-8月15日が近づいている。日本はどのようなメッセージを出すべきだろうか。
「安倍首相は8月15日を国粋主義高揚のための騒々しい宣言式にせず、静かに『なぜ60年過ぎても近隣諸国は日本に対し怒りを覚えるのか』について振り返るべきだ。保守派が愛国心・国のアイデンティティーを鼓舞するのはどの国でも同じだが、『河野談話修正』『靖国神社参拝』『過去の過ちに対する謝罪の拒否』などでこれを得ようとするやり方は間違っている。日本は経済発展、国際援助、科学・芸術性など、ほかにも愛国心を鼓舞できる偉大な業績が多い」
-最近の日本の政界における右傾化は日本全体の流れなのか。
「慰安婦少女像の設置などをなじる日本人からメールが一日に20通以上来ている。しかし、こうした類いの極右派はどこにでもいる。日本の一般大衆は政界に対し河野談話を修正し、靖国神社に行けと要求していない。安倍政権が選挙で勝利したのも経済政策への期待が反映されたもので、対外政策の右傾化を支持したものではない」
-日本の過去の歴史に対する謝罪はどのように行われるべきだと思うか。
「韓国などは全面的な謝罪を望んでいるだろうが、おそらく日本とは『謝罪とは何か』について合意することすら難しいだろう。より現実的な選択肢としては、歴史的証拠や客観的事実を裏付けることにより、日本に『真実を話すこと』から求めることだ。河野談話などが良い例だ。安倍首相は『未来志向的な日韓関係』と言うが、これは過去の真実について十分に語って初めて可能なことだ。国際社会で日本が十分に『真実を話した』と考える人はいない。
■ジェニファー・リンド教授
米国ダートマス大学政治学教授で「米国の知日派」といわれる。ハーバード大学ライシャワー日本研究所研究員としても活動している。カリフォルニア大学バークレー校を卒業、マサチューセッツ工科大学で博士号を取得した。マンスフィールド財団の次世代日本専門家グループにも入っているほど米国内で有名な知日派の学者だが、最近はニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストなど米有力紙への寄稿で相次いで日本の右傾化への動きを強く批判している。