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ワタミ「反省」を口にするなら なぜ一度も会わないのか

【政治・経済】

楽天SocialNewsに投稿!
2013年8月5日 掲載

「ブラックじゃない」に遺族激怒


<過労自殺は「社風に合わなかったから」だと>

「命がけで反省し対策を打ってきた。われわれはブラック企業ではない」――。自民党の渡辺美樹参院議員(53)は、初登院でもそう強調した。この発言に憤慨するのは、ワタミ入社2カ月後に過労自殺した女性社員の遺族だ。渡辺は「反省」を口にしながら、遺族にまだ一度も顔を合わせていないのだ。

「娘の過労死認定後、渡辺氏は一度も会おうとしません」と打ち明けるのは、08年6月に自殺した森美菜さん(当時26)の父・豪さんだ。

 豪さんが渡辺に面談を求めると、ワタミ側は「1回だけで、録音はしない。労組関係者を同席させない」と身勝手な条件をつけたという。反省しているなら遺族に何度も会うのが当然だろう。豪さんは「1回で真相を解明できるはずがない」と考えたが、ワタミ側は条件を取り下げず、いまだに面談は行われていない。

 賠償金についても、渡辺は遺族との直接交渉を拒否し、簡裁への調停を申し立てた。
「調停でも渡辺氏は弁護士を通して不誠実な対応を繰り返すばかり。過酷な労働実態について具体的な回答もないままです。『反省している』なんて嘘ですよ」

 美菜さんの遺品の手帳には〈体が辛い。気持ちが沈みます。誰か助けて〉という悲痛な叫びが記されていた。それだけ配属先の「久里浜駅前店」(横須賀市)の労働環境は過酷だった。

 入社前に説明された勤務時間はデタラメで、「営業時間が勤務時間」というサービス残業が常態化。美菜さんの時間外労働は1カ月で141時間に及び、厚労省が定めた「過労死ライン」の月80時間を軽く超えた。

 たまの休日も強制参加のボランティアに駆り出される。社宅は「店舗から30分以内」と説明されたが、あくまで公共交通機関を使った時間だ。深夜勤務後は始発まで店に残るしかなかった。

 昼夜逆転の生活に追い打ちをかけたのが、午前7時から本社で行われる早朝研修だ。研修内容は、給与からの天引きで購入する渡辺の自著を読んでのリポート提出や、〈365日24時間死ぬまで働け〉を掲げるワタミの「理念集」の理解度テスト……。こんなメチャクチャな労働環境を押し付けながら、2日の朝日新聞のインタビューで渡辺は何と答えたか。
「なぜ採用したのか。なぜ入社1カ月の研修中に適性、不適性を見極められなかったのか」

 彼女の自殺はワタミの「社風」に合わなかったため、と言わんばかりの言い草じゃないか。

 ブラック企業批判に対しても、「ベンチャー企業の育成を大きく邪魔することになる」と開き直る始末。豪さんが「娘を死に追い込んだという自覚も反省もない」と言う通り、反省はゼロだ。

 安倍自民党は、どういうつもりでこんな男を公認したのか。野党は首相の“公認責任”を含めて徹底的に追及すべきだ。
(取材協力=ジャーナリスト・横田一)
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