サヤ管ヘッダー工法

サヤ管ヘッダー工法は、給水配管設備として近年の共同住宅(マンション)で、採用されている配管工法です。
■サヤ
サヤの中に柔軟性のある配管を入れてあるのでサヤ管といっています。
サヤは工法専用のプラスチックの素材でできたCD管といわれるものを使用しています。内部に入る配管は、架橋ポリエチレン管を使用します。サヤの中に架橋ポリエチレン管を入れてある構造を「サヤ管」といいます。
内管には「ポリブデン管」という配管を使用する場合があります。この配管は架橋ポリエチレン管よりやわらかく扱いやすいとされていましたが、市場の動向で最近の物件では圧倒的に架橋ポリエチレン管がつかわれています。
写真:架橋ポリエチレン管 写真:さや管(CD管)
サヤ管として使用される材質。後ろの銀色のものは「消音テープ」と言われるものでCD管に一緒に敷設する場合がある。 ビニール素材で出来ていて、内部には左のポリエチレン管が入っている。
本当は決まりがないが、色は「水色→給水管用」「赤→給湯管用」「緑→循環給湯用」と分けて使用している。


サヤ管の一番の利点は、将来配管の更新が簡単に出来るということにあります。交換する際は、サヤの中に入っている内管を引き抜き、新しい配管を入れることができます。
そのような売りになっている工法ですが、サヤ管の両端に接続する部材は各メーカーがいろいろな規格で製品化しているため実際は数十年後に同じ部品があるとは思えません。部材の規格統一がされなかったために仕方のないことだと思います。そのような理由から、この部材は老朽化した場合引き抜き作業による将来の配管更新はあまり望めないと私個人は思っています。
ただしこの架橋ポリエチレン管は、耐久年数からいうと建物自体の大規模修繕期間まで十分持ちますので、その時配管を交換すれば大丈夫でしょう)


ヘッダー工法
従来の配管方法は鋼管などネジ接合をし、枝状に各水場に配管(枝管工法)しています。ヘッダー工法は、一度ヘッダーといわれる部材に給水配管を結び、その先は各水場に11本単独で配管しています。この工法は枝管工法に比べ、水を同時使用した際、均等に水が供給することが出来ます。
写真:ヘッダー部分
一度ヘッダーに給水配管を結び(写真ヘッダー部左の部分)、その先は各水場に11本単独で配管してる。
上側のヘッダーは給湯用、下側は給水用でわけて配置してある。

■サヤ管ヘッダーの信頼性
内管に使用している架橋ポリエチレン管は、非常に耐久性能が良いため、長持ちすると言われています。鋼管のような金属を使用していないため、表面の錆などのための劣化も心配ありませんし、衛生面でもいい配管と思われます。
また、継手を使用するのは、その配管の両端(ヘッダー部分と給水先)だけなので、水漏れを起こす場合は、まずヘッダー部分か給水先の端部(台所シングルレバー混合水栓や、浴室シャワー水栓など)だけになります。近年の給水漏水事故が減ったおかげが、この配管工法であると思います。
写真:台所のサヤ管配管   写真:洗面所のサヤ管写真
   


写真:便所のスラブしたサヤ管配管状況 写真:洗面所スラブしたサヤ管配管状況


写真:外部メーターボックスのサヤ管配管状況

1