■融資偏重のポートフォリオ
銀行の収益力悪化はNIMの低下だけでは説明できない。英国で最大、世界で4位の銀行HSBCは6日、今年上半期の利益が前年同期比23%増の102億8000万ドル(約1兆円)に達したと発表した。同様の経営環境で収益指標が急速に悪化した韓国の銀行と好対照だ。
両者の違いは収益ポートフォリオにある。HSBCは利益の構成比率が、個人金融(リテール)が23.2%、法人向け金融が29.4%、投資銀行業務が40.7%など分散している。また、世界的な金融危機以降、有力銀行に浮上したカナダロイヤル銀行(RBC)も、個人金融が36%、投資銀行業務が23%、保険が19%、資産運用が14.5%、国際金融7.5%などと収益源は多様だ。
これに対し、収益ポートフォリオが最も良好だとされる新韓金融グループですら、銀行業務58,2%、クレジットカード30.9%、証券4.7%と銀行業務に偏っている。
銀行業が融資営業中心の構造から脱却できずにいるため、景気が悪化し、大企業向けの融資が一部焦げ付いただけでも収益が激減する。韓国の銀行は「井の中のかわず」だ。銀行の資産、利益、行員に占める海外店舗の割合を示す「ボーダーレス化指数」は、韓国の銀行の場合、昨年末現在で平均3.8%にすぎない。HSBC(64.7%)、UBS(76.5%)など世界的な銀行とは比較にならない水準だ。