日本の麻生太郎副総理兼財務相は1日「ナチスによる憲法改正の手口を学ぶべき」とする自らの発言について「誤解を招いたことは遺憾に思う。ナチス政権の例を挙げたことは撤回する」と弁解したが、その一方で「ユダヤ人への謝罪や副総理を辞任する意向はない」と明言した。麻生氏は先月29日「ドイツのヒトラーは当時、欧州で最も先進的だったとされるワイマール憲法に基づく選挙で当選した。(ところが)ワイマール憲法はいつの間にか、誰も分からないうちにナチス憲法に変った。この手口を学ぶのはどうか」と発言した。
麻生氏が「ヒトラーに学ぶ」と語ったその意味は、国民が問題の深刻さを理解する前に、民主主義憲法を一気に無力化するという手口であり、これは、どのような手口を使ってでも日本の平和憲法を見直し、軍事大国に突き進む道を一気に切り開きたいとする考えがにじみでている。「ナチスの手口を学ぶ」という発言など、人権と民主主義を尊重する世界各国では絶対に口にすることはできない。ナチスはワイマール憲法を無力化することで周辺国を侵略し、世界大戦を引き起こしただけでなく、ユダヤ人大虐殺という悲劇を招いた歴史的背景があるからだ。このような発言を平気で行うのが、安倍内閣と日本の極右政治家のレベルだ。
安倍内閣は麻生氏の発言が外部に知られ、韓国や中国がその没歴史性を指摘したにもかかわらず、何もなかったかのように振る舞い、しかも反省の一言さえない。ところが欧米のメディア各社や、ナチス戦犯の追跡で知られるユダヤ人団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター(SWC、本部・米国)などが強く反発すると、麻生氏は直ちに自らの発言を撤回し、日本政府も遺憾の意を表明した。これは日本のいつもの行動パターンだ。米国や欧州などが騒ぎ立てればすぐに頭を下げる一方、かつて日本の侵略により直接の被害を受けた韓国や中国などアジア諸国に対しては心から謝罪していない。
日本のもう1人の極右政治家、橋下徹日本維新の会代表は、5月に従軍慰安婦関連の妄言を相次いで発した。性的奴隷として強制的に動員された慰安婦の女性たちに謝罪するどころか、逆に侮辱するような態度と発言を繰り返したのだ。しかし「在日米軍も風俗店を積極的に利用すべき」とする自らの発言に米国が不快感を示すと、橋下氏は緊急の会見を行いこれを謝罪した。1995年に日本の文藝春秋社が発行していた月刊誌「マルコポーロ」は「ホロコースト(ナチスによるユダヤ人大虐殺)は捏造」とする記事を掲載し、これにユダヤ人団体が反発すると、最終的に廃刊へと追い込まれた。
ナチスドイツと手を結び、第2次世界大戦を引き起こした日本帝国主義の最大の被害者は、アジア諸国とその国民だ。日本はこの最大の被害者に謝罪し、反省するどころか、逆に侮辱するような発言と行動を繰り返している。ところが、これに欧米諸国が反発すればすぐに頭を下げる態度を今回も示した。このままでは国家としての日本の道徳性は、間違いなくさらに崩壊するだろう。