原爆の日:非核、妻に誓い 内部被ばくの危険性訴え

毎日新聞 2013年08月06日 12時16分(最終更新 08月06日 13時22分)

娘と孫と式典会場に向かう矢ケ崎克馬さん(中央)=広島市中区の平和記念公園で2013年8月6日午前7時25分、望月亮一撮影
娘と孫と式典会場に向かう矢ケ崎克馬さん(中央)=広島市中区の平和記念公園で2013年8月6日午前7時25分、望月亮一撮影

 被爆地・広島は6日、68回目の鎮魂の日を迎えた。1945年8月6日午前8時15分の原爆投下で、心身に深い傷を負った被爆者には、核廃絶への願いを秘めながらも体験を語れなかった人も多い。核兵器なき世界に向けた国際世論は高まりを見せつつあるが、世界の核を巡る状況は予断を許さない。領土問題や歴史認識を巡り日本と近隣諸国との緊張が増すなか、被爆者たちは改めて平和への思いを強くしている。

 東京電力福島第1原発事故の被災者支援に取り組み、内部被ばくの危険性を訴え続けている琉球大名誉教授、矢ケ崎克馬さん(69)=沖縄県西原町=は今年1月、胎内被爆者の妻八重美さん(当時66歳)を亡くした。6日の平和記念式典に初めて遺族として参列、「生きているうちに核兵器のない世界を」と2人で語り合った目標の実現を誓った。

 矢ケ崎さんは1974年、広島大大学院を出て琉球大助手となった。物性物理学専攻で磁石や超伝導などが専門だが、核兵器や劣化ウラン弾、内部被ばくの調査研究に取り組んだ。原爆症認定集団訴訟では原告側証人として出廷し、内部被ばくの危険性を指摘した。

 院生時代、新聞記者だった八重美さんに出会った。「感情豊かな表情、はつらつとした口調にひかれた」。71年に結婚する前、八重美さんから胎内被爆者と打ち明けられた時のことが忘れられない。大学近くの喫茶店で理路整然と説明しながら、八重美さんの頬を涙が伝った。入市被爆した八重美さんの母はがんを2度患い、結婚半年後に亡くなった。

 「原爆は、体も心も生涯、苦しめ続ける」

 こうした経験が矢ケ崎さんを原発事故に苦しむ人々の支援に向かわせた。事故直後に福島入りし、環境放射線量を測定。内部被ばくの危険性や防護策を訴える講演は200回以上になる。八重美さんも沖縄へ避難してきた人たちを支援する市民団体を設立した。「それぞれ分野は違うけど、被ばくに苦しむ人の手助けがしたかった」

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