8月7日の欧州マーケットサマリー:株と英国債は下落、ドイツ債上昇
8月7日(ブルームバーグ):欧州の為替・株式・債券・商品相場は次の通り。(表はロンドン午後6時現在)
為替 スポット価格 前営業日 ユーロ/ドル 1.3336 1.3305 ドル/円 96.58 97.74 ユーロ/円 128.80 130.05 株 終値 前営業日比 変化率 ダウ欧州株600 302.81 -.69 -.2% 英FT100 6,511.21 -93.00 -1.4% 独DAX 8,260.48 -39.25 -.5% 仏CAC40 4,038.49 +5.92 +.1% 債券 直近利回り 前営業日比 独国債2年物 .17% -.01 独国債10年物 1.69% -.02 英国債10年物 2.48% +.01 商品 直近値 前営業日比 変化率 金 現物午後値決め 1,282.50 +2.00 +.16% 原油 北海ブレント 107.62 -.56 -.52%
◎欧州株:下落、英中銀のガイダンスで景気回復ペースに不安
7日の欧州株式 相場は下落。イングランド銀行(英中央銀行)がこの日、失業率が7%を下回るまで利上げや資産購入の縮小を控える方針を示したのに対し、緩慢な回復ペースを見込んでいると市場は受け止め、株式は売られた。
フランスの投資銀行ナティクシスは6カ月ぶり大幅安。4-6月(第2四半期)決算が29%減益となったことが売り材料。電気機器販売の仏レクセルは4.2%下落。同社株10%相当を筆頭株主が売却した。鉱山株も下げ、特に決算で収益低下が明らかになったランドゴールド・リソーシズの値下がりが目立った。一方でオランダ最大の金融サービス会社、INGグループは2年ぶり高値に上昇。四半期決算で、銀行部門の税引き前利益が増えた。
ストックス欧州600指数 は前日比0.2%安の302.81で終了。イングランド銀のカーニー総裁は英経済について、成長持続の「脱出速度に達していない」と言明した。同指数は6月24日以降、9.9%上昇。欧米英の中央銀行はそれぞれ、金融政策を通じて景気刺激を続ける方針を示している。
モニュメント・セキュリティーズのストラテジスト、マーク・オストワルト氏は電子メールで、「政策金利が上がる可能性がないわけではないが、向こう3年はなさそうだ」と述べた。
カーニー英中銀総裁はこの日、現在の緩和的な金融政策を見直す際に失業率7%の基準を目安とすると説明した。今年3-5月期の英失業率は7.8%で、同中銀は少なくとも2016年7-9月(第3四半期)まで7%を上回る水準にとどまると予想している。
この日の西欧市場では、18カ国中11カ国で要株価指数が下落した。
原題:European Stocks Decline on BOE Comments asNatixis, Rexel Slide(抜粋)
◎欧州債:独債3日ぶり上昇、株安で安全求める動き-仏蘭債も高い
7日の欧州債市場ではドイツ10年債が3日ぶりに上昇。世界的な株安で、域内で最も安全とされる同国債の需要が高まった。
フランスとオランダの国債も買われた。世界経済の回復を支えてきた米金融当局による刺激策が引き揚げられるとの観測が広がったためだ。6月のドイツ鉱工業生産が予想を大きく上回る伸びとなったものの、ドイツ国債の堅調には影響しなかった。同国はこの日、5年債を33億2000万ユーロ発行した。
スカンジナビスカ・エンスキルダ・バンケンの債券調査部門責任者、ユッシ・ヒルヤイネン氏(ストックホルム在勤)は、「株安がドイツなどの中核国の国債を支えた」とし、「利回りの一段低下は限定されるかもしれない。最近のドイツ経済指標は段階的に正しい方向に向かいつつあることを示したおり、これは数カ月以内に利回りが上昇する動きと一致する」と語った。
ロンドン時間午後4時38分現在、ドイツ10年債利回りは前日比1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の1.69%。2日には1.73%と、7月4日以来の高水準となった。同国債(表面利率1.5%、2023年5月償還)価格はこの日、0.08ポイント上げ98.28。
フランス10年債利回りは2bp下げ2.25%、同年限のオランダ国債利回りは2.08%に低下した。
独経済技術省が7日発表した6月の鉱工業生産指数 は前月比2.4%上昇。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト41人の予想中央値は0.3%上昇だった。5月は0.8%低下(改定)だった。
原題:German Bonds Advance as Stock Declines Boost Demand forSafety(抜粋)
◎英国債:下落、10年債利回り6週間ぶり高水準-英中銀報告に反応
7日の英国債相場は下落し、10年債利回りは6週間ぶり高水準に達した。イングランド銀行(英中央銀行)の経済とインフレ率に関する見通しに基づけば、同中銀は政策金利を過去最低水準に維持できないとの観測が広がった。ポンドは対ドルで6週間ぶり高値を付けた
英中銀は同日公表の四半期物価報告で、経済成長率予測を上方修正するとともに、インフレ率は2015年末ごろまで2%の目標に低下しないとの見通しを示した。カーニー総裁率いる金融政策委員会(MPC)は、現行の緩和的姿勢を失業率が7%に下がるまで堅持すると表明。また、このようなフォワードガイダンス(時間軸政策)には3条件が付帯しており、そのうち二つはインフレ率に関係していると説明した。
シティグループのマクロ戦略責任者、ジェレミー・へイル氏(ロンドン在勤)は「金利が低水準にとどまると納得させる働き掛けをカーニー総裁はもう少し行う必要がある」と指摘。「相場の反応は、市場がこの日の発表を完全に織り込んでいたことを示唆した。私がカーニー総裁ならば、この反応には失望だろう」と語った。
英10年債利回りは前日比1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の2.49%。一時は2.56%と、6月25日以来の高水準となった。同国債(表面利率1.75%、2022年9月償還)価格はこの日、0.05下げ94.06。
ポンドの対ドル相場はロンドン時間午後4時35分現在、前日比1.1%高の1ポンド=1.5510ドル。6月21日以来のポンド高・ドル安水準となる1.5531ドルまで上げる場面もあった。
英中銀は四半期報告の公表に合わせ、フォワードガイダンスに関する所見を明らかにした。同ガイダンスは現行の金融政策が物価安定ないし金融安定を脅かさない限り適用するほか、付帯する条件に左右される。
原題:Pound Rises to 6-Week High Versus Dollar After InflationReport(抜粋)
更新日時: 2013/08/08 02:59 JST