汎用ロジックICを使おう 2/3 組み合わせ回路

汎用ロジックICはディジタル回路でよく使われる部分をIC(集積回路)に収めたもの。  比較的回路規模が小さく、プログラムを書き込むことなしに使用できる。 

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目次

  1. 型番の見方
  2. アンド・ゲート [論理積回路]
  3. オア・ゲート [論理和回路]
  4. インバータ [否定回路]
  5. シュミットトリガ・インバータ
  6. オープン・ドレイン・インバータ(バッファ)
  7. エクスクルーシブ・オア・ゲート
  8. ナンド・ゲート [否定論理積回路]
  9. ノア・ゲート [否定論理和回路]
  10. 3ステート・バッファ
  11. トランシーバ
  12. レベル・シフタ
  13. トランジスタ・アレイ
  14. デコーダ
  15. エンコーダ (準備中)
  16. マルチプレクサ
  17. フリップフロップ (D-FF)
  18. カウンタ (準備中)
  19. シフトレジスタ (準備中)
  20. その他 (準備中)
関連項目:
⇒なぜディジタル回路か? なぜPLDか?
⇒電子部品図鑑
ANDゲートの働きをあらわす模型
ANDゲートの働きをあらわす模型
ほんとうに動作する模型です。 入力端子をA,B、出力端子をY、 電圧の'H'/'L'を高さと考えてみてください。

型番の見方

従来パッケージ品

汎用ロジックの型番は [メーカ][シリーズ][機能][変更記号][パッケージ] となっている。
[メーカ] TC:東芝, HD:ルネサステクノロジ
[シリーズ] 5V/DIPならば74HC, 5V/DIP/高速ならば74AC, 3〜5V/面実装ならば74VHCまたは74LVxxA, 3V/面実装/高速ならば74LCX を推奨。
[機能] 00ならばナンド, 04ならばインバータなど...
[変更記号] 74HCの時はAバージョン、74VHCと74LCXは無しが一般的
[パッケージ] 東芝は P:プラスチックDIP, F:SOP(1.27mmピッチ), FT:SSOP(0.65mmピッチ)、 ルネサステクノロジは P:プラスチックDIP, FPまたはRP:SOP(1.27mmピッチ), T:SSOP(0.65mmピッチ)
*最後にテーピングコードを付けることがある。 

ワンゲート/ユニロジック

[シリーズ] 東芝は 7SH:74VHC相当1回路, 7WH:74VHC相当2回路(インバータは3回路,FFは1回路), 7PH:74VHC相当2回路(インバータとバッファ)
[パッケージ] 東芝は FS:0.35mmピッチ, FE:0.5mmピッチ, FU:0.65mmピッチ, F:0.95mmピッチ, FK:0.5mmピッチSOP, FC:0.4mmピッチCSP

組み合わせ回路 前半

仕様の表し方は「パッケージ / 動作電源電圧 / 遅延(max)@測定条件」とした。

アンド・ゲート [論理積回路] AND gate

74HC08 外観
{TSH} TC74HC08AP \30
DIP14 / 2〜6V / 12ns
ディジタル回路の基本3大要素(アンド、オア、インバータ)のうちの1つで「かつ」をあらわす回路またはIC。  論理積回路とも呼ばれる。  入力全てが'H'になったことを検出し'H'を出力する。  2入力が基本だが3入力以上であっても全ての入力が'H'の時だけ'H'を出力する動作は同じ。 

[ワンゲート・74VHC相当] TC7SH08F,


アンド・ゲートの動作
アンド・ゲートの動作
入力端子がA,Bの2入力、出力がYの74HC08のタイミングチャートを左に示す。 実際のICでは出力が'H'に変化するまではtpLHの時間がかかり、 出力が'L'に変化するまではtpHLの時間がかかる。 

ディジタル回路の1から全

全てのディジタル回路はアンド、オア、インバータの組み合わせで作ることができる。  アンド・ゲートは基本3大要素のうちの1つだが、 アンド・ゲートだけ沢山あっても実用的な回路は作れない。 3つの基本3大要素がそろって初めて実用的な回路が可能。  3人集まれば文殊の知恵という言葉がある。 パソコンの中に入っている頭脳であるCPUもこの3種類の組み合わせでできる。 アンド・ゲート、オア・ゲート、インバータは1種類では非力であっても3種類集まれば全てをカバーできる万能の存在になるというのがディジタル回路の面白い所。 

