだ。相手のミスを喜ばず、好プレーには拍手を送る。杉山功樹主将は「みんなが一つになれたから勝てた」と語る。

 高校生たちはチームを組むことでともに成長する。ピンチだからとグラウンドから逃げ出せない。白球の行方を仲間との歓喜につなげるため、力を合わせる。選手だけではない。マネジャーも、ベンチ入りできなかった部員も。陰の支えがあってこそ、本当のチームとなる。

 数々の名勝負も、仲間と成長する若い力が生みだしてきた。試合に敗れたとしても、そんな力を尽くしてたくましくなった自分がそこにいる。

 対極にあるのが、勝利至上主義だ。後味の悪さを残し、暴力さえ招く。

 昨年暮れには、大阪市の高校で顧問の暴力を受けたバスケットボール部員が自殺した。野球部でも暴力事件は絶えない。

 日本高校野球連盟と朝日新聞がこの春に行った実態調査で、9・7%の指導者が「指導上、体罰は必要」と答えたのは衝撃的だった。意識改革を急がなければならない。

 箕島(和歌山)を率いて、春夏合わせて4回優勝した故・尾藤公(ただし)さんも初めの頃、体罰に手を染めたことがあったという。だがやがて、ピンチでも笑顔を絶やさぬ「尾藤スマイル」で選手を励ますようになった。

 箕島はこの夏、29年ぶりに甲子園に戻った。尾藤さんの長男強さん(44)が監督だ。父譲りのスマイルが印象的だが、「選手といるベンチが楽しいから笑ってるだけです」。

 時とともに高校野球は変わってきた。勝ち負けを超えて、若い力が育っていく場へと、さらに進化してほしい。

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