福島第1原発事故の避難区域見直しで、政府は8日、計画的避難区域の福島県川俣町山木屋地区を、早期の帰還を目指す避難指示解除準備区域(年間被ばく線量20ミリシーベルト以下)と数年後の帰還を目指す居住制限区域(20ミリシーベルト超50ミリシーベルト以下)に再編した。これで県内の避難区域11市町村全ての再編が完了した。
同地区の再編をめぐっては、一部住民が「賠償が不公平になる」などの理由で反対してきた。町議会も「再編後の復興プランが不透明だ」と反発し、協議が遅れていた。
再編は8日午前0時から。居住制限区域は11行政区のうち東側の乙第8区の1行政区で60世帯(約130人)。解除準備区域は残る10行政区で480世帯、約1070人が暮らしていた。
両区域はこれまで通り日中の立ち入りが可能で、今後、一部の事業が再開できる。解除準備区域では営農も可能になる。
古川道郎町長は「除染やインフラ復旧を早く進め、帰還できる環境をつくりたい」と話した。
町は避難指示解除の時期について、除染やインフラ復旧の見通しに加え、解除に伴い住民への賠償が打ち切られることなどを踏まえ、2016年3月以降にするよう国に要望している。