現代の集積回路は1個の部品の中にゲートの数800万個ぐらい集積されたものが普通に使われている。  それに対し74シリーズはわずかなゲート数しか内蔵されていない。 たとえば74HC00は4つのゲートしかないが基本的な回路設計手法は大規模な回路(PLDやASIC)と共通である。 違うのは極めて膨大なゲートを完全に不具合無く動作するシステムを作れるかどうかだけ。 

1つのゲートを砂粒にたとえればASIC、PLDを設計するのは砂で城を作るようなもの。 回路設計をする時は砂の1つぶ1つぶを気にしないでざっくりとつくり、最後の仕上げではある1粒だけに注目してその1粒が「かなめ」になることもある。 大きなゲート数のASIC、PLDを設計する際にも最終的には1粒であるゲートの動きを理解しておくことが必要。 74シリーズを学習することはPLDや大規模なASICを設計する際の足掛りになる。 


オア・ゲート [論理和回路] OR gate

[74HC32 外観 写真準備中]
{TSH} TC74HC32AP \30
DIP14 / 2〜6V / 12ns
ディジタル回路の基本3要素のうちの1つ「または」をあらわす回路またはIC。  論理和回路とも呼ばれる。  どれか1つ以上の入力が'H'になったことを検出し、'H'を出力する。  2入力が基本だが3入力以上であってもいずれかの入力が'H'であれば'H'を出力する動作は同じ。 

[ワンゲート・74VHC相当] TC7SH32F,


オア・ゲートの動作
オア・ゲートの動作
入力がA,B、出力がYの場合のタイミングチャートを左に示す。  実際のICでは出力が'H'に変化するまではtpLHの時間がかかり、 出力が'L'に変化するまではtpHLの時間がかかる。 

インバータ [否定回路] Inverter

74HCU04 外観
{TSH} TC74HCU04AP \30
DIP14 / 2〜6V / 8ns
ディジタル回路の基本3大要素のうちの1つ、極性を反対にする働きを持つ回路またはIC。 ディジタルICでありながら、発振回路やアンプとしても使用可能。  NOT、否定回路とも呼ばれる。  インバータはアンドゲートやデコーダと組み合わせて複雑な条件の判定などに使用する。 Uのつくタイプは水晶発振回路、アンプなどアナログ用途にも使用可能。 [注意] 類似したICで74HC04があるが、これはデジタル専用でアナログ的な使い方はできない。 

[ワンゲート・74VHC相当] TC7SH04F,


インバータの動作
インバータの動作
入力端子がA、出力がYの場合のタイミングチャートを左に示す。 実際のICでは出力が'H'に変化するまではtpLHの時間がかかり、 出力が'L'に変化するまではtpHLの時間がかかる。
水晶発振回路

[応用] 水晶発振回路

左の様に接続すると水晶発振回路を構成可能。 水晶発振回路は正確な周波数であらゆる回路のタイミング源として利用される。 

シュミット・トリガ・インバータ Schmitt Inverter

74HC14
{TSH} TC74HC14AP \50
DIP14 / 2〜6V / 21ns@5V
極性を反対にする働きを持つ回路またはIC。  デジタル的には通常のインバータと同様の動作をする。  入力電圧をゆっくり上昇させた時のスレショールド・レベルとゆっくり下降させた時のスレショールド・レベルが異なるのが特徴。  この性質を利用しデジタル信号に含まれるノイズを除去するために使用される。 

[ワンゲート・74VHC相当] TC7SH14F,


スイッチのチャタリングを削除する回路

[応用] スイッチのチャタリングを削除する

タクト・スイッチのチャタリングを除去してきれいなパルスを作る回路を右に示す。  スイッチの接点はバウンドするので人間が1回ボタンスイッチを押したつもりでも短い時間の間にON/OFFを繰り返す。 これはチャタリングと言ってディジタル回路の誤動作の原因となる。  どの程度のチャタリングまで削除するかは22kΩの抵抗と10μFのコンデンサで決まる。 (この定数で約220ms) チャタリングがまだ残るようであればこの抵抗またはコンデンサを大きくすると良い。  インバータは1回路しか使用しないので残った5回路分の入力はGNDに接続しておくこと。 

オープン・ドレイン/オープン・コレクタ・インバータ/バッファ  Open drain/Open collector Inverter/Buffer

74LS07
{TI} SN74LS07N \106
DIP14 / 4.75〜5.25V / 30ns@5V

オープン・ドレイン(コレクタ)・インバータは極性を反対にする働きを持つ回路またはIC。  オープン・ドレイン(コレクタ)・バッファはそのままの極性で伝達する回路またはIC。  出力駆動形式が通常のバッファ(またはインバータ)と異なる。 

