「国家の意思として組織的に拉致、人身売買をしたことを裏付ける証拠はない」(橋下徹大阪市長=日本維新の会共同代表、5月27日)
「従軍慰安婦と言われている人たちは、戦地売春婦だと思っている」(平沼赳夫・日本維新の会国会議員団代表、5月22日)
最近日本の政治家による従軍慰安婦関連の妄言が相次ぎ、韓国と中国だけでなく、国際社会の非難を巻き起こしている。1991年8月に金学順(キム・ハクスン)さんが自ら「慰安婦」だったと告白したことを受け、93年には慰安婦動員の強制性を認めた河野談話、95年には侵略戦争と植民地支配について謝罪した村山談話が発表されたが、それを真っ向から否定する発言の数々だ。政治家らは日本政府が従軍慰安婦の強制動員を直接指示した公式文書が存在しない点を悪用し、そうした発言を行っている。
■「通りで女性を捕まえ、強制的に」
慰安婦の動員を指示した文書は、日本政府が終戦前後に破棄したというのが学界の定説だ。しかし、強制動員を示唆する内容は、オランダなど各国の検察が提出した資料、連合軍による日本軍捕虜尋問記録などにはっきりと残っている。
「(日本)海軍の特別警察が慰安所に慰安婦を絶えず補充するよう命令を受けた。そのため、特別警察隊員は通りで婦女子を捕まえ、強制的に医師の診察を受けさせ、慰安所に送った。兵曹長がその役割を担った」
オランダ領東インドのボルネオ(現在のインドネシア・カリマンタン島)で日本軍が占領期間中、売春行為を強制していたことに関し、1946年7月5日にオランダ検察が極東軍事裁判所に提出した資料だ。
2002年米連邦政府記録保存所で発見された文書は、慰安婦の強制動員を立証している。1945年の終戦当時、米軍が作成した文書は「中国の昆明で捕まえられた韓国人女性23人はいずれも慰安婦であり、全て強制や詐欺によって、慰安婦になった」との記録がある。
■村落を攻撃して婦女子狩り
慰安婦の強制動員を暴露した被害者や日本人による証言も多い。ソウル大社会学科の鄭鎮星(チョン・ジンソン)教授が被害者175人の保健福祉部(省に相当)への申告内容を調査した結果、就職詐欺の被害者が82人、脅迫・暴力を受けた被害者が62人、誘拐・拉致が5人、人身売買が4人だった。「強制的にトラックに載せ、どこかに連れていった」「警察署に連れていかれた」という証言は、朝鮮総督府と日本軍が強制動員に介入していたことを示している。
1943年に中国華北で参戦していた日本人、松本栄好(まさよし)さん(91)は最近、日本軍による「婦女子狩り」について証言した。村落を攻撃し、中国語で「有漂亮的姑娘(きれいな娘はいるか)」と訪ね歩き、女性を見つけると、部隊に連れていき、集団で強姦(ごうかん)したという内容だ。松本さんはロイター通信のインタビューに対し「当時慰安婦の女性は、部隊が駐屯していた地域から脱出する方法がなかった。女性は事実上性的奴隷だった」と語った。