彼らは、この会話の中で最後まで固有名詞を出さなかったので、私もメーソンの人々に敬意を表して固有名詞は書かないようにする。B氏と彼のことを呼ぶことにしよう。
さて、彼らはこの“困惑”についてこんなことを語った。
「そもそも尖閣諸島が日中どちらの国に属そうと、我々メーソンにはまったく関係のない話です。日本にも中国にもメーソンの会員はいるわけであり、またその資金は両国双方に注入されているからです。そのような領有権問題に介入するつもりがないのは、アメリカのメーソンも同じ。我々は“自分たちの論理、自分たちの基準”で動くので、それ以外の論理構造を受け入れる体質ではないという前提があり、もっと大きな視点で、国家観の力のバランスを取ることを“是”としているんです」
そもそも、メーソンが石材組合の時代から、砦や城の建設や兵器の開発、そしてその輸送網を使っての戦利品や遺品・略奪品の輸送、保管管理を行ってきた組合である。
ある意味で、国家権力と対等に、そして国家とは関係なく国家の間を取り持った形で、国際的に動いてきた組合。そしてメーソン自体、現在もその精神や行動原則はまったく変わっていない。
旧ローマ帝国やジンギスカンのモンゴルのような世界帝国ができると、石材を使う内容も据えてその権力者の意向に従わなければならない。ほとんどが国内になってしまえば、物流網や兵器、砦や城などを必要としなくなってしまい、また石材などの価格もある程度統制されてしまうことになる。
このような考え方から、現在のアメリカにせよ、また中国であっても、彼らにとって1つの勢力が肥大化するということは「不利益」になってしまうというのである。
そこで、東西冷戦終結後、アメリカの1人勝ちができないような陰謀を、さまざまに繰り広げていたそうだ。その中には、諸君がネットの中などでほぼ都市伝説化しているものも、形や詳細を変えて存在していることになるのだが……。