オープン・コレクタとは出力がNPNトランジスタのコレクタに接続されており、'L'に駆動することは可能だが'H'には駆動しない形式をいう。  オープン・ドレインはオープン・コレクタと同様な動作をするが出力がFETのドレインになっている点が異なる。 

オープン・コレクタとオープン・ドレインは通常プルアップ抵抗と共に使用される。

オープン・コレクタはICの電源がOFFの時に出力に電圧をかけたり、電源電圧を超える電圧をかけてもこわれないタフさを持ち、プリンターポートなど どうしても耐圧が必要なインターフェースに使用される。


オープンドレイン/オープンコレクタ・インバータ/バッファの動作
オープン・ドレイン、オープン・コレクタの動作

74LS05/06は 入力が'L'の時、出力はハイインピーダンスになり、'H'の時出力は'L'になる。  74LS07は 入力が'H'の時、出力はハイインピーダンスになり、'L'の時出力は'L'になる。 

ハイ・インピーダンスは'Z'で表し、波形を書く場合は'H'と'L'の中間に線を引く。  ハイ・インピーダンス状態をオシロスコープで観測すると電圧が不安定でわずかなノイズがのっている状態に見える。 プルアップ抵抗があればVCCと同じ電圧になっているため波形ではなかなか'Z'になっているかどうか確認が難しい。 

昔はディジタル回路のバスなどにオープン・コレクタを使う事があったが、現代ではほとんど使わていない。 パソコンのパラレルポートなど、パソコンの電源がONでプリンタの電源がOFFの状態の時、パソコンからプリンタに過電流が流れるのを防ぐために使用される。 

[注意] 電源電圧範囲が他のICより狭いので電源設計に注意!


エクスクルーシブ・オア・ゲート [排他的論理和回路] Exclusive OR gate

74HC86
{TSH} TC74HC86AP \50
DIP14 / 2〜6V / 17ns
2つの信号を比較して同じかどうかを判断する回路またはIC。  排他的論理和とも呼ばれる。  パリティの発生回路や比較回路として使用される。  アドレス・デコーダに使用するとディップ・スイッチでアドレスの指定が可能。  また2進 1ビットの加算としても使用される。(加算回路) 

[ワンゲート・74VHC相当] TC7SH86F,


エクスクルーシブ・オア・ゲート/ノア・ゲートの動作
エクスクルーシブ・オア・ゲート/ノア・ゲートの動作
入力端子がA,Bの2入力、出力がYの場合のタイミングチャートを左に示す。 実際のICでは出力が'H'に変化するまではtpLHの時間がかかり、 出力が'L'に変化するまではtpHLの時間がかかる。
パリティ発生回路

[応用] パリティ発生回路

左のように接続すると1の数が偶数の時に'L'、奇数の時に'H'になる。 パソコン通信の設定(RS-232C)でパリティという設定があるが、そのこと。 データを送る際にこの回路で1ビット余分に送ることによりノイズが混入した時にわかるようにする。 

ナンド・ゲート [否定論理積回路] NAND gate

74HC00
{TSH} TC74HC00AP \30
DIP14 / 2〜6V / 12ns@5V
アンド・ゲートの出力を反転した回路またはIC。  全ての入力が'H'になった時に'L'を出力。 

[ワンゲート・74VHC相当] TC7SH00F,


ナンド・ゲートの動作
ナンド・ゲートの動作
入力端子がA,Bの2入力、出力がYの場合のタイミングチャートを左に示す。 実際のICでは出力が'H'に変化するまではtpLHの時間がかかり、 出力が'L'に変化するまではtpHLの時間がかかる。
ナンド・ゲートの別表記
ナンド・ゲートの別表記
ナンド・ゲートはaの様にアンド・ゲートの出力にインバータを追加したもので、通常 bの様な回路記号を使用。 またオア・ゲートの入力にインバータを追加した場合もナンド・ゲートとまったく同じ働きをし、dの様な回路記号で表す。  bとdは論理的に同じ働きがあり、出力信号が正論理の場合はdを使用し、負論理の場合はbの記号を使用する。 
ナンド・ゲートをインバータの代りにする
ナンド・ゲートをインバータの代りにする
左のように接続するとナンド・ゲートをインバータとして使用可能。
ナンド・ゲートをオア・ゲートの代りにする
ナンド・ゲートをオア・ゲートの代りにする
左のように接続するとナンド・ゲートをオア・ゲートとして使用可能。
ナンド・ゲートをアンド・ゲートの代りにする
ナンド・ゲートをアンド・ゲートの代りにする
左のように接続するとナンド・ゲートをアンド・ゲートとして使用可能。  この性質をうまく使用すると使用するICの数を減らすことができる。 

ノア・ゲート [否定論理和回路] NOR gate

74HC02
{TSH} TC74HC02AP \30
DIP14 / 2〜6V /15ns@4.5〜6V
オア・ゲートの出力を反転した回路またはIC。  いずれかの入力が'H'になった時に'L'を出力。 

[ワンゲート・74VHC相当] TC7SH02F,


ノア・ゲートの動作
ノア・ゲートの動作
入力がA,Bの2入力、出力がYの場合のタイミングチャートを左に示す。  実際のICでは出力が'H'に変化するまではtpLHの時間がかかり、出力が'L'に変化するまではtpHLの時間がかかる。 
ノア・ゲートの別表記
ノア・ゲートの別表記
ノア・ゲートはaの様にオア・ゲートの出力にインバータを追加したもので通常 bの様な回路記号を使用。 またアンド・ゲートの入力にインバータを追加した場合もノア・ゲートとまったく同じ働きをし、dの様な回路記号で表す。  出力信号が正論理の場合はdを使用し、負論理の場合はbの記号を使用。 
ノア・ゲートをインバータの代りにする
ノア・ゲートをインバータの代りにする
左のように接続するとノア・ゲートをインバータとして使用可能。 
ノア・ゲートをオア・ゲートの代りにする
ノア・ゲートをオア・ゲートの代りにする
左のように接続するとノア・ゲートをオア・ゲートとして使用可能。 
ノア・ゲートをアンド・ゲートの代りにする
ノア・ゲートをアンド・ゲートの代りにする
左のように接続するとノア・ゲートをアンド・ゲートとして使用可能。  この性質をうまく使用すると使用するICの数を減らすことができる。 

3ステート・バッファ  3-state Buffer

[74HC541 外観 写真準備中]
{TSH} TC74HC541AP \170
DIP20 / 2〜6V / 23ns

出力を'H'にも'L'にも駆動しないハイ・インピーダンス状態にできるバッファ。  汎用ロジックでもっとも良く利用され、かつ重要な品種。  マイコンの入力ポート数を増やしたり、駆動能力の強化(特にマイコンの外部バスの補強用)にも使用される。 

74VHCタイプ、74LVxxAは+5VのIC出力を+3Vまたは+3.3VのICに接続するためのレベル・シフタとして使用可能。 

74HC244と74HC541は8回路でイネーブルが負論理。 

[類似品種] 4回路イネーブルが負論理として74HC125,、4回路イネーブルが正論理74HC126がある。 

[ワンゲート・74VHC相当] TC7SH125F, TC7SH126F  〜TC7SH125Fはイネーブルが負論理、TC7SH126Fはイネーブルが正論理。


3ステート・バッファの動作
3ステート・バッファの動作

"541"はイネーブル端子G1,G2が共に'L'の時に入力A1から出力Y1に信号を伝達する。 イネーブル端子のどちらかが'H'の時はA1の状態に関係なくY1は'H'にも'L'にも駆動しないハイインピーダンス'Z'になる。  同様の回路が8回路内蔵されており共通のイネーブル端子で制御する。 

"244"は"541"と比べて内部配線、ピン配置が異なる。 "244"はイネーブル端子1Gが1A1,1A2,1A3,1A4のイネーブル、イネーブル端子2Gが2A1,2A2,2A3,2A4のイネーブルと2系統に分かれている。  "244"は配線の仕方によってトランシーバとしても使用可能。 ただトランシーバとして使用する場合は"245"の方が便利であり"244"と"541"はアドレス・バッファとして使用するのが良い。  プリント基板設計時に"541"の方が"244"よりも若干デバイスが割高だが素直な配線になる。 


アドレス・バッファ
[応用] アドレス・バッファ

左はマイコン(H8/3052)の外部バス(アドレス・バス)をバッファで補強した例。  アドレス・バスについてはマイコンが常に駆動するのでハイ・インピーダンスにする必要がなく常にイネーブルで良く、Gを'L'固定にしている。 

[バス・バッファの注意点]  バスには目に見えるコンデンサはつながっていなくともCMOSの入力端子は10pFぐらいの静電容量をもっている。  CMOSのICは入力端子に直流としてほとんど電流が流れないが信号が変化した瞬間だけ電流が流れる。この瞬間的に流れる電流がくせものでバスラインなどは多くの信号線が同時に変化するため、VCCやGNDに影響を与える。  また配線自身にもわずかな静電容量があり配線が長い場合にはリンギングが発生する。  これを改善するにはダンピング抵抗とバッファが必要。 


[ダンピング抵抗]  ダンピング抵抗は小さすぎるとリンギングが残ってしまい、大きすぎると遅延が大きくなってしまう。  バスの波形を確認しながら試行錯誤で決めるのが良い。  ダンピング抵抗内蔵の汎用ロジックもあるが抵抗値が固定であるため、使用する基板と適合しない場合もある。  (ダンピング抵抗を交換するのは工数がかかるのでダンピングの程度を端子設定で可変できるのが理想であるが現在の汎用ロジックでは用意されていない。) 


3ステート・バッファの応用 入力ポート
[応用] 入力ポートの拡張

541をマイコン(H8/3052)の入力ポート拡張用に使用する例を左に示す。  541、1個で8本のIOが追加可能。 2個使用で16本、4個使用で32本の入力が追加可能。  左は外部に拡張するデバイスが少ない場合なので外部アドレス・デコーダは省略している。 (マイコン内部のアドレス・デコーダのみ使用)  マイコンが読み出ししようとした時にCSとRDがアサートされるのでそのタイミングでデータ・バスに 入力ポートからのデータを乗せる。 

CMOSのICは入力をオープンにすることは禁止なので通常、データ・バスをプルアップしておく。  データバスの波形を確認し、リンギングが多い場合は"541"の出力に22〜100Ωのダンピング抵抗を入れると良い。 


トランシーバ 3-state Transcever

[74HC245 外観 写真準備中]
{TSH} TC74HC245AP \130
DIP20 / 2〜6V / 23ns
入力と出力の方向を逆にすることができるバッファ。  逆向きの3ステート・バッファがペアで組み合わされている。  マイコンと周辺ICの間に入り駆動能力を強化する回路またはIC。 

トランシーバとデータバスの関係

なぜマイコンのデータ・バスにトランシーバが使用されるのでしょうか? それは沢山あるIC同士でやりとりをする際の配線の本数を少なくできるからです。 たとえば2つのICの間で1ビットのみの信号をやりとりをするのであればIC1からIC2への通信用、IC2からIC1への通信用とGNDを含めないで2本の配線があれば足ります。 

ICが4個の場合にはどうでしょう? 答えは12本です。  ICが10個で全ての相手と通信できるようにするには何本必要でしょうか? 

このようにICの数が増えると爆発的に配線の本数が増えてしまう。 これらの配線はいつでも使用しているわけではなく、使っていない場合が多く不経済です。 そこで1本の配線を全てのICが共用して使用するようにしたのがバスです。 (風呂のバスではなく、自動車のバスです。)

ICは原則として複数の出力端子をショートすると過電流が流れてしまうのですが3ステートの出力端子は例外で複数の出力端子を接続可能です。 ただし 1つの配線に接続されている出力端子のうち1つだけを駆動している状態(イネーブル)にし、それ以外の出力端子は駆動していない状態(ディスエーブル)にしていなければなりません。 

ICが2個の場合の配線
ICが2個の場合の配線
ICが4個の場合の配線
ICが4個の場合の配線
1ビット幅のバス
1ビット幅のバス

マイコンのバスは3ステートを利用することで配線の本数を削減している。 さらにデータを転送する際に1ビットずつでは効率が悪いので8ビット、または16、32ビットずつまとめて転送するようなっている。 各自が自家用車で移動するのではなく乗合バスに乗るイメージ。 それがマイコンで言うところのデータ・バス。 

このようにデータ・バスは配線の省力化ができる。 


トランシーバの応用 (データ・バス・バッファ)
[応用] データ・バス・バッファ

トランシーバの応用として最も一般的なのはマイコンのデータ・バス・バッファ。  マイコンの外部バスに対して複数の周辺LSIを接続する際、駆動能力が不足する時がある。 その時は間にバス・トランシーバを挿入する。 

具体的な回路例を左に示す。  今マイコン(H8/3052)がどの周辺LSIに対してデータを要求しているのかを知らせるのがCS信号、バスにのせるタイミングと方向を示すのがRD信号。  書き込みを表す信号としてHWR,LWRがあるがこの回路では使用していない。 

[読み出し]  トランシーバ"245"はデータをマイコンのデータ・バスに読み取るタイミング(RD='L'かつCS='L')を確認してデータを乗せる。 

[書き込み]  トランシーバ"245"はデータを周辺LSIのデータ・バスに書き込むタイミング(RD='H'かつCS='L')を確認してデータを乗せる。 



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*価格は出筆時点での参考価格です。 最新の価格は各販売店のwebで再確認をお願いします。 